ありふれない月の眷属がいるのは間違っているだろうか 作:クノスペ
スプラ3でウデマエAまで行きました。とりあえず言いたいことは...
人が潜伏している時にジャンプしてくんじゃねぇよ!
本編です
あの横穴を進んだ後、どこか見覚えのある部屋に到着した。そこには、見覚えのある石板にこう書かれていた。
『ねぇ?今どんな気持ち?』
『お察しの通りここはスタート地点でーす!』
『苦労して進んだ先が最初の場所ってどんな気持ち?』
『あ、戻ろうとしても無駄だよ!』
『この迷宮の部屋は一定時間ごとに変化するから!』
つまり、俺のマッピングが現時点を持って無駄なものとなってしまった。しかし怒りは湧いてこない。その理由は隣に冷たい雰囲気を出しているユエがいるせいで、かえって冷静になったからだ。
「なぁ...大丈夫か?ユエ...」
「......ユミトが頑張って作ってたものを...こいつは...」
「いや...怒ってくれるのは嬉しいんだけど俺は気にしてないから...な?」
俺はユエを宥めながらハジメの方を向くと、あっちはあっちで忙しそうだ。
「うえええええええ!!!私がドジしたせいでえええええええ!!!」
「い、いや...シアのせいじゃないから...な?」
「でも私が罠に引っ掛からなかったらああああああ!!!」
「どうせ、こいつの性格のことだ。結局何回も戻されるだろうし...だから泣かないでくれよ...」
どうやら自分のせいだと責めてしまいないているシアを、ハジメは困った様子で慰めている。
暫くして、2人が落ち着いたのを...ユエは未だに機嫌が悪いが、確認して俺とハジメはこれからの攻略について話し合う。
「弓人、これからどう攻略していく?」
「どう...つってもなぁ...マッピングはもう使えねぇし...ん?」
「どうした?」
「ハジメ、『マーキング』の反応はどうなってる?」
「そんなもん...」
ハジメは「なくなってる」と言おうとするが言葉が止まり、暫く色々な方向を向いた後、困惑した表情で話しかけてきた。
「...ある。位置は滅茶苦茶だけど...」
「よし、変化するって言っても『部屋の位置を組み替える』タイプか」
「で、『マーキング』は残ってるけどどうするつもりなんだよ」
「こうする」
俺は、マッピングに使っていた羊皮紙をナイフで切り始める。ある程度切ったところで、ハジメに『マーキング』までの距離を聞きながら地面に並べる。
「こんな風に『マーキング』の位置に並べればいい。そうすりゃここの迷宮構造が次第に分かる様になる」
「なるほどな...俺たちは行ったことのない部分を目指せば良いってことか」
「そゆこと、だから俺のやったことは無駄にはなってねぇよ」
「.........ん、良かった」
ユエの頭を撫でながらそう言うと、ようやくユエの機嫌が直ったようだ。俺たちは迷宮攻略を再開する。
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迷宮攻略を再開して、約1週間ほど経過した。
スタート地点には7回戻されたが、『マーキング』した部屋も増えているため、ある程度この迷宮構造は予測できるようになった。
オルクス大迷宮の時とは違い、食糧は潤沢にあるため。時間は気にしなくて良いのはありがたい。
そして俺たちは、1週間探索して1度も訪れたことのない部屋へとたどり着いた。そこは、大量の騎士の鎧があり部屋の奥は大きな通路になっている。
「あの騎士...絶対動くよな」
「動くだろうなぁ...ならやることは1つ」
俺たちは飛び出し、騎士の鎧に向かって攻撃する。騎士たちは俺たちに反応して襲い掛かってきた。
ハジメは、ドンナーで打ち抜く
ユエは、水の刃で切り裂く
シアは、ドリュッケンで叩き潰す
俺はハジメに作ってもらったガントレットを装備し、拳で粉砕する
「くそ!キリがねぇ!」
「ハジメ!こいつらの核はどこだ!」
「それが見当たらねぇ!おそらく操ってる本体がどこかにいる!」
ゴーレムの核は、自立行動させる際必要で操るのには必要ないらしい。ここにいるゴーレムたちは操られており、俺たちが破壊しても即座に回復してくるためキリがない。
「仕方ねぇ...全員耳を塞げ!強行突破する!」
「ええええ!何ですかそれ!?」
十二連式ロケット&ミサイルランチャー『オルカン』を取り出し、耳を塞いでいないシアを無視して引き金を引く。
バシュウウ!
