五等分の奇跡   作:吉月和玖

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16.花火大会 後編

「兄さん、花火綺麗ですね」

「そうだな。今日は来て良かったよ」

 

夜空に浮かぶいくつもの花火を妹の零奈と見ながら語っていた。

そんな時、二人の世界を崩す者がいた。

 

「あんたらわざとやってないでしょうね…」

「いや、だって折角来たんだし、花火を見ないなんてありえないでしょ」

「そんな事は分かってるわよ!」

 

そんな時、二乃の携帯に着信があったようだ。

 

「四葉!?妹ちゃんと一緒なの!?今どこに…え、時計台?」

(妹ちゃんって…目の前にも僕の妹がいるのだが…まぁいい。らいはちゃんは四葉と一緒にいるんだな。少し安心したかも。ただ、どっちに安心したかは微妙ではあるが…すぐに動きだそうとするであろう四葉を、うまい具合にらいはちゃんが押さえてくれるといいのだが。時計台はあそこか…)

「迎えに行くからそこを動くんじゃないわよ!」

 

その一言で二乃の通話は終わったようだ。

 

「あんたも電話で誰かに…ごめん、何でもない」

「?」

 

何かを言おうとした二乃だが、何かを思い出したのか続きを言うのをやめた。

気にはなったが、今はどう動くかを考えるのが先だと思い、それ以上追及するのをやめた。

『花火はお母さんとの思い出』、そう三玖が話していた事を思い出し決心がついた。

 

「しゃーない。二乃、零奈の事頼める?」

「え…」

「零奈、一緒に花火が見れなくなって申し訳ないけど、ここで待っててくれるか?僕はみんなを探してくるよ」

「えぇ、もしその決断をしなければ、私は兄さんを軽蔑していましたよ」

「おっと、それは危なかったね」

 

そう言って、零奈の頭を撫でてあげた。

 

「それじゃあ、まずは居場所を知ってる四葉とらいはちゃんからかな。てことで二乃、僕と連絡先交換をしてくれないか。もし他の姉妹の場所が分かったら教えてほしいからさ」

 

そう言って自分のスマホを見せるが、二乃は信じられないと言いたげな顔をしてこちらを見ていた。

 

「あ、もしかして連絡先交換はやっぱり駄目だった?」

 

その言葉にハッとした二乃は自分のスマホを取り出して、連絡先が記載されてる画面を出した。

 

「し、仕方ないわね。今回は緊急事態ってことで教えてあげるわ!」

「ありがと」

「ふん!…でもいいの?あんた、女子に連絡先教えたくなかったんでしょ」

 

そっぽを向いたまま、二乃は聞いてきた。

そう、二乃は知っているのだ。和義が学校の女子の誰とも連絡先交換をしていないのを。

これを知ったのは、二乃にはすでに多くの友達がおり、その友達経由で聞いたからだ。

 

「ふ、別にいいさ。家庭教師と生徒という関係でもあるし、何より二乃とは料理仲間でもあるからね!僕って結構君たちのことを信頼してるんだよ」

 

笑いながらそう答えたのだが、『あっそ』と軽く言ってまたそっぽを向いてしまった。

二乃との良好な関係を作るのは、まだまだかかりそうだと改めて実感するのであった。

しかし、この時の僕は気づいていなかったが、そっぽを向いた二乃はどこか嬉しそうな顔をしていた。

 

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二乃に零奈を任せて人混みの中を、四葉とらいはちゃんがいる時計台に向かって進む。

この時に他の姉妹や風太郎と合流できれば御の字だ。

ちなみに、風太郎には何度か電話をしているがまったく繋がらなかった。

 

(らいはちゃんがまだいるから、さすがに帰ってはいないと思うが…)

 

そんな考えをしていると、前方に見たことがあるようなアホ毛の女の子を発見した。

 

「五月!」

「あ、あ…直江君。良かったです~」

 

見つけた五月に声をかけると、振り返り半べそ状態でこちらに寄ってきた。

どうやら、一人迷子になっていた時に風太郎と合流できたのだが、その後また一人になってしまったため限界が来ていたようだ。

 

