ガル学。〜GirlsRevolution〜 作:れもねーどすたんど
「おはよう、ヨウカ。調子はどう?」
ねえ、キミ。今聞くべきでないでしょうよ。
入学式が終わって私たちが過ごす教室に移動してきた。「10分後にホームルーム始めますね~」って先生がクラスのみんなに声をかけてるのが遠くで聞こえる。最大級の緊張が少し解けガヤガヤし始めた教室の中でかけられた声、それがかえって私の心を沈める。
噛んだ。盛大に噛んだ。入学式のスピーチ。
私って今まで自分の名前言えなかったことある?なーんで一番の目立つとこで嚙んじゃうかなあ。
「サイアクだよお、もう。」
スマホに向かってそうグチる。スマホの画面には私によく似た(?)というかもう一人の私がいて、『まぁまぁ』と私をなだめている。
AIアイヨウカ。私は呼びやすさからアイちゃんと呼んでいる。校章が背中部分に大きく描かれている学校指定の私のスマホ。その画面に朝から晩までずっと居座っているAIの私、それがアイちゃん。アイちゃんと初めてお話してから今日までの短い期間で、どれだけ助けてもらったか。アイちゃんがママかってほど的確に面倒を見てくれるのよ、私の。「ヨウカ、水筒持った??」とか、「今日制服の採寸の日だよ、起きて!」とか。得意なことは忘れ物をすることと寝坊することの私にとって、神みたいな子(AIだから“子”でもないのかな?)なのよ。
そんなアイちゃんも“察する”ことはまだまだ発展途上のようで。ま、でも変に気を遣ってスピーチで噛んだことをスルーしてしまうAIだったとしたら、それはそれで怖いか。
「ねぇ、ヨウカ、元気だしなって!友達100人つくるんでしょー?」
いきなりアイちゃんが友達の話し始めるもんだから、私の頭のロードがちょっと時間かかってる感じがしてる。
あ、そういえば昨日の晩ごはんの時に“友達100人つくれ”って、ママからミッション受けてたからさ、「私、絶対やったるもんね!」って朝、アイちゃんに宣言してたんだっけ。
「うん、そう…そうだよね!友達たくさんつくるもん!!」
スピーチのこと、まだまだ引きずってるって自分でもわかるけど…
友達つくるって決めたんだからもうクヨクヨしてらんない。
私は思いっきりぎゅっと目をつむって、ほっぺを両手で2回叩く。“ぺちぺち”と、思いきり叩いた割には少し頼りない音が聞こえる。少しほっぺはヒリヒリしているが、その分ずっと耳に入ってきていた周りのガヤガヤがなんとなく心地よく感じる。
スピーチ噛んじゃったけど、それだって武器になるんだい!
ついたあだ名は“コミュ力おばけ”、わたくし、小川ヨウカの真骨頂見せたるで〜〜!