~???~
皆が寝静まっている深夜3時。ある人物が電話をしていた。
「どうも、そちらもこんばんはでよろしかったでしょうか?
『あらぁ~、あなたから電話なんて珍しいわねぇ。それにしても、その声でその呼び方止めてよぅ」
「はぁ...それで、いつから気づかれていたのですか?」
『何を?』
「切りますよ」
『分かった!分かったから。もう相変わらず真面目なんだから』
「もう一度聞きます。いつから気づかれていたのですか?」
『はぁ~...この間和義の林間学校の為に帰ってからよ。貴方のあの娘達に対する態度が今まで見たことないような姿だったからね。もしかしてと思った訳。まぁ八割ぐらいの確信だったかな...』
「やはり和義さんの観察眼の良さは貴方譲りでしたか。貴方の観察眼の良さは昔から変わりませんね」
『いや~、それだけが取り柄だったからね』
「そんな事はなかったでしょう。貴方のそんな誰に対しても打ち解けることが出来るのも一つの武器ではないですか。それよりも、こんな現実に起きそうにない事を信じることが出来るのですか?」
『まあ、最初は信じられないって気持ちが大きかったけどね。でもいいんじゃない、こんなロマンチックな事が起きてもさ』
「貴方のそのお気楽なところが羨ましくもあります」
『む-、酷いなぁ。せっかくあの娘達を貴方の近くにいれるよう手配したのに-』
「余計なお世話です。こうやって成長したあの娘達のことが見れただけでも十分なのですから」
『相変わらずなんだから。で?あの娘達には自分の事を話すの?』
「そうですね。今のところは考えていませんが、いずれはとも考えております」
『そう...それで和義には?』
「そうですね......必要になれば...」
『ふふっ、言っとくけど貴方達は兄妹だってこと忘れないでよ。まぁ、それはそれでロマンチックでもあるけどね』
「な、何を!?聞きたいことは聞けたのでもう切らせていただきます!」
『はいはい、頑張ってね
そこでレナ先生と呼ばれた人物は電話を切った。
そして、天井を見上げながら呟くのだった。
「...兄さん、私は......」
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次の日の朝、昨日約束していたジョギングに四葉と行くことにした。
昨晩降っていた雪は今は止み、そこまで積もっていないから大丈夫だろうと判断して決行することにしたのだ。
「歩道や道路には雪が積もっていないからといって、滑らないよう気をつけてくださいね」
「了解!軽く流す程度だから大丈夫だと思うよ」
「四葉さんも気をつけてくださいね」
「了解です!」
「あ、それと…」
見送りに来てくれた零奈が近づきしゃがむよう言われたのでしゃがむと、僕の耳元で僕だけに聞こえる声で話しかけてきた。
「プレゼントありがとうございます。らいはさんもとても喜んでいましたよ」
そう言ってニコッと笑っていた。
「え~?何の事だろう?サンタさんからの贈り物じゃないの?」
「ふふっ…ではそう言うことにしておきましょう」
実際には昨日寝る前に零奈の寝室に静かに置いておいたのだが、零奈には通じないようだ。
プレゼントの中身はショルダーバッグで、らいはちゃんと色違いのお揃いである。
まあ、喜んでくれたのなら良かった。
「レイナちゃん達のところにもサンタさん来てたんですか?私達のところもですよ!」
そう言って、四葉が嬉しそうに話している。
「私達のところは部屋の外に置いてあったのですが、ちゃんとメッセージカードも置いてあったのでサンタさんからの贈り物だってすぐに分かりました。英語でしかも筆記体?で私には読めなかったですけど…二乃に読んでもらいました!」
さすがに客間の中に入る訳にもいかなかったので、入口にそっと置いておいたのだが気付いてくれて良かった。
「そうなのですね。ちなみに私達のところには色違いでお揃いのショルダーバッグでした。四葉さん達のところには?」
「えへへ、私達には色違いでお揃いのストールでした。可愛かったなぁ。さすがにジョギングには着れないので置いてきましたが、お気に入りになると思います!」
「それは良かったですね。皆さんも喜んでましたか?」
「もちろんです!みんな大事そうに抱きしめてました!」
何か照れ臭くなってきたな。