「う~…すみません。本当にもう誰とも会えないのではないかと不安になってしまったので。お見苦しいところを…」

「別にいいさ。よく一人で頑張ったね、偉い偉い」

 

そう五月の頭を撫でてあげた。

 

「む~…直江君は、たまに私の事を年下の子どものように扱うときがありますよねっ!」

 

そう言って、少し頬を膨らませた五月がこっちを睨んでいた。

 

「(う~ん、どうにも零奈と同じように話しているからか、零奈が成長したらこんな感じかなって思いがあったからかな)ごめんごめん、そんなつもりはなかったんだけど、嫌だったかな?」

 

「別に嫌という訳ではありません」

 

そう言って、下を向いてしまった。

しかし、五月の特徴的なアホ毛は、もっと撫でてくれと言っているように揺れていた。

そう思ってもう少し撫でてあげると、『えへへ』と聞こえてきたので、満更でもないのだろうと思うのであった。

ある程度五月が落ち着いたのを確認できたので、次の行動に移ろうと考えていた。

 

「五月、風太郎以外に誰か見かけなかったんだよね?」

「はい...」

「よし!じゃあ、当初の予定通り四葉とらいはちゃんがいる時計台を目指しますか!五月、疲れてない?」

「大丈夫です!お気遣いありがとうございます」

 

無理をしているようには見えなかったので、このまま時計台に向かうことに決めた。

 

「それじゃあ、はい」

「え?何ですかこの手は?」

「ほら、またはぐれたら今度こそ五月泣きそうだし」

「う~~、泣きません!たまに直江君は意地悪なところがありますよね」

「ごめんって、でもはぐれるかもしれないと思ったのは本当だよ。五月が嫌ではなければ...」

 

そう言ってまた五月の方に手を再度出した。

 

「し、仕方がないですね。緊急事態ですので、今回はしょうがないです」

 

そう言って顔を赤くして僕の手を握ってくれた。

先ほどの二乃といい、同じことを言うのだから、こういうところはやはり五つ子なのだなと感じるのであった。

 

五月が浴衣姿ということもあり、先ほどよりはゆっくり歩きながら辺りに他の姉妹がいないか探しながら時計台を目指していた。

姉妹を探すということもあり、先ほどよりも落ち着いてきたようで、五月も姉妹探しに集中していた。

そんな時だ、

 

「あ、あの...」

「どうした?誰か見つけた?」

「いえ、そうではないのですが、誰かと一緒にいることで安心してしまったのかお腹が空いてきてしまって...」

「ぷっ!」

「わ、笑わないでください!」

「ごめんごめん、いつもの五月に戻ったみたいで良かったよ。そうだなー、たませんでもいい?」

「はい!」

 

そう言って近くのたませんの屋台に向かった。

 

「すみません、たません一つお願いします」

「はいよ!お、なんだい可愛い彼女じゃないか?」

「か、かの...」

「でしょー、実は今日は初めてのデートでして」

「で、デー...」

 

いちいち、赤くなっている五月の反応が面白くて、屋台のおじさんの話に合わせることにした。

 

「いいねぇ。初々しいよ~」

「そんな初々しいカップルにおまけ付けてくれません?」

「お、言うね~。仕方ない、値段そのままでそばのトッピングをしてやるよ」

「ありがとうございます。では、それをもう一つ追加で」

「兄ちゃんもやるね~。まいど!」

 

そんなやり取りをしながら、中にそばがトッピングされたたませんを二つ受け取った。

 

「ほい五月!熱いうちに食べな」

「う~~~~~~~~~」

「からかったお詫びで二つ食べていいから。さっきのやり取りのおかげでそばのトッピングも付けれたわけだしさ」

「知りません!」

 

そう言いながらも美味しそうに食べる五月の顔はほころんでいた。そして、手も握ったまま------

 

------------------------------------------------

そんなこんなで、結局誰とも会えずに時計台まで着いてしまった。

しかし、そこには四葉とらいはちゃん以外にもいたのだ。

 

「三玖!大丈夫か」

 

足に包帯が巻かれている三玖が時計台のところに座っていたのだ。

 

「あ、カズヨシ。大、丈夫だよ...」

「みんなと合流できて本当に良かったです」

「うん、それは良かったんだけど、五月それって...」

 

