リコリス・リコイル 竜胆の花は彼岸の花に何を見る?   作:タロ芋

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台風が凄いらしいですね。自分の住んでるところは台風のせいで温度がえぐいかんじになっててきついです。となりながらの初投稿です。
すぐ消えましたが、またランキングに乗りました〜。今度は20位でしたよやりました。感想や評価、誤字脱字ご報告ありがとうございます。励みになります。
てなわけで本編どうぞ。真島たちとドンパチやり合うのは次だと思います。


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「なるほど。そんな事がなぁ……」

 

 半裸から『万夫不当』というプリントのされたシャツに下は短パンという簡素な服に着替え、律刃は椅子に座れば珈琲を啜りながら呟く。

 

「ええ。安全が確認されるまでは千束とペアで寝食を共にすることになりました」

 

 彼と対面する形で椅子に座るたきなはそんな言葉に頷いた。その手元にはアイスコーヒーとお茶菓子として出されたクッキーが。

 

「ヒィン〜……」

 

 そして、すぐそばに頭に大きなたんこぶを作り首から『私は律刃に嘘ついて検診に行かなかった悪い子です』という看板を下げ、床に正座させられている半泣きの千束。

 

 そんな千束をなんとも言えない目で見ながらも、たきなは疑問に思っていたことを聞くことする。

 

「ところで、なぜ律刃さんが千束の家に?」

 

「言ってなかったか? 俺とコイツ、同棲してんだよ」

 

「どう、せい…………?」

 

 たきなは思う。同棲とはつまりあれか? ひとつ屋根の下男女が過ごしてるという。ふむ、つまり……

 

「おふたりはそういう関係と……?」

 

「「え?」」

 

 ハモる2人。たきなの言ったことが飲み込めず、首を傾げてその意味を考えて生き漸く合点がいったのか、ほぼ同時に2人は顔を朱に染めて叫ぶ。

 

「ちゃ、ちゃちゃ……ちゃうわ! どうやったらこいつとそんな関係に至るんだよ!?」

 

「そうだよ! なんでそう考えたのかなたきな!? 別にまだそこまでいってからね! せいぜい一夜を共にしたくらいで……」

 

「え、したんですか?」

 

「このおバカ!」

 

「あいたぁ! 叩かなくてもいいじゃん!? というか、本当のことでしょ!? あと、変な意味じゃないし!!」

 

「本当のことだとしても言い方があるでしょうが! ……いや、そもそも変な意味はなくてもどうなんだ?」

 

「ちょっと、急に冷静になるのやめてくんない!?」

 

 たきなは神妙な顔つきで考え込む律刃に突っ込む千束の2人を見ながら、持ってきた荷物の荷解きを始める。

 

「ちょ、ほんと違うんだってたきな! ねぇ律刃も何か言ってよ!」

 

「ちょっと待て、今色々と考えてるから……」

 

「もぉぉお!! 肝心な時に役立たないんだけどぉ!」

 

 千束は頭を抱えはじめ、混沌とした室内でたきなは平和だなーと思うのだった。

 

 

「共同生活を送る上で、公平な家事分担を行います」

 

「つまんなーい。というか律刃のが見えないよー?」

 

「つ、つまらない……? ンンッ、律刃さんは以前の仕事で片手を負傷したままですからね。悪化してはいけません」

 

「ハハハ、悪いな。医者からは暫く安静にしとけって言われたんだわ」

 

「本来なら入院していてもおかしくない大怪我のはずなのですがね」

 

 前回の護衛依頼で律刃はたきなを庇って脇腹と手首を負傷した。脇腹の傷はかなり深いところまで行っているのだが、優れた身体機能に負けず劣らずの治癒能力で普通に過ごす分くらいには回復はしている。

 問題なのは左手首の方で、どうやら捻った時に洒落にならないダメージが筋に与えられたので、激しい動きをしたら使い物にならなくなると医師からきつく言われているのだ。

 

「まぁ、あと数日もすりゃ治るから問題ねぇよ」

 

「ならいいけどさぁ。……やっぱりコレつまんないよー」

 

 一日おきに交代する家事分担のスケジュール。ブーたれるズボラな千束と違い、しっかり者のたきなからしたら困ってしまう。

 

 ちなみに、いつもは炊事洗濯掃除は基本的に律刃が行ってたりするのはどうでもいい事だろう。

 

「むぅ……では、じゃんけんとかが、いいですか?」

 

