五等分の奇跡   作:吉月和玖

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15.花火大会 中編

~中野家~

 

「「「「「終わったー!!」」」」」

「あんた達急いで準備するわよ!」

 

二乃の言葉と共に五つ子全員が準備に取りかかろうとしていた。

そんな中、風太郎は一人頭を抱えていた。

 

「お前ら、普段から今日くらい真剣に宿題に取り組めよ…」

 

そんな風太郎の言葉を聞いている者はもちろん誰もいなかった。

 

「あ、上杉さん!一緒に行くので先に帰っちゃ駄目ですよ!」

 

そこで四葉が風太郎にそう念押しをした。

 

「いや、俺は一緒に行くとはひと…「駄目ですよ!」分かった」

 

今日の四葉の押しには勝てそうになく、風太郎は呆気なく折れたのだった。

そこに、和義からの連絡があった。

 

「おう、和義。どうだった?」

『零奈からはOK貰えたよ。らいはちゃんにも声かけてる。後、うちの親が何故からいはちゃん用の浴衣用意してるから、それに着替えさせて向かうよ』

「何!?さぞ可愛いだろうな。くそっ、すぐに見れないのが悔しいぜ」

『はは、じゃあ駅前で集合ってことで』

「分かった。こっちも今宿題が終わったところで、今準備しているところだ」

『は?早くないか?』

「現場にいる俺もそう思っている…」

『まぁいいや。終わったのなら問題ないね。じゃ後で』

 

そこで通話は終了した。

少し時間ができたので、その時間だけでもと普段から持っている単語帳で風太郎は勉強を始めた。そこに着替え終えた姉妹達が続々と部屋から出てきた。

 

「フータロー、カズヨシから連絡あった?」

「あぁ、ついさっきな。妹の許可も貰ったから後で合流するそうだ」

「そっか…」

 

ちょっと嬉しそうな三玖であったが、そんな事に全く気づかないのが風太郎である。すぐに単語帳に目を落としたのであった。

 

「あら?あんたまだいたの?」

「お前の妹に帰るなと念を押されたからな」

「まぁまぁ、全員揃ったことだし、行くとしますか。フータロー君、カズヨシ君とはどこで待ち合わせなの?」

「駅前だ。早く行くぞ!」

 

そう言って、さっさと向かう風太郎であった。

 

「さっきまではあんなに乗り気ではなかった彼がどうしたのでしょうか?」

「本当は楽しみだったのを隠してたんだよ!」

「違うと思う」

 

そんな三玖の意見に四葉以外の姉妹達は心の中で同意したのであった。

もちろん、風太郎が早く行こうと考えているのは、妹のらいはの浴衣姿が見たいがためである。

 

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零奈とらいはちゃんの準備も終わり、集合場所の駅前に到着した。

 

「改めて、ありがとうございます、和義さん!」

「いやいや、喜んで貰えて何よりだよ。というより、用意してたのはうちの親だけどね」

「それでもです!こうやって、浴衣を着てお祭りに来れるなんて思いもしませんでしたから」

「そっか。しっかし、二人とも本当に良く似合ってるよ。風太郎より先に見れるしで、余は満足じゃ!」

 

そう言いながら、写真を何枚も撮っている。

 

「まったく、少しは落ち着いてください!後、何枚撮る気ですか!」

「スマホのデータがいっぱいになるくらい撮りたいんだが…」

「撮りすぎです!」

「あはは…」

 

そんな事をしていると向こうから風太郎達がこっちに来ている。

そんな光景を見てらいはちゃんはかなりビックリしていた。

 

「え?五月さんが5人いる!」

「そっか、らいはちゃんは五月には会ってるんだよね。彼女達は五つ子なんだよ。って、そういえば零奈にも言ってなかったね」

 

そんな風に言いながら零奈の方を向くと、彼女は五つ子を見るのに驚いたのか、珍しく目を見開いて本当に驚いた様に固まってしまっている。

 

(まぁ、五つ子なんてそうそう見れるもんじゃないしね)

 

そんな考えをしていると、近くまで来た五つ子が挨拶してきた。

 

