昨日の風太郎についてだが、結論から言えば失敗だ-----
ただの失敗であればまだいいのだが、睡眠薬を飲まされての途中退場という想像もできないような出来事が起きたと風太郎から報告をもらった...
(睡眠薬って、下手したら犯罪行為だぞ。もし警察に被害届を出したら最悪なことも起きてただろうし、下手な量を飲まされていたら風太郎だって危なかったかもしれない)
実際に睡眠薬事件を起こしたのは次女の二乃だったそうだ。
(そういえば、僕に対してもやたらと敵対心丸出しだったなぁ。何かあるのか?)
そんな考えをしている僕の目の前で風太郎は何やらテストを作成しているようだ。
朝一いきなり家に来たかと思えば、昨日の報告をしながらテストを一生懸命作成している。しかも全て手書きでだ。
(PCくらい貸してやるのに。まぁ、こいつは昔から機械関係が苦手だったからな)
ちなみに、風太郎のことを家まで送ってくれたのは五月だそうだ。
何だかんだで、根は優しく真面目な娘なんだと改めて感じている。
その五月を昨日途中まで送ったところで妙案が思いついたと風太郎が言っている。
余談ではあるが、家庭教師に協力的な娘もいるそうだ。
三玖と四葉である。
四葉はこの間の様子を見る限りではあるが、何かしら思うところがあり協力的だろうと予想はできたのだが、三玖まで協力的なのは予想できなかった。
見た限りでは、三玖は人との付き合いをあまり得意としていないように思える。
僕とは共通の歴史好きというものがあるからか他のクラスメイトよりも打ち解けていると自負している。
しかし、他人に対して無神経、ノーデリカシーな風太郎に協力的になるのかと疑問が生まれた。
(まぁ、何にしろ協力してくれたことは事実だ。今度お礼を言っておこないとな)
風太郎の作業を見ながら色々と考えていたのだが、テスト問題がとうとうできたようだ。
「出来た!和義ちょっと見てくれないか?」
「(なるほど。そのためにわざわざ家まで来たのね)はいよ」
「お疲れ様です。お茶をどうぞ」
「お、ありがとな」
風太郎の作業が終えたと同時にお茶を出す零奈。
(本当に出来た妹だ)
そんな事を考えながら風太郎の作成したテストを見ている。もちろん解きながら。
「どうだ?そのテストの6割、いや5割が解ければ、今後俺が手を出さなくても勝手に卒業ができると考えているのだが」
「(なるほど、そいうことね。風太郎のやつ、テストをさせて本当に勉強ができない娘をあぶり出して、その娘以外は教えないスタンスを取るつもりか)いいんじゃないか。基本問題を出しながらも要所要所に引っ掛けを出してでいいテストだと思うよ。風太郎にしてはやるね~」
「一言余計だ!」
「悪い悪い、でもいいのか?風太郎は、このテストで点数が悪かった娘以外には教えないつもりだろ。家庭教師としてはどうかと思うが...」
「さすが和義だ、すぐに意図に気づくとは。だが問題ない。向こうからの条件は無事に卒業させること。俺の教えを聞かなくても卒業さえできればいいということだ」
「屁理屈だなぁ。ま、いいさ。教師はあくまでも風太郎なんだから、風太郎の思うがままにやるといいよ」
そう言ってテストを風太郎に返す。
「おまえにそう言ってもらえると心強いな。それじゃあこれからあいつらのところに行ってくる!」
「え、今日やるのか?」
「思い立ったが吉日だ!五月には午後2時位に行くから姉妹を集めておくように伝えている」
そう言いながら準備をしている風太郎。
「ふむ。風太郎、それに僕も付いて行っていいか?」
「ん?別に構わんが...」
「悪い零奈。そういうことだから留守番を頼む!」
「分かりました。夕飯までには帰ってきてくださいね」
そう言って送り出してくれた。
ちなみに、今日も勇也さんの帰りが遅い、もしくは帰れないかもしれないとのことなので、らいはちゃんを家に呼ぶことにした。
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「昨日の悪行は心優しい俺が、ギリギリ許してやろう。今日はよく集まってくれた!」
(本当に心優しいやつは、そんな皮肉を言わなけどね)
そんな高らかな風太郎の宣言に僕は内心ツッコんでいた。
(てか、中野家って結構な金持ちなんだな。ここタワーマンションの最上階だぞ。しかも、窓がでかいし、マンションの部屋なのに階段があって2階まであるじゃん)
そんな感想を思っていると、姉妹それぞれの反応があった。
「まぁここは私たちの家ですからね」
「zzzzz」
(いや、起きろよ一花!)
「諦めてなかったんだ。しかも今日はカズヨシも一緒」
「今日は友達と遊ぼうと思ってたのに最悪よ。てか、何で増えてんのよ!」
「安心して。今日の僕はただの見学者。横から何か言ったりしないよ(ツッコミはするかもだけど)」
「そうですか...」
「てか、家庭教師は必要ないって昨日言わなかったっけ?」
「だったらそれを今から証明してくれ」
「証明?」
二乃が不思議そうに答えると、風太郎がバンッとテスト用紙をテーブルの上に叩きつけた。
(あ、一花が起きた)
「これは、俺と和義で作ったテストだ。(僕は何もしてないけどね)このテストを今からお前たちにやってもらう。合格点を超えれば金輪際二度と関わらないと誓おう」
「「「「「!」」」」」
「勝手に卒業をしてくれ」
チラッとこちらを見る、三玖と五月。
「何でアタシ達がそんなことをしなくちゃいけないのよ!」
二乃が反発をする。まぁそりゃそうだ。
「いいでしょう」
「は?五月あんた本気?」
「合格点を出せばいいのです。これであなたの顔を見なくて済みます」
「そういうことなら、やりますか」
「みんな!頑張ろう!」
「合格点は?」
一花と四葉もやるようだ。三玖の質問に対して風太郎は、
「本当は60点と言いたいところだが、50点でいい」
「はぁ...、こんなテスト受ける義理はないんだけど。あんたら、アタシ達をあんまり侮らないことね」
その言葉を皮切りにそれぞれのテストが開始された。
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一時間後。
「採点が終わったぞ!凄え100点だ!........全員の点数を合わせてな!」
(ちょっと想像はしていたとはいえここまで酷いとは。一番良い点数の三玖ですら40点未満って...まぁ五月に関してはこの間教えたところは合っていたから褒めてあげよう。てか、四葉に至っては一桁じゃないか)
想像以上の点数の悪さで頭が痛くなっていた。
「おまえら、まさか...」
「逃げろ!」
その言葉を切っ掛けに、姉妹全員2階にあるそれぞれの部屋に逃げていった。
「「全員赤点候補者かよ」」
見事に息ピッタリの言葉であった。
今日は休みなので、また出来るところまで投稿しようかと思います!
いつの間にか、お気に入り50件を超えてました。
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