ありふれない月の眷属がいるのは間違っているだろうか 作:クノスペ
今更ですが、アストレアレコード買いました
本編です
私...八重樫雫は小学生の頃いじめられていた。
理由は、光輝の幼馴染という...ただそれだけだ。
あの日も、私はクラスの女子たちに囲まれていた。
「あんた、最近ちょーしにのってない?」
「え...?の、のってないけど...」
「そういうところがちょーしにのってんのよ!」
「そうよ!ブスのくせに光輝くんに近づいてんじゃないよ!」
「い、痛い!やめてよ!」
髪を引っ張られ、寄ってたかって暴言を吐かれる。
なんでこんな目に遭うのか
なんで痛い思いをしないといけないのか
なんでこんな怖い思いをしないといけないのか
私は恐怖で叫ぶことも出来ず、震えてしまう。
誰でも良い、助けてほしい。
そんな時、私を助けてくれた彼の顔がよぎった。
「弓人くん...助けて」
その瞬間、教室の引き戸が勢いよく開いた。
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「やっと見つけた。勇者のくせにこんなところでコソコソして恥ずかしくないのかい?」
【オルクス大迷宮】89層
天之河たち勇者一行は、増援を呼びに行った遠藤の帰りを待っていた。
しかし、90層で一度は撒いたはずの魔人族と魔獣が追ってきたため、再び対峙している。
「黙れ魔人族!さっきのようにはいかないぞ!」
天之河は、この状況を切り抜けるため聖剣に魔力を注ぎ込む。
それにより、聖剣が白く輝き始めた。
「まだそんな大技が使えるなんてね。けど...本当に使っていいのかい?」
魔人族の女がそう言うと 、女の後ろから馬頭鬼のような魔物がその手に持っていたものを前に突き出してきた。
「メ...メルドさん?」
魔物が持っていたものは、四肢を砕かれ、自身の血で全身を真っ赤に染めたメルドであった。
「メルドさんを離せぇ!」
天之河は激昂し、我を忘れて突撃してしまう。
しかし、それは悪手でしかなかった。
「期待外れだよ。こんな手に引っかかるなんてね」
「何!?ガハッ!」
天之河の死角から、新たな馬頭鬼が襲い掛かる。
天之河は咄嗟にガードするが、馬頭鬼のパワーには敵わず吹き飛ばされてしまう。
「光輝!」
「龍太郎くん!駄目!」
親友がやられ頭に血が昇った坂上を、白崎が必死に抑える。
パーティの中で最も強い天之河がやられたのだから二の舞になると考えてだ。
「...何が目的なの?この状況で私たちが生きてるってことは理由があるのでしょ?」
「状況判断ができてて助かるよ、話は簡単。魔人族側に来ないかい?」
「断る...誰が魔人族側になんて...」
「悪い話じゃないと思うんだけど」
女の提案に、天之河はボロボロの体にも関わらず即座に切り捨てる。
しかし、他のクラスメイトたちは違ったようだ。
「わ、私は...提案に乗った方がいいと思う...」
「中村!てめぇ裏切んのかよ!」
「ひっ!わ...私は誰にも死んでほしくないから...」
死んでほしくない
その言葉にクラスメイトは、『あの日』死んだ南雲と三星が頭によぎる。
そうだ、人は簡単に死ぬ。それこそ、あっという間に死んでしまう。
「俺も中村に賛成だ」
「檜山!てめぇもかよ!」
中村に続いて、檜山が降伏に賛成する。
「冷静になれよ!勇者がやられた時点で俺たちの敗北は決まったんだ!全滅するか生き残るか!考えたら簡単だろ!」
檜山の言葉に、降伏に傾いていく中
「お前たち...今は生き残ることだけを考えろ...」
「メルドさん!」
瀕死のメルドが意識を取り戻したのか、虫の息にも関わらずクラスメイトたちに指示する。
「ずっと後悔していた...まだ子供のお前たちを巻き込んでしまったことに...最初からこれは、私たちの戦争だ!」
メルドは首にかけていた首飾りを引きちぎると、そこから膨大な魔力が溢れ出す。その勢いに魔物は手を離し、その隙をついてメルドは女に突撃する。
「共に死んでもらうぞ!」
「お断りだね、アブソド!」
女が叫ぶと、アブソドと言われた6本足の亀の魔物が口を開ける。
その瞬間、首飾りから溢れ出す魔力がアブソドに吸われていく。
「何!?」
「でも、その潔さ。嫌いじゃ無かったよ」
女が手を突き出すと、そこから魔法が放たれる。
砂塵の刃がメルドの腹部を貫き、夥しい血が噴き出した。
「お前たち...すまない」
「メルドさん!!!貴様ああああああああ!!!」
その瞬間、天之河から首飾りとは比較にならない魔力が噴き出した。
メルドをやられた怒りにより。勇者は『限界突破』の最終派生『覇潰』に覚醒したのだ。
「アハトド!」
先程、天之河を一撃で倒した馬頭鬼...アハトドを天之河にけしかけるが。
天之河は聖剣を振るい、逆に一撃で絶命させた。
「くらええええええええ!」
「ちぃっ!」
天之河が振り下ろす聖剣に、女は咄嗟に砂塵で作った盾で防御する。
しかし、聖剣は盾を意に返さず女と共に切り裂いた。
「参ったね、三文芝居でも見てる気がするよ...」
「これで終わりだ!」
胸部から血を流し、呆れたように笑う女
天之河はとどめを刺すために、再び聖剣を振り下ろそうとするが...
「ごめん...愛してるよミハイル」
聖剣が、女の目前で止められた。
女が天之河を見ると、天之河は『それ』に気づいたため、恐怖で体を震わせていた。
「呆れた...まさか今になって気づいたのかい?『人』を殺そうとしていることに」
「ち...違う...俺は知らなくて」
「知ろうとしなかったの間違いだろ?お前たち!剣士の女を殺れ!」
女が叫ぶように指示しすると、魔物たちは天之河を無視してクラスメイトたちを襲い始める。
女にとって、未だ現実を見れていない勇者より。現状を冷静に判断できる八重樫の方が厄介だったからだ。
「なっ!?やめろぉ!」
天之河は次々と魔物を屠っていく。
しかし、『覇潰』は『限界突破』より魔力の消費が激しいため、すぐに限界が来た。
「っ!?」
突如、全身から力が抜け。前のめりに倒れ込んでしまう天之河。
必死に起きあがろうとするが、指1つ動く気配がない。
「光輝!くっ!」
八重樫は天之河を抱え、クラスメイトの下へ転がるように飛び込む。
そして、天之河を寝かせると、自身の武器をしまい居合の構えをとる。
「後は...私がやる」
「殺す覚悟もあるか...やっぱりあんたの方が勇者に向いてるよ」
「...御託はいい、私は生きて彼に会う!」
その瞬間、八重樫の姿が消える。
『縮地』と言われる移動方法により、一瞬で女の背後に回り込み。全力の『断風』を放った。
「危ない...一瞬でも反応が遅れたら死んでたわ」
「くっ...」
会心の一撃とも言える『断風』が、何もない空間から現れた蛇によって受け止められていた。
咄嗟に距離を取るが、それを待っていたと言わんばかりにアハトドが待ち構えており、剛腕を振る。
「くっ...きゃあ!」
ガードをするが、防御の上から衝撃が襲い八重樫は吹き飛ばされた。
受け身を取ることに成功して再び『断風』を放つため、武器をしまおうとするが...
「嘘...」
武器が、半ばからへし折れていた。
それにより、八重樫の支えていたものも折れてしまった。
「やだ...やだぁ......」
「可哀想だけど...せめてもの情けだ。1撃で殺してあげる」
このまま捕虜にしてもいいが、捕虜になった後の八重樫を考え、同じ女として同情した彼女は、八重樫にとどめを刺すため魔物に指示する。
「雫ちゃん!」
白崎が、八重樫の下へ走るが間に合うことはないだろう。
死ぬことに...いや、彼に会えなくなるという恐怖により、八重樫は瞳に涙を浮かべ怯えてしまう。
そして、あの時のように、消えてしまいそうな声で助けを呼んだ。
「弓人...助けて」
「あぁ、後は任せろ」
その瞬間、閃光と共にアハトドは吹き飛ばされた。
その時、八重樫の脳裏には『あの日』が思い出されていた。
あの日も、私が助けを呼んだ時あなたは来てくれた。
そして、私の頭を撫でながらこう言ってくれた。
「雫、誰に泣かされた?」
私の『
100話超える前に書けて良かった...