その日の昼休み、食堂にて
「焼き肉定食、焼き肉抜きで」
「お前さんは今日も平常運転だねぇ」
このアホな注文をしているのは、もちろん我が友上杉風太郎である。
彼曰く、この学食で最も安いメニューらしい…
もちろん、一番安いメニューはライスのみの200円なのだが、この焼き肉定食の焼き肉抜きにすることで、同じ200円で味噌汁とお新香まで付いてきてお得なのだ。
(確かにお得かもしれないが、こんなことをするのはおまえくらいだよ)
いつもそう思って仕方がなかった。
ちなみに、僕はハヤシライス(大盛)とサラダ、それに唐揚げ単品(風太郎用)を頼んでいる。
「ほい、今日も頑張ってたみたいだから激励を込めて差し入れだよ」
そう言って、風太郎のトレイに唐揚げを乗せてやった。
「いつもすまんな」
「いいって、気にしなさんな。僕が好きでやってるんだから」
その後いつもの席に向かったのだか、そこで思いもよらないことが起きてしまう。
ガシャン!
ほぼ同時になるトレイをテーブルに置く音。
ちなみに僕ではない、僕はまだトレイを持って風太郎の後ろにいる。
では誰だ、と風太郎の奥を見てみると一人の女生徒がいた。
(黒薔薇女子の制服…?なぜ、そんなお嬢様学校の生徒がこんなところに?)
そんな事を思ってる間に、風太郎は嫌な方に想定していた行動を取っていた…
「俺の方が早く座りました!はい俺の席!」
(本当にガキかこいつは…)
「和義、早く向かいに座れよ」
今までの行動について、何もなかったかの如く僕にそう話しかけてきた。
だが、ここで僕の予想外のことが起きる。なんと、黒薔薇女子の制服を着た女生徒が、風太郎の向かいに座ったのだ。
「何でお前がそこに座るんだ。そこは俺の友人が座る場所だ!」
「椅子は空いてました。座った者勝ちなのでしょう。それに、ずっと学校の見学をしていて足がもう限界なんです」
そう言って、チラッと彼女はこちらを見ていた。
「大丈夫ですよ。僕はこの男と違って図々しくないので。僕は、こっちの席を使いますよ」
と言って、ちょうど風太郎の横の席に座った。
何か言いたげな顔を風太郎がしているが、気づかないふりをして昼御飯を食べることにした。
「はぁ、もう勝手にしろ」
そう言って、風太郎も食事を開始した。
その時の彼女は少しほっとしていたように見えた。本当に足に限界が来ていたのだろう。
そんな事には露も気づいていないこの男は、いつも通り飯を食いながら勉強をしている。
「行儀が悪いですよ」
「ほら。僕もいつも飯時には勉強やめろって言ってるだろ」
「テストの復習をしているんだ。和義はともかく、お前には関係ないだろ、ほっといてくれ」
(またそんな突き放すような事を言って…ほら見ろ彼女の顔がどんどん膨れてるじゃないか)
そう、彼女の頬はまるで風船の如く膨らんでいる。
何かあれば爆発してしまうんじゃないかとこっちはハラハラだ!