四葉が言うそれとは何を言っているのかがすぐには分からなかった。

それは五月もどうやら同じのようだ。

 

「和義さんと五月さんって仲良しさんなんですね!」

 

らいはちゃんのその言葉で気づいてしまった。

今まで、他の姉妹を探すことで自然な状態になっており、尚且つ姉妹が見つかったことの安堵感で手を握っていたことをすっかり忘れていたのだ。

 

「こ、こ、これは違うのです!はぐれないようにする緊急の処置であって」

 

と、勢いよく手を離し、顔を赤くして必死に弁明をしている五月。今日は本当に色々な五月の顔を見れたなと思うのだった。

しかし、それはまだいい。先ほどから、頬をこれでもかと膨らませてこちらを睨んできている三玖が何とも怖いのだ。何故だろう。

 

「よし!じゃあ後は、一花と風太郎だけか。ひとまず二乃のところに戻るとするか。三玖をこのままの状態に出来ないしね」

 

とりあえず、話をそらすことにした。

 

「一花と上杉さんでしたら、一緒にいますよ。色々あったみたいで」

「うん。でも、あの時のフータロー、いつもの勉強しろって言っているときと違って見えた。カズヨシの言ってた通りいい人なのかもって思えた」

「そっか。じゃあ、やっぱり一旦二乃のところに戻りますか。まだ花火も終わらないだろうしね」

 

そう言いながら、三玖の前で背中を向けてしゃがんだ。

 

「え、何してるのカズヨシ」

「何って、その足じゃまともに歩けないでしょ。だから僕の背中に乗りな」

「で、でも...」

「ほら早く。花火が終わっちゃうよ」

 

その一言で諦めたのか、三玖が僕の背中に乗ってきた。

 

「よし、じゃあ行きますか。らいはちゃん僕の服を握っててね。四葉はらいはちゃんと五月と手を握るといいよ」

「はい!」

「分かりました!」

 

はぐれないとは言え、何とも奇妙な集団が人混みの中を突き進んでいった。

 

「悪いな三玖。ちょっと注目を集めることになっているみたいで」

「別にいい。でも、やっぱりカズヨシは凄いね。私を担いでいるのに、全然疲れを感じさせない。フータローも私を担いでくれたけど、その場に立つので精一杯だったみたい」

「ははは、風太郎は勉強の虫だからね。どうせ重いとか言ったんでしょ」

「うん。さすがフータローの事分かってる」

「はは、まあね。そういえば、三玖。いつの間にか髪型変えてたんだ。似合ってるよ」

「.....ありがと」

 

そんな風に話をしながら二乃と零奈が待つ場所に向かっていた。どうやら三玖の機嫌も直ったようだ。よかったよかった。

 

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~その頃の二乃と零奈~

 

「五月!?一花と上杉以外のみんなと合流してこっちに向かってる?そう、とりあえず良かったわ。気をつけて来るのよ」

 

そう言って電話を切った二乃。

 

「良かったですね。全員とまではいきませんが合流が果たせそうです」

「そうね。あいつも中々やるじゃない」

 

そう言う二乃の顔は満足気である。

そんな二乃を見て、零奈も満足できていた。

次々と打ち上がる花火を見ながら、零奈は二乃に質問をした。

 

「二乃さん。あなたたち姉妹は仲良くやっているのですね」

「何よ急に。まぁ仲良くやってるんじゃない」

「それは良かったです。今日の皆さんを見ていたら微笑ましく思えてきました」

「それはどうも。そう言うあんた達も仲がいい兄妹じゃない」

「ふふ、羨ましいですか?」

「べ、別に羨ましくないわよ。でも、その内『兄さんなんて嫌いです』なんて言い出すんじゃない」

「それはありえません。私は兄さんが大好きですから」

「うわぁ、そこまで言うか...」

(でも、あいつの信頼しているって言葉を聞いたとき少し嬉しかったって思ったのも事実なのよね。って駄目駄目、あいつの口車に乗せられるもんですか)

 

そう思い頭をぶんぶん振る二乃。

 

「どうしたのですか?」

「なんでもないわ」

「そうですか。二乃さん、いつまでも姉妹仲良くいてくださいね」

 

