五等分の奇跡   作:吉月和玖

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大変長らくお待たせして申し訳ありませんでした。
最新話の投稿です。

最近は仕事が忙しいのと体調が少しだけ悪くなったのがあったので…
今は体調も問題なしです!


87.日焼け止め

「やっぱこっちは月や星が綺麗に見えるなぁ」

 

僕は今五つ子達のお祖父さんが経営している旅館でお祖父さんの指導の下働いている。

料理指導に旅館内の清掃に接客と毎日が忙しい。それでも自分の成長を感じられて、とても充実した日々を過ごしている。

後、この場所で働くことを楓さんに伝えるとなぜか次の日からずっと滞在している。

そして、中庭の整備に部屋に飾るお花の作成と色々としているのだ。

 

『ああ。お金の心配はしなくていいですよ。私が好きでやっているので』

 

そう言ってお祖父さんに話していたが、お祖父さんも特に反対をする訳でもなく楓さんのやりたいようにやらせている。昔からの知り合いなのだろうか?

かくいう僕の料理の指導も楓さんが連れてきた料理人にしてもらっているのだ。

 

「さてと...そろそろ寝ますか」

 

そう言いながら立ち上がった。

ちなみに今いるところは、前に一花と話をした屋根の上である。

ここで一花の気持ちを聞いて、そして...

そこで、キスをされた方の頬を触った。

一花は自分の気持ちを固められたのだろうか...て、人の事よりもまず自分の事だな。

そんな風に考えながら窓から中に入り、割り当てられた僕の部屋に向かって歩いていた。

 

「なんだ、どこかに行っていたのか?」

 

そろそろ部屋に着くというところで、部屋の方から歩いてきたお祖父さんに声をかけられた。

 

「すみません。ちょっと夜風に当たりに。何かありました?」

「いや......」

「ん?どうしました?」

「...明日なんだが、急ですまんが朝食の準備が終わり次第休んで構わん」

「え?急ですね」

「ああ。ちょっとな...」

「?」

「まぁなんだ…儂もつい忘れがちだが、お前はまだ学生だ。だからそこまで働かんでもいい、と思ってな」

「はぁ…?」

「ちゃんと伝えたからな。明日は島でも観光するといい」

 

そんな言葉を残して、お祖父さんは自分の部屋に戻っていった。

確かに、最近は働き詰めではあったが、しっかりと休みももらえている。というか、厳しくすると言いながらも基本めちゃくちゃ優しいから、こっちとしてはもう少し働いて学んだ方が良いのでは、と思ってしまうくらいだ。

 

「ま、いっか。休みをくれるのであれば休ませてもらおう。とはいえ、何するかな…部屋で勉強しようかと思うが、あの言い方だと部屋に籠ると何か言われそうだし…お祖父さんの言う通り気晴らしに島を回ってみるか」

 

そう結論付けて、明日も早いのでさっさと寝ることにした。

 

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「おー。やっぱ、ここからの景色は良いなぁ」

 

朝食の準備も終わり、散策をしながらも早めの昼食を食べ、僕は今誓いの鐘がある高台まで来てそこからの景色を眺めている。

そして、チラッと鐘を見た。

 

「男女二人で鳴らすと永遠に結ばれる、ねぇ…」

 

そんな風に呟いていると。

 

タタタ…タタタ…

 

こちらに向かって走ってくる足音が聞こえた。観光客だろうか?

そんな風に思いながら振り返ると。

 

「カズ君!」「カズヨシ!」

「「会いたかった!」」

「ごふっ…」

 

二乃と三玖にタックル…もとい、抱きつかれた。

 

「ゲホッ…ゲホッ…二乃、三玖。何でここに…」

「二人だけではありませんよ」

「ご無沙汰しております、和義さん」

 

ガシッ…むに…

 

僕の両腕が五月と桜にがっしりと抱きしめられている。

ていうかそんなに胸を押しつけないでほしいんだが。この娘達に羞恥心はないの?

