ありふれない月の眷属がいるのは間違っているだろうか   作:クノスペ

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いつもご拝読ありがとうございます。

前回愚痴っていた主人公の強化についてなのですが
少なくとも、魔物の肉での強化はするつもりはありません
理由と致しましては、彼だけが持つ【ステイタス】という個性が潰れる気がするからです。
あと、自分の文才だと、南雲ハジメ2号機みたいな表現になりそうと言う点もあります。

頭を悩ませながら書いていくので、長い目で見ていただけるとありがたいです。


12星:宿敵との決着【下弦】

 

 

 俺たちが落ちてから、おおよそ1週間ほど経過した。

 

 ハジメと俺は今、『やつ』を探している。

 

 本来であれば、出口を探すのを優先するべきだ、だがハジメは『やつ』との決着を望んだ。

 

「確かにあいつを食えば、お前はさらに強くなる...けど、あいつはお前にとってトラウマそのものだ。やれるのか?」

「正直に言うと分からない...けど、あいつから逃げるわけにはいかない!逃げたら...俺は前に進めない!一生弱い『南雲ハジメ』のままだ!」

 

 俺はハジメの覚悟を尊重した。そして俺は、ハジメに対して条件をつけた。

 

 戦うのは、魔物を喰って手に入れた技能を完全に使いこなせるようになってから

 確実に勝てるプランを考えること

 少しでも不味いと思ったら俺も戦闘に参加するのを認めること

 最後に、死なないと約束すること

 

 ハジメはそれを了承した。

 自身が技能を使いこなすため、訓練した。

 あいつを殺すためのプランを必死に考えた。

 全ては前に進むために。

 

「ハジメ、前方に狼の群れが来ている。今のペースだと10秒後にぶつかる」

「了解だ。あいつと戦う前の準備運動といこうか」

 

 ハジメはドンナーを取り出すと、前方を見据える。

 

「グルゥア!」

 

 二尾狼の1匹が飛びかかってきた。ハジメは冷静に、その場で跳躍し宙返りをしながら引き金を引いた。

 

 ドパンッ!

 

 乾いた破裂音が洞窟内を響かせる。

 『燃焼石』の粉末による爆発と『纏雷』により電磁加速された弾丸は狙い違わず最初の一頭の頭部を粉砕した。そのまま空中で『空力』を使い更に跳躍し、飛びかかってくる二尾狼に向かって連続して発砲し撃ち抜く。

 俺の方に向かってくる二尾狼に対して、俺はナイフを取り出すとすれ違うと同時に二尾狼の喉笛を切り裂いた。

 

「無駄撃ちもほとんど無し、絶好調だな」

「弓人も、リーチの短いナイフで急所に1撃かよ」

 

 ハジメは肘から先のない左腕の脇にドンナーを挟み、素早く装填する。そして俺たちは死骸に目もくれず、索敵を再開した。

 暫く襲ってくる蹴り兎や二尾狼を瞬殺していると、遂に『やつ』を見つけた。

 『やつ』...爪熊は自らが仕留めたであろう蹴り兎の死骸を貪っている。

 俺が突き立てたナイフは既に抜けているが、右目は完全に潰れている。

 

「ハジメ...行ってこい」

「あぁ、すぐに終わらせる」

 

 ハジメは短くそう言うと、『縮地』を使い飛び出した。

 

「よう、爪熊...あの時以来だな」

 

 爪熊はその鋭い眼光を細める。

 今まで目に映るもの全てが獲物だった彼にとって、背を向けず自ら向かってくることなど無かったからだ。

 

「まずはお前に、俺を『敵』と認識させる」

 

 ハジメはドンナーを抜き銃口を真っ直ぐに爪熊へ向けた。

 恐怖は無いと言えば嘘になる。

 目を閉じればあの時の痛み、絶望、恐怖を思い出す。

 だが、それ以上にあるのは、友と故郷へ帰るという決意

 

「お前を殺して...俺は前へ進む!」

 

