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~某お食事処~
和義が一つの場所に長時間いてくれないことと、場所を離れるときにメッセージを送ってくることから、和義の捜索は後手に回っていた。
和義から、お昼は食べ終わった連絡もあったので五つ子達捜索隊もお昼を食べることにした。
「むー…全然捕まんないわね」
「カズヨシ、一人だとこんなに行動早いのかな…」
「うーん…どうなのでしょう。一緒に買い物をする時は、兄さんはゆっくり見て回っていましたが。あれは私に合わせてくれていたのかもしれませんね」
「まぁまぁ。私たちも男子三人みたいに楽しみながらカズヨシ君を探そうよ」
一花の言葉に五つ子は先ほど行ってきた竹林の話題で盛り上がりながらご飯を食べている男子達に目が行った。その中には綾の姿もいる。
「……」
「四葉もあっちに参加してきていいのよ」
「へ!?」
じっと男子の方を見ていた四葉に二乃が促した。
「ううん。大丈夫だよ。上杉さんは今、お友達と話すことで直江さんの事を心配する気持ちを押さえてるんだと思うから」
「へぇ、言うじゃない」
「フータローの事よく見てる」
「か、からかわないでよぉ」
そんな時、綾の携帯に和義から連絡が入った。
「お?和義からだ」
「今はどこにいるのですか!?」
先ほどまで黙々とご飯を食べていた五月が一目散に反応する。
「ちょっと待ってね。えーっと…ん?街中でたまたま会った、後輩のお祖母さんが催している華道の展覧会に行ってくる、て。あの子花に興味あったかしら?」
「後輩…」
「華道…どこかで…」
綾の言葉に五月と零奈が考え込んだ。
「観光名所じゃないなら探しようがないわよ」
「展覧会だからデパートとか文化館とか…?」
二乃と三玖はお手上げのようだ。一花と四葉も考えてはいるがまったく検討がつかない。
「しっかし、華道の展覧会とか面白いのかよ」
「結構楽しめるよ。以前僕も知人が開催した展覧会に参加したが、中々面白い作品が展示されていたよ」
「でも花だろ?」
「それ以外にないだろう。前田君はもう少し感性を身に付けた方が良いかもしれないね」
「何だとコラ!……ちなみに上杉は興味あるのか?」
「あるように見えるか?」
「いや、見えねぇな」
「分かってるじゃないか」
男子の方は違う方向で盛り上がっていた。
「そういえば、私も展覧会に招待されてたっけ。日本に帰ってきたときは是非にって。あれもたしか京都だったなぁ。たしか招待状が…」
そう言いながら綾は鞄の中を探しだした。
「綾さんって本当に人脈凄いですよねぇ~」
「まぁねぇ。一花ちゃんにも何人か紹介しとこうか?今後の活動にも役立つかもだし」
「本当ですか!?ありがとうございます」
「あー…あったあった。えっと…あ、これも今日だったんだ、諏訪さんの展覧会。彼女の作品って結構好きなのよねぇ」
綾の言葉に前田と武田以外の人間がピタッと止まった。
「ん?どうしたんだよお前ら?」
「母さん…今何と言いましたか?」
「ん?彼女の作品は好きだって」
「いえ、その招待をした人の名前です!」
五月の勢いに綾はたじろいでいる。
「えっと…諏訪さんだよ。諏訪
「その楓さんって人、年はどれくらいですか?」
綾の言葉を無視するように二乃が質問をした。
「え?えっと…もう結構なご年齢よ」
「じゃあ、その人に孫は…?」
「どうしたの三玖ちゃん?」
「いいから答えて…!」
「う…うん。えっと、たしか今年高校生になる孫娘がいたっけ。そういえば、旭高校に入学するって聞いてたなぁ。あれ?もしかして、その孫娘の子とみんな会ったことあるの?て、へ…?」
綾が確認しようとすると、五つ子と零奈の怒りが分かる程辺りが緊迫していた。
「ふ~ん。カズヨシ君ってば、あの娘となら一緒にいるんだぁ、そうなんだぁ」
「あんの女狐ぇ~。どうしてやろうかしらぁ」
