リコリス・リコイル 竜胆の花は彼岸の花に何を見る?   作:タロ芋

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アニメ最終回見ました。最高でしたね。神アニメをありがとう。ちさたきが尊い。皆がみんな最高のキャラでまさに神アニメとしか言えません。
では、短めですが本編どうぞー。


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「「せーのぉ!!」」

 

 千束とたきな、2人は勢いよく手に持ったそれを掲げる。

 

「……それが真島か?」

 

「「はい!! これが真島です!!」」

 

 紙に描かれた似顔絵の出来を見て楠木が問えば、2人は元気よく頷けば互いの似顔絵を見せあった。

 

「「ね? ……ん?」」

 

 千束はたきなのを見て笑い、たきなは千束のを見て頬をひきつらせた。

 どちらもあまりにもあんまりな出来に騒ぎ出し、見るに見兼ねたフキがプロジェクターでモンタージュ写真を投影して叫ぶ。

 

「ぜんっぜん違うじゃねぇか!!」

 

「だって全然似てないしソレ」

 

「似てません」

 

「チッ! だからお前らを呼んだんだろうが! つか竜胆律刃はどうした!? アイツも真島を見てんだろ!」

 

「律刃は山岸先生のところ〜」

 

「なので来れないそうです」

 

「肝心な時に使えねぇ……。フェイカーとかいう奴の情報は無いのか?」

 

「全然、全く。これっぽっちもない! というか、律刃の報告書見てるでしょ?」

 

 千束は気だるげな様子で言う。

 

 "フェイカー"

 

 竜胆律刃が交戦した巨大な戦斧を武器にする真島の相方らしき存在。あの律刃とも互角以上に渡り合い、それどころか彼をあと一歩まで追い詰めたと聞いた時は流石のフキも何かの悪い冗談かと思いたかった。

 だが、彼の提出した報告書と戦闘の一部始終を録画した映像を見せられては信じざるを得ない。

 

「……リコリス襲撃に続いてのこのテロリスト共。

 面倒なことになったな」

 

 フキと吐き捨てるような声が室内に木霊し、今の今まで傍観に徹していた楠木が口を挟んだ。

 

「…………竜胆律刃の調子はどうだ?」

 

「えー、楠木さんどしたの? 律刃のこと聞くなんてめっずらしい〜」

 

「千束、茶化さない」

 

 たきなに窘められ、千束は少しだけバツが悪そうにしながら楠木へと話した。

 

「はぁい……。今朝見た限りは至って健康体だったよ。怪我もほとんど治ってたけど、一応ってことで検査だって」

 

「……そうか」

 

 千束の報告に楠木は短く答えれば、僅かに思案した後に背中を壁から離すと千束とたきなの2人に告げる。

 

「もうお前たちは帰っていいぞ。その似顔絵は対して参考にはならなさそうだからな」

 

「たきなのより似てますぅ!」

 

「待ってください司令! 千束のよりも私のがクオリティに自信があります! 司令! ちょ、司令!?」

 

 

 

「これがこの前のやつ」

 

 ディスプレイに1枚のレントゲン写真が貼られる。

 

「それで、これが今月のやつね」

 

 続けて隣にもう1枚、新しくレントゲン写真が貼られる。

 内蔵された蛍光灯が光ると、2枚のレントゲン写真を後ろから照らし全体像が浮かび上がった。

 2枚のそれは正しく"異様"と評せるようなものだった。2枚のレントゲン写真はつま先から頭部にかけて侵食するように葉脈状の黒い線が走り、見るものが見れば不穏に駆られるそんな悼ましさ。

 

 だが、そんな線に触れられていない箇所がいくつかあった。それが胴体の中央と頭部、心臓と脳だった。

 2枚のレントゲンはどちらも同じに見えるが、左のものに比べて右の方が心臓と脳に近づき、全体的な密度と濃さが多く見える。

 

 自分の体内に巣食う存在を見つめ、律刃は大して気にした様子もなく呟くのだった。

 

「広がってますね〜」

 

「……軽いわね律刃くん」

 

「そりゃあコレとは長い付き合いですからね」

 

 朗らかに笑い、律刃は己の右腕を軽くあげるが医者としての山岸には笑えないセリフだ。

 

「千束の心臓と言い、その右腕や右目といい……。得体の知れないモンを良くアランはやってくれるわね」

 

「でも、そのおかげで千束は生きていられる。俺は見ての通り……元気いっぱいって感じですね」

 

「だからこそ医者として言わせてもらうわ。異常よアンタのその体は」

 

「はっきり言いますね」

 

「遠回しに言っても意味無いでしょ?」

 

「違いない」

 