「いいねぇ……それいいね、じゃんけん!」

 

「いや、たきな千束相手にそれはあくry「はーい、おくちちゃくー」ムグッ!?」

 

 余計なことを言いそうになった律刃の口に皿に盛られていた大量のクッキーをねじ込み黙らせる。

 律刃は恨めしげに見ながらも、口の中のクッキーを処理することに専念しはじめた。

 たきなはそれに首を傾げるが、特に問題ないと思って手を構えて千束と向き合う。

 

「? それでは行きますよ」

 

「よーし、やるよー!」

 

「「さいしょはグー! じゃんけん────」」

 

 

 

「なん……ですって…………」

 

 スケジュールにかかれたたきなの名前。その中にはひとつも千束の名はなく、物の見事に全敗したことを物語っていた。

 たきなの背中はなんとも哀愁が漂っており、漸くクッキーを食べ終えた律刃は乾いた口内を珈琲で湿らせながらほら見た事か、と千束に突っ込む。

 

「少しは手心ってもんがないのか?」

 

「フッ、勝負というのは弱肉強食なのだよ律刃くぅん」

 

 少なくともズルするのは反則ではなかろうか? 律刃はそう思いながら最後のクッキーを食べる千束をジト目で見た。

 

 

 

 

「おはよう、労働者諸君!」

 

「はよーっす」

 

「おはようございます」

 

 リコリコの扉を開き、千束、律刃、たきなの順で中へと入る。

 

「聞いたよ〜。偉いことになってるわねー」

 

「あー、私らDAじゃないから大丈夫だよ」

 

「可能性はゼロじゃありません」

 

「だな。石橋は叩いて渡れとも言うし警戒するに越したことはねぇさ」

 

 千束のお気楽な言葉に2人が咎め、千束が更衣室に入ろうとしたところでミカが誰かと連絡をとっていることに気がついた。

 

「次の被害を防ぐためにはなると思うが……。ああ、そうか。わかった」

 

「楠木さん?」

 

「司令は情報をくれそうですか?」

 

「極秘だとさ」

 

「相変わらずDA様は秘密が多いことで……」

 

「情報の共有は大事だってのにアホか。それで不備があったら世話ねぇな」

 

 ミカが肩を竦めてスマホを懐に仕舞えば、その困った顔を見て千束と律刃の2人はDAの頭の硬さに呆れを隠そうともしない。

 その会話を聞いていたクルミは座敷で寛ぎながらいれば。

 

「勝手に覗いちゃうからっ、よ〜」

 

 そう言い、PCのある押し入れへゴロゴロと転がっていくのだった。

 

 

 

 

「……うーむ、やることねぇな」

 

 手首を負傷しており、厨房の仕事ができない律刃は手持ち無沙汰になっていた。

 仕方なく接客をやろうとしたのだが、

 

『律刃さんは怪我人なんですからゆっくりしていてください』

 

『これくらいなら問題ない。今日くらいのんびりしておくといい』

 

『あー、別にいいわよ。あんた無理するなって医者に言われてんでしょ?』

 

 物の見事に言われてしまい、律刃は裏に回り掃除をしていた。していたのだが、常日頃から清潔に保っているのですぐに掃除は終えてしまいやることが無くなってしまった。

 

「ありゃ、律刃暇そうだね〜」

 

「千束か。そうなんだよやることねぇんだよなー」

 

「ならゲームしよう! クルミも暇してたし」

 

「……そういやクルミに連敗中だったな」

 

「リベンジ、いっちゃう?」

 

「いっちまうか」

 

「「よし、やろう」」

 

 サムズアップする2人。ということで同盟を組んで打倒クルミを行うこととなった。なったのだが。

 

「ほい、じゃあこれもーらい」

 

「あぁ! そのタイル持ってくなよー」

 

「あっれぇ? 気がついたら持ちタイルがゴミなのしかねぇぞ……」

 

 割と劣勢になっていた。おかしいな。序盤は優勢だったのに……

 

「調査するんじゃなかったのアンタら? 律刃はともかくとして……」

 

「情報をダウンロードして後でゆっくり調べるんだよ」

 

 ミズキがそのように言えば、クルミの発言に頬を引き攣らせる。

 

「アンタ、DAをハッキングしてんの……!?」

 

「流石はクルミさん、やばいねぇ?」

 

「ついでに楠木の突っ込まれたらやべー情報も抜いちまえ。いざって時に脅してやろう」

 

