五等分の奇跡   作:吉月和玖

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7.手助け

その日の放課後-----

 

(あれから風太郎からの連絡がなかった...ということはまだ謝れていないってことだろうなぁ)

 

帰り支度を行いながら風太郎のことを考えていた。まるで保護者になった気分だ。

とはいえ、風太郎の家庭事情を知っている僕としては、今回の家庭教師はどうしても風太郎にやりきってもらいたい思いでいる。

かといって、何から何まで僕で動くのもどうかという思いもあり、現在はどうしようと葛藤をしている訳だ。

 

(はぁ~。とりあえずもう少し様子見かな...)

 

そう決心し、激励も含めて風太郎のところに向かうことにした。

 

風太郎のクラスまで見に行ったのだが、すでに帰っていたようだ。仕方がなく、昇降口に向かうと挙動不審な風太郎を発見した。柱に隠れて何やら様子を伺っているようだ。

周りから見ると、不審者と間違われてもおかしくないレベルである。誰もが素通りなのは、もう皆我関せずを貫き通しているからだろう。

 

「お前は何をやっているんだ!何を!」

「おぉ、和義か。見ての通りだ、五月に話しかけるタイミングを図っている」

「はぁ~、そんなことをしているからズルズルと、放課後まできてしまったんだろ」

「ぐっ...、否定はできないが...」

 

そんな話をしていると五月は昇降口から出ようとしていた。他の姉妹も一緒のようだ。

 

(なんだ姉妹で帰っているのか。ま、当然と言えば当然だけど)

「くっそう、あの友達はいつも一緒にいるから話しかけるタイミングがつかん!」

(?友達?こいつ、もしかして五月が五つ子だって知らないのか)

「すまん、今日はこのまま家庭教師に行かなければならない。また後で連絡する!」

 

五月が五つ子で、あそこにいるのは姉妹であることを教えてやろうと思ったが、その一言を残して風太郎は行ってしまった。

 

(とりあえずメールで教えておくか。ただ、あの様子だとメールにも気づかないだろうな...ま、なるようになるか)

 

淡い期待を胸に家に帰ることにした。

 

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その日の夕飯時のことである。

 

プルルルルル

 

珍しく家の電話が鳴った。親が海外赴任してからは鳴ることがほとんどなかったのだがと思いながら電話応対をした。

 

「はい」

『こちらは直江和義君の家で間違いないだろうか』

「(なんだこいつ、いきなり図々しいな)失礼ですが、どちら様でしょうか?」

『失礼、私は中野というものだ。直江くんのクラスメイトである中野三玖の父親でもある」

「(三玖の父親?てか、クラスメイトのことまで把握してるって何か怖いんですけど)その中野さんが何か用でしょうか?初めての相手に電話をする態度ではないと思うのですが」

『ふふ、君は父親にそっくりだな。とは言え、こちらに非があるのは確かだ。大変失礼した。こういう性格なものでね。ご容赦してもらえると助かるのだが』

「(父さんを知っているのか?)ま、いいでしょう。それでご用件は何でしょう?」

『話が早くて助かるよ。君はすでに知っているかもしれないが、君の友人である上杉風太郎君に私の娘達に家庭教師をお願いしていてね。その手助けをしてもらいたいと思っている』

「(達って、五月だけでなく姉妹全員ってこと?)何で僕なのでしょうか?」

『君と上杉君は、学校の成績2トップと言われている程なかなかの成績を収めているようではないか。尚且つ、上杉君とは友人関係を築いていると聞く。彼の手助けをするにはうってつけだと私は思うのだが』

「確かに理にかなっていると思いますが、少し考えさせてもらえないでしょうか?」

『何故だね?』

「今、風太郎君は一人でやりきろうと頑張っています。僕に助けを求めようと思えば助けを求めれる状況であってもです。そんな彼を尊重したいと思います」

『ふふ、ますます君の父親に似ているな。いいだろう、考えが変わったのであれば私に連絡をくれ。連絡先は今から伝える。私個人としては、是非とも君にやってもらいたいと思っているよ』

 

連絡先を聞いたあと、電話は終わった。

 

「兄さん、電話の内容はどのようなものだったのでしょうか?珍しく雰囲気良くなかったので気になりました」

「(相変わらず僕のことを良く見てるな)昨日、風太郎に家庭教師のバイトが舞い込んできた話をしただろ。その家庭教師相手から、風太郎の手助けをしてくれないかってお願いだよ。雰囲気が良くなかったのは、最初の相手が結構失礼な態度だったからだよ」

「そうですか。まぁ、風太郎さんはどちらかといえば人付き合いがうまいとは言えませんし、兄さんが手伝うのはいいのではないですか」

「でも、そうなると零奈が一人になる時間が増えてしまうのではないかと心配なところもあるから、考えさせてくれと言っておいた」

「別にわたしは一人でも問題ありません!兄さんは少し妹離れをした方がいいと思います」

 

そう言ってそっぽを向いてしまったが、少し見える横顔は嬉しそうだった。

 

その後、風太郎から今日のことの報告があったが、これは一筋縄ではいかないと思ったのだった。




やはり小説を書くというのは難しいものですね。
投稿するのにも時間がかかってしまってます。
遅いペースになるかもしれませんが、ご容赦いただければ幸いです。
少しずつではありますが閲覧数もやお気に入り数も増えてきて感謝してます。
今後もよろしくお願いします!
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