リコリス・リコイル 竜胆の花は彼岸の花に何を見る?   作:タロ芋

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オリ話ですねー。
アニメでも2人が祭りを楽しむお話欲しかったけど、無かったので描いたので初投稿です。



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「今日はやけに賑やかですね」

 

 茹だるような陽の光が降り注ぐ日、たきながクーラーの効いた店内で浴衣姿の客たちを見ながら零す。

 

「そういば今日は祭りの日だったね」

 

 たきなの言葉に千束は思い出したようにカレンダー見る。

 

「祭りですか?」

 

「ほら、コレ見てみ」

 

 そう言い、千束の方を見るたきな。頷き、カウンターの裏にあったチラシを手に取って彼女へと見せる。

 

「……知りませんでした」

 

「まぁ、それもそっか。……よし。律刃〜!」

 

「なんだ〜?」

 

「ちょい、こっちきて」

 

「?」

 

 何を思ったか、千束は裏にいた律刃を呼ぶ。ひょっこりと顔を出してこちらを見る彼に手招きし、首を傾げながらこちらへやってきた。

 

「良し、デートしようぜ!!」

 

「「何故に?」」

 

「お祭りだから!」

 

「いや、それはわかるけど何故に俺も? たきなと2人で遊んでこいよ」

 

「……別に私も行きたいとは言ってませんよ?」

 

 2人して言えば、千束は唇をとがされ子供のように駄々を捏ね始める。

 

「ブーブー! 別にいいんじゃんかよー! それとも私と一緒じゃいや?」

 

「いや、別にこういうわけじゃ……」

 

「……別に嫌じゃないですけど」

 

「じゃいいよね! 決まり!!」

 

 上目遣いで言われ、思わずたじろぐ律刃とたきな。そうなってしまっては話のペースは千束のものとなり、即座に参加は決定され、千束は店の裏へと言ってしまう。

 

「「……はぁ」」

 

 2人は目を見合せ、肩を落とすのであった。

 

 

 〇

 

『たきなが来てからの初めての祭りだ。せっかくなんだしいってくるといい。どうせ客はあまり来ないからな』

 

 と、ミカからの有難いお言葉を貰い3人は外へ出ることになった。ミズキは。

 

『ひとついいこと教えたげる。祭りの魔力に女は勝てないのよ……』

 

 と、荒んだ目で言われ留守番に。クルミは。

 

『こんな暑い日に僕を外に連れ出すなんて殺す気か?』

 

 と、こちらの正気を疑う目で言ってきた。尚、屋台飯は食べたいのか食べたいものリストを書いて渡してきた。

 

「お待た〜」

 

「お待たせしました」

 

「おう、ようやっと来たか。……ふーむ」

 

 カウンターで待っていれば、浴衣に着替えた千束とたきなが出てきた。

 千束は赤を基調に錦木の模様の入った浴衣。たきなは青を基調としたギボウシの模様の浴衣で、下ろしていた髪をポニーテールにしていた。

 律刃は2人を見て、神妙な顔となれば千束がポージングをとりながら口を開く。

 

「お、なになに〜。浴衣姿の私に目を奪われちゃったー?」

 

 律刃は至って真面目な顔で答える。

 

「いや、お前浴衣の着付け出来たんだなって」

 

「張り倒すぞこんにゃろー!」

 

「ハハハ、悪い悪い。似合ってるよ。可愛い可愛い」

 

「なんか納得できないけど、よし! たきなもどーよ」

 

「……どう、でしょうか?」

 

「お、ポニーテールにしたのか。浴衣も似合ってるぜ」

 

「あ、ありがとうございます。えっと、律刃さんも浴衣なんですね」

 

「流石に夏用っていってもスーツは暑苦しいからな」

 

 瞳と同じ青みがかった紫色の浴衣に竜胆の模様の浴衣の袖を揺らし、律刃は笑う。

 

「よーし、着替えたことだししゅっぱーつ!」

 

「お祭りってどんな感じでしょうか」

 

「どんちゃん騒ぐことだと思えばいいさ」

 

 律刃はケラケラと笑い、千束が先導してリコリコを出るのだった。

 

 

 

「すごい人と熱気ですね」

 

「毎年毎年よく集まるもんだ」

 

「それだけ楽しんでる人がいるってことだよ!」

 

 道行く人たちを見てたきなが圧倒されたように呟けば、律刃は呆れながら言い、千束は楽しそうに笑顔をうかべる。

 

「こうも人が多いと暴力沙汰や事故などおきかねないのでは?」

 

「ていッ」

 

「痛ッ」

 

 たきなの言ったことに千束はかるくチョップをかます。突然のことにたきなが千束を見やると、腰に手を当てて千束は言い放つ。

 

