いやぁ、観たいと思っていたけと本編で放映されなかった話が全部観れたので大満足です。
特に『ツンデレツン』の話での二乃の表情が変わるところが良かったです。
機会があれば、期間内にまた行きたいなと思ってます。
「まさかデートで図書館に来るとはね」
「良いのではないですか健全で」
「まあ、風太郎らしいっちゃらしいよね。勉強はないみたいだから良しとしようよ」
レストランから風太郎と四葉のデートをつけてきた僕と二乃と零奈は、今図書館に来ている。
それにしても図書館でデートかぁ。うーん…この反応から二乃はなしだな。他の娘はどうだろう?
それにしてもデートか……
「?カズ君、どうしたのよ?」
「え?」
「何やら思い詰めた顔をされてましたよ」
「あー…大丈夫だよ。ちょっと考え事をね」
「ふ~ん…」
二乃は引き下がってくれたがどこか納得がいっていないように見える。
何考えてるんだろうな僕は。
「それより二人はどんな感じ?って、風太郎は携帯なんか見ながら何してるの?」
「それ、私もさっきからずっと思ってたわ。まったく、四葉をほったらかして何してんのよ」
「マナー違反ですね」
風太郎の行動に二乃と零奈は少しご立腹のようである。
風太郎は携帯でネット見たりしないし、何かメモでもしてきたのだろうか。読みたい本とか、あとは会話の話題?
そんな風太郎の行動に四葉も疑問に思ったようで声をかける。
「何かお探しですか?」
「いやっ、えーっと…」
携帯をしまいながら何か考え込んでいる風太郎。挙動不審である。
しかし会話が続かないなぁ。まあ風太郎の頭の中は勉強くらいしかないからな、話題なんて乏しいだろう。なんせ僕と話すときは僕から話題振ってるしね。
「進学の現実味を帯びてきて...なんか...目標とか...夢とか見えてきたんじゃねーかと思ってな。そこんとこどうなんだ?」
「なんだか急な話題ですね」
「そ、そんなことないだろ。お前と二乃には聞けずじまいだったからな!」
そういえば一花は女優。三玖は料理。五月は教師と希望する進路が決まってるけど、まだ二乃と四葉は聞いてなかったな。
チラッと二乃を見るが、二乃は二人の会話に集中しているようだ。
以前は僕と同じ道をいくとか言ってたから考えるように言ったけど、何かしらの指針はできたのだろうか。
「私は...やっぱり誰かのサポートをして支えることが自分に合ってると思います。諦めから始めたことでしたが、いまではそれも誇れることだと気づいたんです」
「そうか。お前らしいな」
「いえ。そう思えたのは上杉さんがそうだったから」
「そう...なのか...?」
「そうです!」
なんとも和やかなムードではある。良い感じなんじゃないだろうか。
「あーっ!なんだかムズムズするわ!」
「まあまあ、落ち着きなさい」
二乃はこの雰囲気に耐えられないようで、本棚を掴み今にも飛び出しそうな勢いである。零奈がそれを宥めている。
「それでも具体的な目標は合った方がいいんじゃないか?ほら、小さい頃はあっただろ夢とか」
「むー...あったと言えばあったけど...だけどあれは...」
「ん?なんだ?」
「もう忘れちゃいました!あははは」
うーん…あれは忘れたというよりも言えないって雰囲気じゃないだろうか。
「ねぇ、二人は四葉の子どもの頃の夢って知ってる?」
「んー...どうだったでしょうか...」
「とくにそういう話はしてなかったわね」
「何か気になることでも?」
「いや、何となく気になっただけだから」
母親や姉妹にも話していないか...
何か言えない理由でもあるのだろうか。
「思い出したらちゃんと言えよ。あいつはあったって言ってただろ。二乃の昔の夢」
「!」
突然二乃の話題になったので、当の二乃本人は驚いた顔をしている。
「えーっと、なんだったか...確かあれだよな...日本一のケーキ屋さん……」
「そこまで具体的に言ってないわよ!」
「風太郎も記憶力が良いのか悪いのか。それでも多少は覚えてるようだけどね」
そんな話をしていたら風太郎と四葉の二人が移動を開始したので僕達もそれに続く。
まだ尾行は続けるようだ。
「そういえば二乃の夢はケーキ屋だったのですか?」
今は二乃と手を繋いでいる零奈が二乃に夢について聞いている。
「何よ急に」
「いえ、そのような話を聞いたことがなかったので...」
「む~...」
どこか恥ずかしそうに二乃はそっぽを向いている。前に聞かされた時も恥ずかしそうにしてたっけ。だからこそ本気だと思ったんだよね。
そういえばあの時は、零奈は二階の自分の部屋で勉強してたんだっけ。
「子どもの頃の戯言よ。自分のお店を持ちたいってね...」
「そうですか。良い夢です」
本当にそう思っているのだろう。零奈の言葉はどこか優しく感じる。
「......でも、今は迷ってる...」
「兄さんから聞きました。兄さんと一緒にお父さんの旅館で働きたいとも思っていると」
「うん...」
「あなたがどんな将来を思っていようとも、私はそれを応援します。ですがどうか、悔いのない選択をしてください」
「うん...!ありがと」
ニッコリと笑顔で二乃はそう答えるのだった。
もうそろそろ夕方になる時間。おそらく最後の場所になるだろうが、ここって...
