五等分の奇跡   作:吉月和玖

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22.次女と五女

カチャカチャ……

 

「あれ、兄さん?」

「おう!おはよう零奈。今日も早いな」

「おはようございます。兄さんが休日のこんな時間に起きてるなんて珍しいですね」

「僕もたまにはね。五月は?」

「今準備してるので、もうすぐ来ると思いますよ」

 

朝食の準備をしているところに起きてきた零奈がリビングに入ってきた。

そんな零奈と話をしてると五月もリビングに入ってきた。

 

「おはようございます。直江君」

「おはよう五月。よく眠れた?」

「はい。おかげさまで」

「それは良かった。もうすぐ朝食できるから席に座ってて」

 

朝食の準備が出来たので、テーブルに並べていく。今日は純和食を作ってみた。白米に味噌汁、焼き鮭に浅漬け。それと…

 

「わぁ、卵焼きです!直江君の卵焼きまた食べたかったんですよ」

「そう言ってくれるとありがたいね。じゃあ食べますか。いただきます」

「「いただきます」」

「う~ん。あの時はお肉が入った卵焼きでしたが、このシンプルな卵焼きもやはり美味しいですね」

「兄さんの卵焼きは絶品ですね。お味噌汁も美味しいです」

 

どうやら今日の朝食は二人に好評のようだ。良かった良かった。

 

「じゃあ五月。朝食を食べ終わったら、さっそく勉強始めようか」

「は、はい!よろしくお願いします」

 

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朝食も終わり、片付けはかってでた零奈に任せて、僕と五月は勉強の用意を始めた。

 

「さっそくだけど、この問題をまず自力で解いてみようか」

 

そう言いながら一枚の用紙を五月に手渡した。

 

「これは…」

「じゃあ、制限時間は20分ってところかな。よーい始め!」

 

その合図に五月は問題を解いていく。

五月が今やってるのは基本中の基本問題だ。

だが、どんな基本問題であっても試験には出てくるものである。だからこんな問題でも侮ってはいけない。こういう問題を確実に解けていれば今後楽になるだろう。

そんなこんなで20分はあっという間過ぎていった。

 

「はい、ここまで」

「はぁ~…」

 

僕の終わりの合図を聞くや否やテーブルに突っ伏してしまった。そんな五月の姿を尻目に採点をしていく。

 

「ど、どうでしょうか?」

「うん、8割程の正解率だね」

「わぁ~」

「まぁ、本来これは全部解けてなければいけないんだけどね」

「う~…」

「それでも成長してるって思うよ。よく頑張ったね」

 

その言葉と一緒に五月の頭を撫でてあげた。

 

「はぅ……」

「?」

「兄さんはもう少し女性の接し方を学んだ方がいいと思います」

「頭を撫でる事は五月くらいにしかしないから大丈夫でしょ」

「わ、私だけ…」

「はぁ~、何を言っても無駄ですね」

 

何故か零奈は呆れてしまった。そんなこともありながらも、五月とのマンツーマン授業は昼近くまで進んだ。今回も零奈が横で自分の勉強をしていたので、正確に言えば3人での勉強会ではあるが、まぁ零奈からの質問はほぼないのでマンツーマンと言ってもいいだろう。

 

「うん。キリもいいし、昼食の準備に取り掛かろうかな。五月は休んでるといいよ」

「はい~...」

 

返事はしているものの、屍のようにソファーに倒れ込んでいる。まぁ、途中小休憩を挟んではいたが約2時間ぶっ続けて勉強をしたのだ、無理もない。

 

「そういえば今日は来られるのでしょうか?」

「あぁ、そろそろ来るんじゃないかな」

「?どなたかがいらっしゃる予定だったのでしょうか?」

「五月のよく知っている人だよ」

 

そんなことを話していると玄関のチャイムが鳴った。噂をすればなんとやらだ。

来訪者は予想していた人物であった。

 

「いらっしゃい、二乃」

「お邪魔するわね」

 

二乃と一緒にリビングに戻ってきたのだが、流石に五月はソファーに座り直していた。

 

「え、二乃!?」

「おはよ五月。それにしても、あんたもやるわね。男の家に泊まって、その男の服を着てリビングでのんびりしてるんだから」

「こ、これには事情があるのです...」

「事情ねぇ。あんたら本当は付き合ってるんじゃないの?」

「!?」

「そんな訳ないでしょ。五月は友人だよ。今回は友人を泊めただけ。まぁ、その友人が異性だったけどね」

「そ、そうです。学生中のお付き合いなんて不純です!」

「ふ~ん。その反応だと本当のようね」

「それより、二乃は何しに来られたのですか?」

「そういえば言ってなかったわね。私週末はこいつの家で料理研究をしてるのよ。本来は家庭教師の日は避けてたけど、今日はこいつが来ないことを知ったから来たってわけ」

「いや、風太郎が行ってるはずだから、勉強会に参加しなよ」

「いやよ」

 

迷いのない返事である。

 

「さてと。そろそろ昼食を作る時間かなって思って来たけど、どう?」

「まさに今始めようとしたところだよ」

「そ、なら良かったわ。さっさと始めるわよ」

「はいはい。じゃあ五月は零奈と一緒に出来上がるの待っててくれ」

「は、はい...」

 

張り切る二乃の後を追いキッチンに向かう。さて今日は何を作ろうか。

 

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~五月視点~

 

今見ている光景を私は信じることができませんでした。

あの二乃が直江君と仲良く(本人がどう思っているかは分かりませんが)料理を作っているのです。

そういえば、二乃の直江君に対する接し方が少し前から変わっているなと感じることがありました。あれはいつだったでしょう。たしか、二乃と三玖、直江君の料理対決があった後の買い物から帰ってきた時からでしょうか。

 

