リコリス・リコイル 竜胆の花は彼岸の花に何を見る?   作:タロ芋

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アニメ本編が凄いですね。一体どうなるのか気になって夜しか寝れません。てな感じで初投稿です。
短めです。

評価をつける際に一言欄をなしにしていたのですが、無言低評価が割とメンタルに来るので今回の話か機能をオンにさせてもらいましたことをご理解お願い致します。てなわけで本編どうぞ


15

「ハァ、ハァ……ッグゥ……!」

 

 薄暗い路地裏を走る。逃げなければ。逃げて逃げてとにかく逃げなければ。

 

「クソッ、クソッ、クソッ、クソッ! なんなんだよアイツ!!」

 

 少女は走るのは辞めず、悪態をつく。少女はリコリスだ。いつものように悪人を極秘裏に処理をする簡単な任務のはずだった。

 だが、今はベージュ色の白い制服と肌のあちこちに切り傷や擦り傷で薄汚れ、極めつけには脇腹にある大きな裂傷だ。

 手で押えてはいるが、指と指の隙間からは血液が零れていき、足元には点々と血の跡を作っている。

 

「おいおいおい、そんなに愉快にケツ振って誘ってんのかぁ〜?」

 

「クソッ、もう追いついてきた……!」

 

 背後から聞こえてくる声。忌々しい雑音にリコリスは顔を恐怖にゆがめ、どうにかして歩き出す。しかし──

 

「はい、残念」

 

「なっ……アグッ!?」

 

 鈍い音。そして体内から聞こえてくる何かの折れる音と吹き飛んでいき、路地裏に放置されていた段ボールやゴミ箱を巻き込んでボールのように汚い地面を転がっていくリコリス。

 

「ゴボッ、ゲホッ…………!!」

 

 喉奥からせり上がってくるモノを吐き出し、リコリスは自分をこうした存在を地べたに這いつくばりながら睨みつける。

 

「おーおー、死にかけてんのにいい目付きだァ」

 

 男は目深に被るフードのせいで顔は見えないが、僅かに見える口元は加虐的な感情に歪み、耳元まで裂けているかのような錯覚を覚えた。

 

「この、クソ野郎……」

 

「おいおい、人聞き悪ぃなぁ。俺の方が殺されかけてんのにセートーボーエーってやつだよ。分かる? 分かんねぇか!」

 

 ゲタゲタと笑い、男はユラリと手に持ったソレを空高く掲げる。

 ソレは斧だった。斧と言っても、木こりやキャンプに使われるような手頃なサイズのものでは無い。柄の部分で男の身長近くまであり、加えて斧頭部分も刃は肉厚で如何にも重そうだ。

 その戦斧を男は断頭台のごとく、緩やかに宙へと掲げ鈍い輝きが刃を照らす。

 

「んじゃ、相方がいうにはバランスのためだから死んでくれや」

 

 路地裏に風が吹く。

 

「な──────」

 

 フードが外れ、顕になった男の顔を見てリコリスは絶句した。

 

「何で、貴方(・・)がッ…………!!?」

 

「──────」

 

 

 ザンッ

 

 

 男、フェイカーはその瞳に苛立ちの色を滲ませ斧に付着した血糊を払う。

 

「チッ、人違いだっての」

 

 外れたフードを被り直し、フェイカーは足元に転がるソレを跨いで路地の奥へと進む。

 

「待っていろリッパー。貴様を殺し、俺が贋作(フェイカー)などという烙印を間違いであると証明してやる」

 

 もう一度風が舞えば、そこには何もおらず空虚な風の音だけが響くだけだった。

 

 〇

 

 

『え、リコリスが?』

 

「ええ。5人のうち4人が単独任務中に複数人で襲われた模様です』

 

『最後の1人は?』

 

「単独犯だそうです。死因はなにか大きな刃物による斬首……とのことです」

 

『うへぇ、悪趣味……。なんで特定されてんだー?』

 

「わかりません。例のラジアータのハッキングと関連があるのかも……。ああ、あと───」

 

 たきなは通話中のスマホを片手に道を歩く。もう片方の手には生活品の入ったキャリーケースが握られていた。

 

 ───しばらく単独行動は控えなさいよ。それと、今月の健診、昨日よ──

 

「と、担当の山岸先生が」

 

『あー……そうだった』

 

「行かなかったんですね……。律刃さんは何も言わなかったのですか?」

 

『いやー、だってぇ……律刃に行ったって嘘ついてお菓子食べまくってたなんて言えないし

 

「何か言いました?」

 

『いや、なにもー!?』

 

「? まぁ、とにかく。早速、今日から常にペアで行動しようと思います」

 

『? いや、ペアって毎日お店で一緒じゃ……』

 

