リコリス・リコイル 竜胆の花は彼岸の花に何を見る? 作:タロ芋
「これでもうトランクスとはおさらば。男物のパンツは全部処分するからね!」
「……はい」
「よーし、じゃあ終わったことだし律刃の奢りでおやつタイムだ〜!」
「目的なら完遂しましたよ?」
「完遂て……仕事じゃないんだからぁ! 今日は付き合ってよ〜! ってなわけでお電話っとな! もしもし律刃ァ?」
『うぃ、なんだ、千束?』
「うん用事終わったから来てね〜。場所はさっきのとこね!」
『はいよ、さっきの店な─────ッ!!』
「? 律刃? おーい、律刃さーん?」
「ッ!!」
迷子を親元へ届け、律刃は千束たちの元へ歩いていた時に背筋を刺すような粘土の高いへばりつく悪寒を感じた。
咄嗟に振り返り、律刃は人混みを見渡す。そして見つけた。黒いコートについたフードを目深に被りコチラへ歪んだ笑いを向ける存在を。
『? 律刃? おーい、律刃さーん?』
──なんだ、この不快な感覚は? 俺はこれを知っている?
手に持った携帯から聞こえる千束の声が酷く遠くに聞こえる。
律刃とその存在は視線を交差させ、そしてソイツは声は出さずに口だけを動かし始めた。
『 見 つ け た 』
「ッ!」
コイツは不味い。コイツは消さなければならない。
本能が警鐘を鳴らし、刀を握ろうとしたが今の自分が丸腰だと気がつく。されど、警戒は緩めずに律刃がいつでも対応できるようにしていれば向こうから視線を逸らし、何処かへと歩き出す。
その後ろ姿はすぐに人の流れに飲み込まれ、律刃の視界からも消え失せる。
「…………ハァ」
重い息を吐き出し、律刃はようやく肩の力を抜けば遠かった音が耳に入ってきた。
『こんにゃろう。3秒以内に出なかったらお前の恥ずかしい過去をランキング形式でたきなに言うからなー?』
「おい、何勝手に暴露しようとしてんだ。お前がその気なら俺にも考えがあるぞ」
『あ、出た! たくよー、いきなり黙りこくっちゃうんだから心配したぞー?』
「ああ、悪い。……少しな」
『……何かあった?』
「いいや、何も」
騙せたかはは自信が無い。自分でもそう思ってしまうほど、出た声は平坦だった。
普段はガサツな面が目立つが、千束はこういう時は変に勘が鋭い。律刃は至って平静を装い短く切り上げる。
「とにかく、すぐ向かえばいいんだろ。切るぞ」
『んー……わかった』
「ああ」
通話を切り、律刃は最後にもう一度人混みへと視線を向ける。
だが、道行く人々の中に先程の存在は見えず、律刃の胸の内には言いようのない不安だけが残った。
〇
「相変わらずハイカロリーなもん頼んでんな。俺はティラミスとコーヒーのブラックで」
「かしこまりました」
「名前からしてカロリーが高そうですね」
千束がやけに長ったらしい名前のスイーツを頼み、それを呆れた目で見る律刃とたきな。
「野暮なこと言わなーい! 女子は甘いものに貪欲でいいのだ」
「寮の食事も美味しいですけどね」
「お前らはいいよな。元宮内庁の総料理長が朝昼晩の飯作ってくれて……」
「律刃さんは昔はどんな所にいたのですか?」
「……聞きたい?」
「……やめときます」
たきなは律刃の濁りきった目を見て追求するのを辞めた。何故か、聞いてはいけない気がしたのだ。
そんな隣で千束が腕を組んでしみじみとつぶやく。
「いやー、律刃って今でこそプロ顔向けのご飯作れるけど昔は酷かったんだよ〜」
「仕方ねぇだろ。俺にとっての美味いってアレだったんだから」
「律刃さんは昔から料理などが得意ではなかったのですか?」
「まぁ、料理はできたよ。料理はウン」
今度は千束の目が濁った。そしてたきなに問いかける。
「たきなってご飯に何かお供つける?」
「唐突ですね……。時折ですがつけますね」
たきなの回答を聞き、千束は苦々しい過去を思い出して口に出す。
「昔の律刃はね……手当り次第に唐辛子やらなんやらの辛いものをぶちまけてたんだよ。酷い時にはパフェにデスソースだもん」
「え……?」
聞き間違いだろうか。たきなは律刃を見ればバツが悪そうに、視線を逸らしながらつぶやく。
「今はあまりやってないだろ」
どうやら本当らしい。あまり、ということは今もやってるということに戦慄を隠せなかった。パフェにデスソースだなんて味覚イカれてるのか?
