ありふれない月の眷属がいるのは間違っているだろうか 作:クノスペ
原作読んでて思ったのはクラスメイトたちってトータスの人基準なら十分チートなのに1部のメンバー以外噂とかになって無かったですよね。
本編です
俺たちがウルに到着した瞬間、ウィルと畑山先生は町長のいる役場へと飛び出した。そして俺たちが遅れて着いた時には、既に役場は騒然としていた。
最初は戯言だと聞く耳を持たなかった町長も、『豊穣の女神』である畑山先生の言葉には無視できなかった。
「それは本当ですか!?『豊穣の女神様』!」
「は、はい。できれば...その呼び方はちょっと」
「町の住民に避難の指示をしなければ...それに王都にも増援を要請して...」
町長はやるべきことを考えており、呼び方の訂正を聞かれていないことに畑山先生はなんとも言えない顔をしている。
「あ〜、避難の指示はともかく増援の必要はないぞ」
「む?お前たちは誰だ?」
「そうだな...強いて言うなら『豊穣の女神の使徒』だな」
「え!?み、三星くん!?」
「『俺たちの指示に従ってもらう』『何があっても文句を言わない』」
「うっ...」
抗議してこようとする彼女を、最初に提示した条件で大人しくさせていると。
「おぉ...噂には聞いている!女神にはとてつもなく強い護衛がいると!」
「あぁ、俺たちがいるからにはもう大丈夫だ」
俺がそう言うと、役場の人たちは希望を見つけたような表情を浮かべる。そして、殲滅は俺たちが行うため避難誘導を任せる旨を伝えると、役場の人たちは快く引き受けてくれた。
「あっそうだ。ティオ、お前も俺たちの方に来て手伝ってくれ」
「無論じゃ。竜人族として名誉挽回といこう...じゃが、魔力の回復のため1日は欲しい」
「それなら...翌朝、ウルを出てすぐにあるあの平原で迎え撃とう。全員、それで良いな?」
「了解だ」
「はい!」
「......ん」
「分かったのじゃ」
こうしてそれぞれ準備のため、役場から離れ夜を明かした。
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翌朝、ウルには本来存在していなかった『外壁』が作られ、異様な雰囲気に包まれている。
この『外壁』は、ハジメがバイクを走らせながら『錬成』を行い生成したものだ。
「ユミト殿!なんじゃあの鉄の騎馬は?あんな不安定な形でなぜ倒れたりしないのじゃ?あの鉄の箱と同じ原理で走ってるのか?」
「はいはい、全部終わったら教えてやるから大人しくしとけ」
「約束じゃぞ!」
車の時のように目を輝かせているティオを落ち着かせていると、ハジメも外壁作りが終わったため、こちらの方へ戻って来た。
「とりあえず、こんなもんでいいだろ?」
「十分だ...ってどうしたティオ?」
「えっとのう...お主たちに頼みがあるのじゃが...」
「頼み?」
どこか言いづらそうにしているティオ。俺は話を促すと、彼女は指同士を合わせながら話し始めた。
「えっとじゃな...お主たちは、この戦いが終わったらウィル坊を送り届けて、また旅に出るのじゃろ?」
「ああ、そうだ」
「それでの...頼みというのは...妾も同行させてほし…」
「良いぞ」
「あっ!勿論無理にとは...って良いのか!?」
ティオは一瞬顔を明るくさせるが、その後すぐに気まずそうに顔を逸らす。
「じゃが...操られてたとはいえ、妾はお主たちを襲った...」
「......ティオはもう仲間」
「ユエ殿...?」
「......ユミトが言ってた。『お前を助けて、お互いに名前を知った。なら俺たちはもう仲間だ』って」
「ユエ殿...お主たちもよいのか?」