ちなみに風太郎の枕元には前から欲しいと言っていた参考書を置いてきた。まったく、欲しいものが参考書って、あいつらしいけどね。
「中野さん達はいい娘ですから、きっとサンタさんも見てたんだと思いますよ」
「えへへー、そうですかね?直江さんのところには来てましたか?」
準備運動もそろそろ終わりかなってところで四葉が僕に聞いてきた。
「残念ながら来なかったよ。けど、零奈からのこの帽子のプレゼントがあったから全然構わないけどね!」
「中々似合ってます!レイナちゃんはセンスありますね!」
「ありがとうございます」
「さて、準備運動も終わったことだし行きますか!」
「はい!」
僕の合図でジョギングをスタートした。
とりあえず、最初は四葉のペースに合わせて走ることにした。
朝の冷たい風が走っていると丁度良く感じる。
「流石直江さんです!やはりこれくらいであれば付いて来れますね!」
「まぁね!いやー、この冷たい風が気持ちいいねぇ~」
「分かります!」
そして、話しながら軽く走ってると公園が見えてきたので、そこで一旦休憩をすることにした。
「ほい、四葉の分」
「ありがとうございます!」
自販機で二本のスポーツドリンクを買い、ベンチで休んでいた四葉に一本渡した。
「くぅー、生き返るぅ~」
「やっぱり誰かと走ると楽しいですね!」
「だよね!それにしてもここからの景色はやっぱ格別だなー」
グーっと体を伸ばしながらブランコの先まで進み、下に広がる町並みを見ていた。
「直江さんもここに来るんですか?」
「もってことは四葉も来てるんだ?僕はジョギングのコースにしてるからね」
「私はたまにここのブランコを漕ぎながら町並みを眺めてます。ちょっと落ち込んだ時にブランコを漕ぎながら夜の町並みを見ているとほっこりするんですよ」
「ふ~ん…」
四葉の話を聞きながら近くのブランコに乗ってみた。
「おー、小学生以来かも。ねぇ、四葉!あれできる?ブランコ漕いだ後の跳ぶやつ。昔僕もやってたんだよねぇ」
「もちろん出来ますよ!見ててくださいね!」
そう言って僕の隣のブランコで漕ぎだし、勢いよく跳び出した。そして、綺麗に着地したのである。
「どんなもんです!」
「おー、凄えー!流石四葉だね。よーし、じゃあ僕も!」
そして、僕も負けじとブランコを漕ぎ勢いよく跳び出した。
凄えぇー!気持ちいい!
そして四葉と同じくらいの場所に着地した。
「やっべぇー、めっちゃ気持ちいいんだけど!」
「おー、流石直江さんです!前に上杉さんがしてみたんですが、跳び出せずブランコで一回転してました」
風太郎らしいな。って、待てよ。
「え、風太郎とここに来たの?」
「あっ……」
すぐに目を反らす四葉。分かりやすいなぁ。
「何だ、風太郎もやるなぁ。四葉とデートなんて」
「あ、あのぅ。これはどうかご内密に!」
「え?別にいいけど、何で?」
「そ、それはですね。実はその日は勤労感謝の日でして、普段からお世話になってる私に何か贈り物するようらいはちゃんに言われたらしく…」
「その日って確か僕も風太郎誘ったけど、勉強だって断られたんだよね」
「あー、直江さんもですか。実はその日、一花もお誘いしてたみたいで。ですが、直江さん同様に勉強だからとお断りしたみたいなんです…」
「なるほど、これが一花にバレると諍いが起きてしまうのではないかと…」
「そうなんです…」
「そういうことならみんなには言わないでおくよ」
「ありがとうございます!」
一花ってばその頃から行動は起こしてたんだね。しかし当の風太郎はまったく応じずか。一花が不憫に思えてきたよ。
「人の事言えないけど、風太郎に色恋沙汰が起きることはあるのかねぇ…てか、四葉が一花に対してそういう風に思ってるってことは、一花の想いについてを…」
「まぁ、デートに誘うくらいですからね。そういう直江さんも気付いてたんですね」
「まぁね…」
その時ふと思った。風太郎の思い出の女の子は中野姉妹の誰かってことは間違いない。もしかしたら一花なのだろかと。
僕の予想では、今尚その娘は風太郎の事を覚えているし、風太郎や僕と違って風太郎を一目見ただけで見抜いている。それくらい想いがあるってことだ。
いい機会だし、ちょっと四葉にカマかけてみるか。
「どうしたんですか?考え事なんてして…」
「ちょっとね…風太郎の口から女子の話なんて出たの小学校時代から無いなぁ、って思ってただけ」