 

「五月…桜…」

「いやー、探したよカズヨシ君」

「それにしても凄い光景…」

「はぁぁ…」

 

そこにやれやれといった一花と零奈。そして、零奈を抱えている四葉も合流した。

 

「風太郎以外全員集合、ですか…ほら、どこも行かないから四人ともそろそろ離してくれないかな?」

「ほら、離れてって言ってるわよ」

「二乃こそ…」

「もう少しだけ…」

「このままでいさせてください」

 

えー…

 

「こほん…」

「「「!」」」

「?」

 

四葉から離れた零奈が咳払いをすると、二乃と三玖、五月がパッと離れた。

状況を理解していない桜は一人、疑問な顔をして唯一僕の腕を抱きしめている。

 

「ほら桜も。皆も離れたから」

「はい…」

 

自分だけとはいかないと思ったのか、渋々といった形で桜も離れてくれた。

そこで零奈が僕の手を握り話しだした。

 

「すみません兄さん。兄さんの邪魔をしてはいけないと思っていたのですが、やはり兄さんに会いたいという気持ちが勝ってしまいました…」

「そっか…」

 

そんな零奈の目線に合わせるくらいまでしゃがみ、頭を優しく撫でてあげた。

 

「兄さん…」

「ずっと一緒にいたからね。僕も寂しかったよ。会いに来てくれてありがとね」

「…っ!」

「おっと…」

 

僕の素直な言葉を投げかけると、零奈が首もとに抱きついてきた。

 

「どうした?急に」

「いいえ。やっぱり私は兄さんの事が大好きです!」

 

そう耳元で言ったと思ったら。

 

チュッ

 

「「「「「あーっ!」」」」」

「あら」

 

零奈が頬にキスをしてきたので、五つ子達が過剰に反応した。

 

「本当に仲が良いのですね。和義さんと零奈ちゃんは…て、どうされたのですか皆さん?」

 

何も知らない桜だけは微笑ましく見ていたが、五つ子の反応に困惑しているようだ。

 

「ちょっと、ちょっとー」

「それは反則…!」

「そうです!自分だけズルいです!」

「あら。もう経験済みの娘もいますよね?」

 

二乃と三玖、五月の反感に対しての零奈の言葉に場の空気が凍った。

 

「は?何を言っているのですか…」

「うん。さすがに……ちょっと待って。二乃、何で目を反らすの?」

「えっ!?なんのこと?」

 

口元が緩んでいる事に気付いた二乃は、周りを見回していた三玖から目を反らしたのだ。

 

「むー…カズヨシ…!」

「何かな?」

「正直に言って。この中の誰かにほっぺにキスされた?」

「それは……」

「それは。どうなのです?」

「あります…」

 

三玖と五月の鬼気迫る質問に答える外なかった。

 

「何人?」

「え?」

「名前までは言わなくてもいい…この中で何人からされた?」

「それは…ほら、皆にもプライバシーがあるわけだし…」

「……」

「三玖さん?」

二乃以外にも姉妹にいるんだ

「!」

やっぱり

 

何故分かった。三玖ってこういう時は鋭いからなぁ。

 

「三玖?」

「五月。モタモタしてるとまずいかもよ」

「え?それはどういう…?」

「……私もうかうかしてられない」

 

そう言った三玖は、今まで我関せずであった一花と四葉の方を見た。

 

「どうしたの?」

「?」

「…なんでもない」

 

さすが一花。女優なだけはある。四葉は素で何の事か分からないからあの反応だ。

はぁぁ、合流そうそうこれだと、この先また何か揉めそうだ。

…………僕もそろそろだな。

 

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いつまでもあの場所に留まるのもどうかということで、今は皆で旅館に向かっている。

 

「しかし、良くここが分かったね?」

「愛の力かしら」

 

うっとりするように言う二乃。それを困惑気味に見ていた一花が説明してくれた。

 

「あはは…まあ愛の力はさておき。結構苦労したんだよ。綾さん色んな人に口止めしてたんだから」

「へぇ~」

 

意外だなぁ。むしろ母さんから教えてもらったんだと思ってた。

 

「母さんは兄さんが大好きですからね。兄さんの本気を邪魔したくなかったのだと思いますよ」

「綾さんを敵に回してはいけないと心から思いましたぁ」

「それでも僕を見つけたんだから大したもんだよ」

「色々な方々のご協力もありましたので」

 

染々と桜が言っているのだから、彼女達も聞き込みを頑張ったのだろう。脱帽である。

 