「お待たせしました。ご注文の品です」
「おほー、キタキタ!!」
「これは糖質の塊ですね」
「たきな! 人間、一生で食べられる回数は決まってるんだよ? 全ての食事は美味しく幸せであれ〜!」
なんとも言えない空気の中、店員がスイーツの乗った皿を持ってやってくる。
千束はテーブルに置かれたそれを見て目を輝かせ、たきなが言えば頭突きをして黙らせた。
「いたた……。美味しいのはいいことですが、リコリスとして余分な脂肪はデメリットになります」
「その分走る! その価値がこれにはあるのっほぉ〜、おいしい〜♪」
「あんま食いすぎて晩御飯が入りません〜は許さねぇからな」
「わかってますぅ〜! だっ!」
そんな会話をしていれば。
「『写真がない?』」
「『まあ……ウェイターを呼ぼうか?』」
「『これをもう一度、言ってみようか?』」
「『ごちそうさま……様?』」
後ろからそのようなフランス語が聞こえてきた。千束が2人に目配せをすれば、律刃はいってこいと手を揺らしたの見て千束は後ろのフランス人の男女の元へ向かう。
律刃は流暢にフランス語を喋る彼女を見つめ、穏やかなひと時を堪能してれいれば。
「律刃さんは千束が好きなのですか?」
「ブフッ……! ゲホッ! ゴホッ! いきなり何言い出してんだ!?」
突如、たきながそんなことを聞いてきた。その質問に律刃は飲んでいた珈琲で噎せ、咳き込みながらたきなへ叫ぶ。
律刃の叫びに首をかしげ、たきなは言う。
「いえ、ただ、律刃さんの千束を見る目がとても穏やかだったので」
「はぁ……。別にそんなんじゃねぇよ。ただ」
「ただ?」
「こんな時がずっと続けばいいなぁって思ったんだよ」
ゆっくりと空を見上げ、綺麗な青空を見つめる。
律刃と同じようにたきなも空を見つめ、微笑んだ。
「続きますよ。きっと」
「ハハ、だな」
たきなにはその時の律刃の苦笑気味の顔は何処か楽しそうで、悲しそうに見えた。
その意味を知るのは少し、先の未来だ。
「お待たせー! これ食べたらいい所連れて行ってあげよう!」
「おう、おかえり。どうせお前のことだからアソコだろ?」
「律刃、ネタバレ禁止!!」
「へいへい」
「?」
〇
「いい所ってここですか?」
「んふ〜、綺麗でしょ? 私好き〜」
「よく来るんです?」
たきなに聞かれ、千束はバックから長方形のカードを取り出した。
「年パス〜! 気に入ったらたきなもドーゾ?」
それは水族館の年間パスポートであった。千束が連れてきたのは都内にある水族館で、千束のお気に入りであった。
「律刃さんも持っているんですか?」
「おん? ああ、持ってるぜ〜。ほら」
たきなに聞かれ、小さな魚を見ていた律刃は視線をこちらに向けてポーチから千束と同じものを取り出す。
「いやー、律刃に初めて連れてこられた時に気に入っちゃってね〜。年パスのことも律刃から知ったんだ〜」
「意外ですね。律刃さんはこういうのに興味ないのかと」
「まぁ、たきなの言いたいことは分かる。私もそんな感じだったし」
「お前らは俺の事をなんだと思ってんだよ……。別に俺も自分からここを知ったわけじゃねぇさ。昔、知り合いに無理やり連れてこられてここを知ったって感じだし」
2人の物言いに肩を竦めながら館内を自由に歩く。
「これ魚なんですって」
タツノオトシゴの水槽を覗き込み、たきながスマホで調べた情報を伝える。
「「マジ?」」
「こんなナリで"ウオ"だったのかコイツ」
「この姿になった合理的理由はあるのでしょうか?」
「え、合理? 理由? どーだろうなぁ……」
「なにかあるでしょう」
「流石に素人だからわかんねぇ」
千束と律刃は困惑気味に答えるしかできなかった。
「これも魚ですか……」
「チンアナゴだな。なにかあったら砂の中に引っ込む。こうやってな」
水槽を軽く小突く。すると、チンアナゴたちがいっせいに砂の中に潜りこんでいきたきながおぉ、と声をあげる。
