リコリス・リコイル 竜胆の花は彼岸の花に何を見る?   作:タロ芋

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書き直しまくってたらこうなっちゃいました。それと、刀を使う描写が全くないと言うね。そんな訳で初投稿です

追記、9月29日に1部修正


6

「…………クリア。先に進めます」

 

 壁の影に隠れ、周囲をクリアリング。敵影を確認せずたきな後ろにいる人物に報告する。

 

「ふぅ、流石にこうも歩き通しだと疲れてしまうな」

 

 妙に圧の強いリスの着ぐるみを着た人物ウォールナットの緊張感のないつぶやきにたきながため息を吐きたくなる衝動を抑えつつ、出口の入口を開いた。

 軋んだ音を出て扉が外へと開けば、たきたは気がつく。鼻を突くような鉄の匂いが。

 

「…………ッ」

 

 銃を構え、慎重にたきなは外へ出れば、目の前の光景に言葉を失う。

 周囲に転がる人、人、人。一応は生きているようで、時折呻き声と身動ぎをする様が見えた。

 

「遅カッタナ。待チクタビレタヨ」

 

 ふと、背後から不快な合成音声が聞こえた。

 たきなは壊れたブリキの人形のように、ゆっくりと首を後ろへと動かす。見た。見てしまった。見たくない光景を。

 自分の背後にいたはずのウォールナットは胸、腹に大型のククリナイフが刺さり、あるべき頭部がそこには無い。どこをどう見ても即死といった有様が。何故? どうして? いつの間に? 

 

「うっ……ぁあ…………」

 

 そして、自分を見下ろす存在を。

 顔を隠すためのゴテゴテとしたフルフェイスヘルメット、全身を隙間なく覆うライダースーツ、右手には鈍い輝きを放つ湾曲した大型のククリナイフ。

 暗がりに溶け込むように全てを黒に統一した格好のソイツの右手にはボタボタと鉄臭い粘土の高い液体を垂らす物体が握られていた。

 

「オヤ、随分ト顔ガ真ッ青ジャアナイカ」

 

 気がつけばたきなの体が震えていた。何人もの悪人を目にし、撃ち殺してきた彼女にとって目の前の存在は初めてだった。コイツに勝てるビジョンが何一つ浮かばない。

 

 怖い、怖い、怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖怖!!!! 

 

 いつもは簡単に引けるはずの引き金が、今だけは固定されたかのように動かない。

 

「……アレ、モシモーシ?」

 

 息を吸っているのか、吐いているのかも分からない。そもそも自分は立っているのか? 倒れているのか? 

 

「カヒュ……コヒュ……」

 

「ア、過呼吸ニナッテンジャン。ヤベェ」

 

 最後にたきなの目が映すのは、こちらに向けて手を振り下ろす姿だった。

 

 

 〇

 

 

「ドウシタンダイキナリ?」

 

「うぅ……」

 

 首筋に手刀を当て、意識を奪ったたきなをゆっくりと床に下ろして律刃は首を傾げる。

 魘されてはいるが、とりあえずは無事なので放置することにして着ぐるみの頭部を持って外に出るとスマホを取り出して電話をかける。

 

「仕事ハ終ワッタ」

 

『あ、ああ……こっちからもお前が頭を持ってるのが見えてる。確かに死んでるんだな?』

 

 簡潔に告げれば、戸惑った声が聞こえてくる。自分で殺せと命令して何を戸惑っているのだろうか? 

 

「確認シタイナラ残リモ見セルゾ?」

 

『い、いやいい! 頭が切られて死なないやつなんて居ないからな。ヨシ、ヨシ……いきなり残りの傭兵共に襲いかかった時はどうしたものかと思ったが、ウォールナットさえ殺してくれればこっちのもんだ』

 

「奴ラガイレバ、流レ弾ニ気ヲツケナケレバナラナイカラナ。デハ、報酬ハ指定ノ地点ニ頼ム」

 

『了解した。もし、また何か用があれば頼むぞ"リーパー"』

 

「機会ガアレバナ。ジャア切ルゾ────オット」

 