「ここって...」
「懐かしいな。お前このボロブランコ好きだっただろ」
そう。四葉とのジョギングでよくゴールにしていた。以前、風太郎と四葉がデートをした公園である。
「今日は上杉さんの思い入れのある所に連れてってくれるはずじゃ」
「ああ。家族でたまに行くファミレス。よく勉強に使う図書館。お前と来たその日から、ここもその一つだ」
なるほど。それで今日のデートコースのチョイスがこんな感じなのか。風太郎らしいと言えばらしいか。
「あいつも多少なりとも考えてはいるのね」
「風太郎さんらしいデートコースです」
風太郎と四葉はお互いブランコを立漕ぎで漕ぎながら話をしている。
「お前、ここからすげー跳んでたよな。また見せてくれ」
「えっはい。それならお安いご用です」
そう言い放つと四葉は見事な跳躍を見せてくれた。相変わらずの運動神経である。
「ふふん!どうです」
「四葉。もし俺がそこまで跳べたら聞いてほしい話がある」
「えっ。それは...」
「行くぞ」
「ま。待ってください!無理しないでください。今日は結構調子がよかったから...いつもはもう少し後ろで...」
「いいから。見ててくれ」
そう言って風太郎がブランコを漕ぎだした。物凄い勢いでブランコを漕いでいる。
だけど勢いをつけすぎだよ。素人の考えでやってて結果が目に見えてくるよ。
そう思って見ていたが、僕の予想とは斜め上の結果となってしまった。
ガチャン
風太郎が乗っていたブランコの鎖が腐っていたのか片方だけ切れてしまったのだ。
そんなブランコに乗っていた風太郎は宙を舞い、そのまま地上に一直線である。
ドサッ
地上に叩きつけられた風太郎は微動だにしない。
「ちょっと…さすがにまずいんじゃないの?」
「凄い勢いで落下してましたからね」
「風太郎…」
「...し、死ん...」
誰もが最悪の可能性を考えていた時、風太郎が声を上げながら動き出した。
「四葉!こんなデート一つこなすことのできない未熟者の俺だが、それでもお前の横に立って並べる男になれるように精進する。俺は弱い人間だから、この先何度もこんな風につまずき続けるだろう。こんなだせぇ俺の勝手な願いなんだが。その時には四葉。隣にお前がいてくれると嬉しいんだ。安心すんだよ。お前は俺の支えであり、俺はお前の支えでありたい。正しい道も間違った道も一緒に歩いて行こう。返事が遅くなって申し訳ないが、お前がよければ...俺と...俺は...好きです。結婚してください」
風太郎は跪き、片手を四葉に差し出しながらプロポーズをした。
「「はぁーーー!?」」
「あらまあ…」
突然の風太郎の言葉に危うく僕と二乃は大声で反応するところだった。零奈は落ち着いた反応ではあるが、驚きのあまり口に手を当てている。
「えっ......ええええっ、ビックリしました!私...てっきり...段階を飛ばしすぎです!」
「そ、そうだよな、早まった...」
「付き合う前からそんなこと言われたら引きますよ!」
「もう一回だけやり直させてくれ」
「私じゃなかったらの話ですけど!」
「じゃあ今のは聞かなかったことに...ん?え?」
「小さい頃の夢...思い出しました。皆が憧れるベタなやつ...…お嫁さん、です!」
今まで見せた事ないような笑顔で風太郎に手を差し出す四葉。
「ねえ?四葉って、おまじないやジンクスとかを信じてたりする?」
「え?ど、どうでしょう…」
「四葉がどうかは分かんないけど、女の子なんだから、たいていそういうのは信じるもんじゃない?」
「そっか...」
僕の質問に零奈と二乃が反応してくれたが、風太郎と四葉のやり取りに驚いてる方が強いようだ。
「てか、今それを聞く!?」
「悪い。ちょっと気になることがあってね」
「はぁーー!?」
「……」
二乃が至極当然の問いを投げかけてきたが、僕は自分の考えに没頭していた。
『そこで風太郎に恋しちゃった?』
『多分そうだと思います…』
あれは四葉から風太郎との出会いや名乗りでない理由を聞いた時だったっけ。
『あったと言えばあったけど...だけどあれは...もう忘れちゃいました!あははは』
そして先程の図書館でのやり取り。あれは忘れたんじゃなくて
風太郎と四葉の思い出の地である八坂神社。そこで二人はこれから勉強を頑張ることをお互いに誓い合った。それ以外に、風太郎の最後の所持金をお賽銭に使って二人で神様にお願い事をしたらしい。
