「おー、駅まで見える」
「うう…落ちたらどうしましょう…」
今日は修学旅行二日目。昨日とうってかわって今日は団体行動となっている。
まあ、団体行動といっても集合の時は全員集まらなければならないが、解散してしまえば後は自由行動と変わらないんだよね。
そして今は清水寺に来ていて、所謂清水の舞台から五つ子達と景色を眺めている。
「それにしても、ここの柵って思ってたより低いんだねぇ」
「そうね。私たちの腰くらいかしら」
「もう少し高いと思ってた…」
「では、ここで問題です」
「「「「「えー…」」」」」
修学旅行でも問題を出す僕に不評の声が上がった。
「まあまあ。清水の舞台から飛び降りるっていうことわざがあるけど、どういう意味でしょう?」
「カズヨシ君…私たちをなめすぎだよ?」
「うん…なめすぎ…」
自信満々な一花と三玖が応えた。
「本当かなぁ?じゃあここは国語担当の四葉!」
「えーーー!えーっと……」
腕を組んで悩んでいる。あれ?こんなに悩むほどの問題だっけ。
「たしか…覚悟とか決断みたいな感じだったような…」
「よ、四葉。頑張ってください!」
応援が入るほどなのか…
「!わっかりました!覚悟を決めて決断をする、です!」
うーん…合っているのか…まあ、意味的には同じかもしれないけど。
自信満々にこっちを見ている四葉。やはり僕は甘いようだ。
「まあ正解にしとこう」
「やったー!」
本当は『思い切って大きな決断をする』、て答えてほしかったんだけどね。今の四葉にピッタリだったし。
「やりましたね四葉!」
「うん!」
ま、喜んでるならいいか。
「にしても、何でここから飛び降りる事が決断することに繋がるのかしら?」
二乃がもっともな疑問をこぼした。
「それは…ある文献によると、昔願掛けのために200人以上の人がここ清水の舞台から飛び降りたとされているから、らしいよ」
「ひぇー…」
五月が柵握りながら怖がっている。無理ないか。
「ただ、その当時の生存率はなんと8割以上。昔は、舞台の下の土がとても柔らかくて、木も生い茂っていたから、助かる人が多かったって考えられてるそうだよ」
「ふーん…」
興味があるのかないのか微妙な反応の二乃が遠くを眺めている。
「お前ら騒がしいな」
「あ、風太郎。トイレあった?」
「ああ。うおっ。久々に見ると高く感じるな」
着いて早々にトイレに行っていた風太郎が合流した。
ちなみに前田と武田は去年のクラスメイトと今日は一緒に回るそうだ。
「そういえば…僕と風太郎はともかく、皆は友達と回らないの?」
「愚問ね」
「うん…!」
「私たちは好きでここにいるのですから、気にしなくて大丈夫ですよ」
「そっか…」
「それにさ。私たちがいた方がカズヨシ君的にも助かってるんじゃない?まぁ私もなんだけど…」
「は?何で?」
一花の言葉に、普通に疑問に思ったので聞き返してしまった。
「だってカズヨシ君ってば人気者じゃん?」
「そうよ!あんたを狙う女子はいっぱいいるんだから」
そういえば最近は、風太郎と一緒にいることが増えたり、前田と武田、二人とも一緒にいるせいか、女子に話しかけられることが減ってたっけ。そのせいもあってすっかり忘れてた。
「私も最近テレビに出たりしたから、男子から声をかけられる事が増えたんだよね。そこで君の近くにいれば、お互いに声かけられることが減るってことだよ」
なるほど。道理で遠巻きで見ている生徒が多い訳だ。
「私たちは以前噂が立ちましたし、一緒にいても仲が良い友達としか見られていないと思いますよ」
「まぁ、それでどうやったら和義君と仲良くなれるのか聞かれることが増えましたが…」
四葉の言葉に五月が疲れた表情で答える。それは申し訳ない。
しかし、このまま風太郎と僕が一緒にいると四葉から話を振りにくいんじゃないだろうか。
とりあえず風太郎に六年前の事を思い出してもらうように画策してみるか。よし!