 通話終了ボタンを押そうとした瞬間、律刃は僅かに顔をずらす。それと同時に右手に持っていたスマホが下半分を残して砕け散った。

 

「ヤァ、遅カッタナリコリス。オ友達ハ無事カイ?」

 

 使い物にならなくなったソレを握り潰し、パラパラと残骸がこぼれるのを横目に振り返る。裏口にいたのはこちらに銃口を向け、険しい顔つきの千束その人であった。

 

 

 〇

 

 

「お陰様で。良くもウォールナットさんをやってくれたね……」

 

「ソウ怒ルモノデモナイダロウ? 美人ガ台無シダ」

 

 おどけた様子で言う殺し屋を前に千束は周囲に転がる傭兵たちを盗み見る。

 全員の外傷は恐らくウォールナットの死体に刺さっていたククリナイフのものであろう。そして、道中にあった真っ二つに切り裂かれた弾丸からして犯人もこいつ。

 

「(……接近戦に持ち込まれたらヤバいかな。律刃を相手するみたいにやろう。あークソ、間に合ってくれててらなぁ! 律刃のあんぽんたん!!)」

 

 今はここにはいない頼れる存在を思い浮かべ、気を引き締める。気を抜いたら確実に殺られると思え。

 

「……ヤル気ノヨウダナ。イイダロウ、付キ合ッテヤル」

 

 殺し屋は順手で持っていたククリナイフを逆手に持ち替え、右足の太ももに巻かれたホルスターから大型拳銃"デザートイーグル"を右手に持ちクロスさせるという所謂CQCの構えをとる。

 

「「……」」

 

 両者は睨み合い、空気が沈んでいく。互いに緊張の糸を張り詰め、開戦の合図を待った。

 何秒経っただろうか、永遠にも感じられる時間。それが訪れる。

 

「うっ……」

 

 気絶していたたきなが漏らした呻き声、微かにしか聞き取れぬほどの小さなその音は両者の緊張の糸を断つには大きすぎるほどだった。

 

「ッ……!!」

 

 先手は千束が取った。牽制の意を込めた射撃を2発。

 

「シッ───」

 

 迫り来る弾丸を暗殺者は身を沈みこませて回避、疾駆。

 足元にいる傭兵たちをものともせず、縦横無尽に漆黒が走破する。千束が狙えないよう緩急をつけた走りは正に獣のようだった。

 

 ジグザグの疾走の最中、右手のデザートイーグルが動き重々しい発砲が3度轟く。

 3方向からの射撃を千束は飛び跳ね、左手を軸にして弾丸を回避。腕の力だけで体を跳ねあげ、空中で身体を捻らせながら正確無比の射撃を放つ。

 

「────ッ! コレヲ対応スルトハナ!」

 

「それはどうも!」

 

 直撃弾をククリナイフで切り払い、両者は走る。戦場を廃スーパーの向かいにある廃墟の中へ移した。

 

 柱に背を預け、千束は空となったマガジンをリリース。背中のカバンの底へ手を添えれば弾丸の込められたマガジンが排出され、リロードを済ます。

 

「フッ!」

 

 息を整え、柱から飛び出ると同時に向こうも反対方向へ走り時計回りのように走りながら銃口を互いに向けて引き金を引く。

 ノズルフラッシュが薄暗い空間を照らし、背後の柱や壁に弾痕を作り出す。

 

「シィ!!」

 

 暗殺者は柱を蹴り上げ、空中に躍り出たかと思えば天井を蹴り弾丸のような速度でククリナイフを振りかぶる。

 

「っぶな!!」

 

 顔を逸らし斬撃を回避するが、完璧とはいかずに頬を浅く切り裂かれてしまう。

 返す刀で逆手から順手に持ち替え、横薙ぎに振るう。

 

「ツゥ!」

 

 千束はその手が振り切られる前に、相手の手首に自分の手の甲を当てて刃の軌道をそらす。自分の頭上を銀閃が通り過ぎ、空気を割く音が鼓膜を震わせながらがら空きとなった胴体へ非殺傷弾を放った。

 

「グゥ!!」

 

 赤い塗料が飛散し衝撃に暗殺者は呻き距離をとる。

 再び両者は対峙する。

 千束は銃口を向けながら頬から流れる血を拭い、暗殺者はククリナイフを構え直した。

 

