五等分の奇跡   作:吉月和玖

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17.連絡先

「おっはー」

 

朝いつも通り風太郎と登校していると、一花がコーヒーを飲みながら待っていた。

 

「おっす」

「おはよう、一花。お、冬服じゃん!やっぱり女子は見た目全然変わるね。男子はほとんど変わらないからさ」

「流石カズヨシ君。やっぱり良く見てるよね。フータロー君も見習わないと」

「何なんだ、朝から騒々しい」

「学校までもうすぐそこだけどさ。一緒に登校しようと思って待ってたんだ」

「いいね。一緒に登校しようか」

「お前は目立つから一緒にいたくないんだがな」

「もう~、そんな事言っちゃって~。本当は一緒にいて嬉しいくせに」

 

やはりこの間の花火大会で、風太郎と一花は何かあったのか、一花は風太郎に対して気を許しているようだ。いい傾向である。

 

「昨日、ようやく決心がついてみんなに私の仕事のこと打ち明けたんだ。もう、みんなビックリだったよ」

「だろうな」

「だよね。僕も風太郎から聞いたときはビックリしたよ。あ、零奈なんか自分の事のように喜んでてさ、そういえばサイン貰ってきてって言ってたっけ。後で頂戴」

「わお!もちろん良いよ。とは言え、まだまだ女優の卵なんだけどね」

 

そうなのだ。一花はなんと女優業と並行して学校に通っているのだ。

風太郎から聞いた話によると、この間の花火大会の日に、大切なオーディションが入り、それで花火大会を抜け出したという。

みんなにはもっと仕事が増えて、有名になったら明かしてビックリさせたかったと一花は言っていたそうだ。

今でも十分にビックリするのだが。

 

「でもさ、姉妹のみんなに報告して何かスッキリした!」

 

そう言う一花の顔は本当に晴々としていた。

 

「お、今の笑顔はいいね。今までの笑顔が演技みたいだよ」

「うっ!」

「ふん、和義にも見破られているんだったら、やっぱり向いてないんじゃないか」

「もう!またそういうことを言うんだから~」

「まぁ、今でも女優業を続けるのは反対しているんだがな」

「大丈夫だよ。ちゃんと留年しない程度には勉強頑張るからさ。勉強会してるんでしょ。また放課後になったら連絡するね。てことで、はい」

 

そう言って一花は自分のスマホを風太郎に差し出した。

 

「え、何くれるの?」

「何でだよ!」

「はは、連絡先交換しようと思って、駄目?家庭教師的にもやっておいて損はないと思うけど。あ、カズヨシ君もね」

「連絡先ね~」

「僕はいいよ。たしかに連絡先を知ったほうが、今後家庭教師をやっていくうえで便利だしね。ほら風太郎も」

「和義がそこまで言うのであれば仕方ない」

「ありがとね、二人共」

 

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その日の放課後は図書室で勉強会を行うことになった。

ちなみに二乃と五月はどうやら食堂で軽食を食べているようだ。

五月の場合、軽食になっているのか疑問ではあるのだが...

 

「連絡先の交換!いいですね、私は賛成です!ただ、ちょっと待ってください。今この作業を終わらせないとなので」

 

一生懸命折り鶴を折りながら四葉が答える。

 

「一応聞くが何をやっているんだ?」

「千羽鶴を折っています。友達の友達が入院することになったので!」

「勉強をしろ!」

「右に同じく」

「ったく。貸せ手伝うから。終わったら勉強をするぞ」

「あ、風太郎手伝うんだ。そういえば、三玖とも交換してなかったね連絡先。この機会に交換しようか」

「え...う、うん」

「よしっと、本当は教室でも良かったんだけど、みんなに見られると何言われるか分かったもんじゃないからね」

「はは、カズヨシ君も大変だね」

「そもそも俺はお前たちの連絡先など...(ブブブ)...俺もみんなの連絡先聞きたいな~」

 

セリフと顔が一致していない風太郎が一花を睨んでいる。

 

(一花...スマホを持ってニヤニヤして。何か風太郎に送ったな)

「はい、協力してあげる」

「わ~い、やったぜー」

(本当に嬉しいのであれば、その棒読みやめとけ!)

「そういえば、三玖。足大丈夫なのか?」

「え、うん。大丈夫だけど。フータロー気にしてくれてたんだ」

「まぁな。よし、二乃と五月は後日でいいだろう」

「二乃と五月でしたら、さっき食堂で見ましたよ。一緒に行きましょう!」

「何でお前も来るんだよ。勉強しろ!」

 

そんな風太郎の言葉を無視するように、四葉は風太郎を先導して行ってしまった。

 

「あれ?君は行かないの?」

「別に僕は今じゃなくてもいいかなって」

「え~、だって君って二乃とはもう交換済みなんでしょ。そんな中まだ交換していない四葉と五月ちゃんはどう思うんだろうね。特に五月ちゃん泣いちゃうかも」

「いやいや、一花大袈裟でしょ」

「え、待って。二乃とはもう交換してたの?」

 

そんな言葉とともにこちらを睨んでくる三玖。

何故睨まれているのかが分からず、冷や汗をかきまくっている。

そんな光景を面白そうに見ている一花。いや助けてよ。

 

「え~とですね。昨日は、みんなを探すために二乃には零奈を見てもらっていたわけでして、で二乃に誰かの連絡がいけば僕に教えて欲しくて、それで交換をしました」

 

何も悪いことをしていないにも関わらず、取り調べを受けているかの如くだ。理不尽である。

何とかその場を宥めることに成功したのだが、結局四葉と五月の連絡先を聞くことに決め、食堂に向かう事にした。先に言っておくが、あの場に居たくなくなった訳ではない。

 

「今度はあんたなわけ」

「直江君、こんにちは」

「おっす、二人共。今度はってことは、風太郎は来たけどどっか行っちゃった?」

「あいつにこれ返しといてちょうだい。後、身内を売るようなことはするなって伝えといて」

(あいつは何をしたんだ?てか、相当大事にしてる生徒手帳を忘れるなんてよほどのことが起きたのか)

「それで、あんたも連絡先の交換に来たの?」

「ああ、二乃のは知ってるから、五月交換してもらってもいいかな?」

「私は構いませんよ。勉強で分からないところがあれば聞けますしね」

「あんた、本当に上杉との差がすごいわね」

「これは仕方がないことです。というか、二乃はいつの間に直江くんと連絡先の交換をしていたのですか?私としてはそっちの方がビックリです」

「仕方がない状況だったからよ」

「そうなんですね」

「後は四葉だけか...」

「四葉のだったら後で私から送っといてあげるわよ。あの娘のことだからすぐにOKするでしょ」

「ありがとね二乃」

「これくらいどうってことないわ」

 

ということで僕に関しては、あまり苦労をせずに五つ子の連絡先をゲットすることができたのであった。多少、大変なところもあったわけだが...

ちなみに余談ではあるのだが、その日の内に風太郎は、五つ子に対して一斉メールで宿題を出したそうだ。

その宿題で分からないところがあると、今度は五つ子から僕の方に連絡が来たのは言うまでもない。




と言うわけで、今回のお話で中野姉妹と風太郎、そして和義との連絡先交換をすることになりました。原作を読んでいる方は分かるかもしれませんが、若干変えておりそこが今後の話の流れを変えていくと感じております。うん、どうしよう。。。

拙い文章を読んで頂けている皆さん、そんな中お気に入りにもしていただけている皆さん本当にありがとうございます。
これからも、どうぞよろしくお願いします!
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