「それは…というか、小学生の頃は女子の話をしてたんですか!?」
「あはは…前にも話したけど風太郎って小学校時代のある行事があるまでは勉強せず遊んでばっかりだったからね。風太郎は否定してたけど、一人の女子を気にしてたね」
「へ、へ~…」
おや、ちょっと目が泳いだかな。
「まあその女子には幼馴染みの男子がいてね、風太郎の入る余地なんてなかった訳なんだが」
「それは…お気の毒でしたね」
「でね、風太郎が変わった行事って言うのが京都への修学旅行なんだけど、そこである女の子に出会ったんだ。そして、その女の子とこう約束したんだって。『めっちゃ勉強して、めっちゃ頭を良くして、いっぱい稼げるところに就職するんだ。そして、妹を何不自由なく暮らせるようにする。それで、必要ある人間になる』って」
「そう、なんですね…」
「ちなみに僕はその女の子の姿を写真でだけど見たことがあるんだよねぇ」
「えっ…?」
そこで驚きの顔を僕に向けた。それで、僕と目があったがすぐに反らされた。
「ほら、前に話したじゃん。大切な写真が風太郎の生徒手帳に入ってるって。あいつ、その女の子と写ってる写真を律儀に生徒手帳に保管してるんだよ」
あの、風太郎が二乃の寝室に忍び込んだ事件があった時である。
「そして……その日に僕はある写真を見てるけど覚えてる?」
「はい…二乃が部屋から持ってきた、私達の小さな頃が写ってるアルバムです」
「本当にビックリしたよ。風太郎が大事に保管してる写真に写ってる女の子が、そのアルバムにもいたんだから」
そこで話を切ったが、しばらく沈黙が続いた。その沈黙を破ったのは四葉だった。
「あの、この事を上杉さんは…」
「知らないよ。風太郎が退院した日に、姉妹みんなに自分と会ったことあるか確認してたでしょ?多分だけど、あれは五月と何か話して中野姉妹の中に思い出の女の子がいるのでは、と思って聞いたんだと思う。その時僕もビックリしたからね」
「そうですか…」
「ふー……それで、あの女の子は四葉って事で良いのかな?」
僕の質問に対して本当に小さく頷いた。
「そっかぁ…まさかあの女の子が四葉だったとはね」
何か考え込んでいるのか、四葉は下を向いたまま微動だにしない。
僕は自販機に向かい、温かいお茶を買ってまた四葉の所に戻ってきた。
「はい、温かいお茶。ごめんね、時間取らせて…体冷えたよね」
「あ、ありがとうございます」
僕は自分の分を飲んだ後、四葉に伝えた。
「別に名乗り出たくないなら、僕は風太郎に言わないよ。理由も聞かない。まぁ気にはなるけどね」
「あーあ、やっぱり直江さんには敵わないですね。多分ですけど、五月も感づいてると思うんですよね。でも、あの子は気を使っちゃうところがあるから言ってこないんだと思います」
そして四葉もお茶を飲みだした。
「温かいですね。お茶もですけど、直江さんの優しさも…あんまり優しくされると、私直江さんの事好きになっちゃいますよ?」
「ゲホッゲホッ…へ?」
「ししし、昨日のお返しです!」
僕の驚いた事に満足したのか、いつもの笑顔に戻り残りのお茶を飲み干した。
「マジで、四葉って役者になれるんじゃない?」
「んー、どうでしょうか?私と五月は姉妹の中で変装が下手なんですが…ホイッ!」
飲み干した空き缶は近くのゴミ箱に、四葉の正確なシュートで見事収まった。
「ナイスシュート!」
「イエーイ!それじゃあ帰りましょうか。五月ではないですが、そろそろお腹が空いてきました!」
「そうだね。零奈や二乃あたりが『遅い!』って言いそう…じゃあ行こう!」
「はい!……あ、そうだ。今日ってお時間あります?」
走り出したところで四葉から質問された。
「特に約束とかはしてないけど、どうかした?」
「では、デートしましょう!デート!」
「は!?」
「そこで続きをお話しします」
急に真剣な顔でそんなこと言われたら断れないでしょ。
「分かったよ。けど、四葉は分かってる今日が何日か」
「え?25日ですよね…あっ!」
「そういう事。さすがに別日でもいいかな?」
「で、ですね!では明日なんてどうでしょう?」
「OK!四葉の為に予定空けとくよ」
「う~…その言い方こそばゆいです」
「なら良かった。さっきの意趣返しだよ」
「えー!あれは昨日のお返しだからチャラじゃないんですか?」
「僕って結構負けず嫌いなんだよね!」
そう言ってスピードを上げた。