「「…………」」

 

 無言の圧力。そのまま2人は構えたままだったが、唐突に暗殺者はククリナイフを握っていた手を下ろす。

 

「ッ、どういうつもり?」

 

「コレ以上、ヤルノハ割ニ合ワナイ。ソレニ、子供ヲイタブルホド私ハ鬼デハナイノデネ。ソロソロ、君ノ友達モ目ヲ醒マスンジャナイカ?」

 

 千束の問いかけに暗殺者は肩を竦めて返し、ゆっくりと顔をこちらに向けたまま後ずさりし始めた。

 

「デハ、サヨウナラ」

 

「逃がすと───」

 

「残念、逃ゲサセテモラオウカ!」

 

 暗殺者はそう言い残し、懐から円筒型の物体を地面に投げつけ破裂させる。即座に室内に白い煙が充満し視界を奪い去った。

 

「この、待ちなさいっての!!」

 

 千束は銃を乱射するが、当たった気配はなくどこか遠くからバイク特有の走り去る音を聞き取り、奴が逃げおおせたことを理解する。

 

「ッッッ!!」

 

 誰もいなくなった廃墟の中、千束は悔しげに地団駄を踏みつけた。

 

 

 

 〇

 

 

 救急車の車内、千束とたきなは無言だった。

 護衛すべき対象を殺され、犯人には逃げられる。踏んだり蹴ったりといった有様。

 お通夜とも言えるような静寂を破ったのはたきなの震えた声だった。

 

「すみません……。護衛対象のそばにいながら」

 

「たきなのせいじゃないよ。……律刃が間に合わなかったのが悪いんだよ」

 

「ですが……」

 

 担架に乗せられた斬首死体、たきなの胸中にぐるぐるとした感情が渦巻く。ウォールナットを殺され、敵の前で気絶など余りにもお粗末だ。

 

 空気がさらに死んでいく中、耐えかねたかのようにククリナイフの刺さったままの着ぐるみの頭部が喋り出す。

 

「もういい頃合いじゃないかな」

 

「「え?」」

 

 ムクリと目の前の死体が起き上がり、何も無い首の断面が盛り上がったこと思えば中からニョキリと頭が生えてきたでは無いか。

 

「「えぇ!!?」」

 

「ぷっはぁ! あっづ〜! ビールちょうだい!!」

 

 生き返ったウォールナット……ではなくミズキを見て目を点にする2人。それを横目に投げ渡されたビールの封を開けて流し込むミズキ。

 

「み、ミズキィ!? え、な、なんで!?」

 

「落ち着け千束」

 

「先生ィ!?」

 

 そこから始まる怒涛のネタばらし。護衛していたと思っていたウォールナットは影武者のミズキで、本物は彼女が持っていたキャリーバッグの中に入っていたのだ。オマケに外見はでこの広い幼女(ロリ)である。

 

「えっと、つまりウォールナットは追っ手から逃げるためにわざと殺されたってこと?」

 

「そういうことになるな。見事な仕事ぶりだよ彼は」

 

「……そうだ! あの暗殺者!!」

 

 停止した車内、千束はにっくき暗殺者を思い出す。ここに居るのはミカ、ミズキ、ウォールナット、自分とたきなの計5人。1人足りないのだ。つまり……

 

「呼ンダカ?」

 

「「!!」」

 

 救急車の助手席から聞き覚えのある合成音声が聞こえてきた。2人は即座に身構え、声は続ける。

 

「ウォールナット暗殺ノ依頼ヲ受ケ、見事完遂シタ殺シ屋"リーパー"」

 

 助手席からゆっくりとその人物は姿を現した。ゴテゴテとしたフルフェイスヘルメット、全身を覆うライダースーツの長身痩躯の男。

 

「ソノ正体ハ……」

 

 各々を見下ろし、リーパーと名乗った男はヘルメットへ両手を添えればゆっくりとソレを脱ぐ。

 はらりと落ちる艶やかな黒髪。

 キメ細かく、絹のような白い肌。

 全体的に幼さを感じられる顔つき。

 軽いつり目がちな目には、意思の強さを感じられる青みがかった紫の瞳が納まっていた。

 