「待たせちゃったかな?」

「お待たせ」

「こんばんは、カズヨシ」

「お待たせしました!」

「こんばんは。直江君、らいはちゃん」

「待たせたな、和義。それに、うおーーー!らいは!浴衣姿めちゃくちゃ似合ってるじゃないか!」

「上杉君に同意するのは不本意ですが、こればっかりは同意せざるを得ませんね」

「ふわー!この娘が上杉さんの妹さんですか!?お持ち帰りしたいくらい可愛いですね!」

 

そう言って、四葉はらいはちゃんに抱きついていた。

 

「お前ら、少しは落ち着け!ったく、一気に賑やかになったな。悪い、れ…いな…」

 

先程から静かにしていた零奈を見ると、涙を流しながら中野姉妹の光景を見ていた。

 

「え、どうした!?零奈!」

「あ、あれ。あはは、可笑しいですね。目に砂ぼこりが入ったのかもしれません」

 

そう言いながら、涙を拭いている零奈。

そんな光景を見て、珍しく慌ててしまっていた。

 

「もう、大丈夫ですよ。五つ子なんてそうそう見る機会もありませんから、驚いて目を見開いていました。そこに砂ぼこりが入ったのでしょう」

 

そんな事を言っている零奈はたしかにいつも通りの零奈であった。

 

「皆さん、はじめまして。直江和義の妹の零奈です。よろしくお願いします」

「これはご丁寧に。私は直江君からいつも勉強を教えてもらっている五月と申します」

「私は三玖。よろしくねレイナちゃん」

「私は四葉です!よろしくお願いしますね、レイナちゃん!」

「私は二乃よ。本当に小学1年生とは思えない程落ち着いてるわね」

「よろしくね、レイナちゃん!私は一花だよ。本当だね。下手したら、私達より落ち着いてるかも」

 

五つ子と挨拶をしている零奈は、どことなく嬉しそうで、とてもいい笑顔を見せていた。

 

挨拶も済んだところで、花火までまだ時間もあることだしで、屋台の方に向かっていた。

 

「(うへぇ~、凄い人っ)零奈、はぐれたらまずいから、僕の手を絶対に離さないようにね」

「はい!兄さん」

「お~い、風太郎行くよ」

 

この場所には不釣り合いな程、どんよりとしている風太郎に話しかけた。

さっきまでのテンションはどっかに行ってしまったようだ。

 

「本当に、何なんですか?その祭りにふさわしくない顔は」

「ほっとけ、てか誰だお前は?ただでさえややこしい顔をしているんだから、髪型を変えるんじゃない」

(五月だよ!顔で分からなくても、星形のヘアピンで分かるだろ)

「五月です!どんな髪型にしようと私の勝手でしょう!」

(ほら~、怒らせちゃった)

「女の子が髪型を変えたら、とりあえず誉めなきゃ駄目だよ。もっと女の子に興味持とうよ。ね、カズヨシ君!」

「兄さん?」

(やめて、一花さん!こっちに話を振るのやめて!)

 

凄い睨んでくる妹。僕はまだ何も言ってないんだが…

 

「ほら、浴衣は本当に下着を着ないのか興味ない?」

「それは昔の話だろ。それくらい知っている」

「本当にそうかな~?」

 

そう言って、風太郎に下着が見えるか見えないかくらい浴衣をはだけている。

 

「に、い、さ、ん?」

(だから、僕は何もしていないんだが。そんな怖い笑顔でこっちを見ないでください)

 

妙にテンションが高い一花に翻弄されて風太郎も疲れきっている様である。

 

「ほら、一花。そんなやつに構ってないで行くわよ」

「ごめん、ちょっと電話に出ないとだから」

「ねぇ、どっかに向かってるの?」

「あんたらには関係ないでしょ」

 

今日の昼間まではあんなに話していたのだが、料理以外だとまだまだこんな感じである。

 

「て、らいはちゃん。いつの間にそんなに金魚取ったの?」

「さっき四葉さんに取ってもらったんだ!」

(こんなにたくさん、上杉家で飼えるのか?)

