リコリス・リコイル 竜胆の花は彼岸の花に何を見る?   作:タロ芋

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ふざけて書きました。頭空っぽにしてお読みください


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 山盛りに盛られた、タレを絡め炒めた豚こま肉を箸でつまみ口へと運ぶ。

 舌の上にあまじょっぱさと生姜の風味、肉の油の甘さが広がり、堪らず頬を緩ませれる。

 だが、そればかり食べてはバランスが悪い。そのために、今度は茶碗に盛られた艶々と白く輝き、湯気の昇る炊きたての白飯へと狙いを定めた。

 主菜の豚のしょうが焼きを摘めば、そのご飯の山の山頂へと載せる。

 肉汁とタレがご飯へと染み込めば、ご飯の香りと合わさりますます食欲を増幅させる。

 ジュワリと口の中に唾が溢れれば、一気に生姜焼きとご飯を小さな口いっぱいに掻き込んだではないか。

 

「ハグッ、ハグッ、ハグッ……!!」

 

 傍から見れば行儀が悪いと注意されてしまうような食べ方。だが、この食材たちにはなによりもこの食べ方が合っている。むしろ、お上品に食べるのなんて失礼にあたるのではないか? 

 そして、口いっぱいの白飯と生姜焼きをきっちり30回以上噛んで飲み込み最後まで味わいつくしてゴクリと飲み込む。

 

「んん〜♪」

 

 ポヤポヤと幸せそうなオーラが体全体から放出され、少女は堪能する。

 

 今度は口直しに付け合せの浅漬へと箸を伸ばしてキュウリを口に運べばポリポリとした食感に丁度いい塩加減で口の中の肉汁がリセットされれば、再び肉の山へと戻っていく。

 

「たきなってば本当に美味しそうに食べるよね〜」

 

「作った側からしたらあれを見れば料理人冥利に尽きるな」

 

 カウンターで今日の賄い(生姜焼き定食)を食べるたきなを眺め、千束と律刃は会話する。

 たきながリコリコに来てから半年近く経つ。最初の頃の優等生ぶりはなりを潜め、今や何だか妙にユルっとした感じになっていた。

 つっけんどんしてるよりは十分今の方が接しやすいし、年頃の女の子らしく可愛いものだ。

 

「律刃さん、おかわりお願いします」

 

「はいよ。ついでに生姜焼きも追加するか?」

 

「お願いします」

 

「はいよ」

 

 たきなが言えば、律刃は朗らかに笑って茶碗と食器を受け取り厨房へと向かっていくが、ふと足を停めれば振り返って千束へと告げる。

 

「千束もそろそろ休憩だしついでに食っとけ」

 

「りょうか〜い。あ、人参の漬物いらないよ!」

 

「…………」

 

 

 

「ぬおぉぉおお、人参いらないって言ったのにぃ!」

 

「好き嫌いしては大きくなりませんよ千束。こんなに美味しいのに」

 

「そうだけどぉ……!」

 

 山盛りに盛られた人参の浅漬を見て唸る千束に、たきたは幼子に言い聞かせるかのように告げる。

 律刃の料理が美味しいのは朝昼晩作ってもらってる身としては既に知っている。だが、苦手なものは苦手なのだ。

 だが、もし残したら……

 

『……そっか、うん、千束には好き嫌い克服して欲しかったんだけど余計なお節介だったよな。……悪い』

 

 と、しょんぼりとした様子で言うのだ。これがまた罪悪感が凄いのだ。

 で、食べたら食べたで。

 

『凄いな千束、嫌いなもの食べれたのか? こりゃ今日はお祝いだな!』

 

 と、我がことのようにはしゃぐのだ。何だこの策士っぷりは? こんなの見せられたら頑張るに決まってるだろ全く。

 

「やったらぁ!」

 

 たかだか人参食べるだけでこの気合いの入れようバカみたいだが、千束には大事なことなのだ。たきなはアホを見るような目で見ながら生姜焼きへと手を伸ばすのであった。

 

 

 

「たきな」

 

「なんですか?」

 

「……なんていうか、さ。ここに来た時よりもこう…………、ふっくらしてない?」

 

 ある日の昼下がり、千束は椅子に座り神妙な顔でたきなへと話しかける。

 彼女の視線の先には着替え途中のたきなが居た。

 たきなはリコリスの制服を脱いでいた手を止めれば、千束へ失笑しながら答える。

 

「ふっ、何をデタラメな。私は常に適正体重ですよ千束。千束のように不摂生をしてる訳では無いのですから」

 

「…………」

 

 その返答に千束はカチンと来たのか、スンと真顔となったがすぐに意地の悪い笑みを浮かべた。

 

「ハハハ、言うねたきな〜。そんなことを言うくらいなら体重計怖くないよね?」

 

「ふっ、愚問ですね。たかが体重計程度に臆してはリコリスなど務まりませんよ?」

 

「へー……。の、割には全く体重計に視線を向けようとしないのはなんなのかなぁ?」

 

「千束、何が言いたいのですか?」

 

「いやー、べっつにー? たきなちゃんってば体重が増えたことを知られて恥ずかしいのかなーってお姉さん思っただけだからぁ〜。

 あっ、でもリコリスは体重計なんて怖くないんだもんね〜?」

 

 そ・れ・と・も、と千束は続ける。

 

「自分の体の管理すらできないのかな?」

 

「できらぁ!!」

 

 たきなキレる! 

 

「ぁぁぁぁぁぁあ!!!?」

 

 そして、リコリコに響く悲鳴。

 

「どうしたお前……らぁ?」

 

 スパーン! と更衣室の扉が開かれ、律刃が入れば視界に写った光景に段々と声はしりすぼみとなっていく。

 体重計のまえで膝をつき、この世の終わりだとばかりに慟哭するたきな。その後ろで満足そうにガッツポーズをしてる千束という何が何だかという光景。

 

「えっと……、何があったんだ?」

 

「律刃、女の子にはね。どんなに辛くても向かい合わなきゃいけない問題があるんだよ……。たきなは今、その重大な問題に直面しているのさ」

 

「へ、へぇ……そうなの、か?」

 

「そうなんです! ……ブフッ」

 

「いや、笑ってんじゃんお前」

 

「笑ってないです」

 

 笑ってないったら笑ってないです。

 律刃はとりあえず怪我がないならいいや、と思い首を傾げながら更衣室を後にするのであった。

 

「たきな、元気だしなって。律刃のご飯が美味しいのは仕方ないよ。ここにいる限り、避けられない運命だから……」

 

 律刃のご飯は美味しい。それはもう、何度もオカワリを要求するくらいには。

 その度に体重計が無慈悲に告げる数字には慣れっこである。いや、慣れちゃいけないのだが。

 

「千束はいいですよねぇ! その胸の脂肪が吸ってくれるんですからッ!!」

 

「いやー、辛いわー! 育ちすぎて私辛いわー!!」

 

「ッッッ!!」

 

 たきなはこの時ばかりは恐ろしくなだらかな己の装甲を呪った。

 そして決意する。この邪智暴虐な千束をいつか泣かすと。

 頑張れたきな! 負けるなたきな! でも、平らな子が好きな人もいたりするから気にしない方がいいよ。

 

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