「て、風太郎はさっきから後ろの方にいるけど、こっち来て景色を眺めなよ。今日も天気が良いから絶景だよ。ほらほら」
「ばっ…馬鹿危ないだろ!」
風太郎の後ろに回り込み軽く押しながら柵付近に移動させると文句を言われた。これは…
「ふふっ、こんなのが怖いんですか?男の子なのに」
そこにすかさず五月が風太郎を嘲笑うかのように言葉を投げかけた。
さっきまで怖がっていたことはあえてスルーしておこう。
「あっ?ぜ、全然怖くないんですけど~~?お前の方が実はビビってんじゃねーの?」
いや、風太郎声が震えてるって。
「な、何を言うんですか!」
五月も五月で少しずつ僕に近づいて、服の端掴んでるの気付いてるからね。
はぁー…似た者同士で仲が良いことで。
そんな風に若干呆れていると。
「あの!上杉さん、ここで写真撮りませんか?ツーショットで!」
「はぁ?」
「四葉!?」
風太郎の近くにいた五月が驚いている。
しかし、四葉えらく積極的だなぁ。ちゃんと風太郎が応えてくれると良いんだけど。
「なんでだよ!」
だよね~。
ふと五月からの視線を感じたので、それに対してふっと笑い頷いた。
「ちょっと、よ…」
「いいじゃないですか!私が撮ってあげますよ」
二乃が四葉に何かを言おうとした時、五月が写真を撮ることに立候補した。
「上杉さん…」
「ぐっ…」
おー、四葉の上目遣い。あれって結構効くんだよねぇ。
結局風太郎と四葉が並んで、それを五月が撮ることになった。
クイッ
「ん?」
腕に何かを感じたのでそちらを見ると、一花が僕の肘あたりの服を引っ張っていた。
「一花?」
「え…何?」
「何って…」
僕が自分の肘あたりを見ると、釣られて一花の視線もそちらにいった。
「あ…あれ?ごめん。無意識だったよ…」
「別にいいさ。他の皆は今風太郎と四葉のツーショットに夢中だしね」
「あ…」
そこで一花の服を握る力が強くなったように思えた。
「羨ましいな…それだけ強い想いがあるんだね」
「え?カズヨシ君、それって…」
「和義」
一花が何かを言おうとしたところで後ろから母さんに声をかけられた。そこで、パッと一花が離れる。
「母さん。それに零奈も」
「四葉と風太郎さん、面白いことをしてますね」
僕に近づいた零奈がそう声をかけながらショルダーバッグから手帳を取り出して、そこから一枚の写真を出した。
「え?零奈それって…」
「ええ。私はもう一枚現像してもらってましたので」
いつの間に。
零奈の手元には風太郎だけが持っていたと思っていた、例の写真があるのだ。
「ふふっ。小さな子どもの特権です。上杉君に頼んだらすぐに現像してくれましたよ。当時の私は、このようにこの子達と再会出来るとは思ってもいなかったので、この写真を見せられた瞬間手元に残しておきたかったのです」
「それじゃあ、いきまーす」
「やるなら早くしてくれ」
ツーショット写真を撮っている光景を見ながら、零奈はそう呟いた。
しかし、二人の位置、四葉のポーズに風太郎のそっぽ向く態度といいここまで構図がそっくりだとは。
「「ぷっ…」」
「どうしたの?二人とも」
「いや」「いえ」
その光景を見て零奈と二人、吹き出してしまった。それを母さんは不思議そうに見ているのだった。
その後、二乃と三玖にツーショットをせがまれたが丁重にお断りした。遠巻きで女子生徒が見ているなかでそんなことを始めれば、何が起こるか分かったものじゃなかったので、それを説明すると渋々二人は理解してくれた。
「さっきから気になってたんだけど、あの並んでるのって何?みんな水を飲んでるみたいだけど」
二乃が清水の舞台から見えている水が三か所に分かれて流れているものを見て質問をしてきた。
「あれ?二乃は知らない?あれは、清水寺のパワースポットとしても有名な音羽の滝だよ。三つそれぞれに意味があって、願いを込めながら飲むとその願いが叶うと言われてるんだ。たしか、向かって右から延命長寿、恋愛成就、学問上達だったかな」
「「「恋愛成就!」」」
「うおっ!ビックリしたぁ」
僕の言葉に二乃と三玖、五月が反応を示した。
「恋愛成就と聞いてじっとなんてしてられないわね」
「うん。もうたくさん並んでる、すぐ行こう」
「そうですね」
「それでは私も同行しますね。音羽の滝の後は地主神社なんてどうでしょう?縁結びの神様として有名ですよ」
「あ、それ聞いたことあるわ。恋占いの石が置いてあるところでしょ」
「ぜひ行こう」
「お守りも買って帰りましょうね」
二乃、三玖、五月、零奈がワイワイ盛り上がりながら行ってしまった。女の子だなぁ。