『神様にお願いしたことを誰かに言ったら願いが叶わない』
真実味があるわけではないがよく言われるジンクス。
それをつい先ほどまで信じていた四葉は言わなかったのだろう。
だけど、風太郎からプロポーズをされてそれも解禁。見事ジンクスが成ったわけだ。
「上杉さん約束ですよ。いつかきっと、私の夢を叶えてください」
二人はしっかりと手を繋ぎ、四葉の夢を叶えるためにこれから共に歩んでいくだろう。
頑張れよ風太郎。お前ならこれから僕がいなくてもきっとやり遂げていける。
そう心の中で風太郎にエールを送るのだった。
これ以上見ているのは不要だと判断した僕達は、一路二乃を家に送るために中野家に向かっていた。
「はぁー…まさかプロポーズを聞かされるなんてね。あいつはぶっ飛びすぎでしょ」
「付き合う前に、ですからね。まあ、四葉は喜んでいたので良しとしましょう」
「親としての心境はどうなの?」
「別に何もありませんよ。好きな人と添い遂げられる。母親としては応援します」
「ふ~ん…」
僕の前を歩く二乃と零奈の二人は、先程の風太郎と四葉のやり取りについて話をしている。
そんな中僕は、先程から色々と考えが頭の中を渦巻いていた。
今日の風太郎と四葉の和やかなデート。そしてプロポーズ。
「はぁぁ…」
そんな時、不意にため息が漏れてしまった。
「カズ君?」
「え?」
「どうしたのです?そんなあからさまにため息なんてついて」
二乃と零奈は僕のため息が気になったのか、立ち止まりこちらに振り返っていた。
「いや、ちょっと疲れただけだよ。荷物も持ってるし風太郎のデートを覗き見したしで…」
「「……」」
あー、二人して信じていない目でこちらを見ている。特にこの二人は妙なところで勘が良いからなぁ。
「図書館辺りからよね、カズ君の様子がおかしかったのは」
「そうですね。何か考え込んでいるところもありましたしね」
ホント、良く見ていらっしゃることで。脱帽である。
「言いたくないこともあるかもしれない。でも気になるの。考え事をしてるときのカズ君悲しそうな顔してたから。こ、恋人のそんな顔見てられないの…」
恋人という言葉を口にするのがまだ恥ずかしいらしい二乃は、顔を赤くしてこちらを見ている。
ここまで言われたら、こちらも言わないわけにはいかないな。
「……僕は二乃と一花、三玖に五月、そして桜の五人と付き合ってるけど…今日の風太郎と四葉みたいなデートをしてあげられないんだなって思ってさ」
自ら考えていたことを伝えたが、二人はなぜかキョトンとしていた。
「な~んだ、もっと重い話かと思ってたから肩透かしね」
「本当ですよ」
「別にそのくらい覚悟してたことよ。てか、今日はお母さんと一緒だったけど、これもデートの内に入るんじゃない?」
「そ…それは…」
「兄さんは生真面目なところがありますからね」
「そこが素敵なところでもあるじゃない」
ニコニコとそんな風に言ってくれる二乃。
どうやら深く考えすぎてたようだね。でももう一つの方は......
「まだ何かあるの?」
「いや、これはもう少し自分で考えたいんだ。ごめんね」
「わかったわよ」
僕の言葉に納得はしていない顔ではあるが引き下がってくれた。だが……
「でもこれだけは引き下がれないわ」
「んむっ...」
「はぁぁ...」
急に二乃からキスをされたのだ。零奈からは呆れたため息が聞こえる。
「に、二乃!?こんな往来で...」
「大丈夫よ、周りに人がいないことは確認済みだから。それに、これは私...ううん、私たちがカズ君のことをどんなことがあっても好きでいつづけるって証だから」
離れた二乃はニッコリと笑ってそう伝えてくる。
どうやら相当心配をさせてしまったようだ。そんな二乃の頭をポンポンと撫でてあげるのだった。
今回は風太郎と四葉のデート追跡のお話です。
原作では、四葉以外の姉妹四人が。この、五等分の奇跡の本編では姉妹四人と和義の五人が見守っていました。しかし、今回は和義と二乃に零奈の三人で見守ることになりました。
零奈が、というのが今までにないパターンで、書いてて面白かったです。娘がプロポーズを受けている現場を見ることになっからですね。
さて、また間隔が開くとは思いますが次回の投稿も読んでいただければと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。