「今回は桜ちゃんのお陰でもあるんですよ!」

「そうだね。あそこで部屋に飾られた花を見分けたのは大きかった」

「部屋に飾られた花?」

「うん。ちょっと前にうちの社長が来てたでしょ?」

「ああ。確かに来てたね。お祖父さんに挨拶してた時に同席してたから覚えてるよ。いきなりスカウトされた時はビックリしたけど」

「あはは…でも社長の見る目はあるね。カズヨシ君ならきっとすぐに人気の俳優さんになれるよ」

「未来の大女優様に言われるなら鼻が高いね」

「もぉー、からかわないでよ……で、その社長が旅館の写真を撮ってたから、その写真の中に例のお花が写ってたてわけ。桜ちゃんのお祖母さんの作品のお花がね」

「なるほどね。写真で見分けるなんて、さすが桜だね」

「目標でもあるお婆様の作品ですからね」

 

堂々とした顔で言っているのだから、本当に桜は楓さんを尊敬しているのだろうね。

 

「他にも色んな人がヒントをくれたのよ。REVIVALの店長さんだってそう」

「下田さんにももらいました」

「上杉さんのお父さんもです」

「勇也さんが?へぇ~。でも中野さんはここに来ることをよく許可したね」

「そこはお姉さんたち頑張ったんだから」

「夏休みの宿題とフータローの宿題を全部終わらせてきた」

「え?あの量を終わらせたの?凄いじゃん」

「うー…本当に大変でした…」

「それでも、私たちには強力な助っ人がいましたから」

 

そう言った五月はチラッと僕と手を繋いで歩いている零奈を見た。

なるほどね。そりゃあ、強力な助っ人だわ。

 

「お父さんはきっと、カズヨシ抜きの私たちでは終わらせるのに時間がかかると思ってたから、宿題が全部終わったら行っていいって…」

「なるほどね」

 

一本取られたわけだ中野さんは。

 

「それより。おじいちゃんから聞いたけど今日はカズ君お休みなんでしょ?」

「ああ、先に旅館に行ってたから荷物がないんだ。確かに休みだけど、それがどうかした?」

「今から海に行きましょうよ!」

「それいい。水着姿、カズヨシに見てもらいたい」

「今から?場所あるかなぁ」

「そこは問題ないよ」

「私たちは小さい頃から来てましたから、穴場教えちゃいます!」

「では急いで準備して向かいましょう。桜さんもいいですか?」

「は、はい。男の方に水着姿を見せるのは小学生以来で恥ずかしさがありますが、和義さんに見てもらいたい気持ちの方が大きいですから」

 

そう意気込みながら桜が答えた。

そこまでなのか。

 

「あ、でも僕は水着持ってきてないけど…」

「波打ち際だったら大丈夫じゃない?」

「一花の言う通りね。それにこの季節なら濡れてもすぐに乾くでしょ」

 

いや、潮水だから乾くとパリパリになるんだけど…

しかし、皆の生き生きとした顔を見ていると反対も出来ないな。

そして、急遽これから海で遊ぶことになったのだった。

 

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旅館で各々準備が終わったので、五つ子達の穴場という場所に向かった。

皆それぞれ水着に着替えているが、上からラッシュガードを着ているから実際の水着姿は見ていない。

 

「おー。本当に穴場だね。誰もいないや」

「今日は運がよかったのかもね」

 

一花が被っている麦わら帽子を手で押さえてそう話す。

ちなみに一花は念のためということで、さらにサングラスもしている。

最近はさらに有名になってきたからね。そういうのも大事か。

 

「んー?どうしたのかな?お姉さんに見とれちゃった?」

 

考え事をしながら見ていたからか、一花からそんな風に言われてしまった。

 

「そんなんじゃないよ。やっぱ、有名人なんだなって思っただけ。まぁ……その麦わら帽子は似合ってる、かな」

「うふふ…ありがと」

「直江さーん!一花ぁー!」

 

一花と二人、そんな話をしていたら、先行していた他の皆の中から手を振りながら四葉が呼んでいる。どうやらシートを設置する場所が決まったらしい。

 

「よっと…」

「すみません、直江さんに荷物をほとんど任せてしまって…」

 

ここまで担いできたクーラーボックスをシートの上に置くと、四葉から申し訳なさそうに声をかけられた。

 

「いいって。こういう時は男の役目でしょ?四葉はシート運んでくれてありがとね。重くなかった?」

 

あと、ビーチパラソルも持ってきていたので、それを設置しながら四葉に声をかける。

 

「これくらいへっちゃらです!まだまだ持てましたよ」

「それは頼もしいね。とはいえ、四葉は女の子なんだからこういう時はもっと男に甘えてもいいんじゃない?」

「女の子…」

「そ。僕相手の時くらい遠慮せず甘えちゃって良いんだよ。風太郎は………駄目だ。荷物を持ちながらへばり、文句ばっかり言っている姿しか想像できん」

「ぷっ…あはははっ!たしかにそうですね!……よし!」

「ん?」

 