「むー…まさか京都にまで来るなんて…油断してた…」
「うー…酷いです。私たちがこんなにも直江さんの事を心配してるのにー」
「ふふふ…真面目な性格かと思っていましたが、思っていたよりも行動的ですねあの娘は」
「兄さんも兄さんです。あれほど過度に仲良くするな、と言っておいたのに」
ゴゴゴ……ゴゴゴ……
「あー…俺、ちょっとトイレ寄ってから、先に駐車場に行ってるわ…」
「僕も付き合おう」
そこで前田と武田は席を離れる。
「お、おい!お前ら…」
「ふ、風太郎君。何が起きてるの?」
「えーっと、そのお孫さんって、桜という名前ですよね?」
「うん、そう。諏訪桜ちゃん」
「和義は塾のバイトでその諏訪桜の個人授業の先生をやってるんですよ。五つ子が言うには、その子は和義に気があるって。まあ、当の和義は否定してますけどね」
「なるほどぉ。それであの子達は怒っちゃったんだ。自分達とは一緒にいないのに、桜ちゃんとはいることに」
「おそらく…」
「まったく…我が息子ながら罪な男ね」
今の雰囲気をものともせずいつもの調子で話す綾を、風太郎は頼もしく思った。そんな時だ。
「それで?場所は分かっているのですよね?」
零奈が綾に聞いてきた。ニッコリとした笑顔で。
「うん…」
さすがの綾も今の零奈の状態では冗談を言える雰囲気ではないことを理解したようだった。
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桜とお祖母さんの猛プッシュもあり、今日は泊めていただくことになった。
そんな中、さすがに来賓の方々の相手をおろそかにするわけにはいかないため、二人は会場に向かった。
ここにずっといても暇なので、僕は荷物を取りに行くついでにもう少し観光をすることにした。
「すみません、和義さんを暇にさせてしまいまして…」
「別にいいさ。僕の方こそ忙しいところ悪かったね」
「そんな事っ!夕飯、腕によりをかけてご用意しておきますね。では、いってらっしゃいませ」
「う…うん。いってきます」
丁寧にお辞儀をしながら挨拶されたのでそれに応えたのだが…
あれ?僕って彼女を振ったんだよね?
桜の態度を見ているとその事がなかったのかに見えてきた。
てか、周りの反応が凄いことになってるんだけど…あそこまで丁寧に対応されているアイツは何者なんだ!?的な視線を感じる。
とはいえ、笑顔で手を振ってくる桜を無下にすることは出来なかったので、手は振り返しておいた。
さてと…このまま京都駅に向かってその周辺を観光するか。
そんな考えをしていると、近くに車が停まった。
結構大きいな。何だっけ?ハイエース、て言うだっけ?車はそこまで詳しくないしなぁ。
そんな時だ。
ガラッ
「へ?」
急に目の前で車のドアが開かれた。
「四葉!確保よ!」
「了解!」
車の中から出てきた四葉に後ろから捕まえられてしまった。
「四葉!?」
「観念してください直江さん!もう逃がしませんよぉ!」
そう言うや否や捕まえる力が更に込められる。
そうなってくると一つ大きな問題が起きているのだが。
「分かった。逃げないって…たがら離して四葉」
「そんな言葉では騙されません!」
その言葉で更に力が込められる。
むにゅ…
「だ、か、ら!胸がどんどん押し付けられて大変なんだって!」
「ふぇっ…!?うー……直江さんなら大丈夫です!」
「何その理屈!?」
何を言っても無駄だと思い僕が先に諦めて大人しくすることにした。
むにゅ…
だからそれ以上くっつかないで…!
「とうとう捕まえたわよ!」
「観念…」
「はい…」
二乃と三玖が意気揚々とそう言いながら車から降りてきた。
「あはは、カズヨシ君みっともない格好ぉ」
「今の兄さんにはお似合いですね」
二人の後を一花と零奈が降りてくる。
まさか車から五つ子が出てくるとは思ってなかったなぁ。
そんな風に油断をしていたら、
ヒュッ……パチン…!
