リコリス・リコイル 竜胆の花は彼岸の花に何を見る?   作:タロ芋

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描きたくなって書きなぐる。二次創作ってそういうものでしょう?


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「あー……疲れた」

 

「それについては同意だねー」

 

 宙へと登り、溶けていく紫煙。瓦礫に背中を預けて脱力する少年と瓦礫に座る幼女。

 少年は煙草を咥え、静かに煙を吸って吐き出すことを繰り返す。甘い香りのする煙が宙へと解けていく様を静かに見つめていた。

 

「ねっ、君はどうすんのこの後? 逃げようとしても多分、別働隊がいるけどね」

 

 幼女が問いかければ。少年は煙を吐き出し、しばし考えれば重々しく答える。

 

「強行突破……は無理だな。さすがに消耗しすぎた」

 

 持ってきた武器弾薬は尽き、唯一と言っていい武器は傍らに立てかけてある刀1本。精も根も尽き果て、こうして意識を保っているだけでも精一杯だ。

 

「さすがに最強のリリベル、リッパーもお縄につく時かなぁ?」

 

「うるせぇクソガキ。ぁ〜あ……なんでバカ真面目に付き合ってんだ俺?」

 

 ヒビがはいり用途の成さない鬼を模した仮面を投げ捨て、少年はぐしゃりと前髪の形を崩して唸る。

 

「(似てるからか?)」

 

 自分を人間にしてくれた存在とこの幼女は酷くダブって見えた。少年は苦い顔で考えを振り払い、ゆっくりと立ち上がる。

 

「命令違反に次ぐ命令違反。そんでもってコレだ。どうせ戻っても俺には居場所がない。お前のその態度、どうせなにか案があるんだろ?」

 

「ふっふっふ、モチのロンってとこかな! ねっ、君って手先器用?」

 

「突然なんだ薮から棒に……。まぁ、大抵のことならできるがな」

 

「なら良し! ネッ! 喫茶店の店員ってやつになろっか!!」

 

 極東の島国、日本。それを象徴とする花を象った塔の最上階で幼女は満面の笑みで言い放つ。少年はしばし言葉を失い、咥えていた煙草の先端部分からは燃え尽きた灰がコンクリートの地べたへと落ちていく。

 

『んー、もしもだけどさ……。私とどっかの田舎に逃げて平和に喫茶店とか経営するっていったら一緒に付き合ってくれる?』

 

「はは……。んだよ、ソレ……。馬鹿じゃねぇの……」

 

「あ、ひっど!! 私は大真面目ですぅ!! ……って、どうしたの、泣いてるけど? どっか痛いとこある?」

 

『いきなり何言い出してんだよ……。つか、俺はお前を殺そうとしてるんだぞ?おまけに逃げるったって戸籍もねぇのにどこ行くんだよ』

 

『もしもの話! それで、どう?』

 

 遠い昔、どこかの海岸で交わした会話。少女の問いかけに少年は抱いていた刀を弄びながら空を見上げて答える。

 

『まぁ、いいんじゃねぇの? つっても、お前みたいに家事全般が終わってるんじゃ客なんて来ねぇかもだけどな』

 

『なんだとコノヤロウ! 私だって本気出せばお茶の一つや二つくらい……多分きっとできる!!』

 

『そこは断言しろよ……』

 

『ふーんだ! 最強のリコリスなめんなよー!数年もしたらあの子に追い抜かされるけど!!』

 

『頭撫でんな!やーめーろー!!!?』

 

 少女に揉みくちゃにされ、堪らず叫ぶ少年はもがきながらも女の言った未来を想像して見る。

 自分がメニューの料理を作って、女が接客してそれを出す。自分をもみくちゃにするコイツは普段はアレだが見てくれは悪くは無い。そうして色々と想像を膨らませていき、少年は気がつけば口に出していた。

 

『でもまぁ……。もしも出来るなら』

 

「悪くないかも、な」

 

 かつて、叶えられなかった夢想のもしも。少年が忘れていた願いは何の因果かこうして現れた。それを示したのも同じような彼岸花というのも運命とも言えよう。

 

「フフ、じゃあ契約成立ってことで! ハイ握手!」

 

「警戒心もへったくれもねぇな……。一応、俺はリリベルでリコリスのお前を殺すために来てたんだが?」

 

「今は違うでしょリッパーさん?」

 

「……りつは」

 

「うん?」

 

竜胆(りんどう)律刃(りつは)だ。リッパーじゃねぇ」

 

「〜!! よろしくね律刃さん! あ、あと私はちさと。錦木千束だよ」

 

「お前がっ……? ハハハ、そうか。お前が千束か……納得だよ。通りで似てるわけだ」

 

 幼女の名を聞き、少年は笑う。どうやら、自分はとことん彼女と縁があるらしい。差し出され手を生身の左手で握り、少年は小さな手を優しく握る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところでその喫茶店って煙草吸ってもいいのか?」

 

「ダメだよ! ダメったらダーメ!!」

 

「…………クソめ」

 

 

 ◎

 

 

「こちら律刃。ポイントに着いたが待機でいいのか? 人質の頭が今にもぶち抜かれそうだが、ミカさん?」

 