「たきな! 今は仕事より楽しむことを考える! OK!?」

 

「えっと……わかり、ました」

 

「よし! ということで律刃! 食べ歩きだー!」

 

「へいへい。たきなは何食べたい?」

 

「そう、ですね……じゃあ、あの雲みたいなものがいいです」

 

 たきなはそう言い、わたあめの屋台を指さす。

 

「わたあめな。りょーかい」

 

「おー! わたあめかー。やっぱりお祭りと言ったらわたあめだよねー」

 

 たきなの手を引っ張り、屋台に向かって注文する。

 

「おじさん! わたあめ3つ頂戴!」

 

「はいよ、わたあめ3つね」

 

 屋台のおっちゃんからわたあめを貰い、代金は律刃が支払う。千束からわたあめを受けとり、たきなは1口齧る。

 

「……甘い」

 

 口に含んだ瞬間、優しい甘さが口に広がる。たきなは目を丸くして小さく微笑んだ。

 その様子を見て2人は頷き、笑う。

 

「よーし、じゃあたきなのために食べ歩くぞ〜! 律刃の奢りで!」

 

「しょうがねぇなぁ〜」

 

 可愛い後輩のためなのだ。己の財布が軽くなる程度、安いものだ。

 千束はたきなの手を取り、色んな屋台を回る。ベビーカステラや焼きそば、唐揚げにケバブ。りんご飴にたきなが驚いていたりもした。

 

「律刃さん、さすがにそれは盛りすぎでは? もう赤しか見えないのですが……」

 

「ばっかお前、辛くなきゃ美味くないだろ?」

 

「えぇ……」

 

 律刃の辛党ぶりを目の前にしてドン引きしたり。

 

「これ銃身曲がってない!? 全然当たんないんだけど!!」

 

「もう5000円使ってんのにひとつも落ちないってぼってるだろ?」

 

「よし」

 

「お、お嬢ちゃん上手いね〜!」

 

「「ずるい!!」」

 

 千束と律刃がたきなの射的の上手さに嫉妬したり。

 

「よし出来たァ!」

 

「…………パキッ……あ!」

 

「うわっ……パキッ……のお!?」

 

「「……」」

 

「えっと、その、ごめんね?」

 

 型抜きで千束が叫び、それにより手元が狂い失敗してジト目で見れば申し訳なさそうに千束が謝る。

 

「いやー、遊んだ遊んだ!」

 

「律刃さんが輪投げで景品全て乱獲していた時はさすがに大人気ないような気がしましたが……」

 

「祭りなんだからいーんだよ。射的じゃぼろ負けしたからな」

 

「屋台のおじさん涙目だったのは少し笑っちゃったねー」

 

 3人の手には屋台で手に入れた景品の入った袋が沢山あり、笑いながら道を歩く。

 他愛のない会話をしていれば。

 

「……綺麗」

 

「そういや花火大会もあるんだったなー」

 

「忘れてた!」

 

 空高く咲き誇る色とりどりの満開の花。赤だったり緑だったりの極彩色。

 

「…………人が多くてよく見えない〜!」

 

 なのだが、通行人たちが壁となって背の低いたきなと千束はよく見えないのだ。どうにか背伸びをして見ようとしても、ギリギリ視線が届かない。

 律刃は2人のその様子を見て、かすかに笑えば荷物を足元におろして2人をかるやかに持ち上げまる。

 

「よっこいしょっと!」

 

「うわわっと!」

 

「きゃっ!」

 

「もー、いきなり何すんのさ!」

 

「ははは、こうすりゃよく見えるだろ?」

 

「そうだけどさぁ。事前に、一声かけてよねー」

 

「悪い悪い。それで、たきな。どうだ、見えてるか?」

 

「はい。とってもよく見えてます。とっても、とても綺麗です……!」

 

 目を輝かせ、空に広がる花を見つめ興奮しながらたきなは言う。年相応にはしゃぐ姿を見て律刃は微笑み、同じように空を見上げる。

 

「……来年もまた来れますかね」

 

「……来れるよきっと」

 

「……あぁ。今度はきちんと場所取りしてな」

 

 ビルの明かりにすら負けない輝きを見つめ、3人は笑い合う。

 いつまでも続けばいい。そんなことを思いながら。




律刃
見事に財布がスッカラカンになったけど、ふたりが楽しめたのでOK。輪投げみたいな体を使う屋台を荒らし回った。屋台のおじさんを泣かした。

千束
律刃の財布をすっからかんにした。たきなが喜んでくれたので嬉しい。金魚すくいで1匹も取れなかった。千束が泣いた。

たきな
初めてのお祭りで楽しかった。来年も行きたいと思った。
射的で景品を全て回収した。屋台のおじさんは泣いた。
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