そんな音と共に、後方に火花の尾を引きながらロケット弾が発射され、狙い違わず隊列を組んで待ち構えるゴーレム騎士に直撃した。
次の瞬間、轟音、そして大爆発が発生する。ゴーレムの集団は、直撃を受けた場所を中心に両サイドの壁や天井に激しく叩きつけられ、原型をとどめないほどに破壊されている。再構築にもしばらく時間がかかるだろう。
俺たちは一気にゴーレムの残骸を飛び越えて行く。
「ウサミミがぁ~、私のウサミミがぁ~!!」
「だから耳を塞げって言っただろ」
「え、何ですか?」
「もういい...行くぞ」
ハジメは未だ聴力が戻らないシアの手を取り、俺たちは通路の奥へと走っていく。通路の先は、巨大な空間が広がっているようだ。道自体は途切れており、十メートルほど先に正方形の足場が見える。
「一気に飛ぶぞ!」
俺たちは足場に飛び乗る。しかし、その足場は俺たちに乗られるのを嫌うように遠のいていく。
「なっ...」
「もうだめですううううう」
この迷宮に来てから何度目かの叫びを上げるシア。目測が狂いこのままでは落下する。その瞬間、ユエの声が響いた。
「『来翔』!」
風の魔法により、一瞬だけ俺たちを浮かせる。しかし、その一瞬がなによりもありがたかった。
「ユミト!」
「任せろ!『シエラ』!」
翠の矢を放ち、突風が巻き起こる。反動が俺たちを襲い、足場に着地することが出来た。
「ナ、ナイスだ。ユエ...弓人」
「ユエさん、ユミトさん流石ですぅ!」
「......もっと褒めて」
「助かった。ユエのおかげだ」
「......ん、ユミトのおかげでもある」
和やかな空気に包まれていると、【直感】が今までにないレベルの危険信号を送ってきた。そして、シアも鬼気迫る表情を浮かべ叫ぶ
「逃げてぇ!」
ハジメとユエも、何が? と問い返すこともなく、シアの警告に瞬時に反応し弾かれた様に飛び退いた。運良く、ちょうど数メートル先に他のブロックが通りかかったので、それを目指して現在立っているブロックを離脱する。
直後、
隕石が落下してきたのかと錯覚するような衝撃が今の今まで俺たちがいたブロックを直撃し木っ端微塵に爆砕した。隕石というのはあながち間違った表現ではないだろう。赤熱化する巨大な何かが落下してきて、ブロックを破壊すると勢いそのままに通り過ぎていったのだ。
「シア、助かったぜ。ありがとよ」
「......ん、お手柄」
「えへへ、『未来視』が発動して良かったです。代わりに魔力をごっそり持って行かれましたけど...」
俺たちは、ブロックの淵から下を覗く。と、下の方で何かが動いたかと思うと猛烈な勢いで上昇してきた。それは瞬く間に俺たちの頭上に出ると、その場に留まり光る眼光をもって睥睨した。
「こいつが操っていた本体か...」
「デカすぎんだろ...」
辺りに静寂が満ち、まさに一触即発の状況。動いた瞬間、そんな張り詰めた空気を破ったのは
ゴーレムのふざけた挨拶だった。
「やほ~、はじめまして~、みんな大好きミレディ・ライセンだよぉ~」
「「「「......は?」」」」
申し訳ございません
完全に予約設定を間違えていました。