五等分の奇跡   作:吉月和玖

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23.お泊まり会

急遽決まった中野家でのお泊り勉強会。

僕も誘われたのだが、零奈がいるのでと断ろうとした。しかし、『じゃあレイナちゃんも連れてきなよ。明日は日曜日なんだしさ』、との一花の一言でとりあえず零奈に聞いてみるということになり、今は家に帰ってきたところである。

零奈は家に帰ってきていたようで、ソファーでくつろいでいた。

 

「兄さんおかえりなさい。書置き見ましたよ。二乃さんと五月さんを送りに行ってたんですよね」

「あぁ、ただいま。送った時に向こうである提案があったんだけど」

「提案?」

 

僕は中野家での経緯を零奈に話した。

 

「なるほど。女子の家に男子を泊めるというのはいかがなものかと思いますが、そこまで追い詰められているのであれば致し方ないですね。まったくあの子達は何をしているのでしょう...

「ん?後半の部分が聞こえなかったけど」

「何でもありません。まぁ、風太郎さんや兄さんであれば何か起きるということはないでしょうが...いいでしょう、監視という意味で私も行きます」

「小学1年生に監視される僕達っていったい...」

「何か?」

「いえ、何でも。それじゃ、準備をして行こうか」

「はい!」

 

ということで、急遽僕達兄妹もお泊まり会に参加することになったので準備に取り掛かった。そんな時だ。僕の携帯に着信があった。

 

「はい」

『私だけど。結局あんたもうちに泊まるの?』

「あぁ。今零奈に話をして、2人で向かうところだよ」

『そ、レイナちゃんも。それより、さっき上杉から面白い話を聞いたんだけど』

「風太郎から?」

『そうよ。何でも私達の誰かが1人でも赤点だったら、あんたたち家庭教師クビになるそうじゃない』

「(あんの馬鹿!一番聞かれてはいけない娘に聞かれてんじゃないよ...)風太郎が直接二乃に教えたの?」

『まぁ直接と言うかどうかは微妙だけどね。上杉の奴と五月の様子がおかしかったから、上杉がお風呂に入っている間に外から五月の真似をして何かあったのか聞いたら、説明してくれたわ』

「はぁ~。そうか」

『で?この事は誰も知らないのよね?』

「あぁ。五月にも言っていない。皆には変にプレッシャーをかけたくないからね」

『そう。まぁいいわ。この事を報告しときたかったから電話したの。じゃあ、あんたたち兄妹が来ることはみんなには伝えとくから』

 

そう言って二乃は電話を切った。これはクビ決定かな、と考えずにはいられなかった。

 

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零奈と2人中野家に着いたのだがリビングでは何やら盛り上がっていた。

 

「何をやっているんだ?」

「お、いらっしゃい!今ねフータロー君の好きな女子のタイプを聞くためにノートを埋めているところなんだ」

「風太郎のタイプ?(そんなのあるのか?あるとすれば...らいはちゃん?)」

「風太郎さんに好きなタイプなどあるのでしょうか?」

 

僕が思っていたことを零奈が代わりに答えてくれた。たまに辛辣なときがあるよね零奈って。

 

「あら来たのね。いらっしゃいレイナちゃん」

 

二乃は勉強会に参加せずテーブルの方に座っていた。

 

「お招きいただきありがとうございます。それにしても立派なお部屋ですね。マンションの中とは思えません。時に、二乃さんは勉強会に参加はされないのですか?」

「え...?もちろんするわよ。ただちょっと休憩とお兄さんのことを待ってたの」

「そうですか。五月さんは?」

「あの娘は自分の部屋で勉強をしてるわよ」

 

自分の勉強道具を取りに行きながら二乃は説明している。本当に二乃は零奈に弱いな。

二乃の話を聞きながら、零奈は悲しげな表情で2階の部屋を見ていた。

 

「はい。できた」

 

三玖の終わりの合図を切っ掛けに風太郎がボードの3位の部分のテープを剥がした。というかどこで用意したんだ風太郎。

 

「3位は、いつも元気」

「できました!」

「2位は、料理上手」

「できたよ」

「そして、栄えある第1位は..........お兄ちゃん想いだ!」

「それはあんたの妹ちゃんでしょ!」

 

丁度戻ってきた二乃がツッコミを入れた。やっぱりな。

 

「何だ二乃も勉強会に参加することにしたのか?」

「お生憎様。あんたに教わることはないわよ。ほら始めるわよ直江」

「え...」

「はいはい、分かりましたよ。もう二乃もあっちで教えてもらえればいいのに」

「うっさいわね。レイナちゃんがいなければ、そもそも勉強なんてしなかったわよ

「さようで」

 

二乃は零奈に聞かれたくないのか、僕にだけ聞こえるように苦言を言ってきた。

 

「では、私は皆さんのお茶の用意をしますね。二乃さん、場所を教えてもらってもいいですか?」

「ええ、いいわよ」

 

二乃と零奈はキッチンの方に向かった。

 

「振られちゃったねぇフータロー君」

「ふん!勉強をするのであれば文句はない」

「もう強がっちゃってぇ。三玖?どうしたの?」

 

風太郎のことを揶揄っていた一花であったが、少し様子がおかしい三玖に気づき話しかけていた。

 

