「何でそんな事になってるの?誰から聞いた?」
「誰も何も、もう学校中で噂になってるぞ」
「はぁ----!?」
何でそんな噂が学校中に?この間の林間学校でも一花とは結局踊らなかったし、前田には結局あれはお互いに誘われないように合わせた嘘だって説明もしている。
あ、ちなみに前田は今は別の女の子に夢中である。何かとうまくいってるようだ。
と、その前田からメッセージだ。
『おい、どうなってんだ!クラスはお前と一花さんの噂で持ち切りだぞ!』
「くっ...」
『悪い。今こっちも手が離せない。結論から言えば付き合っていない。もし一花が困ってたらカバーしてやってくれ。後で説明する』
『分かった。今一花さんはクラスメイトの奴らに囲まれてる。こっちは何とかするから後でちゃんと説明しろよ』
『助かる』
本当にいい奴だ。後で何か奢ってやろう。
それよりも何でこんな事になったんだ。別におかしな行動をした覚えがないんだが。
「カズヨシ...」
色々考えていると。心配そうに三玖が僕に声をかけてきている。
今は分からない事をあれこれ考えても埓が明かないか。
「あれ?俺は、中野二乃さんと付き合ってるって聞いたぞ」
「ん?」
「いやいや、私は四葉さんと付き合ってるって聞いたんだけど...」
「どういうことだろう、カズヨシ...」
「分からん」
「何言ってんだ。中野五月さんだろ!」
「おいおい...」
「え、三玖ちゃんだって私は聞いたよ。だから本当なのか聞こうと思ってたんだけど...」
「っ...!」
まさか自分の事を言われるとは思わなかったのか、三玖は顔を赤くして自分の席で縮こまってしまった。しかしこれはどうなっているんだ。
「直江!お前いつからハーレム計画を立ててたんだ!」
「立てるかっ!それに僕は誰とも付き合ってない!」
アホな事を言ってきたクラスメイトに対してツッコミを入れてしまった。
「しかし、お前が昨日と今日とで二人で楽しく登校しているところを見たって言ってたぞ」
「俺は、昨日の昼ご飯を楽しく食べてたって...」
「後、直江が弁当を路上で渡してたとも聞いたぞ」
もしかして、昨日今日の一花との行動を誰かに見られていたのか。
しかし、相手が姉妹の誰かが分からず中野姉妹全員の噂が流れたと。マジかよ、どんなミラクルだよ。
クラス中が混乱しているところに、一花と三玖以外の姉妹からメッセージが届いた。
『ちょっと、どうなってんのよ!何であんたと私が付き合ってる事になってんのよ!』
『直江さん、助けてください!いつの間にか私と直江さんが付き合ってる事になっていて、質問攻めにあってます-!』
『あああああの、私達はいつからお付き合いしていたのでしょうか?』
二乃はお怒り、四葉は何が何だかでヘルプを、五月に至っては混乱している。
これはやばいかも。
「とりあえず落ち着こう。僕は中野姉妹全員と友達だから色んなところで会ってるんだよ。それは特定の姉妹とではなくね。もちろん、友達だから登下校くらい一緒にするし、ご飯だって食べる。で、学校のみんなは、まだ姉妹の見分けが付かないから僕が特定の人とずっと会っているように見えたんだね。それで、尾ひれが付いた噂が流れたんだよきっと」
苦しいかな...
「なるほどな。それだったら納得だわ」
「何だよ、デマかよ。とうとう直江陥落か、って思ったのに」
おい!
「じゃあ、デマだってみんなに教えてやろうぜ」
「三玖ちゃんもごめんね」
「ううん...問題ない...」
納得してくれたクラスメイト達は一斉に引いていった。何とかなったか...