「お、いいねそれ〜」

 

「ふっ、ちょろいね」

 

 あくどい笑みを浮かべる律刃。あの憎たらしい奴には一泡吹かせるのに千束は同意する。

 

「ハグッ、ハグッ!! たきなおかわり〜!」

 

「……むぅ」

 

 すると、餡蜜を口の中へとかき込んだクルミがたまたま廊下を通りかかったたきなにオカワリを要求したのだった。

 

「あ、そういや千束、たきな。仕事終わったら買い物付き合ってくれ」

 

「はい律刃せんせー! お菓子はどれくらいまでいいですか?」

 

「1000円までな」

 

「やたー!」

 

「買い物ですか?」

 

「おう。お買い物」

 

 首を傾げるたきなに律刃は言い、手元に置いていた羊羹を頬張った。

 

 

 〇

 

 

「悪いな、冷蔵庫の中身が少なかったんだ」

 

「律刃沢山食べるもんね〜」

 

「そういう事でしたか」

 

 スーパーの中を歩く3人。律刃の説明にたきなは合点がいき、千束は笑う。

 元々大食漢の律刃の為に大量に食料などを買い込んではいたのだが、ココ最近のゴタゴタにたきなが泊まりに来たことも含めて暫く過ごすには貯蓄していた食料が心許なかった。そのため、他の日用品含めて補充のためこうしてスーパーへと足を運んできた。

 

「では律刃さん、何を買うのでしょうか?」

 

「そうだな。今日は特売日だから肉類と野菜、魚は確保だな。あと卵も安い。おひとり様2つまでだからたきな含めて6個は手に入るぞ。

 他には洗剤とかトイレットペーパーもだ」

 

 細かいのはチラシに丸つけてるからそれを見てくれ、律刃に渡されたチラシをたきなが受け取り目を通す。

 

「……かなりの量ですね」

 

「いつもなら俺一人でも良かったんだがこの通り左手は使えねぇからな。んで、ちょうどいい所にってわけだ」

 

「なるほど。そういうわけでしたか」

 

「フッ、私を荷物持ちに使うたぁ高くつくぜ?」

 

「そのためにお菓子は1000円までOKしただろ」

 

 千束のセリフに律刃は肩をすくめる。

 

「あぁ、たきな。千束が余計なもん入れようとしたら容赦なく引っぱたいていいからな」

 

「ちゃんと予算内に納めますぅ!」

 

「そういってこの前千円以上オーバーしてただろおバカ」

 

「ブー! 贔屓だ贔屓〜!」

 

「贔屓じゃありません〜。普段の信用の差です〜!」

 

 まるで駄々をこねる子供のような千束に、父親のように怒る律刃の姿は完全に親子その物である。たきなが呆れたのも無理はなかった。

 

 

 

「律刃さん、お肉確保しました」

 

「おう、ありがとう」

 

「律刃さん、次は鮭の切り身です」

 

「了解」

 

「律刃さん、玉ねぎはこれでいいですか?」

 

「……ああ。確かにこれの方がぎっしり詰まってるな。たきな、目利きの才能あるじゃないか」

 

「恐縮です」

 

「…………」

 

 次々と食材をカートの中に入れていく律刃とたきな。その様を静かに見ていた千束はそろりと姿を消せば、どこからともなく回収してきたお菓子の袋をそーっとカートに入れようとして。

 

「千束」

 

「……なぬ!?」

 

 後ろに目をついてるかのように千束を察知した律刃が窘める。千束は即座に撤退していき、今度は別のものをカートに入れようとすれば。

 

「千束、予算オーバーです」

 

「た、たきな!?」

 

 たきなが割って入り、千束は手に持ったアイス(ガリ〇リ君コーラ味&ソーダ味)とシュークリームを回収してしまう。

 

「ならばこれこそ……!」

 

「千束、ダメだぞ?」

 

「でも律刃、これ新しい玩具着いてくるよ?」

 

「…………仕方ないか」

 

「律刃さん!?」

 

「いや、だってたきな。この玩具の曲線がいいんだよ曲線が……」

 

「経費で玩具を買おうとしないでください!」

 

「「そんな殺生な、たきなママ!」」

 

「誰がママですか!」

 

 勝手に買おうとする律刃と千束を窘めるたきな。その姿は完全に妻に尻に敷かれる夫に見えたのは気のせいではないだろう。

 

 

 

