数日後、空港にてー
母さんが父さんのところに戻ることになったので空港まで見送りに来ていた。
「そういえば、年末年始には父さんと帰ってくるの?」
「う~ん、どうだろう。あの人結構忙しいみたいだから難しいかもね」
「そっか…」
「大丈夫よ。和義が寂しがってるって伝えとくから」
「止めて。そんな事言ったら毎晩のように電話が鳴りそうだから」
「ふふふ」
母さんとそんな話をしていると零奈も母さんに話しかけてきた。
「母さん。父さん共々お身体には十分気をつけてくださいね」
「ありがとう。お父さんにも伝えておくね。何だったら一緒に来てもいいんだよ」
「兄さんがいるので大丈夫です」
「あぁ、和義にはやっぱり敵わないか」
「何言ってるの…」
「綾さん」
一緒に来ていた上杉兄妹も声をかけてきた。
「風太郎君もらいはちゃんも、今日は来てくれてありがとうね」
「いえ、今回はらいは共々お世話になりました」
「んも~、気にしなくて良いのに。うん、他の人にもこれくらい素直になりなさい、風太郎君」
「うっ…努力します…」
「綾さ~ん、もう少し一緒にいたかったなぁ…」
「うーん、相変わらず可愛いなぁらいはちゃんは!」
そう言ってらいはちゃんの事を母さんは抱きしめている。
バタバタ
そんなやり取りをしていると複数の足音がこちらに近づいてきた。
「綾さーん!」
「わわ、四葉ちゃん。もう、貴方は相変わらず元気ね」
中野姉妹の先頭を走っていた四葉が、母さんに抱きついていた。
「良かった。何とか間に合ったね」
「みんな…確かに母さんの出発時間とか教えてたけど、まさかここまで来るとは思わなかったよ」
「あんた私達を舐めすぎよ」
「はぁ…はぁ…だね」
「私達もお世話になったのです。お見送りくらい来ますよ」
「もう~、みんな大好きっ!いつでもうちに嫁入りしていいからね!」
「「「「「えっ!?」」」」」
「ゲホッゲホッ…ちょっ、何言ってんの!?」
「母さん!?」
あまりの急な発言にビックリして咳き込んでしまった。零奈も驚いた様子だ。
「和義こそ何言ってるの!?こんな良い娘達は他にいないわよ」
「あはは…困ったねぇ」
「ふん…」
「っ~~~…」
「あわわ…」
「う~…」
中野姉妹はみんな顔を赤くして、困ったり、そっぽ向いたり、下を向いてしまったりと様々な反応をしていた。
「うんうん。この反応を見る限りだと、和義にもまだまだ望みはありそうね。私の事もお義母さんって呼んでいいんだよ」
母さんの暴走が止まらない。そんな考えをしていた時だ。隣から怒気がこもった声を発した者がいた。零奈だ。
「母さん…これ以上皆さんを困らせる事をするのであれば、これから一生『綾さん』と呼んで接しますね」
笑顔だけど怖い。直視できねぇ~。
「それだけは止めて!もうこの話はここでストップするから!零奈ちゃんに『綾さん』なんて呼ばれたら立ち直れなくなっちゃうよ…」
零奈のお陰で母さんの暴走を止めることに成功した。
そんなこんなしている間にそろそろ搭乗の時間のようだ。
「さてと、そろそろ行くね。風太郎君、勉強もほどほどに。らいはちゃんは困った事があったら和義に甘えていいからね」
「善処します…」
「はーい!」
「中野さん達も元気でね。そのうち帰ってくるけど、それまでは和義と零奈ちゃんと仲良くしてあげて。後、せっかく連絡先の交換もしたんだから困った事があったらいつでも相談して。大人の女性にしか相談できない事もあるだろうし」
「綾さんもお元気で!」
「グループ作っとくので、そこでいっぱいお話ししましょ!」
「聞きたい事がある時も連絡しますね」
「また日本に帰ってきましたら、お出掛けに行きましょー!」
「直江君とレイナちゃんとは仲良くさせていただきます」
「零奈ちゃん、あまり無理しないで。甘えたい時は和義にちゃんと甘えるんだよ。きっと和義は受け止めてくれるから」
「はい…!」
「和義、貴方も無理はせず身体には気を付けて。後、零奈ちゃんの事よろしくね」
「ああ!」
そして、母さんを乗せた飛行機は飛び立っていった。
その飛行機を空港の展望デッキから眺めていた。
「兄さん、また寂しくなりますね」
「静かにはなるだろうけど、僕には零奈がいるからね。寂しさはないさ」
「そうですか…」
僕の言葉が嬉しかったのか、手をしっかりと握ってきた。
「それに、掛け替えのない友達が増えたからね」
飛び立っていく飛行機から、展望デッキまで一緒に来てくれた風太郎にらいはちゃん、一花、二乃、三玖、四葉、五月に目線を変えながらそう答えた。
「僕には勿体ない程の立派な友達がね」
「ふふ、そうですね。ですが…」
いきなり僕の腕に抱きついてきた零奈は、そのまま中野姉妹がいる方に向かってこう宣言した。
「中野さん!兄さんの隣は譲るつもりはありませんから!」
「「「「「!?」」」」」
「へ?」
「おっと…」
「ふわぁ~、零奈ちゃん…」
突然の宣言にもちろん僕は驚いたが、風太郎とらいはちゃんもビックリしたようだ。
「母さんはあのように仰っていましたが、私は認めた訳ではありません。兄さんの隣を歩きたいのであれば私に認めてもらうことですね!」
「えーーーっ!?」
「ほほ~」
「別に和義の隣に興味がある訳ではないけど、そこまで言われると黙ってるわけにはいかないわね」
「望むところ…」
「えーっと、何が何だか…私はどうすれば…」
零奈の宣言に対して中野姉妹は、狼狽えたり、興味津々だったり、何故か意気込んだりと様々な反応をしている。
当の零奈本人はとても良い笑顔である。
そういえば、この間のお城巡りも終始零奈が僕の隣を歩いてたな。まぁ、僕と三玖二人と手を繋いだら自然とそうなる訳だけども。
唯一僕の隣に三玖が座った帰りの電車でも、最初は渋ってたもんな。
そんなに僕の事を想ってくれるなんて。兄冥利に尽きるよ。
駄目だ、涙が出てきそう。
何だかんだ起きたが、母さんの見送りも終わったので今日はこのまま帰宅する事にしたのである。
今回は少し短いですが、切りも良いのでここまでにしたいと思います。
しかし、章のタイトルは期末試験ですが中々期末試験始まりませんね。
章のタイトル変えた方がいいか考え中です。