ありふれない月の眷属がいるのは間違っているだろうか 作:クノスペ
辺りに粉塵が舞い、地面にはヒビが幾筋も刻まれている。激突した足場が大きなクレーターを作っており、その上に胸部から漆黒の杭を生やしたミレディが横たわっていた。
「ハァ...ハァ...っ、ハジメさん!」
「あぁ、俺たちの勝ちだ」
ミレディの上で、肩で息するシアとそれを支えているハジメの下に歩み寄る。そして、俺の魔法が切れたのか次第に光が収まっていった。
「いてて...ランクアップしてもまだ反動ありか」
「......ユミト大丈夫?」
「あぁ、痛みはするが動けないってほどじゃないからな」
心配してくるユエを安心させるように頭を撫でていると気持ちよさそうに目を細めている。そしてハジメの方を見ると、ハジメもシアの頭を撫でていた。
「え?ハジメさん...これって」
「約束だからな...終わったら褒めるって。ありがとなシア。お前がいてくれたお陰で俺たちは勝てた」
「......ふぇ」
「ふぇ?」
「ふぇえええええええええん!!!!」
最初は呆然としていたシアが突如大声をあげながら泣き始める。ハジメは嫌がる事をしてしまったのではないかと混乱してしまう。
「シア!?えっと...もしかして嫌だったか!?いっつも弓人がユエにしてるみたいにしたんだが...」
「違うんです...嬉しかったです。けど...こわかったよおおおおおおお!!!私もう死んじゃうかってええええ!!!」
当然だろう。彼女にとって初めての旅がいきなり七大迷宮の攻略なのだ。罠にかかった時も自身を責めていたこともあり、明るく振る舞っていても実際はギリギリだったのであろう。
「そうだよな...いきなり七大迷宮の攻略だから色々と堪えるよな」
「ぐすっ...私本当に怖かったんだからね!」
「すまん...ってシア、お前口調が」
「え...あ!すみません!つい素が出てしまって...」
「いや...それは別に良いんだけど」
普段礼儀正しい彼女の素のギャップを見て、ハジメは頬を染めて頭を掻いている。すると、倒されたはずのミレディの目が光り喋り始めた。
「あははは...本気の本気でやったのに負けちゃったかぁ...」
「っ!シア!」
「は、はい!」
「構えなくて良いよ...もう動かないし、もうじきこの機体の活動も終了するから」
「......ミレディ、死んじゃうの?」
「もしかして、心配してくれるの?」
「......ん、ひとりぼっちの辛さは...私も知ってる」
「そっか...ありがとね、けど大丈夫この先の部屋にあるもう一つの機体に魂を移動させるから」
「魂の移動?それも神代魔法の1つか?」
「それについても、先の部屋で話すよ。」
その言葉と共に、ミレディ...ゴーレムの光が消える。すると、何処からか足場が飛んできて俺たちの前で停止する。俺たちがその足場に移ると、再び移動を開始した。
そして、しばらく移動をしているとオスカー・オルクスの住処にもあった七つの文様と同じものが描かれた壁があった。そこへ近づくと、壁がひとりでに移動してその先には
「やっほー、さっきぶり! ミレディちゃんだよ!」
随分可愛らしいゴーレムに魂を移したミレディがいた。
「......可愛い」
「ありがと!これ結構お気に入りだから嬉しいねぇ!」
「......抱きついても?」
「どうぞ!」
そのゴーレムの見た目を気に入ったユエがミレディに抱きつく。ミレディも久々の人とのふれあいのせいか嫌がるそぶりがない。
「それと、攻略した君たちにこの迷宮の神代魔法を授けるね!」
「話が早くて助かる。どうやったら貰えるんだ?」
「良い質問だね白髪くん!その方法はこの魔法陣の中に入ってくれたまえ!」
「オルクスの時と同じか」
「そゆこと!じゃあいくね〜」
ミレディが両手を広げると、足元の魔法陣が輝き始める。オスカー・オルクスの時と違って記憶を探られるようなことは無いらしい。直接脳に神代魔法の知識や使用方法が刻まれていく経験が初めてのシアは体を跳ねさせていた。
「多分みんな勘付いていると思うけど私の神代魔法は『重力魔法』!上手く使ってね...って言いたいんだけど...う〜ん?」
「どうした?俺の方を見て」
「いや...なんでか君には授けることができなかったんだよねぇ...なんでだろ?」
「オルクスの時もそうだったから気にしなくて良い」
ミレディはしばらく首を捻っていたが「ま、いっか!」と切り替えて今度はハジメたちの方へ向く。
「君たちは問題なく渡せたから大丈夫だよ!この中だと金髪ちゃんだけが適正あるね!」
「......ミレディみたいに使える?」
「もっちろん!白髪くんはびっくりするくらい適正なし!ウサギちゃんは...体重の増減くらいはできるかな?」
「本当ですか!」
「う...うん、えらい食いつき良いなこの子」
やはり、女性的には体重は気になるらしい...体重が変化できても体型が変わらないことは伝えるべきだろうか。そんな事を考えていると
「なぁミレディ、攻略の証をくれないか?俺たちは故郷に少しでも早く帰りたい...だから他の迷宮攻略にすぐにでも行きたいんだ」