四葉が何か意気込んだと思ったら、いきなりラッシュガードを脱ぎだした。

 

「じゃーん!どうです?似合ってますか?」

 

四葉の水着はシースルーホルターネックというんだっけか?動きやすいような四葉らしいチョイスだ。それでも、可愛さもあり薄い緑が四葉にピッタリだ。

 

「急に脱ぎだすからビックリしたよ…うん。似合ってる。可愛いよ」

「ししし。ちょっと恥ずかしいですけど、嬉しいです!ありがとうございます!」

 

満面の笑みで四葉は答えた。

 

「あー!」

「四葉フライング…」

 

そんな僕達の行動に気付いた二乃と三玖が言葉を溢すと、五月、零奈、桜も一緒に近づいてきた。

 

「むー、四葉に先を越されましたか」

「では、(わたくし)達も…」

 

桜の言葉を皮切りに零奈以外の四人がラッシュガードを脱ぎだした。

二乃の水着は、胸元だけではなく二の腕から背中までと一周したフリルが特徴的だ。これもビキニの種類に含まれると思うのだが、如何せんこっち方面の知識が乏しい。全体的に黒ではあるが、フリルのところは白の水玉模様があり大人の雰囲気を醸し出しながら可愛さも兼ね備えていて二乃にピッタリだと思う。

三玖もフリル型のホルターネックビキニだと思われる。胸元から背中にかけてと腰周りにフリルがあり白を基調とした水着だ。腰周りのフリルには、色鮮やかな花柄が入っており可愛い水着で三玖に似合っている。

五月はピンクと白を基調としたフリル型のホルターネックビキニかな。胸元から肩にかけて幅広いフリルが印象的である。腰周りのフリルは、三玖よりも幅が狭くワンポイントで可愛らしい。五月にピッタリだ。

桜は皆と違ってワンピース型の水着だ。けど、胸元のフリルが可愛く、清楚な桜にピッタリだと思う。色は薄い青色でこれもよく似合っている。そこに麦わら帽子を被っているので、お嬢様といった印象である。

 

「どう?似合ってる?」

「どこか変じゃない?ちゃんと似合ってるかな?」

 

ズイッと二乃と三玖が目の前まで迫ってきて感想を求めてきた。

 

「う、うん…似合ってて可愛いよ」

「「どっちが!?」」

「え?どっちって…どっちも似合ってて可愛いよ。てか、近いって…」

 

そう言いながら離れるように促す。

 

「もう、そんなに照れる必要なんてないのに」

 

頬を赤く染め満足そうな顔で二乃が言いながら離れてくれる。三玖もそれに続いた。

 

「あの…私たちはどうでしょうか?」

「少し照れくさくもありますが、和義さんに気に入って頂けると嬉しく思います」

 

五月と桜は、二乃と三玖とは真逆で近くには来ているが照れた表情で聞いてきた。

 

「もちろん二人も似合ってるよ。うん、可愛い」

「「~~っ…」」

 

僕の言葉に、五月は下を向き、桜は両手で顔を覆っているが、二人とも顔を赤くして嬉しそうな顔をしている。

 

「それにしても桜は肌白いね。日焼けとか大丈夫?」

「はい…こういう所に来るときは日焼け止めは欠かせませんね。腕など自分で塗れる部分はもう塗ったのですが背中が…」

 

何か嫌な予感なんだが…

そう思っていると桜が背中をこちらに向けて後ろ髪を上げながら呟いた。

 

「あの…和義さん、お願いできますか?」

 

やっぱかぁー!