「律刃さん、味見をお願いできますか?」

 

「おう、構わねぇよ…………んー、ちょっと味付けが薄いな。醤油を小さじ2杯ほど入れてみてくれ」

 

「分かりました。調味料はどこに?」

 

「右から二番目の棚だな。そう、そこ」

 

 たきなが晩御飯を作っている間、千束と共に映画を見ていた律刃は飲み物を取りにキッチンにくればたきなに味見を頼まれた。

 小皿を受けとり、アドバイスを行えば指示通りに料理に手を加えるたきなを見ながら律刃は冷蔵庫から瓶のコーラを取り出しせば、上部分を指で弾けば綺麗に吹き飛び、よく冷えたそれを飲む。

 

 そして、千束もキッチンの中へと来たのだが。

 

「……ねぇ、たきな」

 

「なんですか、千束」

 

「私も味見できるよ?」

 

「……千束は抽象的すぎて参考にならないんですよ」

 

 たきなが不服そうな千束と言えば、心外だとばかりに唇をとがらせる。

 

「うっそだぁ! 私のグルメっぷりをなめたらいけないよー?」

 

「……」

 

 たきなは無言で千束へ小皿を渡す。

 

「……ふむふむ、こうぶわーっとしてジューって感じだね!」

 

「律刃さん」

 

「砂糖を小さじ半分くらいいれてくれ」

 

「わかりました」

 

「あっれぇ?」

 

 千束の余りにも酷いボキャ貧にたきなはそっと千束に頼るのを辞めた。律刃は首を傾げる千束に呆れたように半分残ったコーラを一気に流し込んだ。

 

 その後もたきなに適宜アドバイスを行ったのだが、何故か不機嫌になる千束に律刃は訳が分からずたきなに助けを求めるのだが、それが余計に機嫌を損ねてしまったのはどうでもいい事だろう。

 

「「ご馳走様でした」」

 

「お粗末さまでした」

 

「いやー、食べた食べた! 律刃以外の人が作るご飯も久しぶりだな〜」

 

「他人が作る飯を食うのもたまにはいいな」

 

「……普段、律刃さんの作ってくれるものに比べたら烏滸がましい出来だと思いますが、喜んでくれたなら幸いです」

 

「ハハハ、謙遜するなって。充分美味かったよ。たきなは将来いい嫁さんになると思うぜ?」

 

「えっと、ありがとうございます」

 

 律刃の褒め言葉にたきなは頬を僅かに朱に染める。その様子に千束は再びご機嫌ナナメになってしまう。

 

「むー、私だって料理くらいできるし〜!」

 

「はいはい。なら、今度は千束も一緒にやりますか?」

 

「……やる!」

 

 ということで、今度は2人でご飯を作ることになる、

 たきなが食後の珈琲を持ってきたところで、千束のスマホにアラートが鳴り響くと同時、律刃は近くに立てかけていた軟質素材のバットを手に取る。

 

「おー、チンピラがまたきた。律刃〜」

 

「おう、準備できてるぞ〜」

 

「え? どうしたんですか……?」

 

 どっこらせ、と重たい腰を上げて立ち上がった2人にたきなが状況が呑み込めてない様子で尋ねる。

 

「「野暮用」」

 

 困惑する彼女に2人が言えば、上の部屋の隠し扉をゆっくりと開けて闖入者を伺った。

 

「おー、いるいる」

 

「数は2人か」

 

 何も無いダミーの部屋をうろつく2人のチンピラAB。確認した律刃は千束に問いかけた。

 

「どうする?」

 

「そうだねー。私は手前のやるから律刃は奥の宜しく♪」

 

「OK」

 

 顔を合わせて2人はニヤリと笑えば、

 

「うぎゃあぁぁぁあ!!」

 

「ヒィ!? 何だこの化け物!!」

 

「ほらほら、逃げないと死んじゃうぞ〜!」

 

「わるいごはいねが〜!」

 

 拳銃を持った千束が1人を追いかけ回し、もう1人をナマハゲのお面をつけた律刃がバットを振り回してチンピラたちのケツを引っぱたく。

 

「なんでナマハゲがいんだよ!? ──スパ-ン! ──いてぇ!!」

 

「そんなの知るか! コイツらいかれてる!! ──スパ-ン! ──ぉごぉ!?」

 

「律刃〜、そっち任せた〜」

 

「わるいごみっけたー!」

 

「!?」

 