そう言いながら花火を見るために見上げる零奈。その小学1年生とは思えない姿を見て、少し懐かしさを感じる二乃であったが、何故そう思えたのかまでは分からなかった。

 

------------------------------------------------

「お待たせ!」

 

勢いよく屋上への扉を開ける四葉に続いて僕たちも屋上に出た。

 

「遅いわよあんたたち。って、三玖どうしたのよ」

「どうやら、一人歩いてた時に人混みで誰かに踏まれたらしい。零奈、風太郎が軽く診てくれたようだけど、治療をしてあげてくれないか」

「分かりました。そこの椅子に座らせてください」

 

そう言って、常に持ち歩いているのか、鞄から救急キットを取り出した。

後は任せとけば大丈夫だろと思い、ぐ~っと体を伸ばしながら屋上のフェンスまで向かい、花火を見るため空を見上げた。まだもう少しだけ花火も上がるようだ。

 

「お疲れ」

「悪いね、結局一花を見つけれなかったよ」

「さっき三玖と四葉から聞いたわ。一花に関しては何かあるんでしょ。それに上杉も何かできないか躍起になっているらしいわね。だからこれでも十分の成果よ」

「そっか。二乃にそこまで言ってもらえるとやりきった感が出てきたよ」

「あっそ。...でも、今年は5人で花火を見ることは出来なかったわね」

 

そう言いながら空を見上げる二乃の顔は寂しさを醸し出していた。

 

「花火ってさ。打ち上げ花火でなくてもいいのかな?」

「え?」

 

そう言って指をさした先を見る二乃。そこには、らいはちゃんが四葉から買ってもらったあるものが置いてあった。

 

「風太郎はまだ多分一花の近くにいると思うんだよ。だから、風太郎にも話してみる」

「何で。あんたは何でそこまでするの?」

「う~ん。強いて言えば、中野姉妹の笑顔を見ていたいからかな。みんなの笑顔を見て僕も助けられたこともあったし。ま、独りよがりな行いだよ」

「ホント、あんたって馬鹿よね」

 

そう言って、涙を流しながらも今日一番の笑顔を見せてくれたのであった。

 

風太郎に電話をしたところ、風太郎も同じことを考えていたらしく話がスムーズにいった。

さすがは我が友である。

そんな風太郎との電話を終えたところに、治療を終えた零奈が近づいてきた。

 

「ありがとね、零奈」

「いえ、この位どうということではありません」

「はは、さすがは我が妹だよ」

 

そんな風に頭を撫でてあげながら、兄妹でもうすぐ終わるであろう花火を見上げていた。

近くでは中野姉妹4人が花火を見ながら盛り上がっていた。

そんな時、零奈から僕の手を握ってきた。

 

「どうした?」

「いえ、今は兄さんと手を握りながら花火を見たいと思いまして。駄目でしたか?」

「全然。もっとしてほしいことを言ってもらって大丈夫だよ」

「はい!」

 

打ち上げ花火もクライマックス。何かとバタバタしたが良い花火大会だったと思う。

まぁまだ本当のクライマックスが待っているのだけれども、そんな風に考えながら最後の大きな花火を見るのであった。

 

------------------------------------------------

近くの公園で待っていると、そこに一花と風太郎が合流した。

 

「あ、一花に上杉さん!上杉さん、準備万端なのですが、すみません我慢が出来ずに先に始めてしまいました」

 

そう言って、手に持っている花火をぶんぶん振り回している四葉。

 

(危ないからやめなさい。小さな子も見てるんだよ)

「お前が花火を買っていたおかげだ。助かったよ。てか、花火増えてないか?」

「ああ、さっき僕が近くのコンビニまで買いに行ってきたんだよ。さすがにこの人数だと少ないと思ってね」

「おまえも流石だな和義」

 

そう言っている風太郎はどこか清々しく感じる。

 

「あんた、五月を置いてどっかにいったらしいじゃない!直江が合流した時には半べそだったそうよ」

「二乃!それは言わないでください!ていうか誰から聞いたのですか!?」

「直江から」

「直江君!!」

「ごめんごめん」

「まぁ、一花をここまで連れてきたことで帳消しにしてあげる。お、つ、か、れ!」

「はは、サンキュ」

「じゃ、みんな揃ったことだし、本格的に始めちゃいましょうか」

 

