ガル学。〜GirlsRevolution〜   作:れもねーどすたんど

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episode2 Kyu²とミサキ #5

 

 

大きな、大きなアリーナ。周りを見まわすと、青、黄色、オレンジ、黄緑と様々な色のペンライトが点々と、キラキラと、星が出ている夜景みたいに輝いている。

 

 

真っ暗なステージにふっとスポットライトが照らされた。

 

 

ライブが中盤にさしかかったころ。今までの楽曲がずっとポップで来ていた、その雰囲気とのギャップに観客みな困惑気味に固唾をのんでステージに注目する。

 

 

スポットライトの中に一人の女の子がいる。

 

 

心地よいバラード調の音楽が流れ始めた。同時に、女の子がゆっくりと動き出す。

 

 

そのダンスはすうっと目が吸い寄せられていくような、全観客に“訴える”かのようなソロダンス。指の先の先まで神経が伝わっているような美しさ、ポップスとはまた違うリズムを超越するカッコよさ。すべての魅力が詰まったダンスを目の前で見ている、そんな気がした。

 

スポットライトの当たらない陰でうっすら見える後ろの3人の歌声。きれいだけじゃない、なにか、心がぐっとくるような、歌詞に動かされているような。

 

 

“Kyu² ガールズアリーナライブ

         ~あなたがくれた奇跡~”

 

 

一年以上経った今も、私の胸ポケットにはこのチケットが入っている。

 

 

 

「で、そのダンスを見て、キラちゃんが好きになったのね。」

 

 

そう言われて、うん。とうなずく。

 

 

山口キラちゃん。あの時、あのステージで、スポットライトに照らされて最高の笑顔とダンスを私に届けてくれた。それからKyu²の、キラちゃんのファンでありながら、私自身が目指す憧れになっている。ステージでずっとずっと輝いてて、なんか、“すごいかっこいいオーラ”...オーラの名前ダサいけど、とにかくかっこよかった。キラちゃんみたいになりたくて、キラちゃんと同じステージに立ちたくて。キラちゃんがいたからこの学院に入ったといってもカゴンではない。

 

 

「ミサキもさ、ガールズアリーナのライブ来てたんだよね?!」

 

 

チャイムと先生に阻まれて(時間がなかっただけ)話せなかった席がはじっこの子。鶴屋ミサキ。ホームルーム中も、あの子に話しかけたくてうずうずしてた。放課後、先生のさようならの言葉を合図にスタートダッシュ。話しかけに行って、そのあと自己紹介して、とにかく話して、そのあとはあんまり覚えてないんだけど、気づいたら学校の近くのカフェにいた。二人で。

 

 

「そうだよ」って言いながらミサキはスマホを取り出す。私の前にすっとだしてきたその画面には、おっきなステージと、その前に点々と光る様々な色。ガールズアリーナで去年見たあの景色そのまんま。

 

 

ん?そのまんま...だな...え?

 

 

「あれ、これ私じゃん!」

 

 

スマホを思わず取って指さす。あわてて画面にふれちゃったせいで写真がズームされる。ズームした先には前に座ってるお客さん、金髪ロン毛のごつい人...じゃなくて。右に画面をスクロールして、2席横のロングの黒髪の女の子を画面の中央にもってくる。

 

 

「え!?これヨウカさん?昔はロングだったんだ!」

 

 

そうそう、前はロングだったの。今はボブだけど。いやさ、想像してみて?私とキラちゃんがおんなじステージに立ってさ。まずキラちゃんのロングむっちゃかわいいじゃん?あのダンスの途中で髪がばさってなるのがかっこいいし。で、ロング×ロングより、ロング×ボブみたいな方が相性よさそうじゃない??妄想でキラちゃんとステージ立って、一番合いそうなの選んだの。

 

 

「妄想のイメージだけでイメチェンしたんだ...ヨウカさん思い切りがすごい...!」

 

 

でしょー!思い切りのよさ、最高の誉め言葉。だけどさ、ちょっと一個だけ、さ。

 

 

「『ヨウカ』でいいよ。そっちの方が喋りやすいでしょ!」

 

 

出会った瞬間からため口呼び捨てか、十八番“即興ニックネーム”で呼んじゃう私と違ってちゃんとしてるんだろうな。マジメちゃんって感じ??

 

 

「う...あ、そうだよね。じゃあ...ヨウカ!」

 

 

ヨウカって名前を言ったミサキは、ミサキ自身が思ってたより大きい声をだした気がしたのか、周りをきょろきょろと見回して赤面した。そして周りが誰も気にしてないことがわかると、小さく微笑む。

 

 

あ、笑った。

 

 

出会って数時間、あんまり笑うタイプじゃないんだなって思ってた。もちろん、話してる時は笑顔だし終始楽しそうではあるんだけど。今回の微笑みはなんか、今までとは違ったというか、進化(?)したというか。小さな微笑みだけど、その目は“サンタさんにもらったプレゼントを開けてる小さな子”そんなキラキラな感じ。仲良くなれて良かった...!

 

 

そこからもとりとめのない話が続いた。ミサキの出身が福岡でお隣のガールズスタジオに通っていたことにびっくりしてみたり、木曜日におこなわれる新入生歓迎イベントで代表挨拶(つまり、オーディションを私に継いで2位通過ってこと!)するって聞いてびっくりしてみたり。いや、ミサキのとりとめのない話の内容濃過ぎでしょ。びっくりされっぱなしなんだけど。

 

 

いや、てかさ、こんなけ仲良くなったんだし、私、ミサキとさ...!

 

 

「ねね、ミサキさ、私とユニット組まない??」

 

 

「え、あぁ...ごめん。無理。」

 

 

え〜〜〜?!もしかして、私、フラれた...?

 

 

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