ーーー約四年半後。
『私がお邪魔しているのは、今話題の虎岩温泉さんです。お料理良し、景観良しととても評判のある旅館でもあります。完全予約制ではあるのですが、数ヶ月先まで予約でいっぱいであるほど人気の温泉旅館なのです。他にもこちらの旅館にはあの全国的に有名な中野一花さんの......』
現在TVではお祖父さんの旅館の特集が放送されている。
僕はその放送を携帯で流しながら防波堤でお祖父さんと釣りをしていた。
「今日は大切な客人が来るんじゃなかったのか?」
「あー...確かに大切と言えば大切ですけど、そこまで重要視する人達じゃないんで大丈夫でしょ」
「まあ、お前さんはどんな客だろうとここで釣りをしておるがな」
「ちゃんと下ごしらえは終わってるんですからいいじゃないですか」
お祖父さんからのそんなツッコミがあったので軽く返事をした。
「別に儂は責めんよ。なにせ隠居した身だ。それにこうやって釣りの相手をしてくれるのも大歓迎だ。だがなぁ…」
「兄さん!」
「それを許さん者がおるだろ」
お祖父さんのそんな言葉を遮るように零奈の声が聞こえた。
やべ、見つかった。
タタタッ……
「またサボりですか!?」
「いや、サボってる訳じゃないんだよ?ちゃんと下ごしらえとか終わってるんだし…」
「言い訳無用です。料理の下ごしらえが終わっているのであれば他にもやる事があるではないですか」
「少しくらい息抜きしてもいいんじゃない?」
「兄さんは息抜きしすぎです。その分のしわ寄せが私や桜さんにきているではないですか!」
「うっ......」
事実なので何も言い返せない。
零奈の言葉通り、現在学生の長期休暇などには零奈と桜に旅館のお手伝いをしてもらっているのだ。
卒業前に桜が言っていたバイト先がこの旅館であることを知ったのは、夏休みに桜が来た時である。
楓さんも面白そうだから黙っていたとか。
そのバイトも、桜が大学生になった今でも続いている。何でも将来的にここで働くとかなんとか。
『お婆様のお仕事を間近で見て学ぶには丁度良い環境と思いますので。これからも末永くよろしくお願いいたします』
そう三つ指をついて言われたのはつい最近である。
まったく。行動力は楓さん譲りだよ。
「まったく。その強気なところはあいつにどんどん似てきたなぁ」
「お父さんも同罪ですからね!」
「なんで!?」
「いつもいつも、兄さんがここに来るのですから追い返してください。もう、お母さんも兄さんには甘いんですから!」
「うっ......」
お祖父さんは零奈の小言をくどくど受けている。
零奈が話している通り、この島に来てからはお祖父さんと楓さんの事を、零奈はそれぞれお父さん・お母さんと呼んでいる。
まあ、人目がないところではあるのだが。
こうやって親子三人で仲良くやれているのも、まさに奇跡である。
マルオさんが言うには、お祖父さんの体もここまで保つことはなかった程病気が進んでいたようだ。
しかし、零奈や楓さんとの再会で精神的に強くなり、また病気の事を聞いて薬膳料理を勉強し僕が食べさせた事が要因だと言う。これもまさに奇跡のなせる業だと思う。
「何ニヤニヤしているのですか。兄さんが一番の元凶であることを自覚してくださいね」
「はーい」
釣り具の片付けをしながら零奈の小言に耳を傾ける。
「まったく...…そういえば、あの子たち全員揃ったそうですよ」
「は?まだ午前中だよ?」
「そう言われましても、一花は朝からいますし、それ以外の子たちはつい先ほど旅館に来ましたよ」
「いや、いくらなんでも早すぎでしょ」
「私に言われても困ります。あ、兄さんに帰ったら部屋に来るようにと言われましたので、行ってあげてくださいね」
なんだろう。とんでもなく嫌な予感がしてくるんだけど。
そんな思いの中旅館に戻ることにした。
零奈が『一花は朝からいる』と言ったのは、今では一花は一緒にこの島に住んでいるからである。
一花はあれから女優業を続けており、今では全国でも有名な女優まで上り詰めている。
ドラマの撮影や収録など引っ張りだこでとても忙しい毎日を過ごしている。
一時期、拠点を東京に移すために引っ越しの話も上がったのだが、『カズヨシ君と離ればなれなんてありえない』、と一蹴した。彼氏としては嬉しいのだが、仕事が減るのではという心配があった。しかし、それで減るのであればそれでいいと本人談である。
ちなみに、卒業してから二年程で一花はこっちに引っ越してきている。本人曰く、『もう我慢できない』とのこと。