そのまま観察していれば。
「ところで、何やってるんですか千束?」
水槽のそばで何やらくねくねと変な動きをしている千束がいた。訝しげにたきなが問えば千束は変な動きを止めずに言う。
「チンアナゴの真似〜」
「人が見てるんだからやめろっての」
「そうですよ。目立つ行動は控えたほうが……」
「なんで?」
「なんでって、私たちリコリスですよ?」
「制服着てない時はリコリスじゃありませ〜ん!」
「諦めろたきな。馬の耳に念仏ってやつだ」
「はぁ……」
ああ言えばこう言う、長年の付き合いで律刃は分かっているので優しい顔でたきなを慰める。
「たくさんいるな」
水槽を見てチンアナゴの真似をする千束の隣で律刃が感想を漏らす。たきなも同じように水槽を見つめながら千束へと問いかけた。
「千束」
「んー?」
「あの弾、いつから使ってるんです?」
「なぁに、急に?」
千束はたきなの座るベンチに腰かければ、ずいっと距離を詰める。
「旧電波塔の時は?」
「あの時先生に作ってもらったんだ〜。その時に律刃とも出会ったんだ」
「そうなんですか。それで、何か理由があるのですか?」
「なにぃ? 私に興味あるのぉ?」
「タツノオトシゴ以上には……」
「チンアナゴよりも?」
「茶化すならもういいです」
「ごめんって! そうだねぇ……強いて言うなら──「気分が良くない、からですか?」──おろ? 誰から聞いたの?」
たきなの言葉に千束は問う。
「前に律刃さんが似たようなことを仰ってたので」
「あー、そういや言ってたな」
数ヶ月前、たきなの初仕事で自分が彼女に言ったことを思い出し律刃は言う。千束はそれなら話が早いとばかりに続けた。
「そっ。付け加えるなら誰かの時間を奪うのは嫌だからね」
「悪人にそんな気持ちにさせられるのはもーっとムカつく! だから、死なない程度にぶっとばす! アレ、当たるとめちゃくちゃ痛いんだよォ? 死んだ方がマシかも!」
「ほんと、あれって当たると痛えんだよ。痣がしばらく消えないし」
「この前、眉間に当たっておいて『痛っ』で済ましてませんでした?」
「それは律刃げんてーい!」
「ふふっ」
「なぁんだよ変ー?」
唐突に笑いだしたたきなに千束は体を軽くぶつければ、笑いながらたきなは言う。
「いえ、もっと破壊的な理由かと。千束と律刃さんは謎だらけですね」
「mysterious girl!? そっかぁ、そんな魅力もあったか私ぃ〜。でも、そんな難しい話じゃないよ〜」
「したいこと、最優先ですもんね」
「おっ! 覚えてるねぇ〜」
「DAを出たのも?」
「え?」
その問いかけに千束は虚をつかれた顔になる。
「殺さないだけならDAでできたでしょう?」
「あ〜……」
「それも? そうしたいって、全部それだけ?」
「人探し、だってよ」
「え?」
律刃の言葉にたきなは疑問符を浮かべれば、千束は自分の胸元へ手を当てる。
「そう。人探し。会いたい人がいるんだ。大事な。大事な人。その人を探したくて……知ってる? コレ」
千束は言い、隠していた梟のソレをたきなへと見せる。
「確かに、同じですね。アラン機関のものと」
たきなはニュースサイトでアラン機関のことを調べ、画像と同じものを見比べる。
「なんの才能があるんです?」
「わからなぁい?」
「それじゃないのはわかります」
「フッ……」
後ろにあるナイスバディなポーズを真似る千束を即座に否定するたきな。鼻で笑う律刃。
「鼻で笑ったなこんにゃろう……。はぁ、自分の才能が何とかわかるぅ?」
「なんかあるといいですけど……」
「そんな感じでしょ?」
「簡単だろ。たきなは射撃のセンス。千束はその目。んでもって誰かのために行動できる優しさってな。そこら辺はすごく難しいもんだ。俺は素直に尊敬する」
悩める2人に律刃はことも無く言う。言うのだが。
「「……ど、どうも」」
「なんで顔赤くなってんだよ?」
たきなならまだしも、なぜ千束まで?