「ったくあいつらめ。そこは学問上達だろ!」
「風太郎はぶれないね。一花と四葉は行かないの?」
「うーん、カズヨシ君に合わせるよ」
「僕は女子が多そうなところはちょっと...」
「だよね」
「私は他に行きたいところがありまして...」
チラッと風太郎を見ながら四葉は言ってきた。
「何だ?だったらそっちに行くか?」
「いいんですか!?」
「別に構わんさ。なあ和義?」
「あ、僕もなんだ」
チラッと四葉を見るが気にしていないように、いつもの笑顔が返ってきた。途中で抜ければいいか。それに...
そこで空を見上げる。天気が良く快晴ではあるが、ちょっと気になる。
「分かった。行くなら早く行こう」
「じゃあ、私も付いて行こうかな」
「う~ん、私はさすがに零奈ちゃんが気になるから四人の方に行くわね」
「悪いね母さん。僕からも四人にはメッセージ送っとくよ」
そして、母さんは四人のいる音羽の滝へ。僕達四人は四葉のリクエストの場所に向かう事になった。
「ここは...」
目的地に着いた時風太郎はそう呟いた。
僕は写真の場所しか知らないので清水寺以外の思い出の場所は知らない。当時の風太郎も適当に歩き回っていたようなので、どこを回ったのかも分からなかったようだ。
その風太郎が感慨深い顔をしているのだから、当時来た事があるのだろう。
「へぇ~八坂神社かぁ。て、ごめんちょっとトイレ」
「あ、私も」
「はぁ!?」
「風太郎だってさっき清水寺に着いてすぐにトイレ行ってたじゃん。て訳で先に参拝してていいよ」
「四葉もごめんね」
「一花!?」
四葉のビックリした声を残して僕と一花はその場を離れるのであった。
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~風太郎side~
神社に着いた途端、和義と一花はトイレに行ってしまった。たしかに、さっき俺も行ったんだがまあいいか。しかし、ここは...
懐かしさもあり辺りを見回してしまっていた。
「上杉さん?」
「悪い。ちょっと懐かしくってな。さて、和義も言っていた訳だし先に参拝しとくか」
「はい!」
四葉と並んで歩き本堂に向かった。あの時は夜だったからな、こんな感じだったのか。
そこでふと思った。四葉はなぜここに来たかったのだろうと。
そして、林間学校の後に入院した時、五月に六年前のことを話した時の事を思い出していた。
和義が帰った後、定期診察を済ませ病室でひと眠りをしていたら、小学校の頃の修学旅行の夢を見ていた。
そしてふと目が覚めると、ベットの傍らに五月が座っていた。
この日は五つ子で予防接種をしに来ていたようで、それを二乃と五月は怖がり逃げていたのだが、さっきの二乃といい逃げる行先がこの部屋とはやはり五つ子である。
林間学校では体調を崩して倒れてしまったが、和義や五つ子達のおかげで存外楽しめた事もあり、そのお礼を込めて、勉強をする理由を五月に聞かれたのでほんの一部を話してやった。
「いまいち伝わりませんでしたが...昔のあなたと今のあなたが大きく違うことはわかります。その子との出会いがあなたを変えたんですね。私も変われるのでしょうか...もし...できるのなら...変われる手助けをしてほしい。あなたは...私たちに必要です」
五月のその言葉で昔の事を思い出した。あの京都で出会った女の子に言われた言葉だ。
『お互い一人で寂しい者同士仲良くしようよ。私には君が...君が必要だもん』
起き上がり五月の方を見たのだが。
「こっち見ないでください。いいですか。あくまでも直江君とふたりどちらも必要ということです」
まったくこいつは。
「俺たちに教わってどうにかなるのか?平均33.2点」
「どうにかします!それにほら、平均は赤点回避です」
はぁー...そこを喜んでんじゃねえよ。
「あと、やれることはなんでもします。見てください!昔持ってたお守りを引っ張り出してきました」
「神頼みかよ」
そういえばあの子も似たような物を言ってたな。アホみたいにたくさん五つも―――
「それ...どこで買ったんだ?」
「これですか?買ったのか...貰ったのか...よく覚えてませんが、確か...京都で、五年前...」
「それって...」
続きを聞こうとしたところで他の姉妹が合流したので話はそこまでになった。
そして次の日、0点の回答用紙事件が起きたので、丁度いいと思い同じ髪型にして顔の判別ができないか試してみた。が、見事に分からなかった。和義は見分けられたが...
