ありふれない月の眷属がいるのは間違っているだろうか   作:クノスペ

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6星:訓練といじめ

 

 

「そういえば貴方、サポーターを雇ったりしないの?」

「サポーター?なんだそれ?」

「サポーターって言うのは文字通り冒険者のサポートをする職業よ」

「モンスターの死骸が戦闘の邪魔にならないように退けたり、魔石の回収、荷物持ちをしてもらうの。その代わりに冒険者はサポーターを守る必要があるわ」

「なるほどなぁ...まぁ上層で稼いでるうちはいいかなぁ」

「そう?まぁサポーターを雇うときには相談してね」

「了解だ。アルテミス」

「様をつけなさい」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「うぅむ...2週間経つが変化する気配がいっさいないなぁ」

「すみません、わざわざ時間を用意してもらって」

「いや、これは上手く指導できない俺にも問題があるからな」

 

 現在俺はメルド団長と俺のステイタスについて話をしていた。

現在のステイタスはこうなっている

 

=====================

 

三星弓人 Lv.5

 

  力: I : 0

 耐久: I : 0

 器用: I : 0

 俊敏: I : 0

 魔力: I : 0

 頑健: E

対魔力: G

千里眼: H

 

=====================

 

 そう、全く上がらないのである。さらには俺にはこの世界の魔法の適性が全くないのが分かり、初級魔法ですら使えない始末だ。

 

「何か心当たりはあるか?」

「.....いや、ちょっと心当たりがありませんね」

「ハァ...やはりか」

 

 メルド団長には申し訳ないがステイタスが上がらないことに心当たりというより仮説がある。それは【ランクアップ】するとステイタス上昇のための要求値が高くなるのだと考えている。だがそれを話したとしても『夢で女神がステイタスの説明をしていた』なんて馬鹿正直に言ったら、変な奴だと思われるだろう。だから俺は心当たりがないとしらを切る。

 

「そういえば、今後の訓練の予定ってどうなってるんですか?」

「そうだな、そろそろ戦争に参加するか決める期日に近づいてきたから1度実践訓練として【オルクス大迷宮】へ遠征しに行こうと思っている」

「なるほど、実際に魔物を殺して戦争への実感を欠片でも知ろうって訳ですね。」

「まぁそんなところだ。基本的に準備は俺たちがするが何か要望はあったりするか?」

 

 いきなり言われたとしてもそんなもの...あっ、あれを聞いてみよう

 

()()()()()は雇ったりするんですか?」

()()()()()?なんだそれは?」

 

 俺は夢で女神が説明していたサポーターについてのことをそのままメルド団長に伝えた。

 

「なるほど...確かにサポートに徹するものがいれば効率があがるな...よし!なら騎士の奴を何人かその役をやらせてみよう。だがよく思いついたな?」

「ははは...まぁ思いつきですけどね...」

「よし!早速部下たちに伝えようと思う、だから説明のために来てくれるか?」

「えぇ、かまいませんよ」

 

 こうして俺はメルド団長と共にサポーターについて説明すべく部屋を出た。その瞬間だった。

 

「何やってるの!?」

「っ!メルドさん!」

「訓練施設の方だ!行くぞ!」

 

 こうして俺とメルド団長は叫び声のあった訓練施設へと急いだ。

そしてたどり着いた先にはボロボロの姿で香織に治療を受けているハジメ、そしてメルド団長をみて顔を青くしている小悪党達がいた。

 

「なんとなく予想はできるけど...どう言う状況だ?」

「檜山くん達が南雲くんの特訓に付き合ってたらしいわよ。それにしては随分一方的だったけど」

「ほう?お前達はいつの間に人に物を教えられるくらい強くなったんだ?」

「あの...えっと...そのぉ...」

「そんなに暴れたければお前らは特別メニューだ!!!さっさと向こうで並んでろ!!!」

「ひっ...は、はい!」

 

 こうして烈火のような怒りを表したメルド団長に怒鳴られ、小悪党達は逃げるように離れて行った。俺はそれを見届けた後、香織に治療されたハジメのもとへ近づいた。

 

「あ、ありがとう白崎さん。助かったよ」

「本当に大丈夫か?ハジメ」

「うん、大丈夫だよ弓人。白崎さんのお陰で擦り傷一つもないよ」

「いつもあんなことされてたの?それなら私が...」

 

 怒りの形相で檜山達が去った方を睨む香織を、ハジメは慌てて止める。

 

「いや、そんないつもってわけじゃないから!大丈夫だから、ホント気にしないで!」

「でも...」

「香織、ハジメもこう言ってるんだ。これ以上はやめておこう」

「弓人くん...」

「けど南雲君、何かあれば遠慮なく言ってちょうだい。香織もその方が納得するわ」

「分かったよ、本当に困ったときには相談させてもらうね?白崎さん」

「うん!」

 

 この、一段落つきそうな状況にも関わらず水を差す無粋な声が上がった。

 

「だが、南雲自身ももっと努力すべきだ。弱さを言い訳にしていては強くなれないだろう? 聞けば、訓練のないときは図書館で読書に耽っているそうじゃないか。俺なら少しでも強くなるために空いている時間も鍛錬にあてるよ。南雲も、もう少し真面目になった方がいい。檜山達も、南雲の不真面目さをどうにかしようとしたのかもしれないだろ?」

 

 何を考えたら、そんなことが思いつくのか皆目検討がつかない。被害者のハジメどころか、香織や雫、メルド団長ですら呆然としてしまっている。

 こいつのタチが悪いところは、()()が全くないのだ。こいつは基本的に人間はそう悪いことはしない。そう見える何かをしたのなら相応の理由があるはず。もしかしたら相手の方に原因があるのかもしれないという性善説を信じており。これでも真面目にハジメを注意しているだけなのだ。

 

「おい天之河、お前本気でそう思ってんのか?」

「何を言ってるんだ三星?檜山達は南雲のために特訓に付き合っただけだろ?」

「お前の頭の中だと集団リンチは特訓って言うんだな勉強になったよ」

「いったい何が言いたいんだ!」

「友人がボコられて、それに対してお前にも原因があるって言ってる奴に腹が立たないわけがねぇだろうが!」

「待って弓人!光輝だって悪気あるわけじゃ...」

「悪気がなかったら何言っても良い理由があるわけないだろうが!」

「っ!...ごめんなさい...」

「〜〜〜っ!なんでお前が謝るんだよ...」

 

 くそっ...腹が立って仕方がない、頭を冷やさないと...

 

「メルドさん、例の件は俺が伝えとくんで後はお願いします...後、今日の訓練は休みます...」

「...あぁ、後のことは任せろ」

 

 こうして俺は騎士たちにサポーターの説明をするべく訓練施設から離れた。

 

 





なんとか文章に起こせたので本日最後の投稿になります。
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