ありふれない月の眷属がいるのは間違っているだろうか 作:クノスペ
皆さんクリスマスに予定はあるでしょうか?
作者はターフに夢を賭ける予定があります
『いやぁ、急に後ろからタックルされてさぁ〜。びっくりしちゃったよ』
ハジメと香織は、あの男が神ということに疑いを持ってしまう。
気弱そうな笑みを浮かべるこの男は、髪もボサボサで威厳も全くない。
『大丈夫ですか、神様?お怪我は?』
『大丈夫だよ、可愛い女の子。僕の財布を取り戻してくれてありがとね』
アーディから財布を受け取ると、その神は自身の名を名乗った。
『俺はエレン。君たちは?そっちの子は【ガネーシャ・ファミリア】って聞こえたけど...』
エレンと名乗る神に名を尋ねられ、アリーゼは自信満々に、リオンは少し考えてから自身の名を名乗る。
『私はアリーゼ・ローヴェル!【アストレア・ファミリア】の団長よ!』
『...リオンと名乗らせてもらっています。アリーゼと同じく【アストレア・ファミリア】です』
『
エレンが弓人?とアタランテに視線を向けると、2人は否定しながら自身の名と【ファミリア】を名乗った。
『いや、俺は【アルテミス・ファミリア】団長の■■■■だ』
『同じく【アルテミス・ファミリア】所属、副団長のアタランテだ』
『へぇ、そっちは
そんな光景を見ていたハジメと香織は、彼等が言った【仕える神】に興味を示した。
「ハジメくん、弓人くん達が言ってた神様の名前って...」
「ガネーシャはインド神話、アストレアとアルテミスはギリシャ神話に出てくる神だな。けど『エレン』なんて神聞いたことねぇぞ」
オタクであるハジメと、そんな彼と仲良くなるためにアニメや漫画の知識を蓄えた香織は『エレン』という神がいたか記憶を総動員させるが、どの神話にも該当しなかった。
そんな2人を他所に、エレンは1人1人の顔を見てリオンに視線を止めた。
『エルフの君、面白いなぁ』
『私が...?』
『うん、潔癖で高潔。しかし確たる答えを持たない...そんな雛鳥のような君が、こんな時代に、どんな風に染まり【答え】を出すのか、興味が尽きないよ』
悪意もなく、興味深く彼女を見るエレン。
リオンはそんな視線に居心地悪くしていると、アリーゼがリオンを抱き寄せ男神を睨み始めた。
『なんだかその言い方、いやらしいわ!リオン、きっとこの神様も『フヒヒ』とか笑い出す変態よ!』
『あ、やめて。本気で傷つくからやめて!俺そーいうモブ神とは違うからぁん!』
『神様はみんなそう言いますよね!』
『ぐふぅ!ボーイッシュ元気っ子だと思ったら...さては君、天然だなぁ?』
美少女達からの口撃に、エレンは涙目になりながら体をくの字に曲げる。
そんな情けない姿を見て、リオンは肩透かしを受けていた。
『お前らその辺にしとけ、こんなんでも神様なんだから...』
『まったくだよ、もう少し俺に優しく...えっ待って、今こんなんって言った?』
『まぁいいじゃないですか、そんなこと』
『おっと良いのかい?それ以上俺をいじめると、良い歳した男神が公衆の面前で泣き叫ぶことになるよ?』
少女たち以上に雑な扱いをする弓人?に、エレンは自分を人質にするという新しい脅し方をした。
流石に男の号泣する姿という見苦しいものを見たくない弓人?はエレンに謝罪をする。
『すみません、謝るので泣くのだけはやめてください』
『なら...お詫びとして1つ俺の質問に答えてほしい』
『質問?』
すると、エレンは先ほどまでの空気を霧散させ。その閉じていた目を薄く開き質問した。
『君にとって【正義】とは?』
『......なんで俺に聞くんですか?』
『そうだね...この中で、君だけが君なりの答えを見つけているから...かな』
そんなエレンに対して、弓人?は頭を掻きながら質問に答え始めた。
『そうですね...俺にとっての【正義】は、【誰かの為に動くこと】...ですかね』
『なんで、そう思うんだい?』
『人間って...結局は自分本位な生き物じゃないですか。自分が楽をしたいため〜とか、自分だけでも生き残りたい〜とか』
弓人?の言葉を、エレンは静かに聞く。アリーゼたちも、彼の言葉に聞き入っていた。
『そんな中でも、『誰かを愛したい』とか『誰かを守りたい、助けたい』とか考えれることって凄いことだと思うんですよね』
『へぇ...『愛したい』も、君にとっては凄いことなんだ』
『だって、『愛したい』ってその人と『一緒に生きたい』ってことじゃないですか。例えそれが偽善であったとしても、自分本位な生き物が他の人にそう思えるって凄くないですか?』
そして、弓人?はまるで少年のような笑みを浮かべながら言った。
『まぁ...あれです、こいつらは『みんなの笑顔』を守る為に戦ってるので、俺は『こいつらの笑顔』を守るため戦います』
『なるほど...うん、参考になったよ。ありがとう...じゃあ、またね』
そう言って離れていくエレン。その方向の先にはハジメと香織がいて、2人をすり抜ける直前、その男神は呟いた。
『彼のそれは、『繋がりを失いたくない』というものから来てる...もし、守りたい彼女たちから拒絶された時、彼はどうなっちゃうんだろうなぁ...』
その言葉を聞いた瞬間、ハジメの脳裏には『あの光景』が浮かんだ。
―仲間が守れるなら、その仲間たちから拒絶されたとしても俺は構わない
あの時の寂しそうな背中と何か関係があるのだろうか
その答えは、この後見せつけられた光景で知ることになるが
ハジメと香織...いや、弓人以外の全員がこの過去を見たことを後悔することになる。