「今日あなたが顔の判別にこだわったのは、昨日話してくれた五年前の女の子と関係があるのでしょう?私たちの中の誰かだったと思ってるんですね」
「......そうだ...と思ったが」
五月に確認されたのでこの中に例の子がいると思って、『この中で昔俺に会ったことがあるよって人ー?』と聞いたが誰も名乗り出なかった。
そして、この旅行の前に和義から聞かれた。
『風太郎はあの女の子に今でも会いたいって思ってる?』
俺はどうしたい?今会ったとして俺はあの頃から変わったと誇れるのか?
俺はあの日から何も変わっていない。勉強しかできていないじゃないか。
そんな事を考えていたら四葉に顔を覗かれた。
「上杉さん?」
「おわっ!何だよ!」
「いえ、何か考えごとをしていた気がしたので...」
「何でもない。ところでここには何で来たかったんだ?」
俺はずっと気になっていたことを四葉に聞いてみたが、そこで丁度本堂に着いた。そうだ、ここで俺はあの子と約束を...
俺の質問を聞いた四葉はフフッ笑ってこちらに振り返り答えた。
「ここはですね。私にとって大切な思い出の場所なんです!さあ参拝しましょう」
そして四葉は二百円を取り出しこちらに見せた。
「今日は私が出してあげますよ」
「は?それって...」
「…………うん!久しぶりだね、風太郎君!」
そう言っていつもの笑顔で四葉は答えたのだった。
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今頃四葉は風太郎に話しているのだろうか。
抜けてきたもののどうしたもんかなぁ。
あの後、一花と適当な喫茶店に入り時間を潰している。すぐに合流しないのは、まあ四葉に時間を作ってあげること。そしてもう一つが。
「まさか本当に雨が降るなんてねぇ」
「ああ。どしゃ降りだ」
丁度窓際に座っていた僕と一花は土砂降りの景色を眺めている。
「最初にカズヨシ君から聞いたときは嘘だぁって思っちゃったよ」
「清水寺で景色を見てた時にね、ちょっと気になる雲が見えてたから。で、この辺りの天気図と雲の動きをいつも通り調べて、ね」
「本当に大したもんだ」
そう言いながらコーヒーを飲む一花。絵になるねぇ。学校中の男子が夢中になるのも分かる気がする。
て、女優だからそんなもんか。
「ん?どうかした?」
「いや、こうやって見るとやっぱり女優なんだなって。コーヒーを飲む姿様になってるよ」
「そ...そう?ありがと...」
お、照れてる照れてる。
「とりあえず、先生に連絡したら時間までにホテルに戻ればいいみたいだし、しばらく待機かな」
「みんなびしょ濡れかな...」
「だろうね。多分、零奈と母さんもだね」
「フータロー君から連絡は?」
「今は四葉と一緒に雨宿りしてるみたいだよ。僕達と一緒だね。まあ、四葉には前もって雲行きが怪しくなったらどこか屋根があるところに行くようメッセージを送っといたから濡れてはないけどね。めっちゃ文句言われたけど」
「あはは、仕方ないよ。私なんて二乃と三玖、それに五月ちゃんとお母さん四人から文句言われてるんだから」
まああの四人なら、喫茶店に僕と二人だと言われたら落ち着かないかもね。
はぁぁぁ...て、駄目だ。ふとした瞬間にまた考え込んでしまう。僕の心は今この天気のように色々な考えでどしゃ降りかもしれないな。
視線を外から一花に戻すと、ソワソワしているように見えた。
「どうしたの一花?」
「あの...えっと...フータロー君と話したんでしょ?その...四葉とはどうなったのかなって...」