そんな二乃の号令とともにいざ始めようとしたそんな時だ。

一花が全員に向かって頭を下げた。

 

「ごめん!私の勝手な行動でこんなことになっちゃって...本当にごめんね」

「そこまで謝らなくても」

「五月の言う通りだよ。一花も十分反省しているだろうしね」

 

僕と五月は宥めているが一人だけ納得いっていない人がいるようだ。

 

「まったくよ!何で連絡してくれなかったのよ。今回の原因の一端はあんたにあるわ。けどね、目的地を言っていなかった私も悪かったわ」

「二乃...」

「私も、自分の方向音痴には泣けてきました」

「五月ちゃん...」

「私も今回は色々失敗続きだった」

「三玖...」

「よく分かりませんが、私も悪かったということで!屋台ばかりに目がいってしまって。しかも、らいはちゃんに落ち着くよう言われる始末」

「四葉...」

「ほら、あんたの分の花火よ」

 

みんなの言葉を聞き少し涙目になっている一花に花火を差し出す二乃。

 

「昔お母さんがよく言っていましたね。誰かの失敗は5人で乗り越えること。誰かの幸せは5人で分かち合うこと。喜びも悲しみも怒りも慈しみも、私達全員で五等分ですから」

 

5人は円を描くように花火を中心に向けている。

そんな光景を零奈は、僕の横で真剣な眼差しで見ていた。

 

風太郎は疲れて眠ってしまったらいはちゃんの横に座っていた。

 

「風太郎も今日はお疲れ様!普段勉強しかしていないから疲れたんじゃない?」

「もうヘトヘトだ。というからいはも満足して寝ているし、あいつらも5人で花火をしている。俺は帰っていいんじゃないか?」

「また、風太郎はそんなことを言って。もう少し付き合いなよ」

「仕方ないな」

 

そんな風に言う風太郎ではあるが、口角が上がっているのを僕は見逃さなかった。

風太郎も五つ子と過ごすうちにどうやら変わってきたのだろう。

 

「いっくよー」

 

四葉の合図で市販の打ち上げ花火があがった。

 

「しょっぼい花火」

「ホントお前は一言多いよ」

 

そんなこんなで花火もあと僅かしか残っていなかった。

色々な種類が残っているにも関わらず、五つ子が選ぶ花火は一致しなかった。凄い確率である。

 

「零奈、僕達も最後の花火をしようか。はい線香花火」

「ありがとうございます、兄さん」

 

同じ線香花火をしている三玖の横にしゃがみこみ一緒にすることにした。

 

「っ!カズヨシ」

「僕達兄妹もお邪魔するね。しっかし三玖は分かってるね。やっぱり最後は線香花火だよね」

 

そう言って自分の分と零奈の分に火を点ける。

 

「うん...」

「三玖も直江さんもこっちのほうが派手でいいですよー!」

「だから、花火を持って振り回さない!小さな子が真似するでしょ!」

「す、すみません!」

「ったく四葉は。よし零奈どっちが長く灯せるか勝負といこう」

「望むところです」

「凄いバチバチ...」

 

結果は、

 

「何故だ?こればっかりは零奈に勝てない...しかも先に始めたであろう三玖にまで」

「カズヨシ、さすがに早すぎる」

「兄さんはもう少し健闘した方がいいですよ」

 

僕の惨敗であった。

そんな中風太郎の方を見ると、一花が風太郎を膝枕しているところであった。

風太郎も疲れて眠ってしまったようで、反応がない。

それに、どうやら一花にも心の変化があったようだ。

あまりのぞき見をするのも気が引けたので、体を伸ばしながらそんな二人に背を向けた。

 

(これで本当にクライマックスだな。いやぁー長い一日だったね。でも充実した一日だった)

 

そんな考えの中、長い長い一日が幕を閉じるのであった。




お久しぶりです!
私生活が忙しすぎて投稿に時間がかかってしまいました。。。
思っていたとおり、花火大会は長かったです。
すみません、前編・中編・後編でまとめるために、後編が長くなってしまいました。
今後の課題ということで、これからも頑張っていきます。
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