その時の零奈は本当に呆れていた。まあ、零奈も零奈でこっちの学校に転校する手続きを、母さんにお願いして早くからしていたから人の事を言えないと思うのだが。
そして、朝からいるのが一花だけというのは二乃と三玖はこの旅館で働いていないからだ。
最後まで迷っていたのだが、そんな時上杉家の下にある店舗を使ってみないか、とマルオさんを通じて勇也さんから提案があったそうだ。
風太郎のお母さんが事故に遭うまで使っていたお店である。
今では『なかの』という喫茶店を開いており、最近では常連さんも増えてきて軌道に乗っているそうだ。
五月は地元で念願の教師になることができた。苦労はしているようだが、やりがいがあると報告を受けている。
なんでも
四葉はこの年の春に風太郎と式を挙げた。式を挙げる少し前から東京で働いている風太郎の元に行って一緒に住んでいる。
夫婦仲も良い感じだ。
ちなみに僕と一花はつい先日籍を入れた。式の日取りについては来月で、一花の事務所と話を進めた。
旅館の経営の事もあるからなのでトントン拍子とはいかない。大人の事情が絡むと色々と大変である。
父さんと母さんに結婚報告をすると大喜びで、早く孫の顔を見せろとうるさかったなぁ。
「よう」
旅館に着き正面玄関口から入ると、ちょうど風太郎にあった。
「久しぶり風太郎。風太郎と四葉の披露宴以来かな」
「だな。まあ、ここまで離れてればそうなるだろう」
「休み取れたんだね」
「まぁな。前々から言ってたからスムーズにいったさ。零奈も久しぶりだな」
「お久しぶりです風太郎さん」
「ふっ、その様子だと和義に苦労させられているみたいだな」
「まったくです。いつまでも学生気分でいてもらっては困ります」
フッと笑いながら話す風太郎に呆れるように返す零奈。
そこまで酷くないと思うんだけど。お兄ちゃん結構頑張ってるよ?
「ははは。どっちが大人で学生か分かんねぇなこりゃ」
「むー...あ、そういえばこんなに早く来てどうしたのさ?」
「あー......乙女には色々あるんだとよ」
「はー!?」
乙女って...年齢考えなよ。これ言ったら本人達は怒るだろうけどさ。
「ま、なんにせよ五人は部屋で待っている。早く行ってやるといい」
「はぁぁ...分かったよ」
風太郎に言われるまま、五人の待つ部屋に向かうことにした。
「あら、帰ってらしたのね」
「ただいま戻りました。桜、楓さん」
途中桜と楓さんに会った。
楓さんは相変わらずの着物姿で、今でもビシッとした姿勢を保っている。
一方の桜は中居の仕事をしていたのか中居姿でいる。
「今日のお客さんは身内だけだからおもてなしとか考えなくてよかったのに」
「どうせ和義さんが抜けていつもの仕事があると思いましたから、いつもの格好で対応しておりました。意外に早かったですね」
「ああ、零奈が凄い形相で来たからね…後、五つ子が何故かもう揃ってるって聞いたから」
「ええ。皆さんお揃いですよ」
ふふふ、と笑いながら桜は言う。やっぱりあの五人は何か企んでるな。勘弁してほしいもんだ。
「本当に仲が良い子達ですね。五人いるとイキイキしています」
「ですね。それこそ最近では五人で揃うことがそうそうないでしょうから」
「ふふふ、零奈さんがいれば『大人なのですからもう少し落ち着きなさい』、と仰るでしょうね」
「うっ…それさっき僕が言われたよ」
「あらそうだったのですね。しかし、
本当の事なのだが真っ直ぐに言われると恥ずかしくなってくるな。
「なので
「ありがとね。桜が飴であれば、零奈は鞭ってところかな。ちょうどいい案配だよ……さてと、あんまり待たせてるとうるさいだろうしそろそろ行くね」
「はい」
「私と桜はお花の稽古をしてますので何かあれば呼んでくださいね」
二人と別れて部屋に向かうと見知った人物が佇んでいた。
「お部屋で休まれていると思っていましたよマルオさん」
「おや、和義君か。何、娘の部屋に近づく者がいないか見ていたのだよ」
「身内しかいないのですからそこまでしなくても」
「身内…それもそうだったね。上杉君とは会ったのかい?」
「ええ。正面玄関口のところで。勇也さんとらいはちゃんは後から来るようですね」
「そうか……聞いてると思うが、この先の部屋で五人が待っている。行くといい」
「はい。失礼します」
マルオさんの前を横切り部屋に向かう。
そんな時、ふと風太郎の式の時の事を思い出していた。
コンコン
「風太郎いる?」
『おー、和義か。入っていいぞ』
え、なんで勇也さんの声が?
