ありふれない月の眷属がいるのは間違っているだろうか   作:クノスペ

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今回の幕間は、名前だけ出していてほとんど触れていない彼女です


幕間:ある猫人の話

 

 私は、男が嫌いだ。

 野蛮で、下品で、五月蝿い。口先だけの臆病者だ。

 

 彼も初めて会った時は、同じだと思っていた。

 

『改めて自己紹介だ。俺はオリオン。一応このファミリアの団長を務めている』

『...アタランテだ』

 

 ファミリアの扉を叩いた時、私は信じられなかった。

 清廉で高潔な女神、アルテミス様の眷属が男だったなんて。

 

『とりあえず冒険者登録から『話しかけるな』

『勘違いするな。私はアルテミス様に仕えた訳で、貴様の下についたわけではない』

『あ〜...でもなぁ、アルテミスにお前を案内するように言われてるしなぁ...』

『ふん...何故アルテミス様はこんな男を...』

 

 男というだけで毛嫌いする私に対して、彼は困ったように笑ってばかりだった。

 そんな彼に対して、軟弱者だと内心馬鹿にしていた。

 

 そして渋々、彼の案内の下冒険者登録を済ませ迷宮(ダンジョン)へと足を踏み入れた。

 

『お〜、百発百中だな』

『ふん、当然だ。こんな奴らは物の数ではない』

 

 私はこの時、慢心していた。

 彼が周囲の警戒を怠らず、私が戦いやすいように怪物(モンスター)を誘導していたことに気づかず。自分の実力だと勘違いしていた。

 

 そんな過信した者に牙を剥くのが迷宮(ダンジョン)だと、この後痛いほど理解することになる。

 

 

『はぁ...はぁ...』

『......』

 

 彼の抑止を無視して、6階層まで降りた私に襲いかかって来た、影のような怪物(モンスター)『ウォーシャドウ』

 『上層』でも随一と言われる戦闘能力に、その日【恩恵】を授かっただけの私は、手も足も出なかった。

 

 隙を見て逃げ出そうとした瞬間、壁から更なるウォーシャドウが産まれる。

 あぁ、ここで死ぬんだ。そう思った瞬間

 

『うおおおおおお!!!』

『な!?』

 

 私が無視して、振り切ったはずの彼が。後方からウォーシャドウへと斬りかかったのだ。

 

『貴様!何故ここに』

『悪いが話しは後だ!まずはここを切り抜けるぞ!俺が突っ込むからアタランテはそこから走り抜けろ!』

『わ、私に指図をする『いいから黙って従え!死にてぇのか!』っ...』

『行くぞ!』

 

 初めて見る彼の切迫詰まった表情に、私は思わず怯んだ。それを肯定と見たのか彼はウォーシャドウの群れへと突っ込んでいった。

 

 そのお陰で、私はあの絶望的な状況から切り抜け生還することができた。

 

『巻いた...のか?』

『気を抜くな。まずは迷宮(ダンジョン)から出るまで休まず行くぞ』

 

 背後から、彼の声が聞こえる。恥を晒し男に助けられた羞恥から、私はつい憎まれ口を叩いてしまった。

 

『べ、別に助けろなど一言も言ってない。あれくらい私は一人で...えっ』

 

 振り返り、私が見た先にいた彼は

 

 ウォーシャドウの爪により、決して浅くない傷を大量に作り、夥しい量の血を流していた。

 

『な...なんで』

『言っただろ。話は後だって、行くぞ』

『あっ...』

 

 今にも倒れそうにも関わらず、いつも通り笑いかけてくる彼に、私は何も言えなかった。

 

 その後、彼に言われた言葉で私はようやく理解した。

 

『アタランテ、俺とお前はまだ付き合いが浅いかもしんねぇ...。けどな!俺がその程度の理由で仲間を見捨てるわけねぇだろうが!』

『...っ!』

『もし不安なら何度だって助けに行ってやる!俺は!決して!仲間を見捨てねぇ!』

 

 私は大馬鹿者だ。

 彼はずっと私のことを仲間だと思っていたのに、私は彼が男だというだけで毛嫌いしていた。

 

『ただいま〜』

『おかえり!ってどうしたのオリオン!?ボロボロじゃない!?』

『アルテミス様...申し訳『すまん!調子に乗ったせいで怪我した!』

 

 私の言葉を遮り、アルテミス様に謝罪する彼に困惑した。

 

『どういうこと?』

『いやぁ...アタランテが予想以上に強かったから、つい6階層まで行っちまった』

『6階層!?貴方今まで4階層が限界だったでしょ!』

『本当にすまん!』

『...分かった。まずは体を治してからね、その後はお説教です』

『う...分かった』

 

 私は更に困惑した

 何故私を庇うのか?

 素直に私のせいだと言えばいいのに

 こうして彼が奥へと入っていった後、アルテミス様は私に向き合った。

 

『彼が貴方を庇う理由は聞きません。貴方もゆっくりと休みなさい』

『き、気づいていたのですか?』

『神に嘘は通じませんので、後...おかえりなさいアタランテ』

『っ...申し訳ありません!』

『それは、何に対する謝罪ですか?』

 

 後悔から、涙を流し謝罪する私に、アルテミス様は優しく語りかけてくる。

 

『彼が...彼が傷ついたのは私のせいなんです!私が...私がもっと、彼の言うことを聞いていたら...』

『そうでしたか...では、許します』

『え...』

『貴方はちゃんと反省している。なら、子を許すのが親の役目ですから』

『で...ですが』

 

 私は自分を許せない。そう言おうとした瞬間、アルテミス様は再び優しく語りかけてくる。

 

『では、オリオンを...彼を信じてください』

『あいつを...』

『はい、貴方が男を嫌っているのは知っています。ですが、彼は貴方の思う男とは違うから...信じてください』

『...はい』

 

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 オリオン...汝がいなくなってから随分と時が経ったぞ。

 

 アンタレスの恐怖と、汝が死んだと言われた悲しみから。1人...また1人と脱退する者が出て、今では団員は私だけだ。

 

 けど、この場所は、このファミリアだけは決して無くさせない。

 汝がオラリオに帰って来た時、家が無いと困るからな。

 

「だから...早く帰ってこい。団長(オリオン)

 

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 アタランテ Lv.4

 

 アルテミス・ファミリア現団長

 

 二つ名【純潔の狩人(タウロポロス)

 

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アタランテのステイタスが気になるって声がありましたら記入しようと思います
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