ありふれない月の眷属がいるのは間違っているだろうか 作:クノスペ
裏話
実は蠍戦の時、初期設定ではあの蠍をアンタレスにする予定でした
しかしそうなると
メイン武器がドンナーのみのハジメ
魔力があの状態だとほぼ0なユエ
魔法やスキルが一部使えない主人公
VS
少なくともあの蠍より強いアンタレス
ほぼ無限に出てくる小蠍
...うん!没だな!
それでは本編です。
「俺さ...前世の記憶ってのがあるんだ」
俺は、意を決して2人に告げた。
自分は、前世の世界で冒険者をしていたこと。
自分は、ある1柱の女神の眷属であったこと。
その女神から【
そして、女神と仲間達を逃す為に怪物と対峙し死んだことを
一通り語り終えると、ハジメがどこか納得した様子で口を開く。
「なるほどな...お前の戦闘知識は、冒険者としての経験からか...」
「あぁ、俺がいたオラリオにも、ここみたいな
「前世の記憶は、日本にいた時からあったのか?」
「いや、日本にいた時には夢で見ていたが...それが前世の記憶だとは思ってなかったな。本格的に思い出したのは、この奈落に落ちた時だ」
「あー、そういえばお前の雰囲気が変わったのもそれくらいからか...」
俺の予想に反して、平然としているハジメに俺は驚きを隠せなかった。
「いや...驚かないのかよ?俺が前世の記憶を持ってるって言って...」
「いや驚いてるぞ、けど予想はしてたからなぁ」
「よ、予想...」
「舐めるなよ、俺はオタクのハジメだぜ」
ハジメはニヤリと笑う。
「ユエは...どう思った?」
「......正直、ユミトのことは全然知らない......けど、私を助けてくれたのは...今のユミト......だから、私は気にしない...」
2人とも、俺に気を使っているという訳でもなさそうだ。
変わらず接してくれてる事が、とてもありがたかった。
「ユエ...ハジメ...ありがとな」
「気にすんな、仲間だろ?」
「......ん、気にしないでユミト」
2人が向けてくれる笑顔に、どこか照れ臭くなってしまい。
俺は無理矢理話題を変える。
「あ、あれだ!ハジメ!魔物の肉食って早く強くなりな!」
「なんだよ?照れてんのか?」
「うるせー!さっさと飯にすんぞ!」
俺は顔を赤くしながらハジメが食う為に魔物の肉を切っていく。
その時、ユエの食事について気になったため、ユエに話しかける。
「飯といえば...ユエ、お前飯はどうする?ちょっとなら俺のを分けるが」
「あー、たしかにユエが魔物の肉食うのはマズイよな...いや吸血鬼ならいいのか?」
「......私に食事はいらない」
「ん?まぁ、三百年も封印されて生きてるんだから食わなくても大丈夫だろうが...飢餓感とか感じたりしないのか?」
「感じる。......でも、もう大丈夫」
「大丈夫?何か食ったのか?」
ユエが俺たちと会って食ったもんと言えば...
「あぁ、俺の血か」
「てことは、吸血鬼は血が飲めれば特に食事は不要ってことか?」
「......食事でも栄養はとれる。......でも血の方が効率的」
「さすが吸血.....なんで弓人を見て、舌舐りするんだ?」
「......ユミト...美味...」
「人によって味が違うのか?後、飲むか?」
「ん!飲む、ユミトの血の味は...血の滴るステーキみたいな味」
俺は右腕をユエに突き出すと嬉しそうに飛びつき腕にかぶりつく。
右腕に針で刺された様な痛みが一瞬走り、血が吸われていく。
「弓人...お前躊躇なく差し出したな...」
「けど、これのお陰で俺達はアイツに勝てたしな」
「そうですかい...」
ハジメは呆れながら、俺が切り分けた魔物の肉を食い始めた。
ユエは俺の血をある程度吸うと、口を離し今度はハジメを見つめる。
「ユエ?......まさか...」
「......ハジメの血も、気になる」
「ま、待て!俺はこんな魔物の肉ばっか食ってるから血なんか飲んだら腹壊すぞ!」
「......飲んでみないと分からない」
じりじりと近づくユエ
ハジメは俺に救いを求める様な目を向けてきた
俺はそれに対して一言
「強く生きろ」
「裏切り者!ってこれ昔やったぞ!」
ちなみにハジメの血は、様々な素材を煮込んだスープの様な味だったらしい