「え…」
「「「「「!」」」」」
音と共に頬に軽い痛みが走った。
「五月…」
「っ……」
目の前には今にも泣きそうな顔で僕を睨んでいる五月がいた。
「五月…」
僕を捕まえていた四葉は、目の前の光景に驚き力を緩めて僕を解放した。
僕には逃げる意志がなかったので逃げたりはしない。
「五月!あんたなんで…」
「待って…!」
「三玖」
「三玖の言う通りだよ。少し待とうか」
「一花まで」
「……」
今にも飛び出しそうな二乃を三玖と一花が制した。零奈は特に何をするわけでもなく、黙って見守っている。
「……」
「五月……ごめんね」
「…っ!それは何に対しての謝罪でしょうか」
「えっと…五月にこんな役目をさせてしまったことかな…」
「何ですかそれは…………心配したんだよ?」
「と…」
僕にだけ聞こえる声で言葉を発しながら、泣き顔を見せないためか五月は僕の胸に顔を押しつけてきた。『ヒック…ヒック…』と必死に声を抑えている声が聞こえてきたので、五月の頭をポンポンと撫でてあげた。
「今回は皆に迷惑をかけて申し訳なかった」
五月が落ち着いたところで、改めて皆に頭を下げた。
何でも修学旅行をなげうってまでして探しに来てくれたそうだ。まったく、僕には勿体ない友人達だ。
「なんだかんだで楽しめたから気にすんな。で、結局何で修学旅行を抜け出したんだよ?
「あー…自分を見つめ直すため、かな…」
「なんだそりゃ」
前田の問いに答えたが間違ってはいないと思う。
「まあいいじゃないか。君の今の顔を見た感じだと…吹っ切れたようだ、ね」
「ああ。お陰さまでね」
事情を知ってるのか知らないのか、武田が声をかけてくれる。
「言いたいことはあったが、さっきの五月のビンタでチャラにしてやる」
「そいつは助かるよ、親友」
「ったく。今度からは何かあればその親友に何か言え、相棒」
「ああ」
風太郎が拳を突き出しながら話してきたので、僕も自分の拳を風太郎の拳に軽くぶつけながら答えた。
「お!いいなそれ。俺も混ぜろよ」
「では、僕も」
「はいはい」
前田と武田にも同じように拳をぶつけ合いながら笑いあっている。
「いいわねぇ。男の友情って感じで」
「あれは私たちにはできない雰囲気ですよねぇ」
母さんと一花がそんな僕達を見ながら言葉を溢している。
「あ、そうだ。もう一つ我が儘を言いたいんだけど。少しの間五つ子と零奈の七人で話させてくれないかな?」
「は?なん…」
「別に構わないさ。ね、上杉君?」
「ああ」
前田の言葉を遮るように武田が了承してくれた。それに対して前田は何か言いたげな顔で武田を見ているが、当の武田はまったく気にしていない。
「ありがとね。皆はいいかな?」
「もちろん」
「もちろんよ」
「構わない…」
「問題ないです!」
「…はい」
「構いませんよ」
「ありがとう。じゃあ行こうか」
僕が歩きだしたのを六人が後を付いてきてくれる。
「終わったら連絡しなさいよー」
母さんのそんな言葉に手を上げて応えた。
少し歩いたところで小さな公園があったので、そこのベンチに皆を座らせた。
「それで?私たちだけにしたのは、私たちの中で誰かを選ぶ決心でもついたのかしら?」
「え…?」
二乃の言葉に三玖が反応して僕をじっと見ている。
「そうだね。ここでそれが出来たら格好良かったんだろうね。けど、ちょっと違うかな」
「ほぉ、ちょっとなんだ」
僕の言葉に一花が茶化すように言葉を入れてきた。
「その前に皆に報告することがあるんだよね……ちょっと前に桜に告白された」
「「「「「!」」」」」
「はぁー!?」
皆驚いた顔をしているが、一番反応したのは二乃である。
「そ…それで?何て答えたの?」
「んー…断った」
三玖が緊張したように聞いてきたが、僕は軽めに答えた。
「え、断ったのですか!?私たちのように保留ではなく?」
五月が意外そうに聞いてきたが、まあ今までの僕の態度を見れば仕方がないと思う。
「正直に言うとね、迷った。このまま桜と付き合った方が良いのかなって…」
「兄さん…」
「でも断ったんだ?保留にするわけでもなく」
一花の言葉にコクンと頷いた。
「桜は良い娘だよ。多分付き合っても良い関係でいけたと思う。けど……」
「けど?」
僕が言葉を止めたのが気になったのか、四葉が言葉を発した。
「やっぱ駄目だった。桜から告白されたのに皆の顔が頭を過ったんだ。そんな状態で他の人と付き合うなんて失礼だよ」
「カズヨシ…」