疑問に思いながら扉を開けると勇也さんとマルオさんが二人並んで座っていた。ちなみに風太郎の姿はない。
「失礼します。あれ、風太郎は?」
「さっき新婦に呼ばれてそっち行ったぞ」
「そうなんですね。てか、なんでここで二人でワイン飲んでるんですか?」
そう。二人の手元にはワイングラスが握られているのだ。
マルオさんってお酒飲むんだ。飲んだとこ見たことないけど。
「めでてぇことなんだからいいだろ。なあマルオ?」
「僕に振るな」
「それにしても珍しいですね。マルオさんがお酒を飲むなんて」
「ガハハハ。こいつは祝い事にしか飲まないんだよ。な?」
「ああ」
「だから今飲んでんだってよ」
「なるほど」
「お
「じゃあ一杯だけ」
二人の向かいに座りグラスを受け取った後、ワインを注いでもらった。
うん、旨い。
「しっかし、こうやってお前と酒を飲む日が来るとは…やっぱり俺たちも老けたもんだ」
「だから一緒にするなと。僕の方が見た目年齢は五歳若い」
「んだと?おい、和義はどう思うよ」
「どうも何も、お二人とも若くてビックリですよ。まあ、近くにもっと信じられない人がいますが…」
「あー……綾先生な。最近マジで人間なのかって思ってきちまった」
「あの人に常識を当てはめるのは難しいだろう」
本当にね。我が母ながらビックリだよ。
コンコン
『兄さん?いますか?』
そんな時零奈が僕を探しに来たようだ。
「ああ、入っていいよ」
「失礼します。て、三人で何されてるんですか?」
「よう!嬢ちゃんも背ぇ伸びたなぁ。飲むかい?」
「見て分かりませんか?私は未成年です」
今の零奈はドレス姿ではあるが(ちなみに父さんが写真撮りすぎて怒られていた)、中学生になったばかり。まだまだ幼さが見える。
「
「……」
あの頃というのは高校三年生の時の日の出祭の事だろう。
あの時、無堂に向けた啖呵切った姿が凄かったそうだしね。無理もない。
「まったく…」
「しっかし、本当に成長したなぁ。マルオや下田が言うように
「ふふっ、どうです?兄さん」
長い髪をなびかせながら聞いてくる零奈。
可愛くなるだろうとは兄贔屓で思ってはいたが、まさかここまでとは。
たまの休みの日に旅館を手伝ってもらっているが、零奈に目を引かれるお客さんもいるくらいだ。
ちなみに、母さんの背にはもうすぐ追いつく勢いで、ある部分については母さん似ではなくスクスク成長している。母さん泣いてたなぁ。
その部分を平気で僕に当ててくるから困りものである。
当たってると指摘すると、『当ててるんです。ちなみにこんなこと兄さんにしかしませんから大丈夫ですよ』、と返された。全然大丈夫じゃないんだよね。一花からも負けじとアプローチしてくるからもう大変である。
「ああ、綺麗だよ。心配になるほどね」
僕の答えが嬉しかったのか上機嫌になっている。
「和義君」
「はい?」
「大丈夫なのだろうね?レイナ君が変な客にちょっかいを出されたり、学校で変な男に言い寄られたりはないだろうね?」
「ええ。その辺はしっかりと目を光らせていますので。僕と楓さんが」
「なら問題ないだろう。さあ、お兄さんの横にかけるといい。飲み物を頼もう」
「ありがとうございます」
零奈を席に促した後は色々としてくれるマルオさん。
…………零奈の正体は、僕と母さん、中野姉妹にお祖父さんと楓さん、それに桜しか知らない。
マルオさんにも喋ってもいいと思うのだが、零奈が反対をしているのだ。
だけど、マルオさんはもう気付いてるのだろう。零奈が
二人にとって今の状態がいいとお互いに思っているのだろうか。
零奈に向けるマルオさんの顔を見るとそんな風に感じるのだった。
トントン
「和義だけど呼んだ?」
「和義!入って入って!」
一花の許可もあり部屋に入る。更にその先の襖を開けて待っていたのは。
「「「「「おかえり!」」」」」
「………君たちは何をしているのかな?」
以前風太郎に見せてもらった京都の思い出の女の子。その女の子がそのまま成長した姿の白いワンピースにロングヘアーの女性が五人並んで立っていた。
「五つ子ゲーム」
「ファイナルだよ」
「愛があれば」
「見分けられるよね」
前もって打ち合わせをしていたかのように流れ良くそれぞれが言葉を発する。
「五つ子ゲームって…ここまで来てする事…?」
「フータロー君の結婚式の時にもしたから」
「ここでするのは全然問題ないよね」
なるほど、風太郎の呼び方は一花に合わせてきたか。
てか、風太郎も式当日にドンマイ。