 

「あの…私も塗ってほしいな。このままだと真っ赤になっちゃう」

「あっ!私も塗ってほしいわ!ね、いいでしょ?」

「あ、あの。できれば私もお願いしたいのですが…」

 

桜の言葉を皮切りに三玖、二乃、五月も日焼け止めを塗ってほしいと言ってきた。

 

「いやいや。四人でお互いに塗れば早いでしょ」

「私はカズ君に塗ってほしいの!」

「私も。お願いカズヨシ」

「和義君…」

「和義さん…」

「ぐっ…」

 

プレッシャーが凄い。

 

「はぁぁ…兄さん、仕方ないので塗ってあげてください」

「零奈?」

「このままでは埒が明かないではないですか。ほら皆さん順番はちゃんと守ってくださいね。まずは桜さんからです」

 

そう言いながら零奈が仕切っている。

 

「あ、後兄さん?あくまでも塗るのは背中だけですからね?間違っても変なところを触らないように。いいですね?」

「わ、分かってるよそれくらい」

 

零奈がニッコリと笑顔で詰め寄ってくるので、圧に押されながらも答えた。

 

「では、和義さんこちらを」

 

そう言いながら桜が日焼け止めを差し出した。そしてパラソルの下のシートに座ると…

 

シュル…

 

「は?」

 

目の前で桜は水着を腰あたりまで脱ぎだしたのだ。

僕とは逆の方を見ているし、前は自分の腕で隠しているから間違っても見えることはないだろう。

しかし、目の前にきめ細やかな肌の背中があると緊張するな。

 

「あ、あの…あまり見られると恥ずかしく…」

「さ、桜さん。だ、大胆です」

「この娘本当に変わったわね」

「……それじゃあ始めるよ?」

「よ、よろしくお願いいたします…」

 

えっと、とりあえず背中に日焼け止めを出せばいいのか?

桜から預かった日焼け止めを桜の背中に出してみる。これを手で伸ばしていけばいいのか。しかし…本人が良いと言ってるとはいえ女性の背中を触るのには躊躇してしまう。

 

「あの…和義さん?」

「あ、ああ…ごめん。じゃあ触るね」

「はい…………ひあっ…」

「わ、悪い。くすぐったかった?」

「い、いえ。そういう訳ではなく…大丈夫です。続きをお願いいたします」

「あ、ああ…」

 

本人が大丈夫と言ってるなら大丈夫なのだろうけど。とりあえず、掌全体を使ってまんべんなく。

 

「んんっ…、んんンっ…」

「……」

「んんっ…、あ…あぁっ…」

「あんたわざとそんな声出してないでしょうね?」

「な、何がでしょうかっ…んんっ…」

「えっと…終わったけど、大丈夫?」

「はぁ…はぁ…だ、大丈夫、です。とても、気持ち良かった、です」

「「「…………」」」

 

終わったことを宣言すると、桜は片方の腕で自分の胸を隠し、もう片方の腕で倒れるのを支えている。

とりあえず見ないように後ろを向いた。

二乃と三玖、五月は黙ってしまっているようだ。

 

「えっと…他の皆もする?」

 

僕の質問に三人はコクンと頷くのだった。

 

「あっ…、んっ……だ、だめっ…カズヨシっ…」

 

「ん…あっ…まっ…て、カズ、君んんっ…」

 

「んっ…んんっ……あっ…なんでっ…きもち、いい…かず…よし、くんっ…」

 

「……えっと、何かなこの状況は?」

「はぅぅ~……」

「私が聞きたいくらいです」

「うーん、ようやく終わったぁ。てか、この娘達海水浴出来んの?」

 

最後の五月が終わって立ち上がり、へばっている四人を見ながらそう漏らしたのだった。

 

・・・・・

 

「そっちいったよー!」

「まかせて!」

「元気だねぇ。四葉以外の四人はさっきまでへばってたのに」

 

今、波打ち際では一花と零奈以外の娘達がビーチボールで遊んでいる。

一花と零奈は僕と一緒にパラソルの下で休んでいるのだ。

 

「二人は遊ばなくていいの?」

「うーん…私はいいかな」

「私もここでいいです」

「さいですか。しかし、ラッシュガードも脱がないの?」

「おやおや?お姉さんの水着姿見たかったのかな?」

「いや、そういう訳じゃないんだけどね」

「ちぇー、少しは興味持ってくれてもいいんじゃない?」

 

そう言いながら一花もラッシュガードを脱ぎだした。

一花の水着はシンプルなビキニで淡い黄色だ。シンプルだがそれでも一花には似合っている。見惚れるほどに。

 

「どう?見直した?」

「うん…似合ってる。見惚れた…」

「え…」

「あ、いや。さすが女優だよね。ビックリした」

「そっか…ありがと」

「「……」」

 

間が持たん。

 

「そ、そういえば零奈は何であっちで遊ばないの?せっかく水着来てきたんだしさ」

「……」

「ん?どした?」

 

じっとビーチボールで遊んでいる皆を見ている零奈。どうかしたのだろうか。

 

「最近までは気にしないようにしてきたのですが。やはり私はまだまだ子どもだと実感しました」

「へ?」

「ど、どうしたのお母さん?」

 

さすがに一花も心配になったのだろうか話しかけている。

そんな零奈は自分のラッシュガードの中を見ながら溢した。

 

「生前は気にしていなかったのですが、娘達と比べるとやはり幼児体型だなと…」

「「…………は?」」

 

何を言っているのだろうかこの人は?

