「それじゃあ。今日は本当に申し訳なかった」
中野家の玄関で改めて挨拶をする。
「いいって、いいって。ただちょっと駅前のパフェが食べたくなったけどね」
「あ、私はフルーツパフェが食べたいです!」
「抹茶パフェいいよね...」
「では、私は特盛が食べたいです」
「アンタ達やるわね」
明るく答えてくれる五つ子達には感謝しきれないし、パフェくらいいいかと考えてしまう。しかし、五月特盛って...
「はは...そうだ。今回のことと家庭教師を続けてもらうことは話が別と考えてもらっていいから。僕としては、風太郎には家庭教師を続けてもらいたい思いはある。でも、君たちには風太郎に家庭教師を続けてもらうかどうか、自分の目で判断してもらいたいんだ」
「あんな話をしておいてよく言うわ。でも、アンタが言うならいいわ。今まで通り追い返すだけよ」
「追い返す前提が二乃らしいよ」
そう返して中野家を後にした。
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「今日は零奈がお世話になりました」
そう言って上杉家の家主である
「良いってことよ。持ちつ持たれつってやつだ。こっちも色々世話になってるんだし、また何かあれば頼りに来な!」
(本当にこの人には敵わないな)
「それでお前の用事は片付いたのか和義?」
「ああ、お陰様でね。ただ...」
「ただ?何だよ?」
「いや、改めてお前のことが好きだと思っただけだよ風太郎!」
そう言って僕は風太郎の肩に腕を回した。
「ばっ、馬鹿野郎!急に何言ってるんだ!」
「何だよ!お前は僕のことが嫌いなのか?」
「そうは言ってないが、らいはや零奈も見ているんだぞ!」
「ガハハハハ、本当にお前らは仲がいいな!」
「ふふ、これからもお兄ちゃんと仲良くしてあげてくださいね、和義さん」
「はぁ...まったく兄さんは。ほら、帰りますよ。では、お世話になりました」
そう言って、一人先に行き出す妹。
「ちょ、ちょっと待って。では、また今度!風太郎はまた明日な!」
そう言い、上杉家から我が家へ帰るのだった。
帰り道のこと。
「ところで兄さん。何かいい事でもありましたか?」
「へ?何で?」
「先ほどの風太郎さんへの言動もそうですが、どこかスッキリとした顔をしているではないですか」
そう言って僕の方に笑顔を向けている零奈。
「(本当に良く僕のことを見ているし、小学1年生とは思えない言動だな)そうだね!とてもいい事があったよ!」
そう胸を張って答えるのであった。
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~中野家~
五つ子達は、和義が帰った後二乃の手料理の夕食を食べていた。
「まったく、出会って間もない私達にあんな事を言って、アイツは何がしたかった訳?」
「本当にね。私も久しぶりにビックリしたよ」
「でもでも、直江さんの気持ちを聞けてちょっと嬉しかったかな」
「そうですね。私達のことも良く見てくれているようですし」
「そうだねぇ、あんなに言いたい放題な二乃のこともしっかりと見て、姉妹全員に平等に接してくれてるよね」
「ちょっと私を引っ張りださないでよね!ん?三玖どうしたのよ、いつも以上に箸が進んでないじゃない」
二乃の指摘通り、三玖の目の前の料理は一向に減っていなかった。
「私、全然カズヨシの事分かってなかったんだなって思って...」
「当たり前でしょ!私達が転校してきてまだ1週間も経ってないのよ。そんな短期間で分かった方がおかしいでしょ」
「でも、二乃の態度がおかしい事には、カズヨシ薄々気づいているようだし」
「うっ...あれには若干恐怖を感じたわね」
「今までカズヨシに甘えてばっかりだったんだなって...」
「じゃあ何?私みたいに、遠ざける?」
「ううん、むしろ逆。もっともっとカズヨシのこと知りたいって思った」
そう言って顔を上げた三玖の顔は晴れ晴れとしていた。
「お、いいね!お姉さんは三玖の恋の応援しちゃうよ」
「一花のそうやってすぐに恋に持っていく癖直したほうがいい」
「えぇ~」
そんな中五月は誰にも気づかれずに、一人考えていた。上杉風太郎とのことである。
直江和義には助けてもらい、友情を感じてはいる。そんな彼の友人である、上杉風太郎のことも良く思えなければいけないと常々思っていたことだ。
しかし、第一印象が最悪過ぎた。
(直江君は気にするなと言ってくれた。でも...)