「ちなみにフータロー君は皆当てたよ」
「風太郎が?」
「うん!」
「それにこれは遊びじゃないよ」
「私たちはこれから家族なんだからね」
「分かって当然、だよね」
「......はぁぁ、少しは大人になったかと思えば」
「それフータロー君にも言われたね」
だろうね。
「で?一花だけを当てればいいって訳じゃないよね、やっぱり」
「そりゃあ」
「フータロー君に出来たんだもん。和義でも全員当てることはできるよね?」
やっぱそうなるか。ま、僕を舐めないでほしいけどね。
「じゃあ、右から五月、四葉、一花、三玖、二乃。どう?」
「「「「「!」」」」」
指をさしながらそう伝える。確信があるから緊張などはない。
「ちぇっ。やっぱカズ君には簡単だったか」
「うん。あっさり…」
「はぁー...やっぱり出し抜けませんでした」
「うーん、結構自信あったんだけどね。さすが和義君だね」
「それにしても、君ってばあっさりしすぎじゃない?フータロー君はちゃんと一人一人当てて、自分の言葉を送ってたよ」
「え?そうなの。う~ん...僕は結構な頻度で皆と会ってたしなぁ...その都度自分の気持ちを言ってたし」
「だよねぇ」
僕の言葉に肯定する一花。まあ、風太郎の場合自分の気持ちを直接言うのが下手くそだったからね。ちょうどいい機会だったんだろう。
五人全員がそれぞれの髪型に戻しながら、自身のアクセサリーも付けていく。
「てか、そのブレスレットまだ皆付けてたんだ」
「そう言うカズ君もね」
「これは宝物ですから。いつだって付けてますよ」
ブレスレットだけじゃない、二乃や五月のシュシュやヘアピンといったそれぞれに送った贈り物をまだ使ってくれている。よく見れば鞄にピンバッチも付いてるようだ。
そういえば、一花もまだあの頃渡したポーチ使ってくれてたっけ。
ガラッ
そんな考えをしていると部屋の扉が開かれる音がした。
「そろそろ終わった頃かと思いましたが」
「よう。和義は見分けられたか?」
「和義さんなら問題ないでしょう」
部屋には、零奈と風太郎、桜がそれぞれ口にしながら入ってきていた。
「この様子からすれば問題なく見分けられたようですね」
「もう!お母さん聞いてよ。和義ってばあっさりと当てちゃったんだからぁ」
「私たちへの言葉もなしだった」
「酷いと思わない?」
「あらあら。まあ、最近は減りましたがあなた達は毎月のように兄さんに会いに来てましたからね。見分けられて当然。それにかける言葉もないでしょう。兄さんはその都度伝えていたでしょうから」
一花を筆頭に三玖と五月が零奈に僕の文句を言っている。しかし、相変わらず僕の事はお見通しのようで、僕と同じような事を伝えている。
「さてと。みんな集まったことだし始めましょうか」
そんな中二乃が何やら世界地図をテーブルに広げながらそう発言した。
そんな二乃の方に僕以外は集まっていく。
「えっと...何してんの?」
「何って、あんたと一花はもうすぐ結婚式を挙げるでしょ?」
「まあそうだね」
「それに関する大事なことを今から決めるよ」
「ん?」
大事なことって出席者やなんやらの準備はもうだいたい出来ているから今からする事なんてないんだが。
「あはは...私と風太郎はやめようって言ったんだけどね」
「まったくこいつらときたら...」
「あー!上杉君だって乗り気だったじゃない」
「わくわくしますね」
「私と桜さんが丁度夏休みで良かったかもしれませんね」
全然話が見えないんだが。
「えっと、本当に何してんの?」
「何って、決まってるわ。結婚式も大事だけど、それが終わればやることはひとつ......新婚旅行よ!」
「は?」
え、何言ってんの二乃。
「ちょっ、ちょっと待って......え...何?皆付いてくる気なの!?」
「当然」
「その行き先で前から悩んでるんだよね」
僕の言葉にさも当たり前のように答える三玖と五月。
あれ、僕がおかしいのかな。
「めちゃくちゃだ...」
「まあ、いいじゃん。みんな一緒の方がもっと楽しいって。ね?」
僕の言葉にウィンクしながらこちらに声をかける一花。
まあ、一花が良いっていうなら良いんだけどもさ。まず、僕に相談とかしない普通。
「まあ、なんだ。気を落とすな」
「......」
肩に手を置きながら慰めの言葉を伝える風太郎。
どうせ五月の言ってた通りノリノリだったんでしょ。それを四葉が止めようとした姿が目に浮かぶよ。