「この俺、竜胆律刃でし──バンッ! ──(いて)っ……」

 

 リーパーもとい律刃が正体を明かした瞬間、千束は即座にやつの眉間に向けて発砲。見事にど真ん中に命中すれば僅かに身動ぎした律刃は恨めしげに千束を見やる。

 

「いきなり何すんだバカヤロウ。痛えじゃねーか」

 

「何すんだはこっちのセリフだっての馬鹿律刃!! 刃物振りかぶって、たきな気絶させちゃって、傭兵の人たち蹴散らしてさ! おまけに私に怪我させてさ!」

 

「はぁ? お前さすがに言いす……ぎぃ…………」

 

 千束の叫びに律刃は言い返そうとしたが、目尻に涙をうかべて肩を震わせる様子を見て声が段々としりすぼみになっていき、最後にはバツが悪そうに頭を掻きながら小さく呟た。

 

「……悪い、やりすぎた」

 

「パンケーキ」

 

「ん?」

 

「今度パンケーキ奢って!! たきなの分も! ついでに買い物付き合って!!」

 

「……了解。すきなだけ奢ってやる」

 

「ん。後、晩御飯はハンバーグがいい」

 

「はい、突然目の前で繰り広げられるラブコメ劇場を見られた気分の人の感想をどうぞ〜! 私はキレそう!」

 

「青春だな」

 

「甘ったるいな」

 

「とりあえず1発殴らせてください律刃さん。あと何故私も行くことになってるんですが?」

 

 上から順にミズキ、ミカ、ウォールナット、たきなの順に各々の言葉が続く。

 律刃は自分のやったことに気が付き、顔を僅かに赤くしながら叫んだ。

 

「うっせ! 野次馬は散れ! あと、たきなはマジで悪かったなゴメン!!」

 

 〇

 

 その後、我らのリコリコに帰還した一同。リコリコの制服に着替えればミズキはPCに映る帳簿を酒を飲みながらニヤニヤと眺め、ミカは千束のご機嫌取りの団子を作り律刃は結んでいた髪を解いて椅子に座り、その髪を好き勝手いじり出す千束。

 

「なぁ、そんなに楽しいソレ?」

 

「楽しいねー。私も髪伸ばそうかな」

 

「やめとけ。手入れがめんどいだけだ」

 

「なら切ればいいじゃんかよぅ」

 

「普通のハサミだと刃の方が負けるんだよ。知ってんだろ?」

 

 そんなことを言いながら好きにさせる律刃。それはそれとして男なのに三つ編みはどうなんだ? と思うが。

 

「にしてもさぁー、事前に教えてくれても良かったんじゃないですかねー」

 

 口をとがらせ、ぶーたれる千束。それに対し、ミズキは人の悪い笑みを浮かべながら口を開いた。

 

「だって、アンタ芝居下手だし〜。寧ろ、たきなと一緒に自然なリアクションしてもらったほうが良いじゃなあい? ほら、こ〜いう〜」

 

「あ〜! いつの間に!! 何撮ってんのさぁ!!」

 

「アハハハ、律刃も見てみる〜?」

 

「アン? 何をだよ……」

 

「ギャー!! 見るなー!」

 

「へぶっ!?」

 

 ミズキが律刃に見せようとしたスマホの画面を、千束が座布団を顔面になげつけて律刃の視界を塞ぐ。そんなわちゃわちゃとした中で、置物のように動いていなかったたきなが口を開いた。

 

「やっぱり、『いのち大事に』って方針無理がありませんか?」

 

「んぇ?」

 

 険しい顔つきのたきなは今回の任務で思うところがあったのか、千束の心情としていることに対して不満があるようだ。

 

「あの時、きちんと2人で動けば今回のような結果にはならなかったはずです」

 

「でも〜、そうされると私が困っちゃうのよね〜」

 

「目の前で人が死ぬのほっとけないでしょ」

 

 どうやら、あの時千束はたきなの銃撃により負傷した傭兵の治療のため別行動をとっていたらしい。そのおかげで律刃は手早く仕事をこなせたのだが、あえて言うことはしなかった。