五月の苦悩はまだまだ続くようだ。
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数日後の放課後、図書室にて。
「だから!米はLではなくRだと何回言えばいいんだ!」
「わわ、すみません!」
「はぁ...たっく。四葉何でお前は何度も怒られているのに嬉しそうなんだ」
「だって、家庭教師の日でもないのに熱心に教えてくれるのが嬉しくって」
「そんなものなのか。他の4人、いや三玖は家庭教師には前向きだから3人か。こんなに素直であればな」
「仲良く勉強しているところ邪魔するよ」
そんな、風太郎と四葉の勉強をしているところに声を掛けた。
「和義じゃないか、どうしたんだ?」
「いやちょっとね」
「図書室ではもっと静かにした方がいいよ、二人共」
「あ、三玖!」
「お前たちも勉強会か?」
「それはついでかな。風太郎に報告することがあってね」
「?」
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一日前の夕方。
『決心してもらえて嬉しいよ。これから娘達を上杉君共々よろしく頼むよ』
「こんなに待たせてしまって申し訳ありませんでした」
『別にいいさ。前にも言ったが君には期待しているからね』
「遅れての報告の中大変言いにくいのですが、一つお願いがありまして」
『何だね?』
「今回の家庭教師のメインは風太郎で、僕はあくまでも助手でありたいと思います」
『ふむ』
「それで、僕の給料も相場で問題ありません」
『君がそれでいいのであれば、こちらとしては何も言うまい。他には無いのだね』
「はい!今後もよろしくお願いします」
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「僕も中野家の家庭教師をやることになった。もちろん風太郎がメインで、僕はあくまでもその補佐ではあるけどね。という事で、よろしく」
僕がそう宣言すると、
「えぇーーー!」
「うそ」
三玖と四葉は相当驚いたようだ。
だが風太郎は、
「ふ、そうか。こんなにも心強い補佐がいてくれるのはとても助かる。今後もよろしくな親友」
と握手を求めた。もちろん、僕はそれに応じる。
「図書室ではもっと静かにするべきですよ」
そんな言葉と共に生徒が図書室に入ってきた。
「「五月!」」
ここに来ることを想定していなかったのか、三玖と四葉がその生徒の名前を呼ぶ。
「上杉君、別にあなたのことを認めた訳ではありません。私は昨日、父から直江君も家庭教師の助手として私達に勉強を教えてくれると聞きましたので、それで来ただけです」
「む、お父さんから聞いていたのなら私達にも教えてほしかった」
「そうだよ、五月!」
「すみません、みんなにも驚いてもらおうと思ってたので」
そう二人に話す五月。なかなかやり手だ。
「家庭教師の勉強に参加するのであれば、どんな理由でも問題ない」
「いや、ちゃんと五月の心も動かすような家庭教師になれよ」
「も、もちろんだ。任せておけ」
そう言ってはいるが、不安しかない。
そんな風に頭を抱えているところに、三玖と五月がそばまで来ていた。
「この間は気にするな、と言ってはいましたが」
「私達の気持ちをここまで引っ張ってきたんだから」
「責任取ってくださいね」
「責任取ってよね」
その言葉に対して僕は、
「任せといて!」
そう高らかに宣言したのだった。
本日第2話目です!
何だか文章能力が下がっているような。。。
気のせいでありたい!
明日からは私生活が忙しくなりそうなので、更新がまた遅くなりそうです。
今後も暖かな目で見守っていただければと思ってます。