 耳につけたインカムを小突き、ビルの屋上の縁に立ち視線の先にある廃ビルでの出来事を律刃は静観していた。

 頭目らしき男は人質にした青服(セカンド)のリコリスの後頭部に銃口を押し付け、仲間らしきリコリスたちに向けて怒鳴り散らしている。

 

『ああ。とりあえずは楠木からは現状維持ということで頼む。もう少しで千束も来そうだからな』

 

「ほーん。あんたがそう言うならそうするが、本当にやばそうなら突っ込んでも構わないか? 目の前でガキが殺されるのは見過ごせねぇし」

 

『そうなったら好きにやって貰って構わない。お前のことだからリコリスに攻撃されても問題はなさそうだからな』

 

「信頼が高うござんすねぇ……」

 

 元とはいえ敵対していた組織の構成員だぞこっちは? やはり、変人の元には変人が集まるというのか。律刃はそのようなことを考えつつも煙草を吸おうと、懐へ手を伸ばそうとして。

 

『吸ったら千束がまた怒るぞ?』

 

「…………」

 

『今度は長いだろうな』

 

「……………………」

 

『ご機嫌取りは面倒臭いぞ?』

 

「…………………………チッ!!」

 

『利口な判断だな律刃』

 

 懐へと伸ばしていた手を舌を打って下ろし、ニコチン不足によるむしゃくしゃした気持ちを発散しようと売人連中へ突撃するため足に力を込めようとした。その時、

 

『ザッ……ザザッ…………』

 

「ん? ミカさん? おーい……トラブル? って、やばいなアレ」

 

 インカムからノイズが聞こえ、チャンネルを何度も変えるが一向に繋がる気配がない。そして、商人の男がついに痺れを切らしたか人質のリコリスをうち殺そうと引き金に力を込め始める。

 それを見た律刃はベルトに取り付けていたホルスターから艶消しされ、投擲に適した形のナイフを引き抜いた。

 

「ラァッ!!」

 

 人間離れした腕力で掴んだナイフを投げる。空気を引き裂き、ナイフは銃を持った売人と手を凶器諸共粉砕、貫通しコンクリートの地面へと深く突き刺さる。

 汚い悲鳴をあげ、堪らず男が人質から離れれば待っていたとばかりにいつの間に調達していたのか青服のリコリスが機関銃をぶっ放したでは無いか。

 

「おいおいおい、人質を殺す気か?」

 

 驚きを禁じえず、律刃がチームのリーダーらしき赤服(ファースト)へと視線を向ければ目を丸くしており、件のリコリスの独断だというのが容易く理解することが出来た。

 

「あれじゃあ生き残りはいなさそうだな」

 

 銃撃による煙幕が晴れ、終わったことを察知。出番のなかった刀を足元に転がしていたギターケースに仕舞えば、もう一度廃ビルへと視線を向ける。

 丁度赤服が命令違反の青服へと拳を振り抜いた所で最後に視線を切り、律刃は屋上を後にした。

 

「あ〜、煙草吸いてぇ……」

 

 懐から棒付きキャンディを取りだし、口に含めばそのように呟き空を見上げる。朝焼けに染る空は実に腹ただしいくらいの美しさで悪態のひとつもつきたくなる。

 

「あ〜! 律刃また煙草吸ってる!!」

 

 ゆっくりと階段を降りていくと頭に響く叫びが鼓膜を震わせる。胡乱げな目で見ればそこには何にも考えてなさそうなあほ面の馬鹿(錦木千束)がこちらに指を向けていた。

 

「飴だ飴。つか、遅ェぞ千束。もう終わっちまったぞ?」

 

「知ってる! 出遅れちゃったかぁ。これでも急いだんだけど!」

 

「そいつぁご苦労さん。俺も、とんだ無駄足だったよ」

 

「まったく、律刃ってば起こしてくれても良かったのにさぁ〜」

 

「起こして二度寝決め込んだ阿呆はお前だろ……。ちゃんと俺は起こしたんだからな?」

 

「そうなの?」

 

「そーなの」

 

 会話をしつつ路肩に停めた自分のバイクを見つけ、シートにまたがると千束は当然のように後ろへと乗ってくる。

 

「おい、お前自分のスクーターあるだろ?」

 

「べっつにいいじゃーん! たまには良いでしょ?」

 

「はぁ……。ミズキのアホに回収頼んどくか」

 

「じゃ、リコリコにしゅっぱーつ! ついでに朝ごはんもよろしく! あ、目玉焼きの黄身は半熟ね?」

 

「ったく、このガキンチョは好き勝手いいやがる。ヘルメットちゃんとつけろよー」

 

「りょうかい!」

 

 鍵を捻ればエンジンがけたたましい駆動音を響かせ、ご機嫌な咆哮と共に後輪が勢いよく回転し赤い軌跡を描いて一通りのない街並みを勢いよく走り出した。

 

「あははは! 速いやはーい!!」

 

 楽しそうにはしゃいで騒ぐ様は年相応なのに、戦場へ出れば一騎当千ともいえるような活躍をするのだから人は見かけには寄らないとも言えよう。千束が速度をあげるよう催促し、律刃は律儀に付き合ってアクセルスロットを回せば簡単に速度は制限を突破していく。

 

「悪くないな」

 

「なんかいったー!?」

 

「なんでもねーよ! きちんと掴まってろよ!!」

 

「誰にものいってんのさー!!」

 




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