ありふれない月の眷属がいるのは間違っているだろうか 作:クノスペ
おめでとう!新しい魔法が出てるわよ!」
「お!マジか!早く見せてくれよ!」
「それにしてもねぇ...ふ〜ん」
「?何ニヤニヤしてんだ...ってなんだこりゃ!?」
「いや〜、あのスキルといいオリオンがこんなにも私のことが好きだなんてねぇ〜」
「うるせえええ!!!そんな優しい目で俺を見るなあああ!!!」
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俺たちが奈落に落ちてから、おそらく1ヶ月経過した。
携帯食も、そろそろ底が尽きそうだ。
しかし、ギリギリ間に合った様だ。
俺たちは、100層に到達した。
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南雲ハジメ 17歳 男 レベル:76
天職:錬成師
筋力:1980
体力:2090
耐性:2070
敏捷:2450
魔力:1780
魔耐:1780
技能:錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合][+複製錬成]・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作]・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地][+豪脚]・風爪・夜目・遠見・気配感知・魔力感知・熱源感知・気配遮断・毒耐性・麻痺耐性・石化耐性・金剛・威圧・念話・言語理解
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三星弓人 Lv.5
力: B : 714
耐久: C : 630
器用: B : 700
俊敏: C : 600
魔力: D : 530
頑健: E
対魔力: F
千里眼: G → F
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ここに来た瞬間、空気で分かった。ここが最深部だと
ユエがいた階層と同じ...いやそれ以上の空気の重さ
一瞬で理解した。この先には今までの比にならない強敵がいると。
現在、俺たちは1つ手前の99層に仮拠点を作り準備を整えていた。
ハジメは弾や矢といった消耗品の補充
俺は、装備の点検をしている
ユエは、いつもと雰囲気が違う俺たちが気になるのか、交互に俺たちを見ていた。
「2人とも...いつもより慎重...」
「まぁ...な、あそこに恐らくいる
「それは...前世の経験則からか?」
「あぁ...あの空気は、俺を殺したアンタレスに引けを取らなかった...」
目を瞑ると、鮮明に思い出す。
仲間達が殺されていく光景が...
逃げるしか無かった悔しさが...
そして...死ぬ瞬間の無力感が...
確かに、あの時に比べ俺は強くなった。
ハジメや、ユエだっている
けれど...怖い...
2人を失うのが...怖い
俺の表情が強張っていることに気づいたユエが、俺を心配する
「ユミト...大丈夫?」
「...あぁ、大丈夫だ。行こう」
「弓人、俺たちは仲間だ」
「いきなりどうした?そんな当たり前のこと言って」
「だから、俺たちを信じ頼ってくれ」
「......ありがとな」
そうだ、俺たちなら大丈夫だ。
こんなにも、頼りになる仲間がいるんだ。
こうして俺たちは、100層へと降っていく。
100層は、巨大な石柱によって支えられた広間だった。
石柱には彫刻が施され、規則正しく並んでいる。
暫く歩みを進めると、突如柱が輝き始めた。
俺たちは武器を構え警戒するが、特に何も起こらない。
警戒レベルを最大にし、奥へ進むと。そこには、彫刻が施された巨大な扉があった。
気配はない、けれど分かる。これ以上進むと『やつ』は出てくると
「ハジメ...ユエ...勝つぞ!」
「あぁ!」
「んっ!」
俺たちは意を決して、足を踏み出した。
その瞬間、俺たちの前方に赤い魔法陣が現れた。
魔法陣には、見覚えがある。俺たちが落ちる原因となった忌々しい魔法陣だ。だが大きさが違う。この魔法陣はベヒモスの時の3倍はある。
「おいおい、なんだこの大きさは?マジでラスボスかよ」
「.....大丈夫......私達は負けない......」
「あぁ...そうだな」
ハジメが流石に引きつった笑みを浮かべるが、
ユエは決然とした表情を崩さず勝利を信じている。
俺はユエの言葉に肯定し、魔法陣を睨みつける。
魔法陣は一層輝きを放ち、そして生み出した。
30メートルを超える体格を持ち、6つの首を携えた。
神話の怪物ヒュドラを思わせる姿をした魔物を。
「「「「「「クルゥァァアアン!!」」」」」」
咆哮と共に、赤い紋様が付いた頭から炎が吐き出された。
俺たちはその場から飛び退き回避、ハジメがドンナーを炎が吐き出された頭に銃口を向け、引き金を引いた。
乾いた音と共に、赤の頭を打ち抜き爆散させた。
だが、白い頭が叫びと共に爆ぜた頭に光を灯す。
