ありふれない月の眷属がいるのは間違っているだろうか   作:クノスペ

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いよいよミレディ戦も終わりを迎えてきましたね。


34星:迷宮最後の試練【下弦】

 

「さぁ、最終ラウンドと行こうか」

 

 【アルテミス・アグノス】が間に合い。無事ブロックの山から出ることができた俺に、ミレディは驚愕の声を上げる

 

「はぁ!?え!?何その光!?」

「俺の魔法だ。内容は企業秘密ってことで」

「魔法ぅ!?そんな魔法見たことも聞いたこともないんだけど!」

「ま、この世界にはない魔法だからな...そんなことより」

 

 俺はハジメたちがいる場所へ跳ぶ。ランクアップの影響もありヒュドラの時とは比にならないスピードで瞬時に到着した。

 

「ユミトさんなんで光ってるんですか!?」

「それはな...シア」

「......偉大な男というものは輝いて見えるもの」

「そういうことだ」

「え...本当にどういうことですか...?」

「お前ら茶番は良いからやるぞ!」

 

 ミレディの方を見ると、彼女は既に修復を完了しており。更に配下のゴーレムたちも従えている状態であった。

 

「ごめんね、君たちのことを侮ってたよ。だから私も文字通り全身全霊をかけて迎え撃つ」

「今までは本気じゃなかったと?」

「いや、本気だったよ...けどそれだけじゃ君たちには勝てそうにない」

 

 すると、ミレディの周囲に待機していたゴーレムたちが分解されていく。そして、粒子となったゴーレムたちはミレディを覆うように集まっていく。

 

 そして、漆黒の鎧がミレディを覆った。

 

「これが私の奥の手、あのゴーレムたちを圧縮させたアザンチウムにも引けを取らない鎧」

「更に今までゴーレム操作に使っていた魔力も自身の為に使えるって訳か」

「その通り、更に元々付けているアザンチウムの装甲による三重防御を君たちは突破できるかな?」

 

 ミレディの言葉に、俺たちは鼻で笑い答える。

 

「愚問だな」

「1人なら不可能かもしれませんが」

「......私たちなら勝てる」

「最後の勝負だ、ミレディ・ライセン!」

「そっか...ふふっ。君たち最高だよ!さぁ、決着を付けよう!」

 

 その言葉と共に、ミレディは全力の右ストレートを俺たちにぶつけようとする。ゴーレムたちを操っていた分の魔力が攻撃に利用されているのか今までよりも速度が桁違いに上がっている。

 

「もう一度俺がやる!」

「待て弓人!ここは俺が迎え撃つ!」

 

 その言葉と共にハジメは新たな兵器『パイルバンカー』を取り出しミレディの拳に合わせるように叩き込む。ぶつかり合った衝撃と共にパイルバンカーの先から漆黒の杭が飛び出そうとする。

 

「なるほど...確かに良い武器だ!けど、私の方が一枚上手だよ!」

「何!?」

 

 杭がミレディの拳に刺さるかに思った瞬間、ハジメは突如後方へ飛ばされた。

 おそらく、今まで使ってきた固有魔法の応用なのだろう。ハジメは落下しそうになるが間一髪アンカーを近くの足場に設置して復帰する。

 

「けど...これで隙ができた!」

「俺に任せなぁ!」

 

 俺はミレディの体を移動しながら、各関節部分に1撃叩き込む。強化された俺の攻撃に、黒い装甲が軋み破片が飛び散る。

 

「この鎧を砕くなんて...けど!まだ2つ目の装甲が残ってる!」

「それに対しても対策はできている。俺が殴った場所を見てみな」

 

 ミレディは反射的に俺が殴った部位を見る。そこには破損した箇所1つ1つに蒼色の矢が突き刺さっていた

 

「これは...けど色が違う!?」

「俺からのプレゼントだ『プリミラ』!」

 

 俺が矢の名を叫ぶと、刺さっていた矢から大量の水が放出された。水はミレディの全身を覆うように流れるが、大したダメージにはなっていない

 

「まさか風魔法以外にもあるとはね...けど、こんなのじゃ私は倒せないよ!」

「あぁ、知ってるさ。だから...」

「......私の出番『凍柩』!」

 

 跳躍したユエが、ミレディに魔法を放つ。ミレディの全身は即座に凍りつき。近くに浮遊していた足場へ墜落する。

 

「なっ!?何で上級魔法が!?」

「......ユミトが水を出してくれたお陰...それでも魔力のほとんどを使ったけど」

「なるほど考えたね!けどこの程度ならすぐ壊せる!」

 

 ミレディは無理矢理体を動かそうとする。表面の氷が所々がひび割れ始め動けるようになるのも時間の問題だろう。

 

 だが、後はあいつらの仕事だ。

 

「やっちまえ!ハジメ!」

「うおおおおおおおおおお!!!!」

 

 上空から、パイルバンカーを手にしたハジメがミレディ目掛けて落ちて行く。そして、ミレディの核がある心臓の部分へパイルバンカーを叩き込んだ。

 

「ぐぬぅぅぅぅぅ!!!」

 

 そしてミレディはまだ凍っている左手を無理矢理持ち上げ、ハジメを目掛けて殴りかかる。ハジメには直撃はしなかったもののパイルバンカーに拳が当たったため。杭を残した状態で完全に破壊されてしまった。

 

「まだだ!シア!」

「やああああああああ!!!!!」

 

 シアはミレディに突き刺さったままの杭目掛けてドリュッケンを叩きつける。

 杭を叩きつけたことで甲高い音が空間を響かせる。杭が深く食い込むが、まだ止めには至らない。

 

「1回で駄目なら...何回だって!」

「そう何度もさせないよ!!!」

 

 ミレディは再び固有魔法でシアを吹き飛ばそうとする。シアは懸命に堪えるが、ついに上空へ投げ飛ばされてしまう。

 

 その瞬間

 

「シア!手を!」

「ハジメさん!」

 

 ミレディにアンカーを設置したハジメがシアの下へと飛び込んだ。そしてシアの手を取り抱き寄せるとミレディの下までワイアーを巻き取り着地する。

 そして、シアとハジメは再び投げ飛ばされないよう懸命に耐えながら2人でドリュッケンを握り振りかぶる。

 

 そして

 

「「はあああああああああ!!!!!」」

「負けたあああああ!!!ちくしょおおおおお!!!」

 

 ドリュッケンを叩き込みミレディの核を破壊した。

 





プリミラ: ギリシャ語で『洪水』を意味する言葉です。

ミレディが使ってた吹き飛ばしはNARUTOのペイン天道が使ってた神羅天征をイメージしてください。

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