ありふれない月の眷属がいるのは間違っているだろうか 作:クノスペ
帝国兵殺ってるときの主人公の表情は
金カムの殺る気スイッチ入って目のハイライトが消えてる杉本をイメージしてくれたらわかりやすいかもです。
本編です
七大迷宮の一つにして、深部に亜人族の国フェアベルゲンを抱える【ハルツィナ樹海】を前方に見据え一行はそれなりに早いペースで進んでいた。
馬車のうち、バイクに牽引させているものにはハジメが、馬に引かせているものは兎人族が走らせている。
俺は、馬車から少し後方の位置でバイクを走らせている。
「......ユミト...大丈夫?」
「......」
俺の後ろに乗っていたユエが心配そうに尋ねる。ハジメの方に行くように言ったのだが離れようとしない。
恐らく、帝国兵を殺したことに参っていると思っているのだろう。
「...本当は、ハジメに人殺しをして欲しくなかった」
「......ん」
「俺とは違って、あいつの手は汚れてなかった...」
「......ん」
「だから...俺みたいな人の形をした『ナニカ』になって欲しくないんだ...」
「......大丈夫」
そう言ってユエは後ろから抱きつくように腕を俺の首に回す。
そして、優しく話しかけてくる。
「......ユミトはそんなのじゃないよ。だって...とっても優しいから」
「俺は...そんなできた人間じゃない」
「......ユミトは私を助けてくれた」
「けど最初は損得感情からだ...それに封印を解いたのはハジメだ」
「......けど、ユミトがいなかったら助からなかったかもしれない」
「それはねぇよ...なんだかんだハジメは助けた」
「......それでも、私はユミトに救われた。それはきっと...ハジメも同じ」
ユエの抱きつく力が強まり、声が震えている。
表情は見えないが、恐らく涙を流しているのだろう。
「......だから...自分を悪くいうのはやめて...」
「ユエ...」
「......ハジメだけじゃない...ユミトも
「ありがとう...」
俺とユエはそれ以降言葉を交わさなかった。けれど、俺の心は軽くなった。
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そして、俺たちは【ハルツィナ樹海】と平原の境界に到着した。
バイクから降りてハジメの所に近づくと、そこには涙を流しているシアと溜息を吐いているハジメがいた。
「...何があったんだ?お前ら...」
「いや...まぁ俺らのこと知りたいって言うから身の上話をしてたら...」
「うぇ、ぐすっ...ひどい、ひどすぎまずぅ~」
「あぁ...なるほどな」
「......よしよし」
「ユエさ〜ん...うぇ〜ん」
「あ、あの皆様...そろそろ案内をしたいのですが...」
そんなこともありながら、俺たちは樹海へと足を踏み入れた。
しばらく、道なき道を進む。道中魔物が襲ってきたが、奈落の魔物に比べたら格段に弱い。おそらく【オルクス大迷宮】と同じく、この先に本当の迷宮があるのだろう。
樹海に入って数時間が過ぎた頃、今までにない無数の気配に囲まれた。数も殺気も、今までの魔物とは比べ物にならない。
兎人族たちは、何かを掴んだのか苦虫を噛み潰したような表情を見せた。シアに至っては、その顔を青ざめさせている。
その正体は...
「お前達...何故人間といる!種族と族名を名乗れ!」
虎の亜人であった。樹海の中で人間族と亜人族が共に歩いているという普通では考えられない場面を見て、その顔を怒りに染め上げている。
他にも、姿は見せないが周囲にも数十人の亜人が殺気を滾らせながら包囲網を敷いているようだ。
「あ、あの私達は...」
カムが弁明しようと口を開くが、虎の亜人の視線がシアを捉え、その眼が大きく見開かれる。
「白い髪の兎人族...貴様ら...報告のあったハウリア族か...亜人族の面汚し共め!長年、同胞を騙し続け、忌み子を匿うだけでなく、今度は人間族を招き入れるとは!反逆罪だ!もはや弁明など聞く必要もない!全員この場で処刑する! 総員かッ!?」
ドパンッ!!
虎の亜人が問答無用で攻撃命令を下そうとしたその瞬間、乾いた破裂音と共に、弾丸が背後の樹を抉り飛ばし樹海の奥へと消えていった。
「今の攻撃は、一瞬で数十発単位で連射出来る。隣にいるこいつも、弓で同じようなことができるし、周囲を囲んでいるヤツらも全て把握している。お前等がいる場所は、既に俺たちのキルゾーンだ」
『威圧』と共に警告するハジメ、見たことのない武器に虎の亜人たちは一歩も動けない。
「戦うというなら容赦はしない、だがこの場を引くというのなら追いもしない。選べ、戦って全滅か、このまま撤退するか」
「...その前に、一つ聞きたい...何が目的だ」
それは、一種の覚悟の表れだ。俺たちの理由によっては死ぬとしても戦うことを選ぶのだろう。『威圧』しているハジメの代わりに、俺が質問に答える。
「樹海の深部、大樹の下へ行きたい」
「大樹の下へ...だと?何のために?」
「そこに、本当の大迷宮への入口があるかもしれない。俺たちは七大迷宮の攻略を目指して旅をしている」
「本当の迷宮? 何を言っている?七大迷宮は樹海そのものだ。一度踏み込んだが最後、亜人以外には決して進むことも帰る事も叶わない天然の迷宮だ」
「いや、それはおかしい。それにしてはここの魔物は弱すぎる」
「弱い?」
断言する俺に、訝しげな表情を浮かべる虎の亜人。
「大迷宮の魔物ってのは、どいつもこいつも化物揃いだ。少なくとも【オルクス大迷宮】の奈落はそうだった。それに...」
「なんだ?」
「大迷宮というのは、『解放者』達が残した試練だ。亜人族は簡単に深部へ行けるんだろ?それだと試練になってない。だから、樹海自体が大迷宮ってのはおかしいと思ってな」
「......」
俺の話を聞き終わり、虎の亜人は困惑の表情を浮かべていた。恐らく、自身の知っている内容と異なることが信じられないのであろう。
しかし、俺たちの言ったことも戯言だと切り捨てられない。優位に立っている俺たちが出鱈目を言う必要がないことを理解しているからだ。
しばらく沈黙が続いた後、虎の亜人が口を開いた。
「...お前が、国や同胞に危害を加えないというなら、大樹の下へ行くくらいは構わないと、俺は判断する。だが、一警備隊長の私ごときが独断で下していい判断ではない。本国に指示を仰ぎたい...長老なら...何か知ってるかもしれない」
「さっきの言葉、曲解せずにちゃんと伝えてくれよ?」
「無論だ。ザム!聞こえていたな!長老方に余さず伝えろ!」
「了解!」
「じゃあ...ハジメも『威圧』解いてくれ」
「分かった」
しばらく待っていると、霧の奥から数人の新たな亜人達が現れた。
「私は、アルフレリック・ハイピスト。フェアベルゲンの長老の座を一つ預からせてもらっている。さて、お前さんの要求は聞いているのだが...その前に聞かせてもらいたい。『解放者』とは何処で知った?」
どうやら、すんなりと事が運びそうにはなさそうだ。
いや違うんすよ...
なんか気づいたあんな文章ができてたんすよ...
オニイサンユルシテ