「むー…私だって負けませんよ!」
その言葉通りしっかりと僕のペースに付いてきている。
そして、そのペースを保って家まで帰ることになったのだった。
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「「たっだいまー!」」
家に着いたときには二人ともバテバテで玄関に座り込んでしまった。
「いやー…最後の走りは流石でしたね、直江さん!」
「四葉もね!まさか付いてこれるとは思ってなかったよ。シャワー先に使っていいよ」
「え、いいんですか?」
「レディーファーストだよ。先行きな」
「ありがとうございます!……」
シャワーに行くため立ち上がったと思ったら、その場に留まっている。
「どした?」
「一緒に入ります?」
「ゲホッゲホッ…」
ニヤッと笑いながら僕に向かってとんでもないことを言ってきた。いや、冗談っていうのは分かるんだが心臓に悪い。
「ししし、意趣返し成功です!」
「にゃろうー」
「「随分と仲良くされてますね、お二人とも」」
怒気たっぷりの声が聞こえてきたので、四葉と声の方を向くと顔は笑顔だが絶対に笑ってない五月と零奈が立っていた。
「「ヒィッ……!」」
「ヤバい、ちょっとふざけすぎたかもよ四葉…」
「えぇ…何とかしてくださいよ直江さん…」
「ごめん、無理…」
「そんなぁ…」
二人でどうしようと話してると、
「兄さん?」「四葉?」
「「はい!」」
更に怒気が込められた声で呼ばれて、僕と四葉は返事をした後気をつけの状態で立ってその後の言葉を待っていた。
「先程、何やら面白い言葉が聞こえてきたのですが、四葉?」
「あ、あれは冗談だよ!本気にしないで五月…」
「随分と仲良くなられたようですね、兄さん?」
「ほ、ほら四葉もこう言ってるじゃん。流石の僕でも分かってるって」
「「………」」
無言が一番怖いんだって二人とも。
「はぁー…このままだと風邪を引きますね。四葉さんシャワーをどうぞ。もちろんお一人で」
「も、もちろんです!直江さんお先です!」
四葉は、零奈の言葉を聞いた途端凄い早さでこの場所から離脱した。
「え、えーと…五月さん、零奈さん。僕はどうすれば…」
「和義君は後ろを向いてそこに座ってください!」
「イエッサー!」
「え、五月さん?」
五月の指示通り素早く五月に背を向け座り込んだ。
「まったく、いつの間にか四葉とあんなに仲良くなって。やはり、和義君はたらしさんなのですね」
そんな風に言いながら僕の頭から帽子を取り頭をタオルで拭いてくれている。
「面目ない。風太郎と一緒にいるノリで接してたらついね…」
「上杉君と。そうですか…とは言え、誰にでもあんなことしないでください!」
「分かってるって。仲良くやってるのは中野姉妹だけだから…後痛いです五月さん…もう少し優しくお願いします」
「聞けません!…………後はご自身でされてください。馬鹿…」
そして、タオルを僕の頭に置いたまま、五月はそそくさとリビングに戻っていった。
「随分と五月さんと仲良くなられたようですね?」
ヤバい、零奈の事忘れてた。
「ほ、ほら。いつまでかは分かんないけど、これから一緒に暮らしていく訳だしさ。仲良くしてた方がいいでしょ?」
「確かにそうですが、節度を持った行動を、とも言いましたが?」
「もちろん!そこは弁えてるよ」
「なら良いのですが。四葉さんのシャワーが終わったら兄さんもシャワーで汗流してきてくださいね。風邪引きますから。終わったらリビングに来てください。朝食、出来てますよ」
「ああ、分かった」
そこで零奈もリビングに戻っていった。
その後少しして、四葉のシャワーが終わったようなので、シャワーに向かい朝食を食べることにした。
冒頭での~???~部分ですが、そろそろ出していこうかなという事で書いていきました。しかし、どこまで書こうか迷っている間に、大分書いちゃったのでは?という気持ちが出てしまいましたが、もう行っちゃえという思いが勝ってしまいました。。。
そして、思い出の女の子ですね。
原作では五月が既に知っていて、これを機に四葉の恋の応援をしていくのですが、この物語ではまだばれていません。
なので、そろそろ和義あたりが気付いてもいいかなって考えて書かせていただきました。
お正月まではもう少し書こうかなって思ってますので、どうぞお付き合いいただければ幸いです。