ありふれない月の眷属がいるのは間違っているだろうか 作:クノスペ
原作ユエ → 毒舌、クーデレ、合法ロリ
この作品のユエ → 天然クーデレ、甘えん坊、合法ロリ
...私の性癖には合っていますね
ごめんなさい本編です
ミレディ・ライセンの迷宮はオルクスの迷宮に比べて厄介な代物だ。
魔法の分解作用のせいでユエにはかなりの負担がかかり、ハジメも『空力』や『風爪』といった体の外部に魔力を形成・放出するタイプの固有魔法は全て使用不可となっており、『纏雷』も出力が落ちドンナーといった兵器全般の出力が低下している。
俺の魔法は、この世界の仕組みから外れているため分解される心配はない。だが現状、魔物の気配がないため『オリオン・オルコス』の出番はなく、『アルテミス・アグノス』は反動があるため実質魔法が使えないようなものだ。
更には、この迷宮はまるでブロックを適当に配置したような構造になっており1階の階段を登れば3階に到着したり、2階からの通路の先はただの壁だったりと法則性がない。
「こいつはマッピングするにしても骨が折れるな」
「......ん、迷いそう」
「えっと...ハジメさんたちが攻略した迷宮もこんな感じだったんですか?」
迷宮攻略が初めてのシアは、疑問をぶつけてくる。それに対してハジメは少し思い出しながら答えた。
「いや...【オルクス大迷宮】の時はシンプルな階層別になっていたな。」
「へぇ〜。やっぱり迷宮によって違うんですかね?」
「まぁ解放者が作ったんだから、製作者の性格が出るんじゃねぇのか?」
「よし、現時点のマッピングが終わった。ハジメ、『マーキング』頼む」
「あいよ」
俺が頼んだ『マーキング』とは、ハジメがもつ【追跡】のことだ。
こいつは、ハジメが触れた位置を魔力で『マーキング』することでその場所や触れた生物や物質の位置を特定することができる。こいつは魔力を直接添付しているので、分解作用も及ばず効果があるようだ。
ハジメの『マーキング』も完了して、俺たちは先へ進む。
進んだ先は通路になっており、壁自体が薄く発光していたため。明かりなしでも問題ない。
ハジメが鉱物鑑定をするため前に出ようとした瞬間、俺は咄嗟にハジメの肩を掴んでいた。
「ん?弓人、どうしたんだ?」
「いや...何か嫌な予感がしてな...」
「とか言っても別に...ん?」
ハジメが周囲を見渡していると、自身の足元にあるブロックに違和感を感じた。
綺麗に敷き詰められているブロックの床で、これだけに小さな隙間がある。
「このモノクルに反応しないってことは魔法系じゃない...だとすると」
「踏んで作動する物理系の罠だな」
俺の言葉にハジメは後ろへ下がりそのブロックを踏まないようにする。起動してみるのも一興かもしれないが、その瞬間即死の罠だとしたら笑えない。
「......ユミト、何でわかったの?」
「分かったってより、【直感】だな。おそらく、俺の【発展スキル】の影響だな」
俺が【ランクアップ】した際手に入れた【直感】の効果は、文字通り勘が良くなるものだ。単品だとそこまでだが、前世の経験則と合わせることで予知に近い動きが取れたりする。
「ここからは、こういうタイプの罠にも警戒しながら移動しよう。俺の【直感】も万能じゃないからな」
「了解」
「......ん」
「です!」
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「って!言ったそばからこれかよおおおおおおおおお!!!!」
「シアあああ!!!!お前気をつけろって弓人に言われただろうがああああ!!!!」
「ごめんなさいいいいいいいいいい!!!!」
現在、俺たちは坂を滑り落ちている。理由は叫んでいる通り、シアが罠を起動してしまったからだ。ハジメが坂を『錬成』しようにも分解されてしまう。
「シア!ドリュッケンの杭を打ち付けろ!」
「は、はい!...ってハジメさん!道が!?」
シアが背中の固定具からドリュッケンを外そうと手を回した直後、前方を見たシアが焦燥に駆られた声をあげる。
俺たちはそれだけで悟った。この滑落の果てに、どこかに放り出されるのだろうと。
「このままじゃ...ってきゃっ!ハジメさん!?」
「しっかり捕まってろよ!弓人!そっちはユエを頼む!」
「分かった!ユエ!俺にしがみつけ!」
「ん!」
ハジメはシアを抱き寄せ、ユエは俺に抱きつくようにしがみつく。その瞬間、俺たちに浮遊感が襲い、真下が剣山の部屋へと投げ出された。
ハジメは義手からワイヤーの付いたアンカーを射出し天井に突き刺す。そして、ターザンの要領で投げ出された穴とは反対方向にある横穴へと着地する。
「弓人!手を!」
ハジメは俺たちの方へ向き、手を伸ばす。しかし距離が離れ過ぎており届きそうにない。
「くそ!ならもう一回こいつで...」
「来るな!俺たちなら大丈夫だ!」
ワイヤーアンカーでこっちへ来ようとするハジメを止め。俺は弓と
「一気に衝撃が来るからしっかり捕まってろよ!ユエ!」
「ん!ユミトを信じる!」
「いくぜぇ!『シエラ』!!!」
矢が放たれると同時に、突風が巻き起こる。その反動により、狙い通り俺たちは横穴へと飛ばされる。
俺はユエに衝撃が来ないように抱きしめて、背中から横穴に着地した。
「いてて、けど上手くいったな」
「......ユミト、大丈夫?」
「あぁ、ユエも怪我してないか?」
「......ん、ユミトのおかげ」
「そいつは良かった」
俺たちがそんなことを話していると、血相を変えたハジメとシアがこっちへ近づいてきた。
「2人とも大丈夫か!?」
「ごめんなざいいいいい!!!わだじがドジなぜいでええええ!!!」
「大丈夫だ、ピンピンしてるぜ。な?ユエ」
「......ん、だからシアも泣かないで」
ユエは俺から離れてシアの頭を撫でて慰める。俺たちの反応に安心したのかハジメはため息を漏らすと、俺に質問をしてきた。
「なら良かった...けど弓人、あの矢はなんだ?少なくとも俺は作った覚えがないんだが」
「あぁ、あれは俺のスキルで作った矢だ」
俺が新たに手に入れたスキル【
オラリオには『魔剣』といわれるものがある。魔法が込められた剣であり、振るうことでその魔法を放つことができる。
「その『魔剣』の亜種、つまり『魔法の矢』を作り出すことができるのが俺の【スキル】だ」
「あれは風魔法が込められてたって訳か」
「そゆこと、『魔剣』とは違って1回切りだがその分威力はなかなかなもんだぜ」
「そういうのは教えてくれよ...」
「ははっ、すまんすまん」
俺が笑って謝っていると、泣き止んだが落ち込んでいるシアを連れてユエがこちらに戻ってくる。
「うぅ...私の『未来視』が何度でも使えたらこんなことにならなかったのに...」
「けど、練習してんだろ?いつかできるようになるさ」
「ハジメさん...はい!私頑張ります!」
ハジメの言葉に、落ち込んでいたシアも気を取り戻せたようだ。
攻略は、まだ始まったばかりだ。
シエラ : ギリシャ語で『暴風、嵐』を意味する単語です