「四葉、お前はもう少し加減というのを知らないのか!」

「いやー、らいはちゃんが見てると思うと手を抜けなくて…」

「あと、これも買ってもらったんだよ!」

 

そう言って、花火セットを見せてくれた。

 

「それは今日一番いらないやつだろ!」

「だって待ちきれなくって」

「たく、いつやるんだよ。あと、四葉のお姉さんにちゃんとお礼は言ったか?」

 

風太郎の言葉にらいはちゃんは、『ありがとう四葉さん!大好き』、と四葉に抱きつくのであった。

 

「く~、やっぱりらいはちゃんは可愛すぎます!どうにかして私の妹にできないでしょうか。いえ、待ってください。上杉さんと結婚すれば合法的に義妹にできるのでは…」

 

とんでもないことを口走っている四葉に対して、二乃が止めに入った。

 

「あんた、自分で何を言ってるか分かってるんでしょうね…てか、上杉!あんた四葉に対して変な気を起こすんじゃないわよ」

「起こさねぇよ!」

 

そんなこんなで、少しずつではあるが先に進んでいるのだが目的地はあるのだろうか?

そんな疑問が出てきたので、近くを歩いていた三玖に聞いてみた。

 

「こんな人混みの中じゃ、落ち着いて花火は見れないと思うけど、どこか目星とかあるの?」

「二乃がお店の屋上を借りきってるから付いていけば大丈夫だよ」

(まじか!ブルジョワだな)

「凄いですね」

「だったら、さっさとそこに向かおうぜ」

「何言ってるの。祭りに来たのにアレを食べないなんてあり得ないわ!」

 

風太郎の言葉に対して二乃が反発する。

二乃の言葉に対して、『そういえばアレ食べてないね』などと五つ子が話している。

何か五つ子にとって思い出の品なのかと思っていた。

 

「「「「「せーの」」」」」

「かき氷」「焼きそば」「りんご飴」「人形焼き」「チョコバナナ」

 

見事にバラバラである。

 

「お前らが本当に五つ子なのか疑わしくなってきたぞ」

 

風太郎に激しく同意である。

 

五つ子達はとりあえず全部買ってきていた。零奈にも焼きとうもろこしを買ってあげた。

 

「あんた達遅いわよ!」

「二乃、えらい張り切ってるけど何かあるの?」

 

三玖にそう尋ねてみた。

 

「花火はお母さんとの思い出なんだ。お母さんが花火好きで、毎年家族で花火見に行ってた。お母さんがいなくなってからも毎年揃って。だから私達にとって花火は特別なんだ」

 

そう、三玖は笑いながら話してくれた。

 

(なるほどね。なら、なおさら二乃が張り切るわけだ)

「………」

 

もうすぐ花火が始まるのだろう。さっきよりも人が多くなってきた。

 

「零奈悪いけど!」

「きゃっ!兄さん何ですかいきなり」

 

僕は零奈を抱えることにした。手をつなぐだけでは、はぐれてしまいそうだからである。

 

「悪い悪い。でもこうした方がはぐれないだろ」

「カッコつけすぎです兄さん」

 

そう言いながらもぎゅっと、首に腕を回しながら零奈は僕に寄りかかってきた。

 

「て、これは本格的にまずいぞ。さっきまで近くにいたはずの三玖までいなくなってしまった」

「兄さん、少し前に二乃さんがいます」

「よし、とりあえず二乃とだけでも合流するか」

「はい」

 

そんな時だ。誰かにぶつかったのか転けそうになる二乃。

そんな彼女を転ぶ寸前のところで何とか体を支えてやった。

 

「大丈夫か、二乃」

「あんた」

「嫌かもだけど、少し我慢してくれ」

 

そう言って、二乃の手首を握って前に進む。

 

「どっちに進めばいい?」

「あっちよ」

 

二乃の指示に従いながら、何とか無事に目的地に着いた。

この辺なら大丈夫かと思い、零奈もそこで下ろしてあげた。

 

「とりあえず、屋上に行こうか。五人で見るんでしょ花火」

「そうね」

 

二乃の先導の元、貸し切ったという屋上に向かう。

 

「もしかしたら、他のみんなも来てるかも」

 

そんな期待を胸に屋上への扉を開ける。

すると、

ドォォン!!

今日の花火の一発目が上がった。

しかし、そこには誰もいなかった。

 

「ヤバい。よく考えたら、この場所私しか知らない…どうしよう」

(おーーーい!)

 

無情にも花火は次々と打ち上がるのであった。




花火祭りは原作も長いので大変ですね。。。
後編で終わるのか分からなくなりましたw
終わらなかったらサブタイトル変えるかもしれません。
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