 こっちにやってきたチンピラAの顔面にバットをフルスイング。いくらやわかい素材でも、人間離れした膂力で放たれれば面白いくらいに一回転をすれば後頭部から床に墜落した。

 更に、倒れたチンピラAの襟首を掴めば、窓辺にいたチンピラBに向けてチンピラAを投擲する。

 

「グハァ!!?」

 

 直撃したチンピラABは窓を突破って落下する。ちょうど落下地点にはゴミ捨て場があったのでゴミ袋がいいクッションとなってチンピラ2人を受け止めた。

 

「「…………」」

 

 ゴミ捨て場でもがいてるチンピラを無言で睨み付ければ、すっかり怯えきった連中はしっぽを巻いて逃げていく。

 

「フン!」

 

「アビャ!?」

 

 その背を見送りながら律刃は手に持ったバットを投げつける。綺麗に後頭部にクリーンヒットし汚い悲鳴を上げれば、鼻を鳴らして部屋へと戻る。

 

「また窓注文しなきゃ〜」

 

「ったく、タダじゃねぇんだぞ」

 

「……この為のセーフハウスでしたか」

 

 一連の流れを見ていたたきなに千束を肩を竦めて言う。

 

「ああいうチンピラならいいんだけどね〜。昔はリリベル(・・・・)も来てたから」

 

「フン、あんのクソどもまた来たら半殺しにゃ済まさねぇ」

 

「……リリベル?」

 

 千束のいった聞きなれない名前にたきなが首を傾げる。

 

「律刃ってばあの子たち来た時ガチギレしてたもんねー。古巣を1人で半壊させてきた時は笑ったよ」

 

「……え?」

 

 また新しい情報が来た。しかも割とデカめのやつが。

 

「あ、あの律刃さん。リリベルって? それに古巣って……?」

 

「ん、言ってなかった? 律刃ってリリベルなの。そしてリリベルっていうのは男の子版リコリスね」

 

「せ、説明を求めます律刃さん!!」

 

「おう!? わかったから落ち着けって! する! 説明するから!」

 

 すごい剣幕で寄ってきたたきなに律刃はたじろぎ、素直にゲロった。

 自分の経歴、10年前の電波塔事件、そこでDAと取引を行いリリベルを脱走しリコリコの預かりとなったことなど。ついでに10年間千束と同居生活を送ってることも。

 

「……私、何も聞いてませんでした。あと千束と律刃さん付き合ってないんですよね?」

 

「いや、悪かったな。てっきりミカさんから聞いてるもんだと。あとそういう関係じゃないから」

 

「ごめんって。いじけないでよたきな〜。あと付き合ってないし」

 

 本当かなぁ? 

 

「……ところで、リリベルというのは普段何をしているんですか?」

 

「え〜、詳しいことは私は知らないかなぁ。……もしかしてたきなってば男の子に興味あるの〜? 今朝みたいに律刃の裸ガン見してたし!」

 

「そういう事じゃないです」

 

 食い気味に否定するたきな。それと、あれは不可抗力である。

 

「とりあえず窓塞がねぇとな。ダンボールとガムテ持ってこないと」

 

「りょうかーい。とっとと塞いで映画見よう!」

 

「……そうしましょうか」

 

 律刃の一声で下へと向かう一同。その途中で律刃は立ち止まり、窓の外を見る。

 

「……誰が何のために襲撃したんだ?」

 

 リコリスである千束とたきなを狙っての犯行か。若しくは自分か。

 

「……どちらにせよ、叩き潰せばいいか」

 

「律刃〜、はやく降りてきなよ〜!」

 

「はいよー」

 

 考えを打ち切り、視線を窓から切れば律刃は下のセーフハウスへ降りていく。

 そして、彼らを監視するドローンには気づくことはないのだった。

 

 

 〇

 

 

「……なんだ、コイツら。…………これを見せれば真島の奴ら興味持たないか!?」

 

 とある一室、モニターに映る動画を見ているロボットの被り物をした少年ことロボ太が声を漏らす。

 

『おっじゃましま〜す!』

 

 

ドゴォ!! 