「今日さ。一人で色んなところ行ったんだよねぇ。二条城に嵐山の竹林、雑貨屋巡りもして一人でご飯食べて…そんな時も君たちの声や顔が頭を過ったんだ。そうなってくると一人で回るのがなんか辛くってさ。全然楽しめなかった…」
「あんた、どんだけ私たちの事好きなのよ」
「あー…やっぱり?そっか、これが…」
「ふふっ、とりあえず一歩前進だね。カズヨシ君の今の気持ちを確認できただけでも探しに来たかいがあったんじゃない?」
「ですね。まだまだ先は長そうですが、兄さんにしては大きな一歩ですよ」
「まるでニールの名言みたいに言わなくても良いじゃん」
「「「「「ニール?」」」」」
僕の言葉に五つ子が声を揃えた。
「まぁ知らないよね普通は」
「ニールとは、人類で初めて月面に降り立った方です。当時彼が言った言葉が有名なのですよ。That’s one small step for a man, one giant leap for mankind、とね」
零奈の言葉に五つ子は固まっている。事情を知らない第三者が聞いたら卒倒ものだよ。なんたって小学二年生で英語しゃべってるのだから。
「あー…訳すと、これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である、だよ。聞いたことない?」
「どっかで聞いたことあるかも」
考え込みながら一花が答えているが、こんなもんか。
「なるほどね。カズ君にとってはたしかに飛躍的な進歩よね」
「はいはい、そうですね」
「拗ねないの…」
二乃の言葉にぶっきらぼうに答えると、クスッと笑いながら三玖が言葉を発した。
「ま、とはいえこのままって訳にもいかないだろうし、答えを出さなければいけないとは思ってる。こんな情けない僕だけどもう少し待ってほしい」
そう言いながら皆に頭を下げた。
「構わない…私の事を少しでも意識してくれてるって分かったから」
「そうね。それにまだまだチャンスが残ってるってことだもの。きっと私のことを選んでもらうんだから!」
「あまりやり過ぎると今回みたいに逃げられますよ」
「分かってるわよ、お母さん…」
「大丈夫ですよ。今回の件で私たちも学ぶことができましたから」
「ありがとう皆。そうだ!本当は帰ってから渡そうと思ってたんだけど…」
持っていたバッグの中を漁りながら話し、目当ての物を出していった。
「これ、皆にプレゼント。まあ、今回のお詫びって意味でもないんだけど、一人で回ってる時にふと気になってね」
そう言いながら一人ずつ渡していく。
「あ、開けてもいい?カズ君!」
「ん?ああ。まぁ対したもんじゃないけどね」
僕の言葉に五つ子と零奈が中身を確認する。
「へぇー…袋の種類や大きさも違うからそうだろうと思ったけど。今回は一人一人まったく違うんだね。私は…と、和柄のポーチかぁ」
「私はシュシュね」
「私のは…御城印帳…」
「おー!私はリボンですね!」
「私はヘアピンでしょうか…」
「私のは手鏡ですね」
「皆それぞれが、それらを見かけた時に頭の中で過ったんだ。ちなみに三玖の御城印帳の中には今日の分の入城記念符が入ってる。ちょっと女の子っぽくなくて申し訳ないけど…」
「そんなことないよ。それにカズヨシも自分用に買ってるんでしょ?」
「え、何で分かったの?」
「ふふっ、何となく。お揃い…」
気に入ってもらったようで良かった。
「「むっ…」」
そんな会話をしていると、二乃と五月が早速身につけてくれている。
「ねぇカズ君、どうかしら?」
「和義君、どうですか?」
「うん。二人とも凄く似合ってる。可愛いよ」
二乃はいつものリボンを外して、片方だけシュシュで纏め、いわゆるサイドテールにした感じで髪をセットしている。
五月もいつもの星のヘアピンを外して、そこに僕の買った桜の花びらのヘアピンを付けている。
やっぱり思った通り似合ってるな。
「~~っ!ありがとうございます…」
「ありがとカズ君!」
「む-…」
二人を誉めたのは三玖にとっては面白くないようで、ジト目をこちらに向けている。どうしろと。
「さて。兄さんの気持ちも聞けたので今は綾さん達のところに戻りましょうか」
「そうだね。ところで、カズヨシ君はこれからどうするつもりだったの?」
収拾がつかないと判断したのか、零奈が母さん達のところに戻ることを提案し、一花がそれに賛同した。
「僕?僕はこれから荷物を置いてる京都駅に向かうところだったよ」