「あっ...そ、そうだよね!ごめんごめん、これがここの証だよ!」
ミレディは一瞬表情を暗くしたかに思ったら、すぐさまいつもの陽気な雰囲気に戻った。そして自身の懐から指輪を取り出すと、それを俺たちに渡す。
「......ユミト」
「ユエ...そうだな」
ミレディから離れ、俺に対して何処か訴えるような視線を向けるユエに、俺はユエの頭を撫でながらハジメに話しかける。
「なぁハジメ、ちょっとここで休んでいかないか?」
「弓人? どうしてだ?」
「いやぁ、さっきの魔法の反動で今全身筋肉痛なんだよ。それにユエもさっきの戦いで魔力のほとんど使っちまったからさ。ミレディ、ここで休んで行ってもいいか?」
「え、いいけど...」
「後、休んでいる間俺たちの話し相手になってくれよ」
「えっ...」
「言っただろ?話し合いでも構わないって。それこそ、喉が枯れるまでな?」
「〜〜〜! うん!」
こうして俺たちは、さまざまな事を話した。俺たちの世界の話から、他愛無い話まで。その時のミレディはとても楽しそうであった。
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「いやぁ!こんなに楽しいのは久しぶりだよぉ!」
「なぁミレディ、こんなに鉱石貰っても良いのか?」
「当然!ハジメの武器を壊しちゃったからそのお詫びって事で!」
「なら、ありがたく受け取っておくよ」
そう言ってハジメは、ミレディから『感応石』を始めとした様々な鉱石を受け取り、宝物庫へしまっていく。
「弓人、筋肉痛はもう大丈夫か?」
「あぁ、大分落ち着いた。ユエももう行けそうだな」
「......ん、完全回復」
「そっか...あのさ、1つ我儘を言ってもいいかな?」
どこか遠慮しているミレディが、俯きながら呟くように言った。
「今度ここを通った時...遊びに来てほしいな〜、なんて...」
「ん?良いぞ別に」
「あはは、やっぱり無理だよねって......良いの?」
「俺たちが来る時に、すぐにここへ行けるようになってればな」
「そ、それは大丈夫!その証があったら直通ルートに繋がるようになってるから!」
「なら、問題ねぇよ」
「けど...なんで?」
断られると思っていたのか、心底不思議そうに聞いてくるミレディ。それに答えたのはユエであった。
「......友達だから」
「ユエ...」
「......また抱きつきに来るね」
「ぐす...うん!」
ゴーレムのため涙は流れていないが。ミレディは感極まってユエに抱きつく。ユエはそれを受け止めミレディの頭を撫でている。
「んじゃ、ちょっと行ってくるわ」
「気をつけてね、あのくそったれは絶対君たちの下へ来る。あいつはそんな奴だ」
「忠告ありがとな...で、ここからはどうやって外へ出るんだ?」
「............あっ...えっとぉ、怒らない?」
「なんで怒ることになるんだ?」
ミレディは目線を泳がせ、とても言いづらそうに口を開ける。
「いや...ね、ここの外に出る方法って...侵入者を追い出すのもかねてて...」
「おいミレディ...それって」
「はい...ユミトの想像してる通りです」
そう言ってミレディは、いつの間にか天井から垂れていた紐を引っ張る。
その瞬間
俺たちの足元に穴が開き、壁から大量の水が流れ込んできた。
「ミレディ!てめぇ!」
「ごめえええええん!!!今度来た時にはちゃんとした帰り道用意するから許してええええ!!!」
紐にぶら下がりながら、叫ぶように謝罪するミレディに。俺たちはため息を吐きこのまま激流に身を任せる。すると、何かに引っ張られる感覚が俺たちを襲う。
「お詫びと言ってはあれだけど...私からのプレゼント!」
「きゃあ!」
「シア!...ってぶほ!」
「......きゃー」
「おっと、ユエ大丈夫か?」
ユエは俺の、そしてハジメはシアの胸元に飛び込むように引き寄せられてしまう。
「外に出るまでは続くようにしてるから存分に堪能してって!」
「ミレディ、ナイスです!」
「......グッジョブ」
「もがかがが!」
ハジメは顔を真っ赤に染め、抗議しようとするが。シアが全力でホールドして抜け出せない。そんなライセン大迷宮の最後は、オルクスの時とは真逆に何処か締まらないオチになった。
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三星弓人 Lv.6
力: I : 10 → I : 45
耐久: I : 5 → I : 25
器用: I : 7 → I : 32
俊敏: I : 6 → I : 30
魔力: I : 5 → I : 40
頑健: E
対魔力: F
千里眼: F→ E
直感: I → H
【スキル】
【
・弓矢使用時、器用強化
・矢の発射時、弾道・速度変化可能
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なんだこの綺麗なミレディは...
主人公5つめのスキル取得、これでダンまちのフィンと同じスキル数になりましたね