ありふれない月の眷属がいるのは間違っているだろうか 作:クノスペ
「試練を乗り越えよくたどり着いた。私の名はオスカー・オルクス。この迷宮を創った者だ。反逆者と言えばわかるかな?」
黒衣の男...オスカー・オルクスは淡々とした口調で話す。
「ああ、質問は許して欲しい。これはただの記録映像のようなものでね、生憎君の質問には答えられない。だが、この場所にたどり着いた者に世界の真実を知る者として、我々が何のために戦ったのか...メッセージを残したくてね。このような形を取らせてもらった。どうか聞いて欲しい。...我々は反逆者であって反逆者ではないということを」
彼が語った内容は、聖教教会やユエに聞かされた反逆者の話しとは全く異るものだった。
曰く、この世界で起こっている戦争は神の遊戯として作られたものである
そして、それを良しとせず神を伐つべく立ち上がったのが『解放者』である
しかし、反逆を知ったその神の策略により、人間達を巧みに煽動し『反逆者』として追い詰められた
彼ら『7人の解放者』は、各大陸に迷宮を作りそこへ神代の魔法を隠した
全ては、未来の者たちへ託すために。
「君が何者で何の目的でここにたどり着いたのかはわからない。君に神殺しを強要するつもりもない。ただ、知っておいて欲しかった。我々が何のために立ち上がったのか。...君に私の力を授ける。どのように使うも君の自由だ。だが、願わくば悪しき心を満たすためには振るわないで欲しい。話は以上だ。聞いてくれてありがとう。君のこれからが自由な意志の下にあらんことを」
彼は微笑むと、記録映像が止まり消え魔法陣の光も収まった。
「ハジメ...もしかしてあの墓に入れた骨ってのは」
「あぁ、服装からしてオスカー・オルクス本人だろうな」
「そうか...」
俺はオスカーの墓の前へ行くと、目を瞑り黙祷する
彼の想いに、敬意を込めて...
「あと映像の後、頭に何かが侵入してくる感覚があっただろ。その時に神代の魔法『生成魔法』が手に入ってるはずだぜ」
「何のことだ?そんな感覚無かったぞ?」
「は?どういう事だ?」
俺はハジメに急かされ、ステータスカードを見る
だがそこには『生成魔法』という単語は一つもなかった
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三星弓人 Lv.5『ランクアップ可能』
ランクアップ可能理由 : 少人数での迷宮制覇
力: B : 745
耐久: C : 680
器用: B : 725
俊敏: C : 624
魔力: D : 570
頑健: E
対魔力: F
千里眼: F
【魔法】
【オリオン・オルコス】
・弓射魔法
・魔性・獣系に対する防御無視補正
・詠唱式『放たれしは必中、我が矢の届かぬ獣はあらじ』
【アルテミス・アグノス】
・階位昇華
・発動対象は術者本人限定
・発動後、術者本人に反動あり
・詠唱式『我が宿命、月女神に請い願う。』
『肉体に剛力を、精神に冷徹を。』
『そして我が運命をここに定めよう。』
『其は、女神の無垢な加護。』
【】
・対■魔法
・詠唱式『 』
【スキル】
【
・成長する
・想いの強さで自身の能力に補正
・魅了・洗脳の無効
【
・効果範囲内における獣・鳥系の探知及び隠蔽無効
・獣・鳥系に対する攻撃強化
・一部の武器に器用補正
【
・精神力を消費しストック可能(最大3つ)
・発動時ストックの消費量に比例して詠唱式の破棄が可能
・ストックは一定時間で消滅
【
・属性矢作成可能
・作成中における器用補正
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「お!【ランクアップ】可能になってんじゃねぇか!それに【スキル】も増えてる!」
「マジでねぇ...なんでだ?」
「そんなもん俺に言ったって知らん、まぁそもそもステイタスの表記も違ってんだから今更だろ」
「気楽だな...」
【ランクアップ】出来ることに気を良くしている俺を横目にハジメは呆れた目線を向けている
「んで...弓人はあれを見て、どうすんだ?」
「どうするって?」
「解放者たちのために狂った神とやらと戦うか?」
「いや...別に、この世界のためにそこまでしてやるギリないし...けどまぁ、戦うことにはなると思うが...」
「なんでそう思うんだ?」
「ここの神はこの世界を遊戯盤として見てる、その中で駒が勝手に盤上から出ようとするのを見逃すと思うか?」
「......なるほど」
俺の言葉にハジメは納得する。自身の思っていた動きと異なる行動をする駒に対して、俺たちを処分するにしろ、興味を持つにしろ、将来接触する可能性は高い
「俺たちが日本に戻るために行動する以上、狂った神との接触は避けては通れないだろうな...だからあっちから攻撃を仕掛けてくるなら戦うつもりだ」
「そうか...そうだな、俺たちが無視したとして向こうから来る可能性も考えとかないとな...」
「ま、結局俺たちの目的は『地上へ出て故郷へ帰る手段を見つける』で良いな」
「あっ、それなんだが1つ相談がある...地上へ出るのは直ぐじゃなくて良いか?」
理由を聞くと、オスカーが使っていたであろう工房には様々な鉱石、作業道具、理論書があり学ぶことが多いため暫くここを拠点にして以降の迷宮攻略の準備がしたいとのことだ
「ここにある畑の野菜や川にいる魚は弓人が食っても大丈夫だ。だから食糧も問題ない...だから」
「良いんじゃね?」
「たの...え?」
「だから良いんじゃね?食いもんに困らないんなら俺は構わないぜ?」
「お...おう、なら良いんだが...」
あっさりと了承を得て、どこか肩透かしを受けるハジメ
こうして、俺たちは鍛錬と装備の強化、補充を図るためここを拠点にした。
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おまけ(没茶番)
「そういえばユエは?」
「ユエは弓人をここに連れて行く時に『私は一緒にいなくてもいい?』ってことで風呂に行った」
「そうか...ならやることは決まりだな」
「やること?」
「あぁ...ハジメ、覗「待て待て待て待て」
「なんで止めるんだよ、ハジメ」
「いやいきなり親友が犯罪行為に走ろうとしたら止めるだろ」
「.....ハジメ、神ゼウスは言った...『覗きは男の浪漫』だと」
「あの下半神なら言いかねんがそんなセリフはねぇ!!!...よな?」
今回の神代魔法について私の解釈が入ります
あの魔法を与えるのって一種の『魔道書による魔法の発現』みたいだなと思ったので、ここでは、『彼の魔法スロットが埋まってるせいで魔法が手に入らない』という設定にしました。
けれどダンまちであった『下界の子は変わりやすい』という部分から生成魔法を参考にして彼に付きそうやスキルを増やしました。