「では、そのまま帰るつもりだったんですか?」
「あぁ、それは…」
四葉の質問に答えようと思ったが、まずいことになっていることに気付いた。
まさか五つ子や風太郎達と合流するとは思ってもいなかったから、桜のお祖母さんのお屋敷に泊まることになっていたのをすっかり忘れていたのだ。
「兄さん?この期に及んでまだ隠していることが?」
僕が言いよどんだ事にいち早く気付いた零奈が、ニッコリと全然笑っていない笑顔で質問してきた。
「い、いや。別に隠していた訳ではなく、僕もすっかり忘れていて…」
「何を…?」
「うっ…この後桜のお祖母さんのお屋敷に泊まることになってます…」
「はぁ!?何でそんな事になってるのよ!」
三玖の追及に正直に話すと、当然のごとく二乃が反応した。
「もしかして、本当は諏訪さんとお付き合いをしているのではないんですか?」
「してないしてない。本当に桜からの告白は断ってるよ。だからそんな顔で睨まないで。怖いよ五月。でも何でか、桜のお祖母さんに気に入られちゃって…」
「となると…」
「ええ、母さんに相談ですね」
二乃の言葉に零奈が続き、その零奈の言葉に五つ子全員が頷くのだった。
「へぇー、そんな事が。それにしても、さすが和義ね。諏訪さんって人を見る目が凄くて中々気に入る人を作らないで有名なんだから」
「そ、そうなんだ」
たしかに最初会った時は凄い迫力だったよな。
「うーん…一応掛け合ってはみるけど、あんまり期待しないでね」
あの母さんが自信なさげに話すなんて、やっぱりあの人って凄い大物なんだ。
そして母さんが電話をするのだが。
「はい。諏訪さんが和義に代わってほしいって」
そう言って母さんが自分の携帯を差し出してきた。
やべぇ、怒られるかも。
「お、お電話代わりました、カズヨシです」
『ああ、和義さん?まずは良かったですね。貴方の事を探しに来てくれていたようで』
「はい!僕には勿体ないくらい素晴らしい友人です」
『そうですか…それで、先程貴方のお母さん、綾さんから事情は聞きました。そうですね…友人の方々もお屋敷にご招待しましょう』
「え!?本当ですか?」
『ええ、構いませんよ。告白を断られた後にお泊まりもなくなる…さぞ桜は悲しみますでしょうしね』
「うっ!」
『ふふっ、先程もお伝えしましたが貴方を責めている訳ではありません。ちょっとした冗談です』
あなたの冗談は心身共に悪いです。
『それに桜の好敵手となる者。私の目でも見ておきたいですしね』
「ははは…」
『部屋は十分ありますから。ただ、今は展覧会中ですので夕方過ぎに来ていただけると助かります』
「分かりました。諏訪さんの御心遣いに感謝します」
『良いのですよ。これも伝えましたが、私は貴方を気に入っていますから。後、私の事は楓と呼んでもらって結構ですよ』
「え!?良いんですか?」
『ええ。では、後程。楽しみにしています』
そこで楓さんが電話を切った。
「どうだったの和義?」
「うん。皆の宿泊も了承してもらった」
「本当に!?あなたって相当気に入られてるのね」
「そうなんだ。後、自分の事を楓さんって呼んで良いとも言われた」
「は!?嘘でしょ?」
「いや、こんなことで嘘ついてどうすんのさ」
僕の言葉に頭を抱えている母さん。珍しいもんだ。
「あのね!諏訪さんは、身内以外の人には絶対に名前呼びを許さない事で有名なんだから!もう気に入られているレベルの話じゃないわよ」
「マジ?」
僕の言葉にコクンと母さんは頷いた。
これは違う意味でヤバい状況なのではないだろうか。
そんな事を考えながらもとりあえず京都駅にある僕の荷物を取りに行くため動き出したのだった。
話の中では一日も経っていませんが、五つ子達と和義が再会する事ができました。
パチパチ…
一人で京都を回ったことで彼女達への気持ちに気付く和義。そんな和義の心の変化を聞くことができた五つ子と零奈。
和義が決断を下すまではもう少しといったところでしょうか。
ところで、三玖へのプレゼントですが滅茶苦茶悩みました。
二条城には行ってみたいのですが、実際には行ったことがなくて、どんな物が売っているのかを実際に見ることができず、結局御城印帳にしてみました。他の人には可愛い系を用意したのに三玖だけはちょっと違うという…
和義とお揃いということで勘弁してください。
修学旅行編はもう少しだけ続きます。
次回の投稿までまた時間がかかるかもしれませんが、どうぞよろしくお願いいたします。