 叫びと共に引き金を引く。破裂音が響き、高速の弾丸が放たれる。

 

「グゥウ!?」

 

 爪熊は咄嗟に、身を投げ出し回避する。恐らく、ハジメの殺気に反応したのだろう。

 しかし、完全に回避することは出来ず肩の中が抉られた。

 

 爪熊の残った瞳に怒りが宿る。どうやらハジメを『獲物』ではなく『敵』として認識したらしい。

 

「ガァアア!!」

 

 爪熊はその巨体からは想像できない速度で突進してくる。

 ハジメは爪熊からのプレッシャーをその身に感じながら待ち構える。

 

 これは、ハジメが最初から決めていたことだ。

 

 自身の左腕を奪い、心を砕いた『あの魔法』

 それを打ち破り勝利する。

 そうしなければ、本当の意味で『前へ進めない』

 一生、自身の中であの光景が残ってしまうからだ。

 

 突進してくる爪熊に、再度、ドンナーを発砲する。超速の弾丸が爪熊の眉間めがけて飛び込む。

 しかし、爪熊はその巨体を側宙させて、弾丸を回避した。そして、勢いのまま爪腕を振るう。固有魔法が発動しているのか三本の爪が僅かに歪んで見える。

 ハジメは俺から、固有魔法の範囲を聞いていたためギリギリで回避せず、全力でバックステップを行った。

 その瞬間、暴風が吹き荒れる。ハジメがいた場所には、3本の爪痕が深々とつけられ、爪熊が獲物を逃がしたことに苛立つように咆哮を上げる。

 その瞬間

 

 カラン...

 

 爪熊の足元で何か軽い音がした。反射的に爪熊はそこを見るとそこには、直径5センチほどの深緑色のボールが転がっていた。見慣れないものに疑問を持った瞬間、そこから強烈な光が放たれた。

 

 これがハジメの秘策『閃光手榴弾』である。

 

 奈落の暗さに慣れた爪熊の目には効果的面だ。

 視力を奪われた爪熊は、パニックになり両腕を振り回しもがく。

 

 その隙を逃すハジメではない。再びドンナーを構えてすかさず発砲する。

 弾丸が暴れまわる爪熊の左肩に命中し、根元から吹き飛ばした。

 

 勝負ありだな...俺はそう思いハジメの元へと歩いていく。

 

「まさか左腕に当たるとは...偶然にしては...出来過ぎだな...」

「ハジメ、この位置からなら脇の下を狙え。そこが心臓だ」

「あぁ...分かった...」

 

 

 宿敵(トラウマ)との戦いが、終わった。

 

 

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「相変わらず不味い...けど他より旨く感じるな...」

「強さによって味が変わるのか?」

「分からん、気持ちの問題かもな」

 

 ハジメが爪熊の肉を喰ってる間、俺は周囲の警戒をする。

 

「...漫画やアニメのキャラみたいな...達成感とか、爽快感とかは無かった。」

「そうか」

「けど...これで俺は前へ進める気がする」

「そうだな」

「ありがとな、お前が来てくれてなかったら...俺は俺じゃ無かった」

「気にするな、友達だろ?」

「〜〜〜っああ!」

 

 

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南雲ハジメ 17歳 男 レベル:17

天職:錬成師

筋力:300

体力:400

耐性:300

敏捷:450

魔力:400

魔耐:400

技能:錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合]・魔力操作・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地]・風爪・言語理解

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三星弓人 Lv.5

 

  力: I : 32 → I : 87

 耐久: I : 15 → I : 46

 器用: I : 23 → I : 76

 俊敏: I : 24 → I : 81

 魔力: I : 18 → I : 65

 頑健: E

対魔力: G

千里眼: H

 

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弓人のステイタスが上がってるのと上昇量が多い理由は
最初の時は鉱石を取っていた時に襲ってきた魔物だけを狩っていたのが
ハジメの技能訓練をするようになってから積極的に狩りに行くようになったからです。

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