「レイナちゃん。先ほど二乃が言っていた、週末はここに来るというのは本当なのでしょうか?」

「はい、先週も来られてましたよ。先ほど、勉強会に参加したくないような発言をされてましたが、ここではしっかりと勉強をされておりますので、問題ないかと」

 

さらに信じられない発言を聞いてしまいました。あの二乃が休日に勉強をしているなんて。

いったい、直江君はどういった魔法をかけたのでしょうか。恐るべしです。

でもいい傾向かもしれませんね。そんな考えをしながら、二人の料理をしている風景を眺めていました。

 

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二乃と2人で作った昼食をみんなで食べ終えたらそのまま勉強会を開始した。もちろん二乃も参加だ。逃がしたりしない。

ちなみに零奈は友達との約束があるとかで出かけてしまった。うんうん、友達関係も良好なようだ。

 

「はい。あんたに渡されてたノート、ちゃんと問題は解いてきたわよ」

「どれどれ.....何だよやればできんじゃん。ほとんど正解だよ」

「別に。あんたに言われた通り、教科書とかあんたに借りた参考書とか見ながらやったからね」

「それでもだよ。しっかりと途中式とか書いてるし、頑張ったことが伺えるノートだよ」

「煽てても何も出ないわよ!ほら、私はちゃんと約束を守ったんだから、今度はあんたが約束を守りなさいよね」

「約束?」

「私がこいつの出した問題を解いてきたら、私にフランス語を教えるって約束よ」

「フランス語!?何でまた...」

「こいつにもらった料理本がフランス語で書かれてるのよ。けどどうしても読みたかったからこいつに教えてもらってるって訳」

「しゃーない。約束は約束だ。ただ、今日は五月の勉強を見ながらになるけどいいかな?」

「別に構わないわ」

 

ということで、二乃にフランス語を教えながら五月の中間試験対策を行うことになった。本来であれば、この時期に中間試験と関係ないことを教えるのは避けたいが、せっかく二乃が僕の問題ノートをやる気になったのだから、そのやる気を折る訳にはいかない。それに、

 

「ねぇ、ここなんだけど」

「あぁ、そこはこの間出した問題ノートにあったやつだよ。ノートを見返してみな」

「え?あ、ホントだ。あんたの言った通り英語とフランス語は大体一緒なのね」

 

単語だけで言えば今回の試験範囲の内容を中心に今教えているので試験勉強も兼ねている。主語と動詞の並びとかも一緒だから入りやすいだろう。

ただ、デメリットだってある。それは、全てが一緒というわけではないので、どっちがどっちだったかと混雑することがあるのだ。そこは上手く僕でカバーをしてくしかない。

そんな思いを胸に勉強会を進めていった。

 

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そろそろ夕方になるくらいの時間になった。

 

「今日はここまでにしようか」

「やっと終わった~」

「もう限界です...」

 

二乃と五月は二人共テーブルに突っ伏してしまった。

 

「二人共よく頑張ったね。偉いよ」

「あんたに上手く乗せられているような気がするけど、まぁいいわ」

 

そう言って二乃は帰る準備を始めている。

 

「それでは私も着替えてきますね。さすがに制服も乾いていると思いますので」

「了解。じゃあ僕も二人を送ろうかな」

 

そんなこんなで3人で中野家に向かうことにした。

 

マンションまで着いたので帰ろうかと思ったのだが、二乃の『お茶くらい飲んで行きなさい』というお言葉もありお邪魔することにした。

 

「げ、まだあいついるじゃない」

 

玄関に風太郎の靴があったことで苦言を漏らす二乃。そんな二乃に聞こえない声で五月に声をかけた。

 

「五月大丈夫?」

「大丈夫とは言えませんが、少しずつ前を向こうと思っています。ただ、すぐにというのは難しいですが...」

「ならいいさ。僕のことは気にしなくていいよ。五月の思うままにやるといいさ」

「ありがとうございます」

 

二乃の後ろを五月と一緒にリビングに向かった。そこでは、4人でボードゲームをやっている光景が広がっていた。まぁ気分転換なのだろう。

 

「あー、何だ勉強サボって遊んでるんじゃない。私もやるわ。あんた代わりなさいよ」

「あれ、二乃おかえりっ」

「ただいま、あんたも交ざるでしょ五月?」

 

その言葉で皆が五月が帰ってきたことに気づいた。

 

「五月ちゃんも一緒だったんだね、おかえり!てか、カズヨシ君も一緒じゃん。いらっしゃい!」

「五月おかえり。カズヨシもいらっしゃい」

「五月おかえりー!直江さんはいらっしゃいです!」

「ただいま帰りました」

「お邪魔するね」

 

3人の歓迎もある中、風太郎は僕達を見てしばらく固まっていた。

 

「五月...昨日は...」

「申し訳ありません。私は部屋で勉強をしようと思いますので。失礼します。直江君、昨日から今日までありがとうございました」

 

そう言って五月は風太郎を無視して部屋に向かった。まぁいきなりは無理だろう。

 

「お、おい」

「ほら。あんたも今日のカテキョー終わったんでしょ。帰った帰った」

 

何とか五月を呼び戻そうとする風太郎だが二乃によって遮られてしまった。本当に二乃は徹底していると思う。

そんな中である。一花が爆弾発言を行った。

 

「何言っているのフータロー君。約束が違うじゃん。今日は泊まり込みで勉強教えてくれるんでしょ?」

 

「「「え、えーーーーーー!!!!!」」」




久しぶりの投稿です。私生活が忙しく申し訳ありません。

私事ですが、この間久しぶりに野球観戦に行ってきました!
やっぱり生の観戦はいいものですね。しかもホームランを3本も見ることができましたし、大満足です。

という訳で、次回の投稿も頑張ってみたいと思います。
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