ワイワイと女性陣でどこにするか決めている姿を風太郎と二人、端から見ている。
「どこにしましょうか?」
「私と桜さん以外の五人でとりあえず決めたらどうです?」
「そうだね。じゃあ行きたいとこ指差そっ」
「それじゃあ、四葉の案でいこうか」
「なんか前にも同じことで揉めなかった?」
「あー高校の...」
「懐かしい...」
「じゃあいくよ」「「「「「せーのっ」」」」」
僕はその時、以前同じような事が起きた頃を思い出していた。
「上杉君起きて」
中野家のリビングにあるソファーで珍しく眠りこけている風太郎を五月が起こしている。
「えっ」
ようやく起きたようだ。
「おはよーございます」
「フータロー君見てたら、私も眠くなってきたよ」
「風邪ひいちゃう」
「そんなとこで寝てないで早く起きなさいよ」
「こんなとこで寝るなんて珍しいね風太郎」
風太郎が起きたのを確認するとそれぞれがそれぞれの言葉を伝える。
「結婚式は...」
は!?何言ってんのこいつは。
「えっ何?」
「えええっ!?」
「気が早いねー」
「ホントだよ。いくらプロポーズ済みだからって、まだ僕達には早いでしょ」
そんな風太郎はまだ寝ぼけているようだ。
「いつまでも寝ぼけてないでさっさと決めるわよ」
「ん?何をだ?」
「卒業旅行。フータローが提案してくれたんでしょ」
「そ、そうだったな」
「それにしても風太郎のくせによく思いついたね」
「お前はいつも一言よけいだ」
「と、とりあえず五人で指差ししよっか」
「俺の意見は?」
「後僕のもね」
「結果は知れてるけどね」
「俺もやめといた方がいいと...」
「僕も一花と風太郎に同意...」
「じゃあせーのでいきますよ」
「「あっ」」
「おいっ!」「ちょっとっ!」
「「「「「せーのっ......ここっ!」」」」」
見事にバラバラである。
「ほらな」
「はぁぁ...」
そして始まる話し合いという名の無駄な時間。
「お城巡りとかするの!」
「それじゃあ修学旅行と変わらないでしょ!」
「北海道は美味しいものがいっぱいあるもんね」
「美味しいもの以外にも良いところがいっぱいあります」
「み、みんな!ここはじゃんけんとかどうかな?」
「「「「「ここっ!」」」」」
今回もあの頃のように見事にバラバラである。
「はぁぁ、バラバラではないですか」
「五つ子なのに...」
「五つ子だからだろ」
零奈は呆れ、桜は驚き、桜の言葉に風太郎は冷静に答えている。
まあ今回は自身の意見を主張しあうのではなく、色々な旅行雑誌を見ながら決めている。
だが、どうせすぐには決まらないだろう。
風太郎ではないが、五つ子達といるといつも思う事がある。
「......五つ子ってめんどくさいな...」
というわけで、とうとう完結してしまいました。
最後は原作と同じ感じで終わらせていただいております。
いやー、初投稿当初はもちろん完結を目指していましたが、まさか100話を越えるとは思っていませんでした。
これも、いつも読んでいただけていた皆様のおかげです。
本当にありがとうございました。
とりあえず本編は完結しましたが、アンケートをさせていただきましたので、外伝的なものを書こうかなとは思っておりますので、連載中にはしておきます。
外伝以外にもまた執筆するかもしれませんが、その際にはまたどうぞよろしくお願いいたします。
外伝的に他のヒロインのお話も書いた方が良いでしょうか?
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外伝はいらない
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二乃
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三玖
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四葉
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五月
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零奈
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桜
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ハーレム