 そして、千束はその言葉で心情を変えるほどヤワではない。

 

「私たちリコリスは殺人が許可されています! 敵の心配なんて……」

 

「あの人たちも、今回は敵だっただけだよ。誰も死ななかったのは良かった良かった」

 

「……そういう話じゃないと思います」

 

 たきなはこう言いたいのだろう。敵を案じ、そのせいで仲間や自分が死んだらどうするのだ? と。

 律刃は拳を握るたきなを見て、優しい子だと思う。彼女が命令違反を起こした理由もおそらくはそこにあるのだろう。仲間を助けるために命令すら無視して行動できる優しさが。

 

「まぁ、落ち着けよ。そうならない為に俺がいるんだ。見てただろ俺の動き?」

 

「それとこれとは別です。あと、私も怒ってることをお忘れなきように。わざわざあんなホラーのようなやり方ではなくてもいいんでは無いのでしょうか?」

 

「……スッ」

 

 たきなにジト目で見られ、堪らず小さくなる律刃。少しだけ驚かすつもりだったのだが、まさかあれほどまでとは思っていなかったので完全に非はこちらにあるので何も言えないのだ。

 

「ほら、もうやめろ。私達も騙すような作戦をして悪かった」

 

 ミカがそう言い、カウンターに団子を3つ置く。

 

「あー! 先生甘いもので買収するつもりー?」

 

「いらないか?」

 

「あ〜! 食べますぅ!」

 

「あっさりご機嫌になったらお前……」

 

 満面の笑みで団子を頬張る千束を横目に律刃は飴を咥える。それと、千束は思い出したかのように律刃へ言う。

 

「あ、律刃〜。座敷に座布団出しといて〜」

 

「りょーかい。俺のも残しとけよ〜」

 

「へへーん! 早い者勝ちだもんね〜」

 

「この糞ガキ……」

 

 口角をひきつらせながらも拒否はせず、大人しく従って2階へと向かう。変に機嫌を損ねさせるのも面倒なのだ。

 

「よっ、居心地はどうだ」

 

「なかなか悪くない。お前もどうだ?」

 

「体格的にきついからやめとくよ」

 

 座布団の入っている押し入れを開けば、某ネコ型ロボットのように上のスペースを占拠している幼女がいた。違うところはメカメカしい機械に囲まれているというところだ。

 

「……え、なんでいるの?」

 

 すると、団子をもった千束がこちら驚きの表情を浮かべながら現れる。口に物をくわえたまま出歩くんじゃないと律刃は思った。

 ついでに、その様子からミカとミズキが伝えてないことに気が付く。

 

「ウチで暫く匿ってくれだってよ」

 

「えぇ〜!? 座敷わらしかと思った! というか、もっとこうマシな所なかったの?」

 

「この無駄にでかいのを入れとく場所がここしか無かったんだよ。運び込むのめんどくさかったんだからな?」

 

「その分、お前たちの仕事の手伝いをしてやるんだ。言っておくが格安だからな?」

 

「へぇー……。じゃあ今日から仲間なんだね。なんて呼べばいい?」

 

「ウォールナット」

 

「ちょ、ちょちょーい! ソイツは死んだんでしょ? 本当の名前を教えなさーい」

 

「……クルミ」

 

 千束の言葉にウォールナットは少し考え込むと、そう名乗った。ウォールナットを和訳しただけだが、呼びやすいので良しとしよう。

 

「日本語になっただけじゃん! そっちの方がよく似合ってるよ。よろしくクルミ」

 

「……よろしく千束。リッパーも」

 

「律刃な。よろしくクルミ」

 

 ウォールナット改め、クルミに抱きつく千束を横に座布団を運ぼうと振り返れば、こちらに向けてヘアゴムを向けるたきなの姿が。

 

「おっと」

 

 軽く横へ移動すればゴムの弾が飛んでいき、後ろにいた千束は無意識に避け、気が付かなかったクルミの広いおでこにクリーンヒットするのだった。




・・・・たきなに失禁させるか迷ったのですが殺されそうな気がしたのでなしにしました。
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