「カズヨシ...何だったんだろう...」
「とりあえず心当たりがあるから、昼休み全員集合しよう」
「え、分かった...」
他の姉妹にも昼休みに説明する旨の連絡を入れた。あ-、やべぇ二乃に会うのが怖いわぁ。
------------------------------------------------
そして昼休み。みんなにはお昼を買って中庭に集合するように連絡を入れておいた。
「はぁ-!?つまり、噂にあった話はほとんど一花が起こした内容だったってこと?」
「ご、ごめん...」
ピクニックシートを僕が持ってきていたので、その上でみんなで昼ご飯を食べることにした。ちなみに噂で出てきたお弁当を申し訳なさそうに一花が食べている。
「つまり、お付き合いしているというのは抜きにして、噂に出てきたことは本当だったということでしょうか?」
「いや、一花と朝会ったのは本当に偶然だよ。姉妹や風太郎の話をしながら登校してたから、傍から見たら楽しそうにしてたのかもしれないけど」
「じゃあ、お昼休みに楽しそうにしてたというのは何だったんですか?」
「昨日の昼は風太郎と食べてるところに一花が来たんだ。そこで風太郎は同席を許すが勉強の邪魔をするなって言うから、邪魔にならないよう小さな声で喋ってたの!それが、遠くから見たら仲良さそうに内緒話をしてるように見えたんじゃないの。勉強の邪魔をするなって言ったよね、風太郎?」
「ん?そうだな」
参考書を見ながら弁当を食べている風太郎に同意を求めたら、一応返事をしてくれた。
「で、弁当については、風太郎に作ることになったけど、丁度一緒にいたから一花の分も作ろうかってことで、今日作ってきたってわけ」
「う~、一花だけずるいです!」
「ごめんって、だからおかず分けてあげたじゃん」
五月からのあまりの熱視線に耐え切れず、一花はおかずを一つ分けてあげていた。
ちなみに、それを見た三玖が羨ましがり、僕に対しておかずを要求してきたので、僕から三玖にも分けてあげた。後、迷惑料ってことで二乃と四葉にも分けてあげている。
「しかし、学校のみんなの気持ちも分からなくもねぇな。一緒にいる時間が多い直江や上杉以外には見分けがつかねぇだろ」
後で説明をすると言っていたので、前田もこの場に呼んでいたがそう発言をした。
「教室の中だと大丈夫なんだけどね~」
「それは、各クラスに一人ずつだからでしょう。教室から外に出てしまえば、友達以外には難しいかもしれませんね」
最終的には笑い話になって良かった。これを機に、中野姉妹の誰かと一緒に歩いていても、また今日みたいな事ってことで、そう簡単に噂は流れないだろう。
「ねぇ、カズヨシ」
「ん?どうしたの三玖?」
「私もカズヨシのお弁当が食べたい...」
「え?」
「そうです!一花ばかりずるいです!私も要求します」
「いや、ちょっと...」
「はいはい!私の分もお願いします!」
「待って...」
「じゃあ、私だけ仲間はずれは嫌だから、私の分もお願いしようかしら。今回の私達の迷惑を考えたら安いものでしょ」
「いや、二乃は分かるでしょ。七人分の弁当ってめっちゃ大変なんだよ...」
「い、い、わ、よ、ね!」
「...はい」
「お前も大変だな直江...」
「あはは...」
「ふっ、これで俺の勝利に一歩近づいたな」
前田の言葉に乾いた笑い声をあげている一花。
そして、僕の試験勉強時間が削られたことで勝てると思い込んだ風太郎。
お弁当楽しみだね、とはしゃいでいる姉妹達。
そんなこんなで、中野姉妹と風太郎分の弁当を明日から作ることになってしまった僕。
本当にこんな形で終わって良かった。
「じゃあ、帰りお弁当箱見に行かない?」
「良いですね!」
「賛成!」
「もちろん、カズヨシも参加だから...」
「はいはい、分かりましたよ」
一波瀾が起きたけれども、最後はみんな笑顔になってくれたので良しとしましょう。
------------------------------------------------
週末。とうとう期末試験も近づいてきたこともあり、今日の家庭教師の日から本格的に勉強を教えていくことになっている。だが、
「37.9℃、完全に風邪だね」
零奈が発熱してしまった。
「申し訳ありません、兄さん」
「気にしないで良いよ。むしろ週末で良かったよ。平日だと看病できなかったかもだしね」
