もしエレジアが白ひげ海賊団の縄張りだったら   作:座右の銘は天衣無縫

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序曲 GRAND LINE
序奏


エレジアの悲劇

 

のちにそう呼ばれる事件が起きた、その当時

世界情勢に鋭い者は冷や汗をかいていた

エレジア島があるのは偉大なる航路グランドライン、後半の海

通称、新世界

 

そしてエレジア島はある海賊の縄張りだった

海を統べる四人の皇帝に名を連ね、その中でも最も海賊王に近いと言われる現最強の海賊団

その名も『白ひげ海賊団』

 

義理堅く、決して仲間を裏切らず、堅気にも手を出さない事で有名な彼らは、エレジア王国崩壊のニュースを聞いてすぐに動き出した

 

「親父ィ!!

見えたぞ、エレジアだァ!!」

 

「そんなデケェ声出さなくてもこっからでも見えてらァ。

……あの綺麗だった街が見る影もねェな……」

 

「親父、本当にあの赤髪の野郎が……」

 

白ひげがデッキの上の巨大な椅子に腰掛けて視線を向ける先は、まだ火が燻っているのかまだ薄い黒煙の上がるエレジア島

それを横で見ていた船医兼1番隊隊長のマルコが声をかけるが、白ひげはそれを手で制する

 

「あのクソ生意気な鼻ったれ野郎はロジャー譲りのピースメインだ。

ニュース通りってのは腑に落ちねェ。

……とにかく、ゴードンの野郎が運良く生き残ってるんだ、直接話聞きゃあ良い。

 

野郎共ォ!!

上陸だァ!!」

 

オオオオオオォォ!!と雄叫びが上がり、船内が慌ただしくなる

そんな中、白ひげは頬杖をつきながらじっとエレジアを見つめていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ニューゲートさん!!

まさかこんな早く来てくれるとは……!」

 

「俺の縄張りが荒らされたってんだ。

当たり前だろう。

国は滅んじまったが、テメェが無事で何よりだゴードン。」

 

上陸した白ひげを迎えたのは、つい先日までこの島にあったエレジア王国の国王、ゴードン

 

「しかし…………一体何があった?」

 

新聞を読んでいれば答えの分かりきった質問をあえてする白ひげ

それにゴードンは目の前の人物が新聞の内容を信じていない事を悟った

 

……詳しい事は後で話す。

新聞の通りさ、赤髪海賊団に襲われた……」

 

その答えを聞いて白ひげはゴードンの後ろでキッとこちらを睨み付ける子供が関わっている事を悟った

 

「そうか……災難だったな。

復興にゃあ俺たち白ひげ海賊団も力を貸す。

またいつか音楽団引き連れて宴の席を盛り上げてくれ。」

 

「ああ勿論だとも。

そうだ!

紹介しよう。

この子はウタ。

類まれなる歌の才能を持った子だ。

幸運にもこの子も生き残ったんだ。

 

ウタ、この人はここの島を守ってくれているエドワード・ニューゲートさんだ。

海賊だが、決して民間人は傷つけない義理堅い人だ。」

 

その言葉にウタの瞳が揺れる

 

「……でも、シャンクスもそうだった……」

 

「シャンクスとは違う!

もう半世紀以上も海賊をしている人だが、決して民間人を騙し討ちになんかしてこなかった人だ。

実際、このエレジアも彼らの手によって色々な海賊から守られてきたんだ。」

 

「……知らないッ!」

 

ウタは目に涙を浮かべながらそう叫ぶと走り去ってしまった

 

「ウタ……

すまない、彼女には色々あってね。」

 

「別にそれは構わねェ。

構わねェが、本当の話を聞かせろ。

何があった?」

 

もう一度、そう問われたゴードンは大きく息を吐き出すと語り始めた

 

ウタがシャンクスの娘である事

ウタがウタウタの実の能力者である事

トットムジカの事

ウタがそれを歌ってしまい、島が滅びた事

赤髪はトットムジカを倒し、ウタの為に罪を全て被って去っていった事

その時にシャンクスと約束した事

 

気づけば、2人の周りに白ひげ海賊団の船員が集まり、そのうちの何人かは感動のあまりぐずぐずと涙を流していた

 

「…………なるほど、な。

腑に落ちたぜ。

あんの鼻垂れ小僧に借りが出来ちまったな。」

 

「うおおおおおん!!

赤髪の野郎、漢だ、父親だァ!!」

 

「チクショオォォォォ!!

イケメンで実力もあるってのに妬めなくなっちまったじゃねェか!!」

 

「うるっせェぞ、テメェらァ!!

仕事はどうしたァ!?

サボってんなら海に突き落とすぞアホンダラァ!!」

 

話が終わった瞬間に大声で叫び始めた船員を一喝し、怒られた船員達は急いで散って行った

 

「バカ野郎共め……

まァ、俺たちに出来るのは復興の手伝いと、そのトットムジカってのがもう一度現れた時に倒す事くらいだ。

他所の家庭事情に首を突っ込む気はねェ。」

 

「ああ、本当にそれだけでもありがたい……ありがたいのだが……

頼みがある。

ウタに、彼女に、必ずしも海賊が悪では無いと教えて欲しいんだ。」

 

その言葉に対して白ひげは思いっきり顔を顰めた

 

「物凄く嫌そうだな!?

だが、頼む!

私は……いつかは彼女に真実を知ってもらうつもりだ。

その時に海賊憎しの考えに囚われていれば彼女はきっとひどくショックを受ける。

だから、海賊だから悪いのではなく、悪い奴が悪いのだと教えてやってほしい。」

 

「……海賊は慈善事業でやってんじゃねェ。

態々、正義の味方になるつもりは一切ねェぞ。」

 

「構わない。

ただ、君達のいつもの姿を彼女に見せてやるだけで良いんだ!

全員全てが仲間で、家族で、決して裏切らず、民間人には手を出さない。

白ひげ海賊団のそんな姿はきっと彼女に響くはずだ。

 

この通りだ。

私は金もない、人もいない、国すら失った国王だ。

差し出せるものは何もないがどうか頼む!!」

 

ゴッ、と固い足の地面に勢いよく頭をぶつけてまで土下座をするゴードンに最初は嫌そうな顔をしていた白ひげだったが、腕を組み、唸り、最終的には折れた

 

「顔を上げてくれ。

俺だって鬼じゃねェ。

ダチの頼みくらいは聞いてやらァ。

ただし!

タダじゃねェぞ。

 

オメェはあいつを世界一の歌手にするんだろう?

 

だったら国を復興して、アレを入れた最高のメンバーでまた宴を盛り上げに来い!

今までにない最高のショーを見せてみろ!

俺とも約束しろ!

国王として!

男として!

 

赤髪との約束を全力で果たしてみせろ!

 

その言葉にゴードンは大粒の涙をこぼす

 

「勿論だ……勿論だとも……!

必ず、必ずだ。

きっと彼女を世界一に育て上げてみせる!!」

 

2人の海賊と破れない約束を交わしたゴードンはより一層決意を固める

この身に何があっても、彼女だけは必ず育て上げると

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