「な、なんでもないです。ンンッ、それでコレをくれた人は見つかったんですか?」
「いんやぁ〜」
「10年も探してですか?」
「もう、会えないかもね……。ありがとうって言いたいだけなんだけど」
たきなからチャームを返され、それを受け取った千束は寂しげに水槽を見つめる。
たきなはその様子に複雑な顔をうかべ、律刃は何も言わずに口を噤む。
「……よしっ」
「どうした、たきな?」
何を思ったか、たきなは席をたつ。
「………………さかなー!!」
そして行う不思議なポーズ。もとい魚のポーズ。
どうやらしょぼくれていた千束を励まそうとしたようで、効果は見るまでもないだろう。
「おおー! さかなかぁ! ふふっ、チンアナゴ〜!」
「何してんだよお前ら……」
2人の行動に苦笑する律刃。
「律刃もやるの! ほらっ!!」
「俺はいいって。やめ、引っ張んなよ!」
律刃の手をグイグイ引っ張り、振りほどこうにも怪我をさせかねないので振り解けない律刃はすぐ側まで連れてこられる。
「ほらほら、律刃もやって! チンアナゴとかさかな以外にー!」
「はぁ!? えぇ……ちょっとまて……えー……」
咄嗟に言われ、律刃は悩む。悩んで悩んで、浮かんだそれを実行した。
「う、うみねこ……にゃ〜!」
手をはためかさ、鳴き声を真似する。千束とたきなはその真似を見つめて無言の後にダムが決壊したように笑いだした。
「アハハハハハ! うみねこ!」
「にゃー! って、にゃー!! って!!!」
「っ〜! 帰る!!」
「あー! ごめんごめんって!! 可愛かったようwみwねwこwwww」
プルプルと震わせ、叫ぶ律刃。慌てて引き止めるが、ツボったのか笑いながらやってるのでどうにも力が出ない。
ズルズルと千束を館内で引きずりながらいれば。
「フフッ。それ、隠さない方がいいですよ」
「ん?」
「え? そう?」
立ち止まり、たきなを見る2人。
「ええ。めっちゃかわいいですよ」
「あー、こいつぅ! ほら、ペンギン島行くぞー! ついでに律刃のウミネコの真似をさせてやる〜!」
「ペンギン!」
「おいこら待て! もうやるなんて言ってねえからな!?」
2人で駆け出し、慌てて追いかける律刃。
3人は笑顔をうかべ、楽しそうに進むのであった。
〇
「……リコリス?」
「多いな」
「ですね……」
買い物も終え、デパートを出た3人は目の前に広がる光景に違和感を覚えた。
「ッ!!」
そして律刃の聴覚は捉えた。くぐもった爆発音と微かな振動を。
「あ、律刃!」
「律刃さん! どこに!?」
二人の分の荷物を持っているとは思えないほどの俊敏さで人混みの間を縫うように駆け、すぐに2人の視界から消え失せる。慌てて2人は追いかけ始めた。
「チッ、遅かったか」
駅を黄色いテープで塞がれ、誰も通らないように黒服が警備しているのをみつけ律刃は舌を打つ。
「ぜぇ、ぜぇ……はっや!」
「はぁ、はぁ……いき、なり走り出し、から、驚きまし、た…………」
「千束、たきなか。アレ、見てみろ」
息を切らして追いついた2人に律刃は指を向ける。2人は首をかしげるが、すぐにソレを見て顔を険しくさせる。
「アレは……何かあったんでしょうか!?」
リコリスとして向かおうと来たたきなの手を掴んで千束は引き止めた。
「私服で銃出すと警察に捕まるよ?」
「制服を着てない時はリコリスじゃないって言ったでしょう? 律刃も突っ込んじゃダメだからね」
「分かってる……はぁ、むず痒いな」
千束からの注意にバツが悪そうにする律刃。
「ん。それに今日は戦利品も多いんだし。帰ろうか」
「……はい」
駅から視線を逸らし、歩き出す。しかし、律刃の胸中にはデパートの中で出会ったあの存在とこの事件が無関係にはどうしても思えなかった。
〇
「はい捨てまーす。捨てまーす。これも捨てまーす。捨て……」
翌朝、宣言通りたきなのトランクスを次々ゴミ袋に投げ込んでいく千束。どんどんとゴミ袋のなかがトランクスで埋まっていくなかで、ふと、手に持ったトランクスを見つめた。
『これ、いいんですけどね。通気性も良くて動きやすい』
「……」
誰もいないよね? いないな? いない……な。よし。
キョロキョロと周囲を見渡し、千束は自分の履いてた下着をおろし、いざパイルダーオン!