「え、何が?」

「何がって、様子がおかしかったから...」

「大丈夫だよ。それよりフータロー、私もカズヨシに勉強を教えてもらってもいいかな?」

「ん?別に構わんが。何しろあいつも家庭教師なのだからな。それにこれで2対2になり丁度いい」

「ありがと。じゃあ、カズヨシよろしく」

「あぁ、三玖がどれだけ成長しているか楽しみだ」

 

というわけで、風太郎が一花と四葉。僕が二乃と三玖を教えることになった。

 

「うるさいですよ。勉強会とはもっと静かにやるものではないのですか?」

 

そんな言葉と共に五月が上から降りてきた。

 

「五月もこっちで勉強する?」

「直江君...いえ、今は一人で集中したいので。分からないところがあれば、また聞きに来ます。三玖、ヘッドホン借りてもいいでしょうか?」

「?いいけど、何で?」

「これで集中できると思うので」

 

風太郎の方を見ると何かを言いたげな顔でじっと五月を見ている。これは直接顔をみると何も言えなくなるやつだな。

そこにお茶の用意ができた零奈が戻ってきた。

 

「五月さん...」

「.....」

 

そんな零奈に何かを言いたげな五月であったが、何も言わずに2階に戻ろうとしている。

 

「五月!お前のことを信頼してもいいんだな?」

「足手纏いにはなりたくありません」

「...!だったらなんで...」

 

風太郎の言葉には答えず、五月は2階に行ってしまった。

 

「ねぇ、フータロー君。見て星が綺麗だよ。ちょっと休憩しようよ」

 

そう言いながら、一花は風太郎を連れてベランダに向かった。風太郎のことは一花に任せて大丈夫かな。

というわけで残った3人に勉強を教えることになった。

 

「よし四葉、君の今の実力を見せてくれ」

「任せてください!」

 

そう張り切って僕が用意した問題を解くのだが.....

 

「四葉君、これは基本中の基本問題なのだが...」

「すみませ~~~ん!」

 

僕が用意した問題でさえも四葉は赤点であった。

ちなみに、二乃は9割正解で三玖は7割正解していた。

二乃はドヤ顔で三玖はかなり悔しがっていた。なんか風太郎の苦労を垣間見た気がした。

 

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今日はここまでということで、後は寝るだけになったのだが、その寝る場所の問題が発生した。

僕と風太郎がどこで寝るかだ。

零奈はいち早く五月と一緒に寝ると言って、五月の部屋に向かってしまった。

僕と風太郎はリビングでそれぞれ、床とソファーで寝ればいいと言ったのだが、四葉が大反対をした。

 

「お客様をソファーや床で寝かせるわけにはいきません!私のベッドを使ってください!」

「私のも使っていいよ」

 

三玖と四葉がそれぞれのベッドを提供すると言ってきた。

 

「でも、わざわざ2人のベッドを提供してもらわなくても。どっちかを僕と風太郎で使うよ。何だったら風太郎は床でもいいし」

「おい!」

「いいじゃないですか。男の人が二人で一つのベッドを使うよりも、私達姉妹が二人ずつで使う方がゆっくりできますよ」

「ん~~~。でも四葉と寝るのは大変そうだなぁ」

「それは言わないでよ、一花!」

「何?四葉は寝相が悪いの?」

「うん」

「三玖!」

「なんだっていいからさっさと決めなさいよ」

「ん。じゃあ、私のをカズヨシが。四葉のをフータローが使って。で、私は二乃と寝るから、四葉は一花とね。一花なら四葉と寝ても大丈夫だと思う」

「ま、それが妥当ね」

 

というわけで、三玖の案でいくことに決定した。

 

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~五月視点~

 

コンコン

 

「はい?」

「零奈です。一緒に寝ようと思いまして、入ってもいいでしょうか?」

「レイナちゃん!?どうぞ」

 

声をかけるとパジャマに着替えたレイナちゃんが入ってきた。

 

「まだ勉強なさってたんですね。もう休みましょう」

「そうですね。レイナちゃんも居るのに勉強をしていたら、レイナちゃんが寝られませんよね」

 

そう言いながら私は寝る準備をした。

昨日はレイナちゃんのベッドで一緒に寝たが、今日は私のベッドで一緒に寝ることになるなんて、おかしな縁ですね。

そんな思いがありながら、レイナちゃんと一緒にベッドに入ったのですが、すぐに私に声をかけてきました。

 

「五月さんは風太郎さんが苦手...いいえ、嫌いですか?」

「嫌いといいますか、最初の印象が最悪過ぎたので。後、彼とはどうも馬が合いません。昨日も諍いを起こしてしまいました。些細なことでムキになってしまう自分がいます」

「似たもの同士なのかもしれませんね。風太郎さんも五月さんも」

「全然似てません!」

「ふふ、もう少し素直になればいいと思いますよ」

 

それを最後にレイナちゃんは寝てしまいました。素直に、その言葉を胸に私も眠りに就くことにしました。

 

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~??~

 

皆が寝静まった頃、一人の人間が部屋から出てきた。どうやらトイレに行くようである。

その者は寝ぼけているのか足取りも怪しかった。

トイレから戻ってきたその者は何も躊躇することなくある部屋に入っていった。本人はその部屋が寝ていた部屋とは別の部屋だとも気づいていないようである。

 

 




ようやく中間試験編も終わりが見えてきました。
次回で中間試験編を最後にしようと思ってます!
最後にならなかったらすみません( >Д<;)

では、次回またお会いしましょう!
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