ありふれない月の眷属がいるのは間違っているだろうか 作:クノスペ
お待たせしました
今日から本編の方を再開していこうと思います
58星:再び、ホルアドに
「何故だか...フューレンを出てから4日ほど経過した気がする...」
「.....何、言ってるの?フューレンにはさっき出たばかり」
俺たちは、ミュウちゃんを故郷へ帰す為に、車でエリセンに向かっているのだが。
「ヤァァハァァァァッッ!!!」
「シアって...あんなキャラだったか?」
「お姉ちゃんかっこいいの!」
風を感じたいという理由で1人だけバイクに乗っているシアは、どこかで聞いたことのあるような叫びをしながら爆走していた。
それを見たミュウちゃんは、目を輝かせながらハジメにおねだりし始めた。
「パパ!ミュウもあれやりたいの!」
「ダメ、ミュウにはまだ早い」
「う〜...や〜り〜た〜い〜の〜!」
「そんな我が儘言う子はうちの子じゃありません」
全力の駄々も即座に切り捨てられたミュウちゃんは、頬を膨らませしょぼくれてしまった為、俺はミュウちゃんの頭を撫でる。
「ミュウちゃん。後でおじちゃんが乗せてやるよ」
「おじちゃん!」
「おい弓人!」
「何事も経験だ経験」
「はぁ...二輪用のチャイルドシートとか作ってみるか?材料は......そもそも車体を弄るか...」
ついに折れたハジメは、ブツブツとミュウが怪我をしないように様々なことを考え始めた。それを見たユエたちは意外なものを見るような視線を向けていた。
「.....ハジメ、過保護?」
「ふふふ、ハジメ殿は存外子煩悩なのじゃのう」
「けどミュウちゃん。今お姉ちゃんがやってるような運転は危ないから、おじちゃんが乗ってる時はやらないからな」
「はーいなの!」
バイクに乗れると分かったため、ご機嫌になったミュウちゃんを乗せて、車は走り続ける。
ちなみに、ハジメはミュウちゃんの『パパ』呼びを完全に諦めている。
理由は、ハジメがあの手この手で呼び方を変えようとする度
『め、なの?パパはミュウのこと嫌いなの?』
と、涙を浮かべながら訴えられるのだ。
ミュウちゃんの涙に弱いハジメは、段々と呼び方を変えようとする回数が減り、最終的に呼び方を変えようとしなくなった。
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そして俺たちは、宿場町ホルアドにたどり着いた。
別に買い出しは、フューレンで済ませているためスルーしても良いのだが。
フューレンを出る際、イルワから頼まれごとをされているため。それを済ませるために寄った。
頼まれごとはハジメが済ませると言ったため、俺はユエとティオを連れて、メインストリートをぶらついていた。
「ほう、フューレンも中々のものじゃったがここも...と、どうしたのじゃ?ユミト殿」
「いや...最初ここに来た時から4ヶ月経つんだって思ってな」
「......大丈夫?」
心配そうな顔を向けてくるユエに、俺は頭を撫でてやりながら笑う。
「大丈夫だ。色々な事があったが...それ以上に良いこともあった」
ハジメを助ける事ができて
アルテミスとの約束を思い出して
そして...
「お前たちに、出会う事ができた」
「っ!」
「なっ」
恐らく...いや絶対、あの時に戻ったとしても俺は何度でも奈落に落ちる。
そしてユエ、シア、ティオ、ミュウちゃんと出会い。
こうしてここに来るだろう。
「ってどうした?顔赤いけど」
「......うるさい、鈍感」
「ユミト殿は、そういう所があるのじゃ...」
「なんだよ?そういう所って。まぁ良いや、行こうぜ」
俺は屋台で、ミュウちゃんが好きそうなお菓子を買い。
ハジメたちが先に行っている、『冒険者ギルドホルアド支部』に行った。
そこには...
「パパああああ!怖いのおおおおお!」
「お前ら!ミュウを泣かしてんじゃねぇ!」
「「「「「いや勘弁してください!」」」」」
「なんでこうなるのよ...」
号泣するミュウちゃんを抱っこしながらブチギレるハジメと、
引き攣った笑みを浮かべる冒険者たち、
そして頭を痛そうに抑えるシアがいた。
「「「...なにこれ?」」」
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「で、なんであんな地獄絵図になった?」
「いや...あいつらがミュウを怯えさせるから」
「だからって『威圧』された状態で笑えって無茶でしょ」
「うっ...」
どうやら、シアという美少女を連れた上に、ミュウちゃんという子供を抱いて入ってきたハジメに嫉妬や怒りといった視線を向けていた所、ミュウちゃんが怖がってしまったらしい。
それを見たハジメは、『威圧』を使って、睨んできた冒険者にミュウちゃんが怖がらないように笑えと言った所、あんな地獄絵図が完成したらしい。
「ハジメなぁ...悪かったなお前ら、うちの馬鹿が」
「「「「「いえ!滅相もございません!」」」」」
完全に萎縮した冒険者に謝罪を入れた後、俺たちは受付嬢のいるカウンターへ足を運んだ。
「ごめんね、騒がしくして。イルワからの依頼でここに来た」
「イルワさんからですか...ステータスプレートを拝見しても?」
「ハジメ」
「あいよ、こいつで良いか?」
「ありがとうございます。ランクは......『金』!?あ、申し訳ございません!」
思わず出てしまった叫びに、近くにいた者たちは驚愕の表情を向けてきた。
受付嬢はすぐに謝罪してきたため、俺は笑いながら
「良いって、どうせすぐわかる事だし。とりあえず、ここの支部長さん呼んで貰っても良いかな?」
ウルの防衛戦やフリートホーフ壊滅といったことをしている時点で、俺たちの存在がバレることは時間の問題だ。
「は、はい!すぐにお呼びします!」
周囲からの視線を気にせず、支部長が来るのを待っていると、ギルドの奥から何かが走ってくる音がしてきた。
俺たちがそっちに視線を向けると、黒装束の青年が滑り込むように飛び出してきた後、周囲を大慌てで見渡した。
その青年には、心当たりがあったため、俺は思わず声をかけてしまう。
「お前...遠藤か?」