ありふれない月の眷属がいるのは間違っているだろうか   作:クノスペ

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42星: 北の山脈地帯へ

 

 

 俺たちは、北の山脈地帯へ行くために夜明け時に宿を出た。

 

 ウィル・クデタが消息不明になってから5日、俺は彼が生きているなんて楽観的な考えを持っておらず、遺品の回収が出来たら良いなぐらいにしか思っていない。

 

 表通りを歩き、外へ出るための北門に近づいていくと。北門の近くに複数の人が待ち構えるようにいた。

 

「何となく想像できますけど...何でここに?」

「南雲君たちの受けた依頼は行方不明者の捜索ですよね?私たちも手伝います」

「遠慮します。俺たちで十分です」

「な、なんでですか?人は多いことに越したことはないんじゃ...」

「単純に足が違うんですよ。先生たちに合わせたら日が暮れてしまいます」

 

 確かに、俺たちだけならバイクを4時間ほど走らせれば到着できるが。先生たちに合わせて馬車を使うと1日ほどかけないと到着できない。

 

「ちょっと、そんな言い方ないでしょ? 南雲が私達のことよく思ってないからって、愛ちゃん先生にまで当たらないでよ」

 

 どうやらハジメが先生と会いたくないからそう言っていると勘違いした園部が食ってかかる。ハジメもそれに気づいたのかため息と共に俺の方を見てくる

 

「見せた方が早いよな...」

「だな。良いと思うぞ」

「ちょっと、あんたたち何を言って」

 

 園部の言葉を無視して、ハジメは宝物庫からバイクを取り出す。何もない空間から大型のバイクが出現したことに畑山先生たちは目を見開いて驚いている。

 

「だから言っただろ?足が違うって」

「そういうことです。このバイクは俺の分合わせて2台しかないので、全員を連れていく事はできません。」

 

 そう言って俺もバイクを取り出すと、クラスメイトの1人でバイク好きの相川が興奮気味に尋ねてきた。

 

「な、なぁ!これってどこで手に入れたんだ?」

「手に入れたんじゃなくて、ハジメが作ったんだ」

「南雲が!?すっげぇなお前!」

「お、おう...ありがとな」

 

 純粋な賞賛を受け。バイクの作成に苦労したこともあり、ハジメは照れながらであるが嬉しそうだ。

 それを見た畑山先生は頬が一瞬緩んだが、真剣な表情に戻り俺に頭を下げてきた。

 

「無理を承知で言います。お願いします。私たちを同行させてください」

「...何でそこまで?」

「昨日南雲君が言っていた事を、私は先生として詳しく知る必要があります。移動時間や捜索の合間でも良いので、お願いします」

 

 畑山先生の目には強い決意が見える。この状態の先生は梃子でも動かないだろう。

 

「...ハジメ、()()は出来てるか?」

「出来てるけど...って弓人、お前まさか」

「仕方ねえだろ。こうなった先生は折れねぇよ」

「三星君!ありが「けど2つ条件がある」

 

 俺は畑山先生の言葉を遮りクラスメイト達を見渡す。

 

「1つ目は、『俺たちが使う武器や魔法を教会には伝えない』だ。教会が知ったら「戦争に勝つために戻ってこい」「その武器を量産しろ」とか言ってくるに決まってる」

 

 1つ目の条件に、畑山先生たちは全員頷く。

 

「それで2つ目は、『何があっても自己責任』だ。無理言って同行してくるんだ。仮に死んだとしても文句は無いだろ?」

 

 死んだとしても

 

 その言葉に畑山先生たちは一瞬息を呑むが、すぐに表情を戻して頷いた。

 

「弓人、お前は良いのかよ?」

「諦めろ。あの人はどこまで行っても『先生』だ」

「そうか...仕方ねぇなぁ」

 

 ハジメは乱暴に頭を掻いた後、バイクを仕舞い始めた。そして、空間庫から『魔力駆動四輪』と命名されている大型自動車を取り出した。

 

「うっそ...」

「な、南雲!これもお前が作ったのかよ!?」

「まぁな、全員は中に乗らないから何人かは荷台に乗ってくれ」

 

 こうして俺たちは、畑山先生たちを同行させて北の山脈地帯へ移動を開始した。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 現在、俺たちは車を走らせて2時間ほど経過しただろうか。当初、俺はレディーファーストだからと荷台に乗り込もうとしたが...

 

「......ユミトはこっち」

「おいおい、俺が助手席に行ったら誰かが荷台に行くじゃねぇか」

「......こうすれば、問題なし」

 

 俺を助手席に無理矢理座らせ、ユエが膝の上に座ってきた。

 

 交通法としては完全にアウトだが、ここは異世界だしまぁ問題ないだろう。

 

 俺は満足気なユエの頭を撫でながら、ハジメと畑山先生の話を聞く。

 

 2人の話は佳境を迎えていた。

 

「やっぱり...南雲君は誰かに落とされたと?」

「はい。あれは確実に俺を狙ってきました。」

「そんな...一体誰が」

「多分ですけど「檜山だろ?」 弓人、知ってたのか?」

「半分は勘、もう半分は予想だけどな。あいつのハジメに対する態度はここに来てから異常だったしな」

「そんな!けどそれが決まったわけじゃ...」

 

 やはり畑山先生は信じたく無いようだ。生徒が人殺しをしようとした事を

 

「けど、あの中だと一番可能性が高いです」

「そんな...いったいどうすれば...」

 

 畑山先生は、仮に檜山が犯人だったとして。どうやって罪を償わせれば良いのか、どうやって歪んだ心を戻せば良いのかについて頭を悩ませる。

 

 結局、山脈地帯に到着してもその答えは出ず。答えてくれる者は誰もいなかった。

 

 





ある意味キリが良いので今回は少なめです
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