一花も訳が分からないようだ。

 

「いやいや。小学二年生と高校生を比べちゃ駄目でしょ」

「そ、そうだよ。私たちだって、今のお母さんの年齢くらいの時はそんなものだったし。て、それはお母さんが一番知ってるじゃん」

「それくらい分かっています。しかし、和義さんの心を動かすには、と考えてしまうのです」

 

本当に悩んでいるのか、体操座りの零奈は自分の顔を膝の上に乗せて遊んでいる皆をじっと見ている。

 

「はぁぁ…まったく気にしすぎだよ零奈は。その人に似合う水着であればスタイルなんて気にしなくていいのに。だから、今の零奈の姿を僕に見せてほしいな」

「兄さん…」

「お願い」

「……分かりました。失望しないでくださいね」

 

そう言って立ち上がった零奈は自分のラッシュガードを脱いで、僕に水着姿を見せてくれた。

零奈の水着は、カラフルなチェック柄のフリルビキニだった。自信がないように言っていたけど、家族贔屓がなくても可愛いと思う。

てちょっと待てい!ビキニって。

僕は慌ててラッシュガードを零奈に着させた。

 

「兄さん?」

「ど、どうしたのカズヨシ君?」

「い、いや。こんな姿を他の男共に見せるわけには、と思って」

 

そしてキョロキョロと周りを見る。

誰もいないね。良かった良かった。

 

「「ぷっ…」」

「何を言っているのですか兄さんは…」

「そうだよ。私の妹達や桜ちゃんにはあんな事をさせといてさ」

「いや、あれは皆に頼まれて普通に塗っただけだし。それとこれとは話が違うでしょ」

「ふふっ。お母さん、全然気にしなくてもいいと思うよ」

「そうですね……兄さん。私の水着姿はどうでしたか?」

「え?もちろん、可愛かったよ。父さんに、自分は見れたと自慢してやりたいくらいにね」

「そうですか。仕方がないですね。今日は気分が良いので父さんに写真を送ることを許可しましょう」

「え?そう?じゃあ撮るね」

 

パシャ

 

とてもいい笑顔の零奈の水着姿を写真に収め、父さんと母さんに送ってあげた。

すると。

 

『よくやった和義。しかし、零奈の水着姿が生で見れるなんて変わってくれぇ』

 

こんなメッセージがすぐ父さんから返ってきた。

ちなみに母さんから、『和義のは?』、と来たから完全スルーをしようとしたが、今回の事を感謝しようと思ったので、『残念ながら水着持ってません』、と送っといた。ありがとう、のメッセージを添えて。

 

その後、機嫌が良くなった零奈は皆の所に行き海水浴を楽しんでいる。

 

「一花は本当に行かなくていいの?」

「うん。次の仕事のために日焼けはちょっとね。日焼け止めはもちろん塗ってるけど、念には念をだよ」

「そっか…」

「カズヨシ君こそみんなのところに行っていいんだよ?」

「いや。やっぱり僕って水着じゃないから、濡れると面倒だしね。こうやって、一花の話し相手をしてる方が良いよ」

「優しいんだ、カズヨシ君は」

「本当に濡れたくないから、そんなんじゃないよ」

「そういう事にしといてあげる」

「……風太郎もいれば良かったけどね」

「そうだね…」

 

一花と二人。楽しそうにはしゃいでいる皆を見ながら、おしゃべりをして、ゆったりと時間を過ごしたのだった。

 

 




海やプールの回は書きたいなと思っていたのですが、文章で水着姿を表現するのは難しすぎますね。
しかも水着の知識ほとんどありませんし…
想像しにくいと思いますがご容赦を。ちなみに、ゲームの『ごとなつ』に出てくる水着を参考にしてますので、そちらのパッケージを見ていただければ想像しやすいかもです。

後、和義のゴッドハンドが炸裂しましたね。普通、日焼け止めを塗るだけであそこまで反応しませんからね…

では、また次のお話も読んでいただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。
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