 インターホンを鳴らし、しばらくして扉が開かれる。するとそこには、サイズのあっていないシャツを羽織りスマホを耳に当てて呆気に取られた様子の千束がいた。

 

「夜は交代で睡眠をとりましょう」

 

「へ?」

 

「安全が確保されるまで、24時間一緒にいます!」

 

「うちに泊まんの〜!?」

 

 心底嬉しそうにいう千束なのであった。

 

 

「……プロの部屋だ」

 

 とりあえず室内にあがり、内装を見たたきなはそんな感想を漏らす。私物どころか家具ひとつない部屋は、映画などで見る正しく仕事人の部屋。

 と思ったのだが、

 

「あ、そっちじゃないよ〜。こっち〜」

 

 千束はそういい、部屋の奥へ進んで壁紙を押すと、忍者屋敷のようにその壁が回転して下へと続く小部屋が現れる。

 

「え、えぇ〜……」

 

 想像の斜め上を行った出来事に言葉を失うたきなだが、直ぐに持ち直してハシゴをおりていく千束に続きてハシゴをおり、先に進めば先程の部屋とはうって違う非常に生活感溢れる空間が拡がっていた。具体的には机の上にある大量のお菓子やアイスの空箱が。

 

「その辺座って〜。アイスコーヒーで良いでしょ? そういえば足の怪我平気?」

 

「ええ……」

 

「よかったー」

 

「なんなんですかコレ(・・)

 

「長く仕事してると色々あるのよ〜。これはセーフハウス1号! 他に4つあるんだ〜」

 

「……セーフハウス?」

 

「そ!」

 

 たきなはぐるりと見渡す。すると、壁にかけて合ったソレに気づく。ゴワゴワとした毛皮、つぶらな瞳、鋭い歯、丸い耳の今にも動き出しそうなクマの頭の剥製が。

 

「……クマの剥製ホントにあるんだ」

 

 以前律刃の言っていた(具体的には第4話)クマの剥製がそこにはあった。そこまで思って、違和感を覚える。

 確か、彼はこういっていた筈だ。

 

俺の家(・・・)にクマの頭の剥製あるし』

 

 そう、そうだ。彼は自分の家にあると言っていたのだ。それが何故、千束の部屋に────

 

「おい千束、勝手に俺のシャツ着るなって言ってんだろ!」

 

 そんな怒声とともに、恐らく脱衣所らしき場所に続く扉が開かれ、下半身にタオルを巻き惜しげも無く裸体を晒す律刃が出てきた。

 

「なっ……!?」

 

 髪の毛は湿っており、ついさっきまでシャワーを浴びていたのだろう律刃はその顔を憤怒に染めており、千束を探すために部屋の中を見渡していれば、ようやく異変に気がついた。

 

「……あれ、何でたきながいんだ?」

 

「ほぁあ……」

 

 大事な部分はタオルで隠れてはいる。隠れてはいるのだが、それ以外の部分がモロだしである。具体的には首筋から肩にかけてのライン。鎖骨の形。引き締まった体躯。水滴に濡れる胸筋。見事に割れたシックスパック!! 

 前に千束はたきなに言っていた。

 

『律刃はね。脱ぐとすっごいぞ〜……』

 

 たしかに凄い。言葉では言い表せないほど、なんというかこう、凄い。

 筋肉がついていることは知っていた。というか何度か抱き抱えられた時に伝わる感触で理解はしていた。しかし、それは服越しであったのだ。改めてこの目で見て理解する。

 筋肉の付き方がテレビなとで出てくるボディビルダーのような魅せる筋肉ではなく、どこまでも動きやすく、しなやかに、強靭に、細く、高密度な戦闘に特化した筋肉なのだ。

 何だこの芸術作品のような肉体は。けしからんぞコノヤロウ。

 

「あの、たきなさん?」

 

「ふむ……なるほど」

 

「いや、なにが……?」

 

 胸筋は割と弾力があるらしい。腹筋はカチカチであった。

 まるで品評家が作品を見るかの如く、たきなは目の前の芸術(律刃の肉体)を観察を続ける。

 

「何してんの律刃さん……」

 

「それは俺が聞きたい……」

 

 なにか奇妙なものを見るかのような千束と、困惑を隠せない律刃、気づかないで1人筋肉を見るたきなというカオスな光景が出来上がっていた。




律刃
脱いだら凄いやつ。細マッチョ

千束
律刃のシャツを勝手に着ていた。彼シャツと言ってはいけない。律刃が脱いだらすごいのを知っている。

たきな
筋肉(マッスル)ってすごい・・・・。でもなんで千束と一緒に律刃さんが?オマケになぜシャワーを?疑問が尽きない様子。
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