とは言ったが、恐らく平日だろうと僕は学校を休んで看病してただろうけどね。
「しかし、今日は家庭教師の日ではないですか。中野さん達に申し訳なく思います…」
「大丈夫だって。風太郎がいるしね。僕はあくまでも補助だから。さ、今は何も考えずに寝ときな。お昼になったら、雑炊作って起こしてあげるから」
「兄さんの雑炊楽しみです。では、おやすみなさい」
「おやすみ…」
そう言って零奈の頭を撫でてあげた。
するとすぐに寝息を立てて眠ってしまった。
「さてと、今日休むこと誰かに連絡しないとだよね…」
風太郎に連絡してるんだが何故か繋がらない。また充電し忘れてるのかな…
一花はまず起きてないだろうし、二乃には何か言ってはいけないなような気がする。三玖は休日前ゲームで徹夜って前聞いてるから、起きてるか怪しいな。四葉は朝ランニングしてるらしいし。という訳で五月に連絡する事にした。
『おはようございます、直江君。どうされたのですか?』
「おはよう五月。朝早くからごめんね。実は零奈が熱出しちゃって…」
『っ!大丈夫なのですか!?』
「うん、風邪の引き始めだと思うから、今日一日安静にしてれば大丈夫だよ」
『そうですか…ひとまず安心しました』
「心配してくれてありがとう、五月。やっぱり優しいね」
『べ、別にこれくらい当然の事です!』
「で、そういう訳だから今日の家庭教師行けそうにないんだ」
『事情が事情なのです。気になさらないでください』
「ありがとう……」
『?どうされました?』
「いや、風太郎一人での家庭教師だからさ…」
『大丈夫です。ちゃんと彼とも向き合っていくと決心しましたから』
「そっか…余計な心配だったかな…」
『そんなことありません。ちゃんと私の事を考えていだだいているということじゃないですか。ありがとうございます』
「お礼を言いたいのは僕もだよ。風太郎と向き合うと決心してくれてありがとう」
『ふふっ、ではこちらは気にせずレイナちゃんの看病に集中してください』
「ああ」
そこで通話が終わった。
五月も変わろうしているのかもしれない。それを嬉しく感じる。
「さて、空いた時間で自分の勉強進めますか!」
グーっと体を伸ばしながらそう意気込んだ。
夕方。零奈も大分良くなり、もう平熱まで下がっている。
「熱が下がってとりあえずひと安心かな」
「ずっと兄さんが近くにいてくれるので、たまには風邪を引くのもいいかもですね」
「何言ってんだか。今日は出前でも頼もうか?」
「もし我が儘を聞いてくれるのであれば、兄さんの手料理を食べたいです」
こんな言葉を言われて断れるだろうか。いや、断れない。
「仕方ないな、買い出しに行ってこよう」
「ありがとうございます!だから、兄さんは大好きです!」
「ぐはっ!」
そんな笑顔で言われたら破壊力抜群である。
------------------------------------------------
買い出しのためスーパーに向かっている途中、近所の公園に差し掛かったところで見覚えのある人物がベンチに座り黄昏ていた。
黄昏ているというよりも、路上で売っている焼き芋をじっと見ているのだが…
「五月?こんなところで何してんの?」
その人物、五月に声をかけると、ばっとこっちを見た。僕の存在を認めるや否や、その顔はどんどん泣き顔に変貌していった。
「う、う、う…」
「ちょっ……」
「うわぁぁーーーん。直江くーんっ!」
ちょっと待った、と言おうと思ったのだが、それも遮られ泣き叫ぶ五月に抱きつかれたのだった。
何も連絡がなかったから無事に勉強できたのかなって思ってたけど、これはまた何かあったな…
まじで、試験前に勘弁してほしいものだ。
僕に抱きつき泣く五月をあやしながら、そう感じるのであった。
最初は本当に一花との噂で話を作ろうかと思ったのですが、学校のみんなは五つ子を見分けられるのだろうか、と思い今回のお話にしてみました。
ちょっと無理矢理感を感じられますが、ご勘弁を。。。
今回のお話後半から、原作で言うところの七つのさよならがとうとうスタートです。
ただ、原作通りには書けないので、ほとんどオリジナルで対応します。
何故かというと、原作のキンタロー君がいないからです。
やってしまいました。。。
とりあえず頑張ってみますので、温かく見守ってください。