その瞬間、赤い頭が逆再生されたかの様に元に戻った。
「くそっ!白い頭は回復魔法持ちか...」
「なら狙いは一つ、あの白頭からだ!」
「んっ!私も狙う!」
ハジメは、即座に狙いを変え。白い頭にドンナーの弾丸を放ち、ユエは『緋槍』を放った。
弾丸と炎の槍が白い頭を狙う。直撃したかに思われたが黄の頭が射線に割り込み自身の体を肥大化させ、受け止めた。衝撃と爆炎の後には無傷の黄の頭が平然と睥睨している。
「盾役か...けど!」
「あぁ、俺には関係ない!ストック解放 解放数2、2節詠唱破棄」
「【オリオン・オルコス】」
一閃
白く輝く矢は、黄の頭の防御など意に介さず白の頭ごと貫いた。
【オリオン・オルコス】俺が使える唯一の魔法、その効果は魔性・獣系に対する防御無視補正だ。あの蠍の様に鉱石による鎧などには効果がないが、目の前のヒュドラの様な防御系の技能や魔法に対して、絶対の強さを持つ。
この隙を逃す訳もなく、俺たちは同時攻撃を仕掛けようとした瞬間
ユエから悲鳴が上がった。
「いやぁああああ!!!」
「ユエ!?」
「弓人!ここは任せろ!」
前線をハジメに任せ、俺は急いでユエの元へ向かう。
そこには、顔を青くし体を震わしているユエがいた。
「ユエ!しっかりしろ!何をされた!」
声をかけても反応しないため、何度も体を揺すり神水を飲ませた。
すると、虚だった目に光が戻り始めた。
「......ユミト?」
「大丈夫か? 一体何された?」
ユエに何があったか聞くと、彼女は先ほどのことを思い出したのか瞳に涙を溜め体を震わせた。
「......よかった......見捨てられたと......また暗闇に一人で......」
「ゆっくりでいい、教えてくれ」
ユエ曰く、突然、強烈な不安感に襲われ気がつけば俺たちに見捨てられて再び封印される光景が広がってしまい、何も考えられなくなり恐怖に縛られて動けなくなったらしい。
「相手にバッドステータスを与える...
「......ユミト....わたし...」
「そんな不安そうな顔をすんなよ、な?」
俺はユエの頭を撫で、笑顔を向ける。
あの植物の層以来、彼女は頭を撫でられるのが気に入っている。
暫く頭を撫でていると、落ち着いてきたのか目を細める。
「俺やハジメがお前を見捨てると思うか?」
「......思わない...」
「だろ?けど不安なら何度でも言ってやるよ、俺は仲間を決して見捨てない。約束だ」
「......約束...」
「あぁ、今はハジメがあいつを食い止めてくれてる。だから俺たちも行こう」
「......んっ!」
俺たちは、戦線に復帰するため走り出す。
「ハジメ!ユエはもう大丈夫だ!あの黒い頭は対象を恐慌状態にするらしい!」
「丁度いい!『シュラーゲン』を使う!ユエ!力を貸してくれ!」
「......任せて!」
いつもよりやる気に溢れているユエ。静かな呟くような口調が崩れ覇気に溢れた応答だ。先程までの不安が根こそぎ吹き飛んだようである。
「『緋槍』!『砲皇』!『凍雨』!」
連続で放たれる魔法、1つ1つがとてつもない破壊力を持ってヒュドラを襲う。
防御を担当する黄の頭、回復を担当する白の頭を失ったヒュドラは黒を除いた頭を前に突き出し魔法を放ち対抗する。
そして、黒の頭はユエに再び恐慌の魔法を使った。
再び不安が込み上げてくる。
けれど、彼女はもう大丈夫だ
あの暗闇から救ってくれた
どこか素直じゃないけど本当は優しい
彼に撫でてもらった頭が熱を持つ
彼との約束が勇気をくれる
「......もう効かない!」
ユエは魔法の手を緩めず、放ち続ける。
そして、ハジメの準備が完了した。
「待たせた!」
彼は50層で開発した新兵器、対物ライフル『シュラーゲン』を脇で挟み標準を定める。
そして、引き金を引いた。
ドガンッ!
ドンナーの比にならない爆発音と共に、電磁加速された弾丸は、ユエの魔法と拮抗していた3つの頭を纏めて吹き飛ばした。
突然の状況に呆然とする黒の頭に向けて、俺は弓を引く。
「ユエを泣かせやがって、ストック解放 解放数1、1節詠唱破棄」
「『我が矢の届かぬ獣はあらじ』」
「【オリオン・オルコス】」
全ての頭は、破壊された。
2人の方に目を向けると、魔法を打ち続けて疲れたのか、その場でへたり込むユエと、ユエに神水を渡しているハジメがいた。
2人の元へ向かおうとした瞬間。
悪寒がした。
反射的にヒュドラの方を見ると、そこには、7つ目の頭を胴体部分から生やして、2人に向けて極光を放とうとしていた。
2人はまだ気づいていない。
そこからは、あまり覚えていない
ただ頭の中にあったのは、『2人を助けないといけない』だけだった
気づいたら2人の前に、立ち塞がり極光をその身で受け止めていた。
不意の出来事に、2人は反応できず。余波により後方へ吹き飛ばされていた。
光が収まると、全身が痛む、意識も朦朧としている。
2人の方に目を向けると、神水を持って俺の方に走ってくる2人がいた。
特に怪我はない様だ。あぁ...
「よかった...」
「弓人!」
「ユミトォ!」
こうして俺の意識は、闇に沈んでいった。
この感じだと、
また3部構成になりそうです