ありふれない月の眷属がいるのは間違っているだろうか   作:クノスペ

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アンケート結果

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それより本編の続きが見たい 117

なので本編を楽しみにしている人には申し訳ありませんがミュウとの出会いのところで一段落ついたら幕間を挟もうと思います


本編です


55.5星:買い出しと観光

 

「4割」

「1割だ」

 

 現在、ハジメの代わりに買い出しをしている俺は。フューレンの商業区にて、商人と値下げ交渉を行っていた。

 

「いやいや、この野菜の質で1割は高すぎる」

「あぁ?うちの商品にケチをつけるってのか?」

「だって見てみろよ。こいつに至っては時間が経ちすぎて葉が萎れてる。こんなもん誰も買わねぇぞ?」

「むぅ...」

「それを俺は4割引くだけで全部買ってやるって言ってんだ」

 

 俺は商品の1つを手に持ち見せつけるように突きつけると、商人も分かったのかしばらく考え込んだ後、2本指を立てた。

 

「2割だ、こっちも商売なんでな」

「3割、これが飲めないならこの話は無しだ」

「ぐ...2割5分!そのかわりこいつをオマケしてやる!」

「毎度」

 

 こうして俺は、食品を比較的安く入手することができた。時間が経っている野菜類は早いうちに食べれば問題ないだろう。

 

「悪いな、待たせちまった」

「......気にしないで」

「うむ、それよりも今のが、いわゆる値切り交渉というやつじゃな?」

 

 ユエとティオの下へ行くと。2人は気にした様子もなく、むしろティオは先ほどの交渉を興味深く見ていたようだ。

 

「とりあえず、これで買い出しは終わりだからどうする?」

「......ユミト、観光区に行こう」

 

 すると、ユエは俺の腕...というより身長差のせいで手に抱きついてきた。

 

「良いぞ、どうせハジメとシアも1日中デートしてるだろうし」

「......えへへ、わたしもユミトとデー「ティオも行くか?」え...」

「よいのか!」

 

 俺がティオを誘ってみると、ティオは目を輝かせながらいつの間にか持っていた観光案内のパンフレットを開き始めた。

 

「どこに行こうかのう...水族館にしようかの...それとも展望台にしようかの...むむむ」

「なんだよ、随分と楽しみにしてたんだな?」

 

 笑いながらそう言うと、ティオは恥ずかしいのか頬を染め、目を逸らしながら答えた。

 

「わ、悪いか!父上が厳しかったせいで家から出たことがなかったから、こういったものは初めてじゃから...」

「悪くねぇって。なら、俺が初めて来る観光地での楽しみ方ってやつを教えてやるよ」

「お、おぉ!それは心強い!うむ、よろしく頼むぞ!」

「お任せください。お嬢様」

「なっ...揶揄うでない!」

 

 こうして俺たちも観光区へ移動を開始した。

 

「......ティオ」

「む?ユエ殿、どうしたのじゃ?」

「......けつあな確定」

「何故じゃ!?」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「よし、着いたことだし先ずは腹ごしらえといくか」

「では、このガイドに書いてある店へ行くのか?」

「いや、この時間帯だと待たされるだろうから、屋台で売っている食べ歩きできるものにする」

「なるほど、分かったのじゃ」

「ユエもそれで良いか?」

「.........ん」

 

 何故か機嫌の悪いユエを見て首を傾げるが、多分空腹なのだろうと頭の中で納得して屋台を見渡すと、随分と懐かしいものが見つかった。

 

「おー、()()()()()()じゃねぇか」

「なんじゃ?そのじゃが丸くんとは」

「こいつはな、前世(むかし)よく食ってたもんなんだ」

 

 じゃが丸くんとは、前世オラリオにいた時に好んで食べていたものだ。実際は、ただのコロッケの屋台なのだが、前世を思い出してからついじゃが丸くんと言ってしまう。

 

「......ユミトはあれが好きなの?」

「あぁ、結構好きでよく買ってた」

 

 そういえば、『リア』のところに遊びに行く時毎回買って行ったな。そんなことを思い出していると、ユエが屋台の方を指差す。

 

「......あれ食べたい」

「じゃあ行くか。俺も久しぶりに食いたいし、ティオもいいか?」

「うむ、ユミト殿の好物がどんなものか、妾も気になるからの」

 

 2人を連れて屋台へ近づくと、人の良さそうなおばちゃんが笑顔で出迎えてきた。

 

「いらっしゃい!何にする?」

「む、色々あるのかの?」

「あぁ!うちは色々な味で勝負してるからね!」

 

 そう言われメニューを見てみると、たしかに塩やソースといった定番物から抹茶塩やコンソメといった様々な味があった。

 

「そうだな...俺はプレーン1つ」

「妾は抹茶塩を1つ、ユエ殿は?」

「......小豆クリーム1個」

「「え?」」

 

 ユエの言葉に、俺とティオは思わずメニューを凝視する。そこにはちゃんと『小豆クリーム味』と書かれていた。

 

「これ...美味いの?」

「ははは!意外と人気あるんだよ!」

「マジかよ」

 

 失礼な事を思わず言った俺に対して、笑いながら答えてくれるおばちゃんは、手慣れた手つきで直ぐに用意してくれた。

 

「はいおまたせ!全部で300ルタね」

「じゃあ、こいつで」

「丁度300ルタだね、熱いうちに食べてね!」

 

 では早速と1口食べる。オラリオで何度も食べた味に、懐かしさで思わず頬が緩んでしまう。

 

「うん、この味だ」

「......おいひい」

 

 ユエの方を見ると、じゃが丸くんを幸せそうに頬張っており、機嫌も良さそうで何よりだ。

 

「で、では妾も」

 

 ティオは恐る恐るといった感じに1口食べる。その瞬間、大きく目を見開き輝かせていた。

 

「〜〜〜!」

「美味いだろ」

 

 俺が尋ねると、ティオは嬉しそうに何度も頷く。どうやらじゃが丸くんはお気に召したようだ。

 ふと、視線を感じて見渡してみると、道ゆく人々が俺たちを見て話し合っていた。

 

「見ろよ、すっげぇ美人がいるぜ」

「でも男がいるぜ...チッ、イケメンかよ」

「あの小さい子は娘か?でも髪色が違うな」

「きっと色々苦労したんだろう...良かったな嬢ちゃん。良い夫婦に出会えて」

 

 どうやら俺たちのことを親子だと勘違いしているようだ。俺は苦笑しながら2人を見ると、ユエは先ほどより機嫌を悪くして頬を膨らませており、ティオはじゃが丸くんに夢中で聞こえていないようだ。

 

「......ユミト、行こう」

「おいおい、別に引っ張らなくても...」

「ま、待ってたも!まだ食べてる途中なのじゃ!」

 

 ユエに手を引っ張られていく俺を見て、ティオは大慌てで残りを食べて追いかけようとしていると、突如近くの建物が開けられ、そこからハジメとシアが出てきた。

 

「お前らも来てたのか」

「お前ら、デートにしては物騒すぎないか?」

 

 何故か2人の手には武器が握られており、おそらく建物内で戦闘したのだろう。

 

「ちょうど良かった。弓人たちにも手伝ってほしい」

 

 どうやら観光はここまでのようだ。

 





え?ハジメとシアのデートシーン?

原作とほとんど変わってねぇし割愛だ!

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