ありふれない月の眷属がいるのは間違っているだろうか   作:クノスペ

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昼頃の投稿ミスは予約投稿の設定ミスから出てしまいました。
申し訳ございません


19星:宴の主催者

 

 こうして俺たちは、魔物の群れに追いかけられている。

 

 このままだと、この階層全ての魔物を相手にしなければならない。

 操っている本体を叩くため、ハジメの『気配感知』と、魔物たちの行動パターンから予想された場所に走っている。

 現在、追ってきている魔物達はユエが魔法で迎撃しており、魔力が無くなりそうになると、俺の血を吸っているのだが...

 

「ユエさん!?いくらなんでも吸いすぎじゃないですかねぇ!?」

「......やめられない、止められない」

「俺の血はスナック菓子かよ!」

「お前ら結構余裕あるよな...っ!あそこの洞窟だ!」

 

 俺たちの先に、縦割れの洞窟があった。入口の大きさは大人2人がギリギリ横並びで入れる狭さのため、ティラノサウルスは入れず、ラプトルも1体ずつしか入れそうにない。

 俺たちは滑り込む様に入ると、ハジメが即座に錬成し入口を塞いだ。

 

「ふぅ~、これで取り敢えず大丈夫だろう」

「......お疲れさま」

「撒いたことだしユエ、降りてくれ」

「.........ん、ありがとうユミト」

 

 ユエは少し名残惜しそうだったが、素直に降りてくれた。

 入口が塞がったため、薄暗くなった洞窟を俺たちは探索する。

 しばらく道なりに進んでいると、やがて大きな広間に出た。

 

 俺たちは警戒しながら進むと、中央の付近でそれは起きた。

 

 全方位から緑色のピンポン玉のようなものが無数に飛んできたのだ。俺たちは一瞬で背中合わせになり、飛来する緑の球を迎撃する。

 

 しかし、余りにも数が多い

 ハジメは錬成による石壁で

 ユエは風属性の魔法で防御する

 

「2人とも、おそらく本体の攻撃だ。どこにいるかわかるか?」

「……」

「どうしたんだ?2人とも黙って」

 

 質問の返事が来ないことに、疑問を持ったハジメが俺たちの方に目を向ける。

 それに対する返答は...

 

「......ハジメ...逃げて」

 

 ユエの手に風が集まってゆく。ハジメは咄嗟に回避した。その瞬間、ハジメのいた場所は風により抉られていた。

 

「ユエ!?」

 

 思わぬ攻撃に、ハジメは驚愕の声を上げるが、俺たちの頭上を見ると事態を理解する。

 

 俺たちの頭にそれぞれ1輪の花が咲いていたからだ。

 

 ハジメは即座に、花を撃ち落とそうと引き金を引く。

 しかし、操ってるものはハジメの武器を知っているのか、

 操り、花を庇うような動きをし出した。

 

 俺は、ゆっくりと矢を取り出すと弓に宛てがい、ユエに向かって引き絞る。

 それにハジメは、もし動いたら、俺がユエを撃ち抜くという警告だと理解する。

 

 それは奥の縦割れの暗がりから現れた。

 

 人間の女と植物が混ざった様な姿をした魔物だった。

 そいつは、醜悪な顔を歪ませニヤニヤと笑っている。

 

 ハジメはすかさず魔物に銃口を向けた。しかし、ハジメが発砲する前にユエが射線に入って妨害する。

 

「......ハジメ...ごめんなさい」

「ユエ、お前は悪くない...それより弓人、お前は悔しくないのかよ!」

 

 黙っている俺にハジメは発破をかけてくる。

 それに対して、俺はただ一言2人に伝えた。

 

「俺を信じてくれ」

「っ!...分かった、頼むぞ」

「.....ん!」

 

 2人の返事を聞くと、俺は矢を放った。

 放たれた矢は、吸い込まれるかの様に、ユエに寄生する()を撃ち抜いた。

 

 そこからは、一瞬であった。

 ユエは、自身の体を動かし射線を開ける

 そしてハジメは、即座にドンナーの引き金を引き魔物を撃ち抜いた。

 

 魔物は、自身が倒れてゆく中、頭の中が疑問で満たされた。

 何故、寄生したアイツが動けるのか

 何故、花が撃ち抜かれたあと即座に動けたのか

 何故、アイツは躊躇いもなくあの武器を使えたのか

 

 魔物の疑問に答えるものは、ここには居ない

 

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「よし、上手く騙せてたな」

「なぁ...弓人はなんで動けたんだよ?」

「......気になる、私...動けなかった」

 

 俺はハジメの様に魔物の肉を食っていないため耐性など持っていない。

 ユエですら動けなかった寄生を無視したのが疑問に思うのは当然だ。

 

「俺の【発展アビリティ】の1つ『対魔力』だ。文字通り魔法に対する耐性だな。あいつの操作は、あくまで固有魔法だったらしい。」

「なるほどな...けどなんですぐ動かなかったんだよ?」

 

 ハジメの疑問に、俺は頭の花を引きちぎりながら言った。

 

「魔法に対する耐性って言っても完全に無効化する訳じゃない。俺の対魔力のランクだと矢の射線をずらすのが限界だった...悪かったなユエ、花を撃つためとは言え、矢を向けてよ。」

「......大丈夫、信じてたから」

 

 こうして攻略は、進んでいく

 

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三星弓人 Lv.5

 

  力: E : 490 → D : 540

 耐久: F : 350 → E : 403

 器用: E : 400 → E : 450

 俊敏: E : 450 → D : 501

 魔力: F : 371 → E : 405

 頑健: E

対魔力: G → F

千里眼: G

 

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10層近く進んだため、一気にステータスが上がっています

本来、対魔力はEから軽減のなのですが
この作品だと、Fの時点である程度抵抗できる様にしてます


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