リコリス・リコイル 竜胆の花は彼岸の花に何を見る? 作:タロ芋
アバンタイトルですが、どうぞ。
とある一室、シンジは出された食事を完食すればそれを作った人物に対して礼を言う。
「ありがとう、美味しかったよ
「調理の道を選んでいれば、機関は支援しましたか?」
シンジの秘書兼ボディガードのようなことをしている姫蒲が聞けば、シンジは薄く笑い肩をすくめる。
「"選ぶ"? フッ、機関が支援する才能は神のギフトだ。選ぶことなどできはしない。生まれながらに役割が示されている」
「なら、人生の意味を探す必要はありませんね」
「そうさ。幸福な事だ」
生きる意味を最初から示されている。それがなんと幸運な事か。シンジは頷き、ワインを煽る。
姫蒲が準備をしているのを横目に、シンジはグラスに注がれたワインを味わいながら彼女に対して釘を指しておく。
「千束と
「状況次第です。それに、彼女ならまだしも彼を相手にすれば私では勝ち目が薄いのでは無いのでしょうか?」
姫蒲の手には2枚の写真があった。1枚は千束の写真。もう片方は律刃のが。
千束単体はそこまで脅威ではない。だが、
「出来るよ君なら。そのために
「……確証はあるのでしょうか?」
姫蒲は写真を仕舞えば、つい先程シンジに渡された物を手に取る。
手の中に長方形の箱が納まり、意外と重さがあるのか持った瞬間に手が僅かに沈む。
「もちろん。中にある
起動さえすれば、彼は指ひとつ動かすことすら出来ない。そうすれば、回収も容易い」
「なら安心ですね」
「……あんな所でいつまでもままごとをさせてはいかんのだよ。
それに、役目を放棄した器には必要のないものだ。与えていたものをアランに返させてもらうとしよう」
背もたれに体を沈み込ませ、シンジは月を見上げれば呟きは空に解けて消えていく。
〇
「へいお待ち!」
喫茶店に似つかわしくない声とともに、常連客の1人で千束と律刃をモデルにした漫画を描いてる(本人たちには無許可)作家の伊藤の前に置かれる巨大なパフェ。
「千束ちゃん、飲み屋じゃないんだから……」
それに対して伊藤は苦笑気味に指摘する。
「お、千束ちゃん。昼間から飲んでいいのかい?」
「ありますよ〜。ミズキの飲みかけなら!」
「阿部さん勤務中……」
真昼間から酒をかっ喰らう刑事がいたら懲戒ものである。案の定、後輩から窘められる阿部刑事。
と言っても、本人は軽い冗談のつもりだし千束もそれがわかっていてフッたのだ。
「今日のは凄いね」
「千束specialだらか! 北村さんも食べます?」
「食べる!」
「じゃあ、俺も!」「私もー!」「はいはい、ワシも!」
「はーい! 千束スペシャル、一丁、二丁、さんちょーう! 律刃〜!」
「んなコスト度外視のもん作らせんな!! 3つな!? 少し待ってろ!!」
『いや、作るんかい!』
厨房から響く怒声。それに突っ込む常連客一同。
「うーし、できたー。たきな、これ頼む」
「…………律刃さん」
「どした? 余り物でいいならお前の分も作るけど」
「……それは後で貰いますが。コホン、このままでは不味いです」
「……へ?」
神妙な顔でいうたきなに、律刃は首を傾げる。
客足がひと段落すれば、店裏の座敷にリコリコの一同は集まった。
その中心でたきながダブレットPCを操作すれば、画面にはリコリコの経営状況が映し出される。
画面の数字のえぐさに既に知らされて律刃を除いた一同は息を飲んだ。
グラフ上に表したデータ。それは右に行くにつれて下に下がっていき、明らかに経営状況は赤字であることを指し示す。
「……赤字だな」
クルミが苦々しく言えば、たきなは小さく頷く。
「ええ。依頼から得たお金を合算してもコレです。銃弾や仕事の移動にかかる経費はどうしてるんですか?」
「DAからの支援金があるのよ〜。千束のリコリス活動費って名目でね」
「完全に足出てますよね?」
「……白状するなら、俺の活動費用も支援してもらってプラスアルファ俺の懐から出してもこれだ」
「…………店員のお金を経営に回すのってどうなんですか?」
「………………悪いとは思っているのだが、な」
それでも足りないのである。悲しい現実にミカはそっと目を伏せる。律刃は熱くなった目頭を抑えた。
「え!? 律刃、何処にそんなにお金あるの!? あったらあの映画のプレミアBlu-rayBOX買ってよ!!」
「店の経営を維持するために何が悲しくてパチンコしなきゃいけねぇんだよ!
つか、お前そう言って前買った映画まだ積んでるだろ!? せめてそれを見終わってからにしなさい!」
ママさんのように千束を叱る律刃。
彼女程では無いが、十分化け物レベルの動体視力を持っている律刃にとってスロットの絵柄を目押しで当てまくるのは難しくはない。難しくは無いのだが、ギャンブルで稼いだ金を店に入れるなどと書いてみれば字面があまりにも悪すぎる。
そんな横でミズキがズビシと千束へ指を突きつけた。
「
「
「俺があくせく仕入れを安く済ませようとしてんのにこれじゃ水の泡だしなぁ」
「独立してると言いながらお金はDAに頼り。挙句には律刃さんにも出してもらっていた……と?」
たきなが言葉を区切れば、ミカを除いた全員からジットリとした視線が千束へと突き刺さる。
何対何と聞かれれば、10対0の数え役満。千束の1人負けである。
「う〜……、楠木さんみたいなことぉ。だってぇ……」
両手の人差し指を付き合わせてイジける千束を見て、たきなは重く。長く。これでもかとため息を吐き出せば、決意を表明するのであった。
「はぁぁぁぁぁあ…………。分かりました、以後私がりこりこの経理を行います!!」
「頑張れたきな応援してるぞ!」
目指せ脱赤字。目指せ黒字。目指せV字回復! である。
「律刃さんも手伝ってもらいますからね?」
「ア、ハイ」
笑顔で言われ、律刃は有無を言わずに首を縦に振るのであった。
彼は後に語る。その時のたきなの顔がめちゃくちゃ怖かったと……。
律刃
採算度外視のメニュー作るのやめれと千束に思ってる。
弾丸を見切れるんだからスロットくらい簡単やろってことでパチンコで無双してる模様。才能の無駄遣いと言っては行けない。
千束に無理やりサメ映画を見させられ、辟易としてる模様。
なんでサメが砂地や雪原を泳いだり、巨大竜巻に乗って街の上から落ちてきたり、悪霊となって市街地に現れるんだよ!?と、見る度に新鮮なツッコミと反応を提供するから面白がって千束に次から次へとサメ映画を見させられてるのだ。(拒否すればいいとか言ってはいけない。)
千束
詰んでる映画が沢山ある。そのランクはAからB。挙句にはZ級まで。今回律刃に強請ってたのはAよりのB級映画の模様。
ほら律刃!今度はこのサメ映画見よ!!サメとエイリアンが戦うやつ!!
たきな
リコリコの経営を回復させるため、あの手この手を尽くす。サメ映画?ジョー〇なら知ってますよ。え、シャーク〇ード?サメが巨大化してワニと戦う?何言ってるんですか?頭大丈夫ですか?