ありふれない月の眷属がいるのは間違っているだろうか 作:クノスペ
「はぁ...はぁ...くそっ!当たらねぇ!」
「だからといって、やけになるなよ。そして思考を止めるな」
ハジメは今、脚が異様に発達したウサギの魔物と対峙している。
ハジメは、ドンナーで狙い撃つが、的の小さい魔物に対して、苦戦を強いられている。
「目だけで狙うからそうなる。常に考えろ、次にあいつは何をするかと」
「予測しろ、相手が動く方向を。そして銃口を合わせろ」
「はぁ...はぁ...やってやろうじゃねぇか!」
こうして、ハジメの魔物の戦いは時間を掛けたものの遂に、ハジメの放った弾丸は魔物の右足を撃ち抜いた。
「よし!当たった!」
「当たったからと気を抜くな!相手が動きを止めたなら即座にとどめを刺せ!」
ようやく当たった事に喜んでいるハジメに喝を入れとどめを刺すよう指示する。こうして、ハジメの戦いは勝利を収めた。
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「くそ...やっぱり動く敵だと勝手が違うな..」
「けど最初の時に比べたらかなり良くなった。最初なんて、明後日の方向に撃ってたしな」
「忘れろ!あぁ...恥ずかしい...」
当然だが、ハジメは銃を使った経験なんて無い、ドンナーの想像以上の反動や片腕撃ちが強制されてしまうため、バランスが上手くとれず、最初の頃はまともに当てることができなかった。しかし、何度も繰り返し訓練したこともあり、最近だと止まっている魔物に対してなら確実に撃ち抜くことができる。
「なぁ、魔物の肉ってどんな味なんだ?」
「とにかく不味い。しかも獣臭がひどい」
俺はふと疑問に思ったことを聞いたら、ある意味予想通りの答えが来た。
それはそうかと考えていると、ハジメが口を開いた。
「なぁ...弓人は何でそんな戦闘の知識があるんだ?」
「ん?あぁ...そうだな...何て説明すればいいか...」
ハジメは、俺の魔物との戦闘に対して知識が豊富である事に疑問を持ったようだ。いつか来る質問だと思っていたが素直に言うべきか悩んだ。
「まぁ...あれだな...一段落ついたら説明するさ」
「?まぁ良いけどよ...」
俺は、先延ばしにすることを選んだ。
ハジメなら素直に言っても気にしないだろう。
けれど、怖い。
もしかしたら、変な目で見られることが
もしかしたら、自分とは違うモノとして見られることが。
そして俺は、無理矢理話を逸らすことにした。
「それよりハジメ、ステータスの変化はあったか?」
「そうだな、ステータスカードを見てみるか」
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南雲ハジメ 17歳 男 レベル:12
天職:錬成師
筋力:200
体力:300
耐性:200
敏捷:400
魔力:350
魔耐:350
技能:錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査]・魔力操作・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地]・言語理解
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「最近、二尾狼だとそこまで上がってなかったのに随分上がったな」
「今まで喰ったことない魔物の肉を喰うと上昇値が多いらしいな」
「んじゃあこの追加された天歩の縮地ってのを使ってみるわ」
ハジメはそう言うと、立ち上がり腰を低くして集中する。
次の瞬間、ハジメの足元は陥没し、ハジメは消えた。
そして、
「いってええええええ!!!」
「これは想像以上の速さだな、出力を調整すれば戦闘の幅が広がるな」
壁に顔面から突っ込み、悶絶するハジメを傍目に俺はそんなことを口にする。それに対して顔をぶつけたせいか、それとも羞恥のせいか顔を赤くしたハジメが俺を睨むが無視する。
「じゃあ次は空力ってのをやってみてくれ」
「くっ...分かった...」
ハジメは、再び集中する。しかし、イメージが掴めないのかなかなか発動しない。
暫く黙って見ていると、ハジメは前方へと跳躍し、今度は地面に突っ込んだ。
「へぶぅ!」
「なるほどな、空力は空中に足場を作る能力か。うまく使えば立体的な戦闘ができる」
「くっそ...2回も恥かいた...」
「覚えたての技能なんだし、そんなもんだ。よし、今日はその技能を使いこなす訓練をするぞ」
「速攻で使いこなしてやる...」
宿敵との決戦は近い。
正直射撃って滅茶苦茶難しい気がするんですよね
作者もお祭りの射的でまともに当てたことないですし
それと不味い...主人公の強化シーンが少ないぞ...