 

 

「ドワァ!!?」

 

 そんな軽快な声と共に扉が粉砕され、壁に巨大な戦斧が突き刺さる。

 

「よぉ、ハッカー。お仕事の具合はどうかなぁ?」

 

「もう3日経ったぞ〜?」

 

 残骸を踏み砕きながら室内に入ってくるのは、フードで顔を隠したフェイカーと緑のパーマの真島の2人であった。

 

「ど、どうしてここを!?」

 

「……そんで?」

 

「あ、いや、あの!?」

 

「そ、ん、で?」

 

「ま、待って! ちょ、待て!! うわ、何するんだ、やめて! 待ってくれリコリスが───」

 

 2人の後ろからガタイのいい2人が表れ、ロボ太を拘束する。

 そして、真島は拳銃を眉間に。フェイカーは壁から引き抜いた戦斧の刃を首筋へと当てた。

 

「捨て駒はどーでもいいんだよハッカー。わかる?」

 

「待って、待て! 見て欲しいものがあるんだ!!」

 

「他の奴らは死んでんだよ?」

 

「待て!! ほんとにすごい映像が!」

 

「バランスを取らなきゃなぁ!」

 

「ハハハ! ド派手に首、行っとくかぁ!?」

 

「頼む! ビデオ見て! お願いだ! うわぁぁあ!!!?」

 

 真島が引き金を引き、フェイカーが戦斧を振り被ろうとした直後。モニター一面に先程の動画がループ再生された。

 千束が発砲をしてチンピラを追いかけ回し、ナマハゲの仮面をつけた律刃がそのケツを引っぱたく動画が。

 

「あん?」

 

「おん?」

 

「こ、コイツがトップのリコリスだ! ケツを引っぱたいてるナマハゲは分からないが……とにかく! DAを襲撃するにはこいつらを殺しておかないとお前達は全滅させられるぞ!?」

 

「おいハッカー」

 

「な、なんだ!?」

 

「あのナマハゲの仮面の下、映ってる?」

 

「あ、あぁ……。この映像の続きにある」

 

「映せ」

 

「は、はぃ!!」

 

 フェイカーはロボ太に命令をすれば、拘束を振りほどいた彼は即座にPCを操作して録画の続きを流す。

 

「ハハハハハ!!!! 見つけた! 見つけた、みつけた、みつけた、見つけたァ!!! 

 またお前はそいつら(・・・・)といるのか!? どうせ守れないくせになぁ!! 滑稽だ! 実に滑稽じゃねぇか!!」

 

 ナマハゲの仮面を外した律刃の素顔を見た瞬間、フェイカーは狂ったように笑いだした。暫くの間、室内に笑い声が響く。

 

「ハハハハハハハハハハハハハ───────!!!!!」

 

 数分もの間笑い続けたフェイカーの笑い声が突然、ピタリと止まれば真島へと語りかけた。

 

「相棒」

 

「りょーかいっと」

 

 真島は銃をおろし、部下を引き連れ部屋の外へと向かい歩き出す。

 

「あ、お、おい!」

 

「明日、こいつらを倒しに行く。すぐに作戦を考えろ」

 

 ロボ太に向けていい放てば、真島たちは部屋を後にした。

 

「……ど、どういうことなの?」

 

 彼らを見送り、1人床に座り込んだロボ太は呆然と呟いたのだった。

 

 

 

 〇

 

 

「…………おかしくないですか、その体勢?」

 

「「そう(か)?」」

 

 順に風呂を終えれば、映画鑑賞会を行っていた時にふと、たきなが零す。

 たきなの視線の先には座椅子の上で胡座をかく律刃と、その膝の間に座り、ジュースを飲む千束の2人がいた。

 

「ええ」

 

 首を傾げる2人にたきなは頷く。寧ろおかしく思わないのだろうか? 

 

「……いつもこんな感じだよね?」

 

「そうだな」

 

 どうやら日常的にしていることらしい。

 

「(……これで付き合ってないって言ってるんですから世の中不思議ですね)」

 

 とりあえず言えることは、もしこの光景をミズキが見たら血涙を流して怨嗟の叫びをあげるのは間違いないだろう。

 たきなはそう思い、1人コーラを飲むのだった。よく冷えたコーラはとても美味しかったとだけ言っておく。




律刃
百合と百合の間に挟まる大罪人。そのうち罰が下される。
映画を見る時は千束が膝の間に座ってくる。付き合ってない

千束
たきなとお泊まり出来てテンション上がってる子。映画を見る時は律刃の膝の間が定位置。付き合ってない

たきな
お泊まりを実行した子。
すぐ隣でイチャイチャする二人を見て世の中不思議と思ってる。ほんとに付き合ってないんですか?(付き合ってないです今のところ)

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