 山岸の言葉に律刃は苦笑を返す。

 いくら治りが早く、身体能力が高いといっても限度がある。律刃の体は人間という枠組みからは外れているのだ。だからこそのこの言葉。

 数多くのリコリスを診て、千束の心臓を知り、そして律刃の体を知った山岸だから言えるのだ。

 

「原因はこのやっぱり右腕と眼ですよね」

 

「ええ。それはもう間違いなく」

 

 黒い線は律刃の義手の接続部を起点に広がっていた。原因は分かっている。それを取り除けば恐らくは、この得体の知れない存在がこれ以上律刃の体を蝕むことは無いだろう。

 

「やっぱりコレの中身わかんない感じですか?」

 

「手を尽くしてるけど、芳しくないわ。詳細なデータを取ろうにもその右腕と右目にアクセスしても深いところにはかなり厳重なプロテクトがかけられている……。千束の心臓と同じブラックボックスね」

 

 しかし、どんなものかも分からないのでは取り除くことは出来ない。もし、取り除いたとして本当に律刃の体を蝕むことが無いのかという確証がない。

 

「とりあえずは現状維持……ですかね」

 

「歯がゆいけど、仕方ないわ。ごめんなさいね律刃くん不甲斐ない医者で」

 

「いやいや、山岸先生は良くしてくれてますよ。貴方のお陰で千束も俺も健康でいられるんですから」

 

「……コレのことを千束は知ってるの?」

 

「………………いえ。コレを知ってるのはミカさんと楠木だけです」

 

 長い。長い沈黙だった。律刃は人工皮膚に覆われた義手の表面をなぞり、静かに言う。

 

「千束には余計な心配をかけたくないんです。これは俺の問題だから……。もし、アイツがこれを知ったら絶対に放っておかない。

 アイツの限られた時間を俺なんかのために使わせたくないんです」

 

「……そう。アンタがそう言うなら私は尊重するわ。けど、本当に具合が悪くなったら言いなさいよ?」

 

「わかりました。じゃあ時間なんで俺は帰りますね」

 

「ええ。お大事に。それと、これ診断書とカルテにレントゲン。ミカに渡しておいてちょうだいね」

 

 ディスプレイに貼られていたレントゲンといくつかの書類を束ね、大きめの書類に入れれば山岸はそれを律刃へと渡す。

 それを受け取れば席を立ち、診察室の外へと律刃は向かう。

 

「律刃くん」

 

「はい?」

 

「隠し続けるっていうのは辛いものよ」

 

「……肝に銘じておきます」

 

 それでは、と律刃は会釈し診察室の扉をくぐれば背中が閉じた扉により見えなくなる。足音が遠ざかっていき、完全に聞こえなくなったところで山岸は椅子の背もたれに体重を預け、万感の思いを込めたため息を吐き出す。

 

「はぁぁぁぁあ…………」

 

 山岸は机の引き出しを開けば、その奥にしまっていた物体を取り出す。

 コンビニに行けば買えるありきたりなメーカーの煙草を、本来なら室内で吸うのは禁止されているが、今の彼女には吸わなきゃやっていられない気持ちだった。

 

「…………フゥー」

 

 苦い紫煙を吐き出し、空調へと吸われていく煙を見つめ吐き捨てるように呟く。

 

「ほんと、ままならないわね。二十歳(ハタチ)にもなってない子がなんて目をしてるのよ……」

 

 瞳の奥に宿した光を思い出す。あれば世界全てが敵に回ったとしても、自分だけは彼女のために刃を振るってみせると誓った光だった。

 

 まだ、大人と子供の中間とも言えるほどの齢でそれだけの事を考えてしまのを許してしまう世界の残酷さに反吐が出そうだ。

 

 だから、考えるのだ。もし、彼と彼女が安心して過ごせるようになることを。

 二度と、銃を剣を振るわないで済むこと。

 彼らはもう既に十分に自分を犠牲にしてきた。だというのに、そんなささやかな幸せすら奪おうと言うのか? 

 そんなこと、あってはならない。あってはいけないのだ。だから、どうか。もし、神様がいるのだというのなら。

 

「……あの子たちを放っておいて」

 

 絞り出す声は誰にも聞こえない。煙と一緒に、その声は狭い室内に溶けて消えていく。




律刃
お前が笑って最後を迎えるのなら、俺はどうなってもいい。と考えてる奴だが、彼自身が傷ついて千束がソレに対してどんな思いを抱くかは考えてないバカ。
ついでにまだ未成年だと言うのがようやくでてきた模様。

千束
かなり画伯。たきなより上手いと思ってる。

たきな
かなり画伯。千束より上手いと思ってる。

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