せっかくの飯なのに味が分からん。
「そんなに必死に勉強をしているということは、とても点数がよくなかったのですね。何点だったんですか?」
そう言って、風太郎が持っている答案用紙を彼女が取り上げた。
「あ、馬鹿やめろ!」
そんな風太郎の反応が嬉しかったのか、ニヤリと彼女は笑っていた。
「あぁ~、見ない方が言いと思うけどなぁ」
そんな僕の言葉に若干不思議に思いながらも、答案用紙の内容が彼女の目に入ることになった。
「え~っと、上杉風太郎くん。得点は……100点」
「あぁ~、もうめっちゃ恥ずかしい!」
(どこがだよっ!してやったりって顔じゃねぇか!ほら彼女の顔もまた膨らんじゃってるじゃないか)
よほど悔しかったのか、先ほどと負けず劣らず彼女の頬は膨らんでいる…
「わざと見せましたね!」
「なんのことやら」
(いや、わざとだろ)
もう心の中での突っ込みに疲れてきた。
「うぅ…悔しいですが勉強は得意ではないので羨ましいです。
そうです!私、良いこと思いつきました。せっかく相席になったのですから、私に勉強を教えていただけませんか?」
こんな提案をされれば少しは迷うか、引き受けたりするのだろうが、この上杉風太郎という男は普通ではないのだ。
「ごちそうさまでした」
そう言って、席を立って立ち去ろうとしている。
「えぇ~っ!食べるの早くないですかっ!それだけでは足りないでしょう。私のを分けてあげましょうか?」
そう言って引き留めるが、さすがは風太郎…僕の斜め上をいく行動をする。
「満腹だね。むしろあんたが頼みすぎなんだよ。ふ「あ、馬鹿!」とるぞ。」
時既に遅し。僕は眉間に指を持っていった。
「ふとっ……」
そんな時、風太郎の携帯にメールが来たようだ。
「すまん、和義先に行く」
風太郎にメールを送ってくるのは、僕か妹のらいはちゃんくらいだ。そして、僕はメールをしてないので十中八九らいはちゃんだろう。
そんな事を考えている間に風太郎は行ってしまった。
「あんな無神経な人に初めて会いました!!」
そりゃそうだ。初対面の女子に向かって、さすがに太るはないだろ…
いや、たしかに彼女の昼飯は、うどんにトッピングに海老天2個、いか天とかしわ天とさつまいも天、さらにデザートにプリン、とかなり量が多い。
「悪かったね。僕の友人が失礼な態度を取って。いやぁ~、長年友人やってるけど、ホント予想外の行動を取るわぁ」
「いえ、あなたが謝ることはありません。むしろ、あなたは何度か気を使ってくれたではないですか。あんな人と一緒に居て大変じゃないですか?」
そう言って、彼女は残りのご飯を食べ始めた。僕もそれに続く。
「まぁたしかに疲れるときはあるけど、あいつも根は良いやつなんだよ」
「信じられません」
あんなものを見せられたら、そりゃそんな気持ちになるわなぁ。
「ところで勉強見てほしいの?お詫びと言ったら何だけど、僕が見てあげようか?」
「本当ですか!もしお時間があるのであればお願いしたいです」
「全然良いよ。てか、今勉強道具持ってるの?」
「はい。鞄の中に入れてます。」
そう言って、鞄の中からノートと参考書を取り出した。
(たしかさっきは勉強得意ではない、と言っていたけど、参考書を持ち歩いてるなんて、真面目な子なんだな)
そう思いつつ勉強を教え始めた。
「さてと、昼休みもそんなにないし触り程度だけどやりますか!」
「はい、よろしくお願いします。」
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「……………てな感じかな、どう?今の説明で分かったかな?」
「はい!勉強が苦手な私でも大変分かりやすかったです。教えるのがお上手なんですね、えっと……」
(おっと、そういえばお互い名乗ってなかったな)
「僕は、直江和義。2年4組に在籍している」
「私は、
「そっか、同じクラスになるといいね。ちなみに、さっきの男は僕とは別クラス。何組かは……、まぁお楽しみってことで」
「うぅ~、できればあの人とは同じクラスにはなりたくないです」
「ははっ、それはフラグ立てちゃうから言わない方がいいかも。僕と同じクラスになってもならなくても、また勉強教えて欲しかったらいつでも声をかけてよ、これも何かの縁だろうし」
「はい!その時はよろしくお願いします!」
そんな会話をしていたら、予鈴が鳴り響いていた。
私生活を送りながらの投稿は大変ですね。。。
やっと第2話です。
続きもすぐに投稿できればいいのですが。