「ああ...」
そこで自分のミルクティーを一口飲み一花に向き直った。
「結論から言えば、あの二人はまだ付き合っていない」
「そ、そうなんだ」
僕の言葉にどこかホッとしている一花。
「四葉は自分の気持ちを風太郎に伝えたみたいだけど、返事はすぐじゃなくていいって事も伝えたらしくって」
「四葉...」
「ただ、風太郎も今では恋は学業からもっともかけ離れた愚かな行為、て考えを改めてるみたいだよ。さっき電話でそう言ってた」
「そっか。それが聞けただけでも十分だよ」
そんな時着信が入った。
『四葉と二人だとさっきのこともあって会話が持たん。ここに来てくれないか?』
風太郎からか。はぁ、仕方ないな。と、また着信。
『うー...意識してくれてるのはいいのですが、風太郎君がよそよそしくて。助けてください!』
今度は四葉か。これは本当に行くしかないね。
「一花。風太郎がそろそろ二人でいるの限界みたいだから、二人のところに向かおうと思ってるんだけど」
「あちゃ~」
「ここからコンビニも見えるから、そこで傘を買っていくよ。一花はどうする?」
「どうするって、一緒に行くよ」
「いや。でも、その……大丈夫?」
「うん!心配してくれてありがと!」
力強く頷いている一花。
「本当に強いな一花は...それに比べて僕は…」
「え...?」
「何でもないよ。会計をお願いします」
その後、四人分の傘をコンビニで購入して風太郎と四葉と合流しそのままホテルに戻ることになった。
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~ホテル・一階ホール~
ホテルへの戻りの時間に間に合った和義、風太郎、一花、四葉。
帰ってきた事を報告も兼ねて何やら先生と話をしている和義を離れたところで三人が待っていた。
「残すところは明日の選択コースを残すのみか」
「何だかんだで結構充実した旅行だったよね」
「うん!あ…あの、上杉さんは明日はどのコースを選択するんですか?」
「そ、そうだな。部屋に戻って他の三人と決めることになるだろうな」
「そ…そうですか。コースの提出前に教えてもらえませんか?またみんなで回りましょう!」
「あ、ああ」
風太郎と四葉は先程の告白による動揺と緊張がまだ抜けきれていないようであった。
いつもの一花であればそれをからかう行動を取るのだが、気がかりなことがあるようで、和義をじっと見てそれに気付いていないようだ。
「ん?どうしたんだ一花。さっきから和義の方を見ているが」
「うん。ちょっと気になることがあってね」
「気になること?直江さんはいつも通りだと思うけど…」
そう言いながら、確認のため四葉は風太郎をチラッと見た。
「ああ。俺もそう思うぞ」
「だよねぇ。でも何だろう……これだってはっきり言えないんだけど気になって……フータロー君。この後も出来る限りカズヨシ君のこと気にしててくれないかな?」
「お、おう」
「私の取り越し苦労であれば良いんだけど…」
しかし、この一花の取り越し苦労は現実のものとなる。
翌朝。荷物と一緒に和義の姿が部屋から消えていたのだ。
修学旅行二日目終了です!
二日目は四葉のこともあったので、風太郎メインとなりました。
四葉の告白の内容については、どこかで回想という形で書こうかと思ってます。
さて、次回は修学旅行三日目ということになりますが主人公が消えてしまいましたね。
果たして和義はどこに行ってしまったのか。そのあたりを次の話で書ければと思います。
今後もどうぞよろしくお願いいたします。