「おぉ……! これはぁ───」
「千束ぉ! サボってないで……」
履き心地を堪能していれば無慈悲に開かれる扉。ミズキは見てしまう。トランクスを履いている千束の姿を。
「いや、あの、これは違ry」
『ギャァァァァアァ!!!! ハレンチィィい!!』
「うお、なんだ!?」
突如店内響く絶叫。肩を震わせて律刃は持っていた包丁を危うく落としそうになったが、床に落ちる寸前に下駄の先端で上手くで蹴りあげてキャッチ。
訝しげに覗き込めば。
「うわぁ! 違う、違う、違う! ねぇ、あぁぁぁあ!!」
「こんのガキィ! 律刃と遂にやりやがったなぁ!? 私への当てつけかぁ!!?」
「ちゃうねん! これたきなのやねん!! ほら、たきなのやってー!!」
「え、あの……」
ミズキに羽交い締めにされ、何故か関西弁になった千束がたきなに指を指し、突然名指しされ困惑してるたきなのカオスな光景が。
そして、メガネを煌めかせたきなに詰め寄るミズキ。有無を言わせずそのスカートを捲りあげたではないか。
「ブッ!?」
「可愛いじゃねぇか」
「いや、だからそれ昨日買ったの……え? あ、ちょちょい何処に!?」
顔を真っ赤にしていくたきなの横をとおりすぎ、店内に出ていくミズキと追いかける千束。
「み、見ました……?」
「
「黒……」
「いや、白かったんじゃ? ……あ」
「やっぱり見たんじゃないですかァ!!」
「いや、あれは不可抗力ってやつで……ほんっっっとにすんません!!」
即座にDO☆GE☆ZAを敢行。完璧にとばっちりだが男は女性のパンツを見たら悪いのは完全に男である。悲しいね……
「みなさぁ〜ん! このお店に裏切り者の嘘つき野郎がいますわよォ〜!」
「うわぁー!! やめろやめろやめろォ!!」
「ほらぁ〜、いらっしゃっせ〜!」
「うぎゃあー!!!?」
ミズキを止めようと飛びかかる千束であったが、ひらりと交わして逆に捕まえればスカートを捲って中身を見せびらかす。
クルミにミズキが扇風機を持ってくるよう指示すれば、律儀にもってきたソレで千束のスカートをはためかせはじめたでなないか。
「ほい、これたきなの団扇」
「え? ええ?」
「何してんだお前ら……」
すると、回復したたきなと律刃が出てくればクルミは手に持った団扇を手渡し、渡れさたたきなは困惑を隠せずに手元と目の前の光景を行ったり来たりさせる。
「見てないでたーすーけーてー!!」
「……フフッ。アハハハハッ!」
だが、段々と面白くなってきたのか腹を抱えてたきなはわらいだす。律刃も釣られ、笑いだした。
「ハハハハッ! あほくせ!!」
〇
「いてて、ちっきしょー。まーた俺だけ残ったのかよ」
路地裏、ボロボロなコート姿の男はゆっくりと立ち上がりながら悪態を着く。
「よぉ、手酷くやられてみたいだな」
「おー、お前か。ったく、どこいってたんだァ? おかげでこのザマだ」
「ハッ、おかげでいいもん見られただろ?」
「ハハハッ。たしかにな。アイツらが日本のバランスを狂わせてる奴らか。面白い」
その男に声をかけるフードをかぶり、顔を隠した男。そいつの言葉に笑いながら緑色のくせ毛は自分の手にもったスマホへと視線を落とした。
「あ? 事故、事故、事故……なんだこれ?」
『リコリスの存在は情報統制されるのさ』
突然聞こえてくる声、くせ毛は周囲を見渡せばフードが手元をゆびさす。
「あんだテメェ?」
『お前が"真島"だな? 僕はロボ太! お前を手助けする世界一のハッカーだ。リコリスを倒すには僕のような頭の良い奴が必要だ。僕の頭脳とお前の力を───ブツリ』
「最後まで聞かなくてよかったのか?」
「必要ねぇさ。結局、嘘をつけねぇほどもっとすげぇことをすりゃいいのさ。だろう? "フェイカー"」
くせ毛、真島は不敵に笑い己の共犯者を見る。フード、フェイカーはその口元を歪ませフードの奥にある青みがかった紫色の瞳を爛々と輝かせ、静かに頷くのだった。
そして、二人の背には半ばからへし折れて電波塔の姿が朝日に照らされていた。
律刃
昔にはなんにでもタバスコやデスソースをぶちまけていたが、リリベルはDAと違って食事は栄養を摂る作業のようなものだったので、味はほぼ考えてない豚の餌のようなものだったから仕方ないのである。ただし今は千束の胃袋を掴んでる模様。どうでもいい事だが好きな子は肥やすタイプ
千束
昔に律刃のデスソースぶちまけに被害にあった可哀想な奴。なお現在は胃袋を掴まれてる模様。今日の晩御飯は夏野菜たっぷりのカレー
たきな
律刃の所業にドン引きした子。好きなふりかけはのりたま(捏造)。リコリコで出される律刃のまかないにココ最近胃袋を掴まれかけている。