ティオは不安気にハジメたちの方を見る、ハジメとシアのどちらにも嫌そうな雰囲気はない。
「まぁ、お前がいた方が迷宮攻略とか楽になりそうだし俺は別に良いと思うぞ」
「私はハジメが良いって言うならかまいません!」
「ハジメ殿...シア殿...」
「来いよ。ティオ」
俺はティオに右手を差し出すと、ティオはどこか照れ臭そうに握り返して来た。
「うむ、よろしく頼むぞ!」
こうして俺たちの旅に、ティオが加わることが決まっていると、ついに魔物の大群が見えて来たのだが
「あれ?3万にしては多すぎねぇか?」
「いや、6万はいるぞ...」
「ハジメ...それって、たった1日で2倍にしたってこと?」
魔物の数について俺たちが話していると、町の方から畑山先生と、武器を持った男たちがこちらへ近づいて来た。
「先生、彼らは?」
「故郷を守りたいと...自分達も戦いたいと言った人たちです」
「頼む!俺たちにも戦わせてくれ!」
「何だってやる!俺たちにもこの町を守らせてくれ!」
彼らを見ると、決してひかないという強い意志が瞳に宿っていた。下手をすれば無理矢理にも着いて来そうな雰囲気であったため、どうしようかと考えていると1つ妙案が浮かんだ。
「先生、ちょっと失礼」
「えっ?ってきゃあ!」
「......む」
俺は畑山先生を抱き寄せると、外壁の上にまで登る。そしてハジメたちに手招きすると、ハジメたちも察したのか登ってくる。...何故かユエは不機嫌だが
そしてハジメたちが到着すると、俺は見上げてくる男たちに向かって大きく声を張り上げる。
「聞こえているか!このウルの町に残った者たちよ!」
まるで劇の役者のように大きく身振りをつけ、男たちの視線を俺に向くようにする。
「今!この町には魔物の脅威が迫っている!」
「このままでは!この美しい町が破壊され!無辜の民が殺され!全てが奪われてしまうだろう!」
その言葉に、1人は悔しそうに唇を噛み、1人は血が出る勢いで拳を握り締める。
「だが!悲観することはない!俺たちの勝利は決定しているからだ!」
「なぜなら!俺たちには女神の加護がある!『豊穣の女神』畑山愛子様のな!」
「え...え? えぇ!?」
いきなり呼ばれた畑山先生は、困惑から驚愕に変化しながら俺を見てくる。男たちも何故、畑山先生がいると勝てるのか分からないため困惑している。
「彼女は魔物によって人々が苦しむことを良しとせず!『豊穣』と『勝利』をもたらすため!人界へ舞い降りた女神である!さぁ、刮目せよ!彼女の力の一端を!」
「......『雷竜』」
俺はユエの肩を軽く叩くと、ユエは渋々と魔法を放つ。護衛の時の様に、暗雲から雷の龍が現れ、外壁付近の平原を焼き払った。
「お、おぉ!」
「すげぇ!いける!いけるぞ!」
「「「「「愛子様万歳!愛子様万歳!愛子様万歳!」」」」」
その雷竜を、畑山先生の力だと勘違いした男たちは、希望に満ちた表情で畑山先生を讃え始めた。羞恥で顔を真っ赤にして、瞳に涙を溜めながら睨みつけてくる畑山先生を無視して俺は再び口を開く。
「先陣は我々『女神の使徒』が行く!お前たちは俺たちが取りこぼした魔物を請け負ってくれ!」
「「「「「おぉ!」」」」」
「行くぞ!!!我々の勝利を!!!女神に捧げろおおおお!!!」
「「「「「うおおおおおおおおおおおお!!!!!!」」」」」
士気は最高潮になり、後は俺たちが魔物を取りこぼさなければ誰も死ぬことは無いだろう。
「三星くん...なんでぇ...」
「......よしよし」
「あいつ、半分は楽しんでやってるぞ」
「確かに」
「ユエ殿!今の魔法はなんじゃ?竜と言ったがあの様な姿の者は里でも見たことないぞ?」