五等分の奇跡   作:吉月和玖

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86.光明

~中野家~

 

「ただいまー」

 

仕事終わりの一花がリビングに入ると、そこには丁度夕飯の準備をしている姉妹と零奈、それに桜の姿があった。

 

「おかえり一花!」

「ただいま四葉…て、あれ?桜ちゃんじゃん。いらっしゃい」

「お邪魔してます」

 

桜は一花に対してお辞儀をしながら挨拶をした。

 

「もー、私たちの間ではそんな堅苦しいのなしでいいんだよ?」

「つい癖で…」

「いいところに帰ったわね。夕飯にするから着替えてきなさいよ」

「OK」

 

そう言うや否や一花は自分の部屋に戻っていった。

 

「それじゃあ食べましょうか」

「「「「「「「いただきます!」」」」」」」

 

一花が着替えて合流したところで中野家の夕食がスタートした。

 

「桜ちゃんも入れてこうやって揃うのって結構久しぶりじゃない?」

「そうですね。みんなバイトに仕事にと忙しかったですから」

「桜、今日は泊まっていくんでしょ?」

「皆様さえよろしければ」

「問題ない…」

「だね!」

「私も今では居候の身ですから。中野さん達さえ良ければ大丈夫です」

 

桜の言葉に三玖と四葉、それに零奈が答えた。

 

「決まりね」

「ありがとうございます」

 

二乃の言葉に桜は笑顔で答えた。

 

「そうだわ。この機会に今までみんなが集めたカズ君の情報をまとめましょうよ」

「いいですね。私もそろそろ行き詰まっていたところですので」

「私は全然だけど、みんなは綾さんと接点がある人に話を聞いたんだっけ?」

 

一花の言葉にまずは五月と桜が説明を開始した。

 

「はい。私と桜さんは塾講師をしている下田さんから。下田さんは綾さんの元生徒です」

「下田先生は、最初は何も教えてくださらなかったのですが、最後に、料理の修行をしている、と教えてくださいました。そして、彼の近くで応援する事もまた良い事かも、とも言っていただけました」

「後、桜さんのお祖母さんも和義君の動向を把握しているみたいですよ」

「やっぱそうよね。でも、桜がそれを今まで教えてくれなかったのって…」

「はい。お婆様は今回協力していただけないようです」

「むー…やっぱり今回は私たちだけで見つけないと、だね」

 

三玖の言葉に姉妹と桜は頷いた。零奈は無反応で、我関せずといった形でご飯を食べている。

 

「お婆様は今は京都にいないようなのです。ですから、もしかしたら和義さんの近くにいるのではないかと考えています」

「なるほどね。てことは、やっぱり桜のお祖母さんの知り合いのお店で働いてる可能性が高いわね」

 

二乃はそう話しながら三玖と目を合わすとお互いに頷いた。

 

「私たちは、二乃のバイト先の店長さんから話を聞けた」

「最初は何も知らないって言ってたけど、上杉の機転で綾さんから聞いてたのを知ることができたわ。だけど、こっちも五月たちと同じね。綾さんから口止めされてるから何も教えてくれなかったわ」

「で、これも五月たちと一緒で最後にヒントをくれたよ。REVIVALでは学べないところにいるって…」

「REVIVALでは学べないかぁ…」

「また抽象的だねぇ」

 

三玖の言葉に、四葉と一花が口にした。

 

「店長の言葉を聞いて私と三玖、上杉は色々と考えたわ。そこで上杉はこう言った。カズ君は今までの経験を活かせることをするだろう、て」

「だから私たちは、教師、歴史関係、調理師を考えた」

「しかし、教師であれば今行っている塾講師を休むというのはおかしく思います。まさに現場で学べますし」

 

三玖の言葉に桜が自身の考えを伝えた。

 

「うん。そこは私たちも一緒。仮に塾の現場でなくカズヨシの両親から何か学ぶため、両親の元に行くならレイナちゃんも連れていくはず、ともフータロー言ってた」

 

三玖の言葉に姉妹と桜が零奈を見る。

 

「はぁぁ…そうですね。母さん達の事ですから私も一緒に来ることを条件にするでしょうね」

「うん。だから教師の可能性は除外した」

「で、残ったのが歴史関係と調理師だけど…」

「カズヨシの言葉の修行に当てはまるのは…」

「なるほどね。料理の修行ってわけだ」

 

二乃と三玖の言葉に一花が答えると二人が頷く。

 

「ただ、私たちではここが限界だった…」

「綾さんと桜のお祖母さんが絡んでくるともうお手上げね。そもそもどういう交流関係があるかわかんないし」

「私(わたくし)もお婆様の交流関係を全てまでは把握出来ておりません」

「ある意味ふりだしに戻ったと言わざるを得ませんね」

 

五月の言葉に、全員『うーん…』と意気消沈気味である。

そんな時だ。

 

「あ、じゃあ私が上杉さんのお父さんから聞いた話が役に立つかも!」

 

そう四葉が言ったのだ。

 

「え!四葉、何て言われたの?」

「えっと…『俺たちも行ったことがある場所だ』、て」

 

二乃の質問に四葉はその時の事を思い出しながら答える。

そんな時だ。今まで無言を貫いていた零奈が反応したのだ。

 

「四葉さん!勇也さんは確かに俺(・)た(・)ち(・)と言ったのですか!?四葉さん達と言わず」

「レイナちゃん?」

 

急に反応した零奈に、隣にいた五月は驚きを表した。

 

「え?うん。たしかに言ってたよ、俺たちって…」

「そこ重要?」

「重要です。二乃さん達は今まで色々なお店にご飯を食べに行かれているかもしれません。しかし上杉家は…」

「そうか!フータロー君の家は外食しないよね」

「はい。上杉家の方々は外食をするとすれば、ファミレスなど比較的安いお店、もしくは我が家ですから」

「ファミレスだったら、たしかにREVIVALよりも作る料理の種類は豊富。でも…」

「ええ。カズ君の実力はそこら辺のファミレスなんか目じゃないわ。それに店長は場所を知ってるんだもの。ファミレスって聞けば、さすがの綾さんの言葉でも反対するわよ」

「となると、かなり絞られますね。私たちが行ったことがあり、上杉家の皆さんも行ったことがある」

「私(わたくし)の事は除いてもらって良いと思います。私(わたくし)は上杉先輩の親御さんにお会いした事がありませんので」

「そうよね。ふふっ…希望が見えてきたわ」

 

夕飯を全員が食べ終わった事もあり、一旦この話は中断となった。

今は、二乃と三玖が洗い物をし、四葉と零奈が食後のお茶を準備している。

 

「零奈ちゃんは何でも出来るのですね。ここから見る限りでは、四葉さんが教えるではなく、四葉さんに教えているように見えます」

「ま、まあ。カズヨシ君の妹だしね」

「そ、そうですね!きっと和義君の近くで色々学んだのでしょう」

「そう…ですか。うーん…和義さんならあり得ますかね」

 

一花と五月の言葉に納得する桜。

 

(ごめんねぇ桜ちゃん。さすがに見た目は小学生だけど中身はお母さんだって言えないよぉ…)

 

「お待たせしました」

 

一花が心の中で叫んでいると、お茶の用意が出来た零奈が配膳を始めた。

 

「あーあ、まだまだレイナちゃんには敵わないなぁ」

「そんな事はありませんよ。四葉さんも成長されてます」

 

零奈はそう言いながら、四葉の膝上に座った。

四葉は『えへへ』と笑顔になりながら、そんな零奈を後ろから抱きしめている。

 

「「お待たせ」」

 

そこに洗い物が終わった二乃と三玖も合流した。

 

「そういえば、レイナちゃんは今回のカズ君探しは乗り気じゃなかったみたいだけど…」

「うん。急に乗り気になったのは気になった」

 

二乃と三玖は座りながら零奈にそう言葉を投げかけた。

 

「そう…ですね。本当に最初はこのまま兄さんをそっとしておこうと思っていました。今まで兄さんには私を優先にしてきてもらいましたから…だから兄さんがしたい事を邪魔する訳にもいかないと思っていました。でも……駄目ですね。やはり兄さんなしの生活は辛すぎます」

「レイナちゃん…」

 

四葉の零奈を抱きしめる力が少しだけ強くなった。

 

「大丈夫ですよ。私たちならきっと和義君を見つけられます」

 

五月の言葉に他の姉妹と桜が力強く頷いた。

 

「はい…」

「そうだ!ご飯食べたばかりだからどうかと思うけど、社長からお土産貰ってたんだ」

 

空気を変えようとそう言いながら、一花は自分の部屋に戻り紙袋を持ってきて、中身をテーブルの上に出した。

 

「あら?これっておじいちゃんの旅館のお菓子じゃない」

「そうだよ。社長が菊ちゃんとゆっくりしたいって言ってたから紹介したんだぁ」

「いただきます!」

 

早速五月がお菓子を手に取り食べ始めた。

 

「あんたよく入るわね」

「ふふ…ご飯とお茶請けは別腹です」

「はいはい」

 

五月の言葉に二乃は呆れてしまった。

 

「あ、そういえば社長おかしな事言ってたんだよねぇ。社長の話を聞く限りだと、何かおじいちゃんの旅館じゃないんじゃないかって思えてきちゃって」

「?どういう事?」

 

一花の言葉に三玖が疑問を投げかけた。

その一花は自分の携帯を弄りながら話を進めた。

 

「料理がとても美味しかったとか、庭園や部屋に飾ってある花が綺麗だったとか……あった。ほら、これが社長にもらった写真だよ」

 

そして一花は、自分の携帯をみんなで見れるようにテーブルの真ん中に置いた。

 

「外観はおじいちゃんの旅館だね」

「でもなんだか全体的に明るくなっているような…」

「五月の言わんとしてることは分かるわ。私もそう感じるもの」

「これ中庭の写真だよね?何か雰囲気変わった?」

「だよね!三玖もそう思うよね?良かったぁ、私の勘違いとかじゃなくて…」

「本当にあの虎岩温泉なのでしょうか?」

「!あの!今の部屋に飾ってあるお花。もう一度見せて頂けないでしょうか?」

「ん?いいよ。アップにしようか」

「ありがとうございます」

 

その写真をじっと桜は見ている。

 

「桜…?」

 

そんな桜を三玖が心配そうに見ている。

 

「それにしてもあんなに綺麗に飾ってあるお花とか前からあったかしら?」

「いえ。私の記憶ではありません」

「そうですね。私の記憶でも昔から置いたことがありません」

 

桜が写真を集中して見ていることで、近くにいる姉妹にだけ聞こえるように零奈はそう口にした。

 

「うーん…新しい人でも雇ったのかなぁ…」

「私もはじめはそう思ったんだけど、あのおじいちゃんがこんな短期間で新しい人の言うこと聞くかなぁ、て」

「そうよねぇ…」

 

五つ子と零奈が考えている、そんな時だ。

 

「やっぱり…間違いありません」

「どうしたのです?」

「五月さん。このお花の飾りは祖母の作品と特徴が似ています」

「ええ!?」

 

桜のそんな言葉に五月は驚き、それ以外の者ももう一度写真を見ている。

 

「とは言え…」

「私たちじゃあ分からないわね」

「ただ綺麗としか分からない…」

「だよねぇ」

「うーん…」

「桜さん。貴女のお祖母さんの作品を真似することが出来る方はいらっしゃいますか?」

「いえ。一番近くにいた両親や私(わたくし)でも難しいかと」

「となると、これは桜ちゃんのお祖母さんの作品ってことだよね?」

「はい!間違いありません」

 

一花の言葉に桜は確信しているといった顔で答えた。

 

「でも、なんで桜のお祖母さんの作品がおじいちゃんの旅館に…?」

「そうね。交流があったのなら、前から置いてるだろうし。今さらって感じね」

「…っ!下田さん、やってくれましたね」

 

三玖と二乃が疑問を溢すと、零奈が何か思い付いたのかそう口にした。

 

「え?え?下田さんですか?」

「五月さん。料理の修行をすると聞くとどこですると想像できますか?」

「え?それは……どこかの飲食店だと思いますが…老舗の料亭とか…」

「ですよね。他の皆さんはどうです?」

 

五月以外の者もそれ以外に思い付かないようだ。

そんな時、一花が一つ考え付いた。

 

「待って!前にテレビで、料理人がホテルの厨房で修行して独立した、ていうドキュメンタリーをみたことあるよ」

「それって…」

 

一花の考えに四葉が反応した。

 

「そうです。料理の修行が出来るのは何も飲食店だけではありません。ホテルや、それこそ旅館でもできます」

「ちょ、ちょっと待って!てことは、カズ君が今いるところって…」

「ええ。恐らく、虎岩温泉かと」

「そうか。REVIVALの店長さんが言ってた、ここでは学べないことって、旅館での料理。それに、旅館ならでは接客や他の仕事…」

「そして、上杉さんのお父さんが言っていた、俺たちが行ったことがある場所。それってこの間の旅行のことだったんだ!」

「おじいちゃんの旅館に桜さんのお祖母さんの作品が置かれていたのは、和義君を通してということですね」

「ええ。下田先生の料理の修行という言葉に、私(わたくし)達はミスリードされていたのですね」

「本人的には私達を試したかったのかもしれないですが」

 

そこで七人の間に沈黙が流れた。

その沈黙を破ったのは二乃である。

 

「でも、後はおじいちゃんに聞けば終わりよね」

「……それはどうでしょうか」

「え?レイナちゃん、どういうこと?」

「三玖さん。たしかに貴女方のお祖父さんは優しい性格をお持ちです。しかし、兄さんが真剣に仕事をしているとなると…」

「いくらおじいちゃんでも教えてくれないかも、だね」

 

一花の言葉に零奈はコクンと頷いた。

 

「じゃあどうすんのよ!」

「決まっています」

 

二乃の言葉に、零奈はニヤリと笑みを作った。

 

「乗り込むだけです。中野さん達であればおじいちゃんの家に遊びにきたと言えば問題ありません。そうですね…私がまた旅館に行きたいと言っていた、と言えば大丈夫でしょう。あともう一つ。万全を期す為に中野さん達にやっていただきたい事があります」

「「「「「え…」」」」」

「?」

 

その時の零奈の笑顔が、五つ子達には恐怖を感じたのだが、意味が分からない桜はキョトンとするのだった。

 

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~院長室~

 

この日もマルオは仕事に没頭していた。

零奈(れな)の残した娘達を見ることで、零奈(れな)の死を感じてしまう。その恐怖から逃れるために。

しかし、零奈を中野家で預かるようになってからはちょくちょく家に帰るようになった。それはほんの少しの時間かもしれない。だが、ご飯は一緒に食べようと努めている。

そんなマルオの姿に五つ子達は不思議に思っていた。

今日も本来であれば家に帰り、ご飯を食べようと考えていたが、急患が入ったことでこちらを優先しなければならなかったのだ。

キリも良いところで、目頭を押さえながら椅子の背もたれに寄りかかり天井を見上げた。

 

(直江零奈。本当に不思議な子だ。あの子といると零奈(れな)先生といるような…そんな感覚に陥ってしまう。ふっ…どうやら僕も疲れているようだ)

 

そんな時だ。

 

ブブブ…ブブブ…

 

誰かから着信がきたようだ。

 

(一花君?)

 

「もしもし。一花君から連絡なんて珍しいね。どうしたんだい?」

『ごめんね、お父さん。今も忙しかったりする?』

「いや、問題ない。それで?何か用事があったのだろう?」

『うん。それがね、レイナちゃんがおじいちゃんの旅館にまた行きたいって行ってるから、みんなで行こうと思ってるんだ』

「何だって?」

 

(まさか彼の場所に勘づいた?いや、綾先生が関係者に口止めをしたいたからそんな筈はない……上杉か?)

 

『駄目かな…?』

「ふむ…皆が行けばお義父さんも喜ぶだろう。しかし、君たちは受験生でもある。勉強を蔑ろにしてはいけないね。そうだね、最低でも学校の宿題。後、家庭教師でも宿題が出てるのだろう?その両方を終わらせないとね」

『じゃあ、その二つが終わったら行っていいんだね?』

「ん?ああ…」

『やったー!じゃあ、明日にでも行くね』

「………何?」

『だから。宿題が終わったら行ってもいいんだよね?もう終わってるから、明日にでも行くね』

「嘘はいけないな。そんな事はすぐにバレるものだ」

『嘘なんて付いてないよ。なんだったら江端さんにでも確認に来てもらってもいいんだよ?』

「分かった。そこまで言うのであれば今から向かわせよう」

『はーい!』

 

そこで一花とマルオの話は終わった。

 

(まさか場所がバレるとはね…いや、ただ本当にレイナ君が行きたがっているかもしれない。とはいえ、彼女達が宿題を終わらせているとは予想が出来ない、が…)

 

一花は最後まで動揺する事がなかった。その事がマルオには不思議でならなかったのだ。

 

・・・・・

 

「本当だろうね?」

『はい。今しがた確認いたしましたが、お嬢様方は全ての宿題を終わらせておりました』

 

(一体どうやって。直江君は例の場所にいて助けられない筈…)

 

「上杉君が来た、という事は?」

『いえ。夏休みは自分の勉強に集中したいのか、大量の宿題を渡した後は家に来ていないようです』

「で?その大量の宿題を終わらせていると?」

『はい…』

「……」

『パパ?』

「二乃君か…」

『約束の事、忘れないでね?』

「……分かった。あの旅館に行く事を認めよう」

『ありがと』

『中野さん』

「…っ!レイナ君か」

『はい。この度は無理を言って申し訳ありませんでした』

「いや。君くらいの年齢なら、こんな事無理なお願いでもないだろう」

『ありがとうございます………』

「ん?どうかしたのかい?」

『……君なら大丈夫。きっとその悲しみを自力で乗り越えられるでしょう。娘たちも君が向き合ってくれるのを待っていますよ』

「っ…!貴女はっ…」

 

ツー…ツー…ツー…

 

マルオが叫んだ時には、既に電話は切れていた。

 

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~虎岩温泉~

 

「……そうか。勘づいたか……いや、こっちに来てもらっても構わんさ。後、伝言をお願いできるか?自分達の姿で来なさい、とね」

 

そこで五つ子のお祖父さんは受話器を置いた。

 

「あら?あの娘達はここに来るのですか?」

「ああ。お前さんの孫娘も一緒だそうだ」

「そうですか…桜も…しかし、あの娘達もやりますね。自分達の力でここを突き止めたのですから」

「そうだな……それより。お前はいつまでここにいるつもりだ?」

「ふふふ…」

「?何が可笑しい?」

「いえ。私の事をお前と呼ぶ人も今ではいないので、つい笑ってしまいました」

「そうか…」

「ええ…後、私はまだ帰るつもりはありませんよ」

「……ふん。勝手にしろ」

 

そう言葉を吐き捨てて、お祖父さんは自分の仕事に戻っていった。

 

「ええ…勝手にさせてもらいます」

 

そんな背中を見ながら、楓は優しい顔でそう呟くのだった。

 

 




今回も主に五つ子と零奈、そして桜を中心に書かせていただきました。
和義の居所を探すため、それぞれが持ち帰った情報を元に推理していく七人。
そして、ようやく見つける事が出来ました。
誰か一人でも欠けていたら、もしかしたら探し出すことが出来なかったかもしれませんね。

という訳で、次回からは和義に合流出来ればな、と思っております。

それでは、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
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