ありふれない月の眷属がいるのは間違っているだろうか   作:クノスペ

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文才を...ください。




63星:想いを告げる少女たち【下弦】

 

「本当に...申し訳ありません...」

 

 正気に戻った香織は、羞恥により雫の胸に顔を埋めていた。

 冷静に考えれば分かる事なのにどうやらそこまで頭が回ってなかったらしい。

 

 雫は、そんな香織に呆れながらも優しく慰めており、側から見たら母親にしか見えない。

 

「弓人、なんか変なこと考えたでしょ」

「気のせいだろ?」

 

 現在、俺たちは入場ゲートから離れ、町の出入り口付近の広場にいる。

 その間、ハジメは町の人々から『男の中の男』やら『女たらしクソ野郎』など、好き放題に言われてたが...まぁ聞かない方が良いだろう。

 

 元々はイルワからの用事で寄っただけなので、ホルアドから出る準備をしているのだが、香織を筆頭に勇者一行全員が付いてきていた。

 

 そんな香織は、ハジメとシアをどこか気まずそうに見ていた。

 香織のハジメに対する想いは当然知っている。

 そのため、俺は香織の背中を押すことにした。

 

「香織、良いのか?」

「弓人くん...けど」

「どうするかは香織次第だ。けど、後悔しない選択をしろよ?」

「後悔......うん!ありがとう弓人くん!」

 

 どうやら、覚悟が決まったようだ。

 

「おっしゃ!行ってこい暴走特急!」

「ぼ、暴走特急!?酷いよ弓人くん!」

 

 香織は笑いながら突っ込みを入れ、その後ハジメの下へ走っていった。

 そんな香織の背中を見ていると、雫が側に近づいてきた。

 

「ありがとう弓人」

「俺は背中を押しただけだ」

 

 そう、後は香織の頑張り次第だ。

 がんばれよ、香織

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「南雲くん!」

「白崎さん?」

 

 出発の準備をしているハジメの下に、白崎が覚悟を決めた表情で近づいてくる。

 

「南雲くん...いや、ハジメくん。私も付いて行っていいかな?いや、絶対について行くから!よろしくね!」

「..........は?」

 

 まさかの決定事項の報告に、ハジメは呆然とした。

 しかし、白崎の言葉を理解したハジメは即座に切り捨てる。

 

「駄目だ、危険すぎる」

「そんなの、この世界に来てからずっとだよ」

 

 ハジメの言葉に反論する白崎、あの日のことを思い出したのか、声が震え瞳に涙が浮かび始める。

 

「もう嫌なの!好きな人を守れないのは!」

「白崎さん...」

「ハジメくん!貴方が好きです!」

 

 それは、ハジメが日本にいた頃、まさかと切り捨てていた考え。

 そしてハジメは、白崎の告白に真剣な表情で答える。

 

「ごめんなさい、俺には好きな人がいる。だから...白崎さんの想いには答えられない」

「うん...シアさんだよね?」

「ああ、だから」

「けどごめん、それでも貴方のそばにいたい...だって、日本にいた時から好きだったもん...」

 

 白崎は、真剣な表情でシアを見つめる。

 その瞳には、決して引かないという強い決意があった。

 それに対してシアは

 

「いいですよ」

「シア!?」

「だって...ユウカさんにもいいって言ったもん」

 

 その言葉に、ハジメはウルの町で園部に告白されたことを思い出した。

 白崎は、挑発的な表情でシアに尋ねた。

 

「良いんだね、シアさん?貴方からハジメくんを奪っても」

「誰かを好きになる気持ちは痛いほど分かりますから。まぁ精々、頑張ってくださいね...ハジメは私に夢中ですから!」

「ふふふ...」

「あはは...」

 

 笑い合う2人の背中には、何故か首狩り兎と般若が映っていた...

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「香織...強くなったな」

「えぇ...そうね」

 

 異世界に来て、さらに逞しくなった香織を見て。

 俺と雫は、遠い目をして見守っていた。

 

「雫、お前はどうする?」

「私は...」

 

 俺は雫も付いてくるか聞いていると、香織の動向に異議を唱える者がいた。

 

「ま、待て!待ってくれ!意味がわからない。香織が南雲を好き?付いていく?えっ? どういう事なんだ?なんで、いきなりそんな話しになる? 南雲!お前、いったい香織に何をしたんだ!」

「...何でやねん」

 

 天之河は、香織はハジメに惚れていることを認められず。ハジメが何かをしたと解釈したらしい。

 

「天之河、お前まだ気づいてねぇのかよ...鈍感にも程があるぞ?」

「三星...鈍感な事については君にだけは言われたくない!」

「そんな怒らなくても...ってお前らなぁ...」

 

 予想以上に怒りを見せる天之河と、それに同意する全員を見てなんとも言えない気持ちになった。

 そして、香織はケジメとして天之河へ自身の想いを伝える。

 

「光輝くん、みんな、ごめんね。自分勝手だってわかってるけど……私、どうしてもハジメくんと行きたいの。だから、パーティーは抜ける。本当にごめんなさい」

 

 その言葉に、女性陣は黄色い声を上げながら応援し、永山、遠藤、野村の3人も、香織の心情は察していたので、苦笑いしながら手を振った。

 

 しかし、天之河はまだ納得できないようだ。

 

「駄目だ...そんなの、()()()()()()()()なんて...駄目だ」

「光輝くん...」

「光輝...」

 

 天之河は、香織というより何かを思い出したくないように言う。

 そして、天之河は聖剣を構えハジメに対峙した。

 

「南雲!俺と決闘しろ!俺が勝ったら香織を解放しろ!」

「嫌だよ面倒「俺がやる」弓人?」

 

 俺はハジメの前に立ち、天之河に対峙する。

 天之河は驚いた表情をしているが俺は構わず話しかける。

 

「ハジメの代わりに俺がやる。お前が勝ったら『香織の開放』俺が勝ったら『香織の意志を尊重する』で良いな?」

「っ!分かった、それで良い」

「開始の合図は...雫、頼む」

「わ、分かった」

 

 雫が間に立ち、開始の合図を待つ。

 魔法の反動で全身が痛むが、まぁ負けることは無いだろう。

 

「はじめ!」

「はあああああああ!」

 

 合図とともに、天之河は一気に近づき切り掛かってきた。

 それに対して俺は、()()()()()

 

「弓人!?」

「きゃあああああ!」

 

 斬られた後の俺を想像したのか、女性陣が悲鳴をあげ。

 坂上が俺の名を叫んだ。

 

 そして、聖剣は俺を切り裂くことなく、目前で止められた。

 

「な、なんで避けない!?」

 

 なんとか停止させた天之河は、焦りの含んだ声で問いかけてきた。

 やっぱり、こいつには無理